歴史を変える1枚は

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歴史を変える1枚は

1枚のカードが歴史を変える瞬間がある。

それは《無双竜機ボルバルザーク》が旧環境の支配者になったように。《蒼き団長ドギラゴン剣》が3年間の走路にあらゆる爪痕を残したように。

その1枚1枚が、それだけでデュエル・マスターズを捻じ曲げるほどの強さを持っていた。歴史を変えるその様は、正に「王」という他無い。

これらの王は、生まれながらに歴史を変えるほどのカードパワーを持ち、そして歴史を変えるべく生まれてくる。

しかし、中にはごく稀に、生まれながらに王ではなかった王もいた。

歴史を変えるほどのカードパワーは無く、歴史を変えるべく生まれてきたわけでもない。

その者が凡な生を歩む中、突如歴史を変えるほどの力を持ち、王になったキッカケは、優秀すぎる「臣下」の登場だった。

そう。《天雷王機ジョバンニX世》も今でこそ「王機」の名にふさわしいが、生まれながらの王ではなかったのである。

6年もの長い間、【ジョバンニスコール】は弱いデッキだった。

そんな中現れた1枚の臣下は《天雷王機ジョバンニX世》を王にまで押し上げ、2016年度のデュエル・マスターズを想像だにしない方向へ導いていく。

これは、デュエル・マスターズの歴史を変えた、ある「臣下」の話。

目次

【ジョバンニスコール】というデッキ

まずこれを語る上で【ジョバンニスコール】がどのようなデッキなのか、知っておく必要がある。

一言で表すならば『ランデスによるロックデッキ』である。

《天雷王機ジョバンニX世》の効果で《ドリル・スコール》を際限無く撃ち、相手のマナを減らし続けることで、クリーチャーや呪文を使わせなくするデッキだ。

しかしそれだけでは、《フェアリー・ライフ》などといったマナブーストには対応出来ない。

何故なら《ドリル・スコール》は自分のマナさえも蝕むため、《天雷王機ジョバンニX世》の効果によって手札にどれだけ《ドリル・スコール》があっても、自軍のマナが少なすぎて1ターンに撃てる枚数は限られているからだ。

そこで《グローリー・ストーン》である。

相手が《フェアリー・ライフ》などでマナブーストし、自分よりも多いマナを獲得した時、この《グローリー・ストーン》で同じだけマナを増やし、増えたマナで手札に溜まった大量の《ドリル・スコール》を撃つことに成功したのだ。

そうすることで相手のマナを0~2まで追い込み、何も出来なくさせるのがこのデッキのコンセプト。

あとはたまの時に《クルトの気合釣り》で自分の山札を回復させていけば、相手がターンドローを積み重ねて山札切れを起こしてくれるといった算段である。

登場当初

そんな【ジョバンニスコール】でオピニオンリーダーを担う《天雷王機ジョバンニX世》は、DM-36 覚醒編第1弾にて登場。今からで言えばもう9年も前の話だ。

登場時点で《ドリル・スコール》《グローリー・ストーン》《クルトの気合釣り》といったデッキコンセプトを成立させるためのカード群は存在しており、実際当時2010年にこれを使用していたプレイヤーもいた。

しかし、当時の環境でその手腕を振るうことは無かったのだ。

この頃のメタゲームは、

  • 【M・ロマノフ】
  • 【B・ロマノフ】
  • 【ハイドロハリケーン】
  • 【黒緑速攻】

などがおり、速攻・ビートダウンを基調とした早いゲーム感が広がっていた。

《福腹人形コダマンマ》と《天真妖精オチャッピィ》を採用しているものが多く、マナと盤面が同時に伸びるため、厳しいゲームを強いられた。

出典:デュエル・マスターズ

ブーストの数も多く、5マナで《魔光蟲ヴィルジニア卿》から出てくる《大邪眼 B ・ロマノフ》が止められなかった。

出典:デュエル・マスターズ

特に【M・ロマノフ】や【B・ロマノフ】と言った、ボードアドバンテージに長けたビートダウンが流行していた点で、盤面上での戦いを苦手とした【ジョバンニスコール】は、話題性こそあったものの直ぐにストレージの隅に身を潜めることとなった。

DMGP 3rd

ストレージの隅に身を潜め続けること6年間。程なく登場した《ロジック・サークル》による再現性の向上にも、また幾度となく来た環境の変化にも、【ジョバンニスコール】が好機を見出すことは無かった。

つまりそれは活躍できる環境がどうこうではなく、【ジョバンニスコール】というアーキタイプ自体が弱いという証明に他ならなかったのだ。

しかし、2016年9月19日。デュエル・マスターズグランプリ3rd。この通説が砕かれる。

「パタ店長」ことパタ@いっせー選手率いる『カードショップWINNERS』陣営は、計14人で【ジョバンニスコール】を持ち込むと、内5名がBest64入りを果たすという快挙を成し遂げたのである。

当日のメタゲームは上から

  • 【ドギラゴン剣】
  • 【サザンルネッサンス】
  • 【デッドゾーン】

奇しくも2010年のあの頃に増して、ボードアドバンテージに長けた【ドギラゴン剣】と【デッドゾーン】がいる環境で、【ジョバンニスコール】は跳んで見せたのだ。

この頃流行は赤黒のカウンター型。《爆炎シューターマッカラン》《革命の鉄拳》で《天雷王機ジョバンニX世》を除去される恐れがある。

出典:デュエル・マスターズ

既に《轟音 ザ・ブラックV》を獲得しており、《一撃奪取 ブラッドレイン》と合わせて3ターン目に侵略することを可能にしていた。

出典:デュエル・マスターズ

その後も【ジョバンニスコール】は「王機」の名に恥じぬ活躍を見せる。

また、強すぎるが故に用意されたメタカードをぶつけられることもあったが、それすらも乗り越えて環境トップの座に居座った。

最優の臣下

今になって「臣下」は語る。主君《天雷王機ジョバンニX世》率いる【ジョバンニスコール】は、盤面の解決能力が極端に低いだけなのだ、と。

だから登場当初の【ジョバンニスコール】は、大型クリーチャーは勿論、中型クリーチャーが出てくるだけでも、それを処理できずに負けてしまっていた。

それもそのはず。《ドリル・スコール》《グローリー・ストーン》で成立しているコンセプトである以上、自分のマナが相手のマナより多くなることは絶対に無いのだ。

つまり相手が出してきた5マナのクリーチャーに対し《デーモン・ハンド》を撃つマナは無いし、相手が出してきた3マナのクリーチャーに《エターナル・スパーク》を撃つマナも無い。盤面解決力が落ちるのは当然である。

そんな中だ。最優の臣下、《オリオティス・ジャッジ》がこの世に生を受けたのは。

「たった3マナでどんなクリーチャーを何枚でも除去できる」圧倒的な盤面解決力は【ジョバンニスコール】の致命的な弱点を支え、

「相手のマナが多いと全く機能しなくなる」《オリオティス・ジャッジ》の弱点を、【ジョバンニスコール】が《ドリル・スコール》で打ち消した。

そうして2016年に生まれたこの最強タッグは、2010年に見た【ジョバンニスコール】の脆弱なそれを全く感じさせることは無かった。

《天雷王機ジョバンニX世》がコントロールや遅めのデッキを刺し、《オリオティス・ジャッジ》が速いデッキを刺すと、ビートダウン・コンボ・コントロールと相手を選ばず全てのマナを0にしてみせる。

どんな対面や弱点さえも乗り越えるメインストリームの強力さと、十全に回った際の圧倒的な理不尽性を武器に、DMGP3rdから5ヶ月もの間を暴れに暴れると、2017年2月26日に殿堂入りを通り越してプレミアム殿堂となることが発表されたのだった。

歴史を変える1枚は

多くの王は、歴史を変えるために臣下を必要としない。その1枚が放つ圧倒的なカードパワーさえあれば、環境を、歴史を変えるのは可能である。

出典:デュエル・マスターズ

登場から6年の時を経て《天雷王機ジョバンニX世》は、デュエル・マスターズの歴史を変えるほどの強さを持った。真の意味で王になったのだ。

しかし、彼を王と足らしめたのは、彼自身のカードパワーだけによるものではない。6年間をストレージの隅で過ごした屈辱的な日々を忘れてはならない。

《ドリル・スコール》《グローリー・ストーン》《クルトの気合い釣り》《ロジック・サークル》といった優秀な臣下たち、

そして何より【ジョバンニスコール】の命運を決めた《オリオティス・ジャッジ》その人の存在があってこそである。

この【ジョバンニスコール】の《オリオティス・ジャッジ》のように、「王」の資質さえ持たないたった1枚の汎用カードが、王を生み出し、環境を変え、そして最終的にデュエル・マスターズの歴史さえ動かすこともある。

常にカードとカードの組み合わせは、無限大の可能性を秘めている。だからこそデュエル・マスターズの歴史は、いつ、誰が、どのように動かしても、なんら不思議は無いのだ。

次にデュエル・マスターズの歴史を変える王を生み出すのは、あなたのふとした閃きと、ストレージの隅に眠る地味な汎用カードかもしれない。


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