DMPランキング1位の異世界転生 ~もう一人の「GR使い」~

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DMPランキング1位の異世界転生 ~もう一人の「GR使い」~

【第1話】DMPランキング1位の異世界転生 ~転生した世界では俺しかGR召喚できませんでした~

【第2話】DMPランキング1位の異世界転生 ~妖精計画の始動~

【第3話】DMPランキング1位の異世界転生 ~超銀河弾 HELLと謎の男「N」~

――――

 寒い。
 ここは寒い。寒い。寒い。

 それ以外の感情が全て消え去ってから、どれほどが経っただろうか。
 雪が降り、氷柱が伸び、痛みを伴う寒波がこの体を襲う。
 光を求めて歩けど歩けど、出口はどこにも見つからない。
 同じ方向を向いて歩いた仲間は、すでに全員倒れていった。
 もう指の感覚さえなくなった。少し休もうとしたとき、自然と両膝をついた。
 ここで諦めたって誰が責めるわけでもない。もはや独り身となった旅が終わるのみ。
 瞼の力が抜けていく……

 ……唐突に光が差した。
 初めは驚き。次に歓喜。
 目が慣れてきたころには体の感覚が戻り。
 消えかけていた炎が、また燃え上がる。

 ああ、俺はこの時を待っていたんだ。
 ずっと、ずっと―――

―――

「何者だ?」

 ここは国境。陸続きに隣に面している、ウィザー国とコースト国の、である。
 コースト国が戦争を宣言したことにより、何ヶ月にも渡って両国は極度の緊張状態にある。
 よって国境線上に置かれたそれぞれの関所にも、相当の警備が敷かれている。

 この"世界"はデュエル・マスターズの勝敗で何もかもを決めることができる。だからこそ、重要拠点にはその国トップクラスの手練れを用意する必要がある。
 もちろん"彼"の目の前にいる番兵も例外ではない。王宮直属の騎士団から配属されたこの男は、かつて国を騒がせた窃盗団を単身で壊滅させた経歴を持つ。

「答えられないのなら……ここを通すことはできないな」

「この人とデュエルして、勝ったら通してくださいっ」

「「はぁ?」」

 隣に立つ少女がそう言うと、番兵だけでなく"彼"までもが驚きの声を上げる。
 少女はウィンクでそれに応える。「それぐらい簡単でしょう?」と言わんばかりに。
 "彼"の答えは溜息。それと同時に、番兵の目つきが変わる。

「俺を相手にタダでコースト国へ渡ろうなどとは…冗談も大概にしてほしいもんだが」

 同時に、番兵がデッキを取り出した。
 仕方ないとばかりに"彼"もデッキを取り出す。"世界"の声が響き渡り、2人の間には机が現れる。

「それとも、ウィザーのポンコツデッキで俺に勝てると勘違いしたか、か」

「……あんまり手の内は見せたくなかったんだけど」

 少し息を吐く。

「あいつがここにいる可能性がある以上、やるしかないからな」

 直後、番兵が異変に気付く。

「は? お前、なんでデッキが2つも―――」

―――

 時は遡り、1日前。ウィザー国王都グローリー城、軍事研究室。

 そこに座る少女はどうも無性に苛立っているらしい。その証拠に、ここ1時間高速、爆音でシャカパチを繰り返している。
 速すぎるシャカパチはたまに上手くいかずに詰まってしまうことがほとんど。少女のシャカパチも多分に漏れず10秒に1回音が途切れ、そのたび舌打ちをして高速のシャカパチを再開させる。

「そんなに虫の居所が悪いんですか…シャカパチは体に毒ですよ」

「うるさい……」

「うるさいのはそっちっすよ」

 お付きの九魔が思わず声をかける。
 呼び出されてはいないが、常に近くにいる以上こうもうるさいと上司に声を上げたくなってしまう。

「そもそも、何があってこんなことに? 転生者のユーリは見つかったんだし、戦争の準備もこれで安泰だ~って昨日まではしゃいでたじゃないですか」

 何の気なしに聞いた質問だったが、その答えは少女の口から帰ってくることはなかった。
 その代わり、シャカパチの音がより早く、より大きくなっていった。
 バチバチと電撃のように唸るカードによる返答は、どんな言葉よりも拒絶の意味を持つ。これ以上は聞いてもムダだと、九魔は呆れた顔で元居た場所へと戻る。

「何があったか知らないけどそんなに重く考えなくてもいいと思うっすよ、元帥。コースト国にユーリを止められるカードがあるとは思えないしね」

 元帥と呼ばれた少女のシャカパチは止まらない。貧乏ゆすりも始まった。背中に生やした羽は忙しなく羽ばたいている。
 彼女をそうさせた原因は、先ほど研究室から飛び出してきたパクから寄せられた1件の報告に依るものだった。

―――

「妖精さん、ユーリ以外の人間がGRゾーンを使っているらしいわ」

 少女の口から飲んでいた牛乳が噴き出される。九魔が首尾よくバケツで受け止め、二次災害を生み出すことは防がれた。

「何起きです!? 観測器の故障じゃないのですか?」

「まあアレもクーンさんが作ったものだからそうじゃないという保証はできないけど……」

 クーン……技術は確かながらどこか抜けている元・技術者。
 ユーリが彼の家族に確保された関係上、彼のことも蔑ろにすることはできない。現在はユーリとともに王宮へと連れ戻されている。

「しかも場所が最悪……国境近くにある酒場なんだけど、ここって裏闘技場としても使われてるらしいわ。
 不法入国してくるコーストの人間も出入りしてるって話だし……」

「……もう1人の転生者がそこにいて、しかもそれがコースト内部の人間に見られている可能性がある」

「その通りね」

「ガチか~……」

 天を見上げ、その辺にあったカードを拾い上げる。
 そこから、少女の1時間に渡る思索―――もとい、シャカパチが始まる。

―――

 《超銀河弾 HELL》の『ナイト・マジック』発動により呼び出された、もう1人の転生者。 その可能性が示唆されてから王都を中心に捜索が続けられていたが、 まさかコーストの目につきかねない場所に来るとは。想定していた中で最悪のケースだ。 もしコーストの手に渡ってしまえばどうなる? あのユーリをしても……そいつに勝てるのか?

 嵐のようなシャカパチがひとしきり終わり、手首を休ませながら少女はぽつり。

「せめて味方であってくれりゃ、ユーリと2人で無双してもらえるんだけどね」

―――

 同時刻。パクが観測した裏闘技場でのデュエルは、凄惨な結末を迎えていた。

「負けで、いいです……」

―――勝者、スメラギ=ソウーーー

「これで30連勝だと!?」
「ほとんどが4ターンキル……あのガキ何者なんだ!?」
「ユガーの兄貴がいない間にこんなことになるなんて……」

 そんなガヤを尻目に、ソウは一言。

「ここの人間は負けた時の態度もなってないな……
 『負けでいいです』じゃない、『負けました』だろうが……」

 ……勝負に勝っても、何の熱も湧いてこない。
 ここも、そういう場所かもな……
 あの日、かっちCSでの決勝戦。
 斬るか斬られるか紙一重の勝負ができる、唯一の相手。
 もう少しで、白黒はっきりついたはずなのに………

 スメラギ=ソウ…あの地震をきっかけに、全てがデュエル・マスターズで決まる世界へと来たもう1人の少年。
 この世界の手がかりを掴むために単身乗り込んだ裏闘技場。当然彼の実力、そして携えるデッキを使えば敵はいなかった。

 だけれど、そこに広がっていたのは虚無。
 生き抜くためとはいえ、呼吸のように訪れる勝利。
 幸い、ファイトマネーのためにその日暮らしの日銭には困らなかった。だが、ここで生き抜くだけでは意味がない……

 ―――衝撃。

 思慮に耽っていたころ、突然背後から誰かにタックルを受ける。軽く1メートルは吹っ飛んでしまった。

「いってぇ…」

「あーっごめんなさい、大丈夫ですか?」

 そこに立っていたのは…裏闘技場ではなかなか見ることのない、女性。しかもまだ若そうだ。
 ソウの顔を見るなり、少女の顔色が明るくなる。

「……あっ、アナタは30連勝の!!」

「……誰?」

「私のことはどうでもいいんですっ、ちょっとついてきてください」

 身も心も疲れ切っていたからだろうか、いや、それ以上に少女の力が強いせいだ。
 文字通り少女に引っ張られながら、闘技場を兼ねた酒場から別の飲食店へと連れ出されることになる。

―――

「ここの裏闘技場、かなりレベルが高いはずなんですよ。ここで勝ち越せれば王宮騎士団所属レベルの強さと認められるでしょう。
 実際ここで実力を示した人は、傭兵として此度の戦争に駆り出されるようですよ」

 少女は勝手に喋り始めた。ソウは聞き流す。
 裏闘技場での聞き込みはすでに終えている。どうやら隣国同士での戦争が行われるようだが、面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだ。

「アナタが使うGRクリーチャーというカードはそれらを凌駕していました。
 贔屓目に見てもどちらかの国の代表として戦争に出れば、英雄クラスの活躍が期待されるでしょう」

 興味がない。ただの勝利はもう味わい尽くした。
 その先に英雄として称えられる未来があったとしても、ソウの知ったことではない。

「そして、GRクリーチャーを使える人間はあなただけではないことも分かっています」

 その言葉が、ようやくソウの顔を動かした。

「は? ここの裏闘技場でも俺以外にそんなやつ……」

「事実です。私の家って結構情報通なんですよ」

 微笑みを絶やさない少女が続ける。

「彼はどうやらウィザー国の王都にいる様子…おそらく、今回の戦争のためにウィザー国が用意したんでしょう。
 今までの戦力であれば問題なくコースト国が勝つ見込みでしたが……これが事実なら状況は180度変わりました」

 息継ぎをしてから、語気を強めて少女は言う。

「でも、どちらが勝つかが分かり切ってる戦いなんて……つまらないでしょう?」

 それはまさしく、ソウがここに来てから抱いていた感情と同じものだった。
 ここまでの戦いで見せた勝利が決まっているというのに憂いを帯びたソウの表情。それを少女はよく観察していた。
 彼はもっと、刺激的な戦いを求めている。戦争をより面白くするため……そんな謳い文句を使えば彼を仲間に引き込める。

 少女の考えは半分当たっていた。
 少女にとって誤算だったのは、ソウが戦争そのものに全くの無関心だったことだ。
 自分で戦争の戦局を変えてみないか……というのは少女にとって甘言のつもりだったのだが、その言葉はソウに響くことはない。

 ソウにとって魅力的に聞こえたのは、自分以外にGRクリーチャーを使う人間がいるということだった。

「戦わせてくれないか」

 ソウの願いはたった一つ。
 この世界で叶うことはないと思っていた、好敵手との出会い。

「戦わせてくれないか、そいつと……」

―――

 そして、冒頭に戻る。
 関所を守る番兵、そしてソウのデュエルが始まり―――

「コーストの王より授かったこの《ヘブンズ・ゲート》…余所者には超えられるはずもあるまい!!」

 後攻3ターン目、番兵はそう言いながら《王機聖者ミル・アーマ》を召喚する。

《エナジー・ライト》を軽減させて2回撃つことまで予想されます……手札枚数が大事な《ヘブンズ・ゲート》において優秀な動きですね」

 ソウの先攻4ターン目、《フェアリー・ライフ》を撃ったソウは5マナ目をチャージする。 そして、傍らで試合を眺める少女は余裕の笑みを浮かべた。

「ですが、英雄となるソウさまの敵ではないでしょうね」

「……5マナタップ、《生命と大地と轟破の決断》

 少女の声をよそに、ソウは淡々と呪文を唱える。
 コースト国の守りの要を相手取っているにも関わらず、まるで意に介していない。

「《音奏 ハイオリーダ》と《幸運の精霊ファイブスター》を召喚。シールドを追加し…GR召喚、《防護の意志 ランジェス》

「は? なんで一気にクリーチャーが3体も……」

《幸運の精霊ファイブスター》効果でシールドプラス、GR召喚、《越境の意志 ドナート》《越境の意志 ドナート》

「ちょっと待て、一体何が」

「シールドプラス効果2回解決、GR召喚4回、《越境の意志 ドナート》《越境の意志 ドナート》《越境の意志 ドナート》《越境の意志 ドナート》

 増え続けるシールド、あっという間に盤面に広がるGRクリーチャー。 増えたシールドを《バルバルバルチュー》が回収した先に……

「《越境の意志 ドナート》4枚をタップし…《エメスレム・ルミナリエ》。《鬼の轟き 参角》」

 もはや脳の処理が追いつかなくなった番兵を尻目に、ソウはゲームの終了を宣言する。

「終了時、《鬼の轟き 参角》効果で…《サファイア・ウィズダム》を召喚。ターンエンド」

「……はっ、俺のターンか! 全く、長々と訳の分からんことをしやがって…俺の守りの前には無力だがな」

 そうして手札を補充すべく、《エナジー・ライト》を撃とうとした矢先…… "世界"が、遠回しにソウの勝ちを宣告する。

―――《サファイア・ウィズダム》の効果により、発動を制限されています―――

「何………!?」

「これ以上は無駄ですよ、番兵さん……その《サファイア・ウィズダム》の効果を確認したら、私たちを通してくれますか?」

【 進化クリーチャー 】
【種族】エンジェル・コマンド / スターノイド
【文明】 光/水
【コスト】9
【パワー】15000

■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■進化:自分のエンジェル・コマンド1体の上に置く。
■T・ブレイカー
■相手がクリーチャーを召喚した時または呪文を唱えた時、カードを2枚引く。
■相手は、自分の手札の枚数以下のコストを持つクリーチャーを召喚できない。
■相手は、自分の手札の枚数以下のコストを持つ呪文を唱えることができない。 

 少女は変わらぬ笑みを浮かべる。
 目の前で起きた行動を完全に理解できぬまま……"世界"のルールをよく理解している番兵は、そのまま負けを認めるしかなかった。

―――

「さーて、コースト国につきましたよ、もうひと踏ん張りですっ」

 少女の足取りは未だ軽く…それにゆっくりとついていくソウ。
 少女の身元……そんなものはどうだっていい。
 これからコースト国に仕えることになるだろうが……戦争の成否なぞどうだっていい。

 ソウの願いはただひとつ。
 それはただの予感でしかない。でも、もし彼がこの世界に来ているなら、きっと。

「決着をつけるぞ………ユーリ」

登場人物紹介

スメラギ=ソウ

主人公『煌咲 優吏』(ギラサキ・ユーリ) の親友にして最大のライバル。
ユーリとのかっちCS決勝の最中、異世界に転生してしまう。

常に強者との戦いを求めるストイックな性格。
ユーリと同じく「世界」にGRクリーチャーの使用を認められている。

【使用デッキ】
白緑ファイブスター

イラストレーター: ぽんみれ(@supponponmire11)

少女

名前・素性ともに不明の、謎の多い少女。

二国間の情報にとても詳しく、特にコースト国とは何らかの関わりがあるらしいが……?

イラストレーター: ぽんみれ(@supponponmire11)

【オマケ】作中デッキリスト紹介

【コースト国】:ヘブンズ・ゲート

こちらの世界のDMC-50 「パーフェクト・エンジェル」とDMC-52「エントリーパック・ゼロ パーフェクト・エンジェル」で組まれた感じのデッキ。よく見ると現在ではプレミアム殿堂のカードがあるが、異世界に殿堂入りはないので何も問題はない。

みんなも組んでウィザー国の侵攻を防ごう!

【第3話】DMPランキング1位の異世界転生 ~超銀河弾 HELLと謎の男「N」~

【第2話】DMPランキング1位の異世界転生 ~妖精計画の始動~

【第1話】DMPランキング1位の異世界転生 ~転生した世界では俺しかGR召喚できませんでした~

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コメント (7)

三賢酔

あれ?第2回か3回の時に”世界から使用を禁止された”的な事いってなかったっけ?

2
ループくん

ポンミレさん!ここで活躍してたのか!!

2
匿名

妖精の「何起きですか?」にニヤニヤが止まらない
一体どこの計画の名言なんだ…

4
ほのりん

ちょっと待てよ異世界には殿堂がないと聞こえたが気のせいか?
(白緑m)

3
匿名

何起きで茶吹いた

2
NaOH

心情をシャカパチで表現する発想がヤバいと思った…

0
匿名121

おもれぇ

0

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