【第5回TWC】脱初心者のすゝめ。デュエルマスターズ・ザ・座学

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【第5回TWC】脱初心者のすゝめ。デュエルマスターズ・ザ・座学
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目次

はじめに

お久しぶりですキャベツです。前回のムカデは好きですか?は編集部からの推薦というお褒めをいただき光栄です。精進します。

今回は前回以上にド真面目で小難しい内容について記述していきます。というのも私は前々から不満に思っていることがありました。

「公式書籍の内容が物足りない」ことです。

仕方ない面もあります。このデュエル・マスターズはAGE 10+、つまり小学生半ばからを推奨しておりそれ以上の年齢層へのアプローチは消極的です。

でも公認のCS等々への参加はもっと上の世代となり、「公式が広める知識」と「プレイヤーが求める知識」にズレが生じていると感じております。

そのためユーザーはネットで情報をかき集める方法でしか上達の術がありません。それこそ上を目指すティーチングなんてものはどこにもありません。

だからこの場をお借りして作ります。言い出しっぺの法則です。

内容はデュエルマスターズの攻防の話、とりわけ「シールドトリガーの性質説明と対応の仕方」です。

推奨年齢について

ここから前説を入れるので興味のない方はマクロ視点の…まで読み飛ばしを推奨します。

この記事の想定読者は10歳以上であるとします。というのも精神の成長段階として「他者の視点を理解する」と「保存概念の発達」をクリアするのがこの年齢だそうです。

「他者の視点の理解」は「三つ山問題」と言うもので説明できます。どうせならデュエルマスターズ的に説明します。

「この3枚を軽い順に並べろ」という問題があったとします。コストの額面数字通りにすればいいので簡単だと思います。

では「実際のゲームの軽さで並べろ」という問題ではどうでしょうか。《BAKUOOON・ミッツァイル》は複数破壊で、《剛撃戦攻ドルゲーザ》はシンパシーで軽減されます。《愛の無限オーケストラ》は進化元に5文明を要求するので見た目以上の重さになってます。そのため逆の順序となるのですが、見た目のコストに惑わされて正確な答えが出せないのです。たとえテキストをしっかり把握していてもです。

「保存概念の発達」は「外見に惑わされない数量」ということです。DM的にはこんな感じです。

「プレイヤーへの攻撃が強いのはどちらか」という問題があったとします。同じく2点ですが、レアリティ・コスト・パワーに惑わされて《“轟轟轟”ブランド》を強いと判断されがちです。

マクロ視点でのデュエル・マスターズ

ゲームが違えばセオリーも異なる。でもセオリーの仕組みを理解できれば別の方法に転用できる。

ゲームに触る前に、ルールを視点を引いて俯瞰で見て欲しいのです。まずは勝利条件を確認するところからはじめましょう。そんなものルールブックに書いてあるじゃないかと思われるでしょう。「相手のシールドを全てブレイクして、ダイレクトアタックしたら勝ち」であると答えるはずです。

でも追加で言葉の縛りを入れると本質が見えてきます。「一般の方にそれもカードゲームを遊んだことの無い人向けに、専門用語を使わない」で説明してください。

つまり「シールド」と「ダイレクトアタック」を一般に通じうる言葉に置き換える必要が出てくるのです。

それで先程「保存概念の発達」で使った「点」を使います。これならスポーツや採点で馴染み深い表現でしょう。

シールドは基本的に5枚スタートなので「5点」、ダイレクトアタックは攻撃1回なので「1点」となるのです。

つまりデュエル・マスターズは「6点を相手に与えれば勝ち」というゲームなのです。

6点といかに向き合うか

「兵は拙速を尊ぶ」という名言の通り戦略は早ければ早いほど状況のブレが少ないので、早い6点は常に脅威となります。それこそ「速攻」ですね。

ですがその「速攻」本当に早いのでしょうか?

ブレイクされたシールドは手札という「選択肢かつ資源」に還元され、運悪ければシールドトリガーという「逆転要素かつ行動のかさ増し」に引っかかり、攻めの勢いを削がれることとなります。

ではそのブレイクによるリスクを低減させるのが「中速」です。

1個体の点数を上げ、投資コストを下げて利益率を高めています。それにより「増えた手札による巻き返しが難しい状況」と「シールドトリガーによる不意の損失」のリスクを減らせます。

そもそも失う見込みの無い投資をしたいのであれば、さらに大きい物を使いましょう。それが「低速」です。「ビッグマナ」のほうが馴染み深いかもしれません。

「6点奪われなければ負けない」のだから、そもそも積極的に「点を入れる必要はない」というのが「コントロール」です。

つまる所、デュエル・マスターズの攻防とは点数のリスク管理と向き合うことなのです。

攻防の要、シールドトリガー

「トリガーを踏んだから勝った・負けた」はデュエルマスターズあるあるで、それこそ日常的に会話に混ぜて用いられています。

それこそ勝敗の分水嶺として語られるポイントなので重要度が高いのですが、その質をしっかりと把握していますか?

性質を4グループに分け説明します。

①確定除去(《デーモン・ハンド》等)1体選びバトルゾーン以外に移動させる効果です。たまに複数枚であったりしますが、基本はあまり変わりません。「本来与えられる打点を、クリーチャーを移動させて妨害する」です。確実かつ自ターンに使うのも強いのですが、超過打点には焼け石に水です。実際のゲームだとGRクリーチャー12体全部で殴ります、といったケースが該当します。

②全体除去(《オリオティス・ジャッジ》等)バトルゾーン全体に効果が及び、超過打点にも対応しうる広さが強みです。反面手打ちが困難なコスト・範囲が限定的・使用条件が付いていたりと小回りが効かないところが弱みです。

③ストップ(《終末の時計 ザ・クロック》等)攻撃する権利そのものを奪って妨害します。全体タップもここに属します。弱みは自ターンに使う意味が薄いことです。

④アドブースト(《フェアリー・ライフ》等)これは手札・マナ等を増加させるグループで基本的に妨害効果を持ち合わせていません。重要なことなのでもう一度、妨害する効果を持っていません。単体で防御効果がないので、他のカードとセットで使う必要があります。ついでに付いているものが多いのですが、間接的にゲームに貢献します。

攻撃を止め次のターンを得るのが目的ならば数もクリーチャーサイズも問わない③ストップトリガーが優秀なのですが、必ずしも「正しい」とは限らないのです。

適切なシールドトリガーとは?

ストップトリガーは優秀であると書きました。しかし、全く無意味である場合が存在します。盤面を一切返すことができないのです。

【赤単“B-我”】が先攻であり、2ターン目《一番隊 チュチュリス》を召喚>3ターン目コスト1軽減され《“極限駆雷”ブランド》、WブレイカーGRクリーチャー、《“罰怒”ブランド》(6点打点生成)。《“罰怒”ブランド》Wブレイク、シールドトリガーから《終末の時計 ザ・クロック》となったとします。ターンが返るが残りシールド3枚かつマナは3か4で6打点を捌く、という状況を要求されてしまいます。無理ではありませんが《終末の時計 ザ・クロック》はターンを引き延ばしただけで戦況を解決していないのです。

こんな状況でも巻き返せるカードがあるのがデュエルマスターズの面白くて怖い所。

またこんな事象もあります。新章ブロック構築の際、【ビートジョッキー】は防御札をストップであるスパーク系にしていました。同時に《終末の時計 ザ・クロック》や《爆殺!!覇悪怒楽苦》があるにもかかわらずです。

理由は対抗馬である《阿修羅ムカデ》の存在です。

裁定が出なくて長いことお店ルールみたいなものがあったカード。皆さんの所はどんなルールでしたか?

バトルゾーンから切り離すことができず、かつバトルで負けてもパワーマイナスが発生し、あえてバトルに負けるようにアタックしなくてはならない。そんな方法でしか対応できないこのカードは環境の中心でした。

また「超メガ盛プレミアム7セブンデッキ キラめけ!! DG超動」が発売した際にみんな《マスター・スパーク》から《DNA・スパーク》に乗り変えました。その理由がシールドが1枚増えるからではなく、そのために相手側のキルターンが2ターン伸びるのです。というのも、当時のデッキのほとんどが更地からSAで1・1の分割2打点を作れなかったのです。

そのため文明が違っても、返ったターンでクリーチャーが増え打点が増えるよりも、相手の盤面がタップした状態でターンを得る必要があったのです。

先攻優位のゲームシステム

3戦2本先取りの試合ではよく2戦目を「負け先(攻)」というルールが採用されます。なぜならば勝利条件が「先に6点」であるため、先に攻撃を入れる権利を持つ先攻が有利です。野球のように裏の手番が終わって精算、とならないためです。

野球に馴染みがない方向けにRPG風に説明すると、相手も自分も体力10点で攻撃力5点だとします。そしてあなたが後攻です。

後攻1ターン目に選んではいけない選択肢は「攻撃」であることがわかりましたか?

先攻「攻撃」(-5点)>後攻「攻撃」(-5点)>先攻「攻撃」(計-10点)で後攻の負けです。後攻1ターンで都合2ターン分を稼ぐ必要があるのです。

これは極端な同系戦(ミラーマッチ)を想定したものです。デッキ内容は「ワンショットキルを狙う」「トリガーはストップ系4枚のみ」「トリガーケアはできない」とします。勝ち負けの現象をトリガーありきで図解するとこうなります。

「理想的に動いている」という前提条件ではこうなりますが先攻が手札1枚少ないので手札の事故率が若干高くなります。そのため少しばかりキル条件を揃え辛くなっています。

これほどキッチリ先手後手が分かれるデッキは少なくて、ループの類いは先攻が事故が起きなければ勝ち、【ジョラゴン】は先攻マンハッタンロックで大幅有利、【赤黒デッドゾーン】は《ZEROの侵略 ブラックアウト》が絡むかどうかなどもっと複雑なものになってます。ですが基本的には先攻有利です。

一応例外もあり、先攻より後攻の方がキルターンが早い場合に発生します。現行だと先攻【4Cドッカンデイヤー】VS後攻【赤青覇道】です。

よって先攻優位ではあります。しかし先攻後攻の抽選率は5分5分なので「先手後手による有利不利は結局運任せ」です。

後攻でも勝ち取りたい!

先攻後攻が確実に50%であるなら勝率も50%に帰結するハズです。でも実際そうならないのは乱数という揺らぎであったり、プレイヤーの努力が生み出した「手番を入れ替える」という技術になります。

具体的どんな現象でいかに発生するか

先ほどのRPG風説明ですがゲームシステムがもう少し複雑で、かつ手番1回行動が確定していなければ「1ターンで2ターン分稼ぐ」なんて無理難題をこなす必要はありません。つまり先攻よりも先に「致死点を与えうる2ターン目」が回ってくればいいのです。

具体的には速度が上がって2ターン目が先攻になる、または先攻の攻撃が乱数頼りで失敗した場合が挙げられます。

後ろ向きな方向では防御力が上がる・体力が回復するなどで先攻の攻撃で致死に至らなかった場合も擬似的に「先に2ターン目を得た」と言えるでしょう。

ではデュエルマスターズでは何なのかといえば以下の現象が挙げられます。

①マナが必要分まで伸びなかった場合。多色事故やランデス・《停滞の影タイム・トリッパー》などで意図的に起こせます。簡単に発生する分、基本的に「1ターン分の猶予」しか得られません。その猶予で更にキルターンを伸ばすか、仕留めにかかるかを考えなくてはなりません。

②除去を打つかハンデスで手札を腐らせましょう。基本的に後攻が意図して行い「先攻がキル条件を達成できない」状態にすることです。後攻がターンを消費して行うので、先攻が同じ行動をしていたちごっこになった場合では入れ替わりません。

③メタカードを使いましょう。コスト踏み倒しに《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》《異端流し オニカマス》、呪文であれば《奇天烈 シャッフ》等です。確実に機能しうるのですが、そもそも返しのターンに対処されたり。打って手番を入れ替えたら相手も同じ行動して結局元通りに戻されたりします。

④シールドトリガー等々相手の攻撃を利用しましょう。さきほどの《終末の時計 ザ・クロック》等場に残るタイプのカードで合計6点を作るのです。よくあるケースは各種【速攻】VS【モルトNEXT】ですかね。《ボルシャック・ドギラゴン》3体成功で9点発生です。

具体的な攻防説明

結局運任せじゃないか、難しすぎて理解できない、と思われるでしょう。そんな場合は書き出してみるといいでしょう。

例題として以下を上げます。

《はずれポンの助》はダイレクトアタックを行えるので、負け筋は「はずれポンの助を放置してターンを返す」になります。

それに対してターンプレイヤーができるのは以下の3つです。

《はずれポンの助》を除去する。

②ブロッカー等で次の《はずれポンの助》の攻撃を阻害する。

③そもそも脅威は次のターンなので、このターンに勝ってしまう。

使用しているデッキにも左右されますが、主な考え方はこれです。

とはいえ、万全ではありません。相手が追加のSAを用意できていた場合では2行動要求になります。

逆に手札に防御用のシノビが用意できていればこのターンを「はずれポンの助に対処するために」費やす必要がないのです。

状況を判断して「なにかできるのか?」「そしてなにがおこるのか?」を把握できていればプレイに乱れは起きなくなるでしょう。

最後に実例を上げておきます。

2019年9月頃、【ドキンダム入りモルトNEXT】VS【アナカラーダムド】でおきた話です。

先攻【アナカラーダムド】は3ターン目マナブーストと少々出遅れ、対して【モルトNEXT】は3ターン目に《超戦龍覇 モルト NEXT》着地と最速ムーブ。しかし出すドラグハートを悩み、最終的には《爆銀王剣 バトガイ刃斗》を選択しました。結果的にはコレが手痛いミスチョイスとなりました。

龍解達成したものの、追加のSAに恵まれず5点止まり。返った【アナカラーダムド】は《超次元リバイヴ・ホール》から《勝利のガイアール・カイザー》、多重侵略で盤面を空に。依然シールド0の崖っぷち状態、【モルトNEXT】側SAで勝ちであるものの6コストのSAは引けませんでした。その後【アナカラーダムド】が《無修羅デジルムカデ》で盤面に蓋をして幕引きとなりました。

カードのめくりの強さが足りなかったのが問題ではなく、《爆銀王剣 バトガイ刃斗》ではなく《闘将銀河城 ハートバーン》であれば厳しかったというケースです。

図解するとこうなります。

①の場合以外はシールド0かつ《闘将銀河城 ハートバーン》が残った状態でターンを返すしかないのです。

そのため【モルトNEXT】側の回答が6コストまでのドラゴンというゆるゆる条件から《リュウセイ・ジ・アース》、《轟牙忍 ハヤブサリュウ》、《スクランブル・チェンジ》とドラゴンのセット三種まで減ってしまったのです。

単なるプレイミスではなく状況が把握しきれなかったことによる負けなのです。

よく○○ケアっていうけどどんな場合?

これも口頭でよく使われる表現です。相手に対しては○○を使えない、または使っても意味かないよ、といった表現です。また自分に使う場合は不運に対して次善の策の場合が挙げられます。

踏み倒しに《異端流し オニカマス》でケア。トリガーにロックカードでケアなどですかね。

メタでもロックでもないケアの仕方

専用のカードがなければケアができない、というわけではありません。プレイで一部は対応できる可能性があります。ただし完全対応ではないので一部の不運は諦めましょう。

新章デュエルマスターズ期、ちょうど【モルトNEXT】がTier1だった頃の話です。友人から【モルトNEXT】に【青黒ハンデス】でどう戦えばいいかわからない、と相談されたことがあります。それについて私はこう答えました。「ゲームが長引くほど封印が外れて不利になるから6点ができれば殴って良い」でした。ただし「できるだけ小さい打点で殴って」と。

実際のゲームだとこんな感じのケースを想定します。

ガンヴィートはデッドゾーン侵略でも代用可。とにかく6点用意できる状態。

当時の受け札は《熱血龍 バトクロス・バトル》《光牙忍ハヤブサマル》の計5枚。《ボルシャック・ドギラゴン》もありましたが《蒼き団長 ドギラゴン剣》と《熱血天守 バトライ閣》が無規制時代のため積まない構築が主流でした。2点>3点>1点の順序で攻撃し初回の《勝利のリュウセイ・カイザー》のダブルブレイクで《熱血龍 バトクロス・バトル》を踏んでしまった場合、ここでターンを返してください。倒しきれませんでしたが【モルトNEXT】もこの状況は厳しいのです。なぜならブレイクの残りの1枚とトップドローでキル打点を作らなくてはならないのです。

【モルトNEXT】側が4点を作れるのがこの組み合わせ

もちろん《熱血龍 バトクロス・バトル》2枚シールド入りなどの裏目はありますが、次のターンの致死確率を低く抑えることができるのです。

おわりに

できる限り書いてみました。試合で負けて「あそこでトリガー踏まなきゃ勝ててたのに」と思ったら、それ以外の敗因も是非とも振り返ってみてください。本当にそれだけが原因じゃなかったかもしれませんから。

公認CS中止。店舗大会自粛。お店でしか対戦相手を見つけられないぼっちプレイヤーのため、私個人はフラストレーションが貯まりゆく状況となっています。数カ月後には解禁されると信じて、皆さんもコロナの脅威に負けずにモチベーションを保ちましょう。

引用・参考文献

子どものこころ 児童心理学入門

  桜色茂男・濱口佳和・向井隆代[著] 有斐閣


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