【第5回TWC】《偽りの名 ゾルゲ》黙示録 ~そのうち全ては我らのもの~

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【第5回TWC】《偽りの名 ゾルゲ》黙示録 ~そのうち全ては我らのもの~
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目次

はじめに

 流浪のライター、バートレットの記事へようこそ。

 突然だが、貴方は《偽りの名 ゾルゲ》をどこまで使っているだろうか。

【クリーチャー】
【種族】アンノウン
【文明】水/火/自然
【パワー】8000
【コスト】8

■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■このクリーチャーまたは自分の他のクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある別のクリーチャーを1体選んでもよい。そうした場合、その2体はバトルする。
■W・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを2枚ブレイクする)

 もう、4年以上になるだろうか。私は、このカードを使ったデッキを作り続けている。

 自分語りになってしまい恐縮だが、私は革命編からデュエル・マスターズの世界にプレイヤーとして飛び込んだ。それ以来、【ドロマーハンデス】や【白単天門】などのコントロール色の強いデッキを好んで使ってきた。

 そんなある日、飛び込んできたプレミアム殿堂超次元コンビ解除のニュース。《偽りの名 ゾルゲ》《紅蓮の怒 鬼流院 刃》の同時使用が解禁されたのだ。この2枚を同時使用するアーキタイプ、【紅蓮ゾルゲ】が再び組めるようになった。

 私は【紅蓮ゾルゲ】に何かを感じてデッキを組み始めた。だが、やがて、このコンボのお手軽さに気付くと、ある疑問が頭にこびりつき始めた。

「もしかして、このコンボは様々なデッキと組み合わせられるのでは?」

 時は巡り、【紅蓮ゾルゲ】はいつしか【GRゾルゲ】へと姿を変える。そして、私は今でも《偽りの名 ゾルゲ》を使ったデッキの探求を続けている。

 それでは、私の長い長い探求の道のりを、ここに記そう。

 なお、本文前にお断りしておきたいのだが、この記事はnoteにて掲載している「紅蓮ゾルゲ回顧録」および「GRゾルゲ血風録」を要約し、一部デッキを追加したものである。今回紹介したデッキの多くは、note記事に詳細をまとめてあるので、よろしければこちらも確認していただければ幸いだ。

1. 【紅蓮ゾルゲ】時代

 【紅蓮ゾルゲ】は、《偽りの名 ゾルゲ》《紅蓮の怒 鬼流院 刃》を組み合わせたコンボデッキである。《紅蓮の怒 鬼流院 刃》の効果を最大限に活かすために、《偽りの名 ゾルゲ》の効果を利用する。

【サイキック・クリーチャー】
【種族】ビースト・コマンド / ハンター
【文明】火/自然
【パワー】7000
【コスト】7

■自分の自然または火のハンターがバトルに勝った時、それよりコストが小さいハンターを1体、自分の超次元ゾーンまたはマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。
■W・ブレイカー
(ゲーム開始時、サイキック・クリーチャーは山札には含めず、自身の超次元ゾーンに置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、そこに戻す)

 《紅蓮の怒 鬼流院 刃》がいる状況下でハンター種族のクリーチャーを出してはバトルに勝たせることを繰り返すと、《紅蓮の怒 鬼流院 刃》の効果が延々と発動し続ける。これを活かして、最終的にハンター種族を持つ《ヴォルグ・サンダー》を出し続け、相手をライブラリアウトさせるのがこのデッキの勝ち筋だ。

 《ヴォルグ・サンダー》へと繋げるルートとしては、バトル時にパワーを上げ、バトルに勝った時に覚醒する《遊びだよ!切札一家なう!》を出して即座に《偽りの名 ゾルゲ》の効果でバトル、覚醒させ、覚醒後の《カレーパン・マスター 切札勝太》のパワー上昇効果で一方的に《ヴォルグ・サンダー》にバトルで勝てるようにするのが一般的だ。

【サイキック・クリーチャー】
【種族】カレーパン / ハンター
【文明】火
【パワー】4000
【コスト】5

■このクリーチャーがバトルする時、「カレーパンはどこじゃあああ!」と聞いてもよい。そうした場合、そのターン、このクリーチャーのパワーは+2000される。
■覚醒ーこのクリーチャーがバトルに勝った時、このクリーチャーをコストの大きい方に裏返す。
(ゲーム開始時、サイキック・クリーチャーは山札には含めず、自身の超次元ゾーンに置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った時、そこに戻す) 

【サイキック・クリーチャー】
【種族】カレーパン/レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター
【文明】火 
【パワー】7000
【コスト】10

■バトルゾーンにあるコスト6以下のクリーチャーはすべて、種族に「カレーパン」を追加する。
このクリーチャーのパワーは、バトルゾーンにある他のカレーパン1体につき、+1000される。
■自分のターンのはじめに、「カレーパンを食ってやるぜぇ!」と言ってもよい。そうした場合、そのターン、このクリーチャーはタップされていないカレーパンを攻撃できる。
■W・ブレイカー 

(プレミアム殿堂カード)
【サイキック・クリーチャー】
【種族】デーモン・コマンド / ハンター
【文明】闇
【パワー】7000
【コスト】6

■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、プレイヤーを一人選ぶ。そのプレイヤーは、自身の山札の上から、クリーチャーが2体出るまでカードを墓地に置く。
■W・ブレイカー
(ゲーム開始時、サイキック・クリーチャーは山札には含めず、自分の超次元ゾーンに置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、そこに戻す)

 この【紅蓮ゾルゲ】が登場してから、殿堂入りするまでの間に、様々なデッキを作った。まずはそれを紹介していこう。

1-1. 【サファリゾルゲ】

 【紅蓮ゾルゲ】が解禁され、早速現在のカードプールで組んでみようと思い立って手なりで組んだのがこの【サファリゾルゲ】であった。


 《偽りの名 ゾルゲ》を早出しするためのプランとして《大革命のD ワイルド・サファリ・チャンネル》を採用した。多色マナが4枚あり、《大革命のD ワイルド・サファリ・チャンネル》があれば、マナゾーンのカードが7枚の状態で《偽りの名 ゾルゲ》《紅蓮の怒 鬼流院 刃》を出すことができる。また、《偽りの名 ゾルゲ》については《大革命のD ワイルド・サファリ・チャンネル》のDスイッチでマナから出すことができるため、序盤に色基盤としてマナに置いてしまっても良い。

【D2フィールド】
【文明】光/自然
【コスト】6

■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■マナゾーンで多色カードをタップする時、そのうちの好きな枚数のカードのマナを2にしてもよい。(他のD2フィールドがバトルゾーンに出た時、このD2フィールドを自分の墓地に置く)
■Dスイッチ:自分のターンのはじめに、このD2フィールドをゲーム中で一度上下逆さまにしてもよい。そうしたら、そのターン、クリーチャーを自分のマナゾーンから召喚してもよい。

 このデッキにはサブプランとして《ジョリー・ザ・ジョニー Joe》を採用しており、相手のクリーチャーが1体のみでなおかつ《偽りの名 ゾルゲ》が場に存在する場合、《ジョリー・ザ・ジョニー Joe》を出した時に《偽りの名 ゾルゲ》のバトル効果を先に解決してエクストラウィン条件を達成、ゲームに勝利する、ということが可能だ。

【クリーチャー】
【文明】火
【パワー】19000
【コスト】10

■スピードアタッカー
■Q・ブレイカー
■このクリーチャーが召喚によってバトルゾーンに出た時、バトルゾーンに相手のクリーチャーがなければ、自分はゲームに勝つ。バトルゾーンに相手のクリーチャーがあれば、他のクリーチャーをすべて破壊する。

 後のことを考えれば、このデッキが一番大人しかった。まだこの時は普通のデッキとして【紅蓮ゾルゲ】を組んでいた。

 だが、この時の私は、これ以降様々な形の【紅蓮ゾルゲ】を量産することになろうとは思わなかったのである。

1-2. 【バッシュゾルゲ】

 着想のきっかけは、デュエマフェスで【バッシュギヌス】と当たった時の事だった。実際に相手をして確かに強力なデッキだと思ったのだが、同時に「4体も《ヴォルグ・サンダー》を超次元ゾーンに入れるのは趣味じゃないし、《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》が相手のデッキに入ってたらどうするんだろう」と疑問に思ったのだ。当時、ループ処理に関して、「ループが勝利につながるかどうかに不確定要素が混ざる場合、ループを省略することができない」という裁定があり、山札に《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》がある場合は《ヴォルグ・サンダー》を出し続けるループを諦めなければならなかったのだ。

 一応、その際の処置としては、4体の《ヴォルグ・サンダー》の上に《超時空ストームG・XX》を乗せて《超覚醒ラスト・ストームXX》へ覚醒、ビートダウンを行うというものだった。しかし、これでは2ターンかかる。《時空の踊り子マティーニ》の覚醒を利用して《超覚醒ラスト・ストームXX》を即時覚醒、打点を作る動きは、DMGP4thで発表された裁定により使用不能だ。

 そこで、私が思いついたのが【紅蓮ゾルゲ】ギミックの搭載である。【バッシュギヌス】の動きを行う中で、蘇生対象に《偽りの名 ゾルゲ》《激流アパッチ・リザード》を選ぶ。そこから【紅蓮ゾルゲ】の動きを始めるのだ。もしも《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》が相手のデッキにあった場合には、《勝利のガイアール・カイザー》《勝利のプリンプリン 》《勝利のリュウセイ・カイザー》を揃えてV覚醒リンク、《唯我独尊ガイアール・オレドラゴン》を作る動きにシフトする。そうすれば、《唯我独尊ガイアール・オレドラゴン》の「バトルに勝った時にシールドを2枚ブレイクしてアンタップする」効果を使ってメインフェイズ中に相手のシールドを全て割り、ダイレクトアタックを仕掛けられる。《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》の対策もばっちりだ。

 そうして完成したのが【バッシュゾルゲ】である。


 実際にCSに持ち込んだところ、【バッシュギヌス】と思って身構えていたら突然【紅蓮ゾルゲ】の動きを始めるデッキに対戦相手が大笑いしてくれたことを覚えている。決勝トーナメント進出こそ逃したが4-2と勝ち越すことができたのも自信につながった。

 しかし、元のアーキタイプである【バッシュギヌス】のキーパーツである《魔龍バベルギヌス》が殿堂入りし、安定したコンボの遂行が困難になってしまったため、私は次なるデッキを作ろうと思案を始めたのだった。

1-3. 【ジャックライヤゾルゲ】

 《偽りの名 ゾルゲ》を早期に出したいと考えた私が次に目をつけたのは、場のクリーチャーをマナとしてカウントできる《ベイB ジャック》だった。この段階で、準緑単にしようかと思案していたが、最終的にそれよりもうってつけのアーキタイプを見出すことができた。それが【ジャックライヤループ】である。

 《ベイB ジャック》で2体の《アクア忍者 ライヤ》を交互に出し、《ハッスル・キャッスル》《Dの悪意 ワルスラー研究所》の効果でドローを行う。そうして手札を貯め続け、《ルナ・コスモビュー》のG・ゼロ条件を満たした後、《アクア忍者 ライヤ》を横に並べていく。フィニッシュ手段は《偽りの名 iFormula X》だ。

 この【ジャックライヤループ】との組み合わせの素晴らしいところは、ループを行う過程でドローを行い、デッキの中身を一気にひっくり返すため、パーツを確保しやすいところにある。また、ループの下準備を行う過程で横に並べられる《桜風妖精ステップル》《アクア忍者 ライヤ》は、《紅蓮の怒 鬼流院 刃》や《遊びだよ!切札一家なう!》のバトル相手としてうってつけのサイズだ。マナとしてタップした後のクリーチャーならば、心置きなくバトルの的にできる。

 この考えのもと組み上げたのが、【ジャックライヤゾルゲ】だ。


 しかし、このデッキの寿命も長くは持たないだろうと思い始めていた。何しろ当時、《ベイB ジャック》は【緑単ループ】で猛威を振るっており、次の殿堂入りは疑いようがないとまで言われていたのだ。そして、早々にこのアーキタイプに見切りをつけた私は、次なるデッキの構築を始めた。

1-4. 【MDWゾルゲ】

 当時《“龍装”チュリス》の獲得によって猛威を振るい始めた【赤黒ドギラゴン剣】、および【クローシスドギラゴン剣】。だが、《“龍装”チュリス》に対応しているクリーチャーがもう1つあることを私は知っていた。それが、《D2M2 ドグライーター》である。

 《D2M2 ドグライーター》は、墓地のD2フィールドをフィールド上に出すことができる。ここで、《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》や複数のクリーチャーを墓地に落とし、《D2M2 ドグライーター》に革命チェンジして《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》を墓地から出して、次のターン開始時に《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》のDスイッチを発動、一斉展開して致死打点を形成、一気にトドメを刺すというデザイナーズコンボがある。

 これを応用して、《“龍装”チュリス》のB・A・D 3を利用して早期に《D2M2 ドグライーター》への革命チェンジを果たしつつ《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》をフィールドに貼り、次のターンの開始時にDスイッチを起動、《偽りの名 ゾルゲ》《激流アパッチ・リザード》の2体を一度に並べて【紅蓮ゾルゲ】ループを起爆させる、ということを考えた。《D2M2 ドグライーター》はD2フィールドを墓地から出す際に、手札のクリーチャーを1枚捨てるというコストがかかる。ここで蘇生対象となるクリーチャーを墓地に送ってやるのだ。

 最速パターンとしては、2ターン目に《戦略のD・H アツト》で《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》《偽りの名 ゾルゲ》を墓地に落とし、3ターン目で《“龍装”チュリス》を早出しして《D2M2 ドグライーター》に革命チェンジ。その際に《激流アパッチ・リザード》を落としつつ《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》を墓地からフィールドに出し、4ターン目開始時に《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》のDスイッチを起動、山札の下に戻ろうとする《D2M2 ドグライーター》に対して《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》で付与されているウルトラ・セイバー多色を発動させ、《戦略のD・H アツト》を墓地に送りつつすぐに蘇生。これで《偽りの名 ゾルゲ》《激流アパッチ・リザード》《紅蓮の怒 鬼流院 刃》、そして《紅蓮の怒 鬼流院 刃》のバトル相手になる《戦略のD・H アツト》が揃うので、紅蓮ゾルゲのコンボを起爆できる。

 かくして、最速4ターンキルが可能な【紅蓮ゾルゲ】である、【MDWゾルゲ】が完成した。


 【MDWゾルゲ】の構築でもう一つヒントになったのが、【青黒墓地ソース】である。《一なる部隊 イワシン》を利用したデッキの回転力が、想像以上に安定性を生んでいたのだ。

 また、別バージョンとして魔道具を使用したパターンも作ったが、コントロール色がより強くなった代わりに短期決戦には向かなくなったことで、結局墓地ソースに寄せた形のデッキを使い続けている。

 墓地からのリアニメイト系統はほぼ煮詰まった感があった。《ラトリエ・ロブション》《黒神龍エンド・オブ・ザ・ワールド》を利用したデッキや、《Forbidden ~禁断の星~》を利用した墓地退化も試作してみたが、やはり速度・安定性共に【MDWゾルゲ】の上を行くものはない。

 そこで、一旦原点回帰して、【サファリゾルゲ】の系統をより洗練させることにした。即ち、マナを貯めて早出しする方向だ。

1-5.【ゾルバルブルー】

 代替案はすぐに発見できた。生きた《母なる大地》とも呼ぶべき《最強虫 ナゾまる》を利用してマナの《偽りの名 ゾルゲ》《激流アパッチ・リザード》を引っ張り出し、ループを開始する。しかし、《最強虫 ナゾまる》は2マナ、パワー1000のクリーチャー。どうにかして守ってやる必要がある。

 だが、天啓はすぐに降りてきた。エクストラターンを得れば良いのだ。それも、1ターンで良い。そして、その目的を達成するためにうってつけのカードがある。それこそが、かの悪名高き《無双竜機ボルバルザーク》のリメイクカード、《無双と竜機の伝説》だ。《無双竜機ボルバルザーク》が呪文になり、特殊敗北効果が無くなった以外はほぼ同一のカード。ただし、エクストラターン中に唱えることはできない。

 まったくもって関係はなかった。同一ターン中に複数回唱えることまでは禁じていないのだ。そこで白羽の矢が立ったのが《龍装艦 ゴクガ・ロイザー》だ。さらに、色が合致していてなおかつ強力な呪文を幾つか採用する。マナブーストやマナ回収を担当する《黒豆だんしゃく/白米男しゃく》《超次元ホワイトグリーン・ホール》。相手を妨害するランデス、《焦土と開拓の天変》《フェアリー・シャワー》も採用してデッキの回転率を上げる。

 脇を固めるクリーチャーも、ハンデス対策と呪文の再利用を兼ねた《時の秘術師 ミラクルスター》、優秀なシノビのパッケージである《怒流牙 佐助の超人》《斬隠蒼頭龍バイケン》、そして《怒流牙 サイゾウミスト》。ド派手なバウンス能力を持つ《深海の伝道師 アトランティス》

 完成していくデッキを見て、私はその姿をかつてのあるデッキと重ねていた。かつて、《無双と竜機の伝説》《無双竜機ボルバルザーク》だった頃、デュエル・マスターズを破壊し尽くした荒御魂。今やプレミアム殿堂の墓碑銘にその名を刻む原因となった、そのデッキ、【ボルバルブルー】に。

 《無双竜機ボルバルザーク》《無双と竜機の伝説》へ姿を変え、《母なる大地》は命を得て《最強虫 ナゾまる》として生を受けた。《バジュラズ・ソウル》の魂を装填した《龍装艦 ゴクガ・ロイザー》の主砲からは、《焦土と開拓の天変》が砲弾となって撃ち出される。

 ここに、紅蓮ゾルゲ研究の集大成にして、【ボルバルブルー】再誕が成った。そして私はこのデッキをこう名付けることとした──【ゾルバルブルー】と。


 初見殺しに継ぐ初見殺し、さらには適度な妨害札によるコントロール戦術も相まって、【ゾルバルブルー】はデュエマフェスやCS、野良試合で大いに暴れた。結果こそ残せなかったものの、間違いなく使い心地・対戦相手の反応共に過去最高の出来栄えだったと自負できる。フィーチャー卓でこのデッキの活躍を動画に残すこともできた。

 そして、時はめぐり、超天篇環境。ついに、【紅蓮ゾルゲ】は終焉を迎える。何故ならば、同一のコンセプトを、より簡単に出来てしまうデッキが登場してしまったからだ。

 それこそが、【GRゾルゲ】。私は《ヴォルグ・サンダー》の殿堂入りを見届ける前に【紅蓮ゾルゲ】に見切りをつけ、【GRゾルゲ】の研究に邁進する……。

2. 【GRゾルゲ】時代

 世はまさに大GR環境。《BAKUOOON・ミッツァイル》が飛び交い、《Wave ウェイブ》が《機術士ディール/「本日のラッキーナンバー!」》を連射、《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》や《“魔神轟怒”万軍投》がGRクリーチャーを引き連れてくる。

 高速化、先鋭化していく環境の中で、私は1人、【紅蓮ゾルゲ】の経験値を活かして【GRゾルゲ】の研究を続けていた。

 このデッキの基本形は、《偽りの名 ゾルゲ》が場にいる状態で「バトルに勝った時にGR召喚する」クリーチャーで、GR召喚してきたGRクリーチャーとGR召喚を行うクリーチャーをバトルさせ続け、延々とGRクリーチャーが出た時の効果を解決し続けることだ。初期の勝ち筋は《ツタンメカーネン》の効果を延々と解決させつつ、《バクシュ 丙-二式》の効果で手札の《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》を捨てて自分だけ山札を回復させる。これは、実のところ【紅蓮ゾルゲ】の完全上位互換である。

 第1に、GRクリーチャーは「コストを払って召喚した」扱いのため、コスト踏み倒しメタの大半が機能しない。第2に、「バトルに勝った時にGR召喚する」クリーチャーは、《激流アパッチ・リザード》よりも軽かったり、《激流アパッチ・リザード》よりも複数の役目をもたせることができるなど、単なるループの起爆点に留まらない活躍ができる。特に超天篇末期に登場した《ジョギラスタ・ザ・ジョニー》は、色基盤も《偽りの名 ゾルゲ》と同一であるため、これを活かした専用ループを組むプレイヤーも多いのだ。

 そんな事情で【紅蓮ゾルゲ】の研究を打ち切り、新たに始めた【GRゾルゲ】の探求。しかし、その探求の旅は予想外の方向へ突き進むこととなる。

2-1. 【ゾルバルブルーGT-R】

 最初に作ったのは、先述の【ゾルバルブルー】のパーツを【GRゾルゲ】のものにコンバートし、多色マナ武装にある程度寄せていったデッキである。《激流アパッチ・リザード》が抜け、《イッコダス・ケイジ/種デスティニー》、そして《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》が投入された。また、《焦土と開拓の天変》は高速化するDMGP8th当時の環境についていけないと判断して切り捨て、《謎帥の艦隊》《獅子王の遺跡》などを採用している。


 コンセプトこそ【紅蓮ゾルゲ】だった【ゾルバルブルー】をGR環境向けにアップデートしたものであるが、実際のところは【サファリゾルゲ】への先祖返りを果たしていたとも言える。とにかくまずは【GRゾルゲ】としての基本形を自分の中で作っておく必要があった。そのための「スタンダード」として、この【ゾルバルブルーGT-R】は生まれたと言っても過言ではない。

 今回採用した《イッコダス・ケイジ/種デスティニー》は、呪文面が特に優秀だ。当時猛威を振るっていた《音奏 プーンギ》に強く出れるし、序盤に小型クリーチャーを並べてくるような手合いに対して上からマッハファイターを活かした潰しが効く。GP8thやその前後のデュエマフェスに持ち込んだ所、速攻系やGRクリーチャーを並べてくるようなデッキ相手にかなり強気に出れたと自負している。とは言え、練り込み不足の面もあり、GP本番では2-3で予選落ちしてしまったが……。

 とは言え、ひとまず自分の中での基本形は固めた。そして、これを伸ばすための方策を練っていくこととなる。

2-2. 【刃鬼紅蓮GRゾルゲ】

 【紅蓮ゾルゲ】の研究は打ち切ったと言ったな。すまん、ありゃ嘘だ。

 まさかまさかの【紅蓮ゾルゲ】とのクロスオーバーが実現した。そしてその橋渡し役となったのは【刃鬼】である。

 着想は、《水上第九院 シャコガイル》をヤケクソで出された時にどうにか処理できないかなぁと思ったことが始まりである。何度か《水上第九院 シャコガイル》が居座るデッキと当たってしまい、それに勝てなかったために優先解決課題として認識。その結果、《リュウセイ・天下五剣カイザー》でそもそも特殊勝利させなければ良いのでは、という斜め上の解決策を思いついた。そして、その《リュウセイ・天下五剣カイザー》を出すための手段を2つ用意したのだ。それこそが、【刃鬼】と【紅蓮ゾルゲ】の2つのギミックである。

 まずはデッキレシピをご覧いただこう。


 実は、忘れられがちだが《紅蓮の怒 鬼流院 刃》はマナゾーンからもハンターを出すことができる。これに着目して、【GRゾルゲ】の処理を行う途中で【紅蓮ゾルゲ】の処理を行う。

 より詳しく見ていこう。まず、場に《紅蓮の怒 鬼流院 刃》《偽りの名 ゾルゲ》がいる状態で、《イッコダス・ケイジ/種デスティニー》をバトルで勝たせて、【GRゾルゲ】のループを行い、《ロッキーロック》の破壊時効果を解決し続けてGRクリーチャーを全て場に出す。そして、《予知 TE-20》の登場時効果を解決し続けて、デッキトップに《リュウセイ・天下五剣カイザー》が来るようにする。その後、《パキラキⅡ》の効果でマナゾーンに《リュウセイ・天下五剣カイザー》を送ったら、今度は《ロッキーロック》《紅蓮の怒 鬼流院 刃》にぶつける。《ロッキーロック》は自身の効果で再びバトルゾーンに舞い戻り、今度は《紅蓮の怒 鬼流院 刃》の効果で場に出てきた《遊びだよ!切札一家なう!》にぶつける。同様に覚醒した《カレーパン・マスター 切札勝太》にぶつけて、マナから《リュウセイ・天下五剣カイザー》が出てくる。最後に《リュウセイ・天下五剣カイザー》とバトルさせると……あら不思議、これで《ツタンメカーネン》の効果をいくら解決しようが負けなくなった。これで、後は《ツタンメカーネン》の効果を相手の山札が切れるまで延々と解決し続けるだけだ。

 ちなみに、【刃鬼】はサブプランであり、《激流アパッチ・リザード》《リュウセイ・天下五剣カイザー》をマナから引っ張り出すための手段のひとつである。

 第1回東海CSでは3-3とイーブン。GP9thでは2-3の呪いを打ち砕くに至らなかったが、【刃鬼】の高い制圧力で押し切ったり、普通に【GRゾルゲ】ループのみで勝ったり、【紅蓮ゾルゲ】のみを解決してマナから《メヂカラ・コバルト・カイザー》を引っ張り出して相手の攻め手を止めるなど、変幻自在の活躍ができていた。

 そして、時は流れ、十王篇。ついに【GRゾルゲ】は新たなステージへ到達する。

2-3. 【GRゾルゲジェームズNパクリオ】

 ついに悪魔合体ここに極まれり。【GRゾルゲ】と【ゾルゲジェームズ】、そして【Nパクリオループ】が一つのデッキに詰め込まれてしまった。


 【ゾルゲジェームズ】の対応範囲に《イッコダス・ケイジ/種デスティニー》《パクリオ》の両方が含まれているために実現したデッキで、【ゾルゲジェームズ】の動きで《天災 デドダム》の登場時効果を使いながらパーツを探し、【GRゾルゲ】で【Nパクリオ】を行うループ基盤を整え、最後は《パクリオ》をジェームズにぶつけつつ、【GRゾルゲ】の動きで出てきた《ヨミジ 丁-二式》で墓地に落とした《サイバー・N・ワールド》を蘇生させる。《サイバー・N・ワールド》はゾルゲにぶつけると再び墓地に行くので、登場時効果を使い回せる。パクリオ5回と《サイバー・N・ワールド》1回を交互に繰り返して相手のライブラリアウトを狙うというデッキだ。

 ここまで、様々な【紅蓮ゾルゲ】や【GRゾルゲ】を見てきたが、まだまだ《偽りの名 ゾルゲ》には無限の可能性がある。今後も研究は続けていく所存だ。そう、いつか、フレーバーテキストにある通り、《偽りの名 ゾルゲ》には全てを手にしてもらいたいものだ……。

 


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