目次
はじめに
はじめまして、東北の片隅で社会人DMPしてますキャベツです。平日にデュエマにデュエマとかかわりを持ちたくて今回の企画に応募しました。
環境デッキを紹介するのは戦績を持つ方々のほうが参考になるでしょうから、（悪）趣味を極めたデッキを紹介しようと思います。
デッキの履歴
タイトル通り【ムカデループ】もとい【ジャバランガループ】。 好きか嫌いかと二択を問われれば、まぁ嫌いな人のほうが比率は高いでしょうね。 デッキの長所は ①ループに至るまでの要求値が低い ②パーツを墓地に置くためハンデスに強く ③ループ始動になる《戒王の封》がST持ちであるため受けとしても期待できる、という所です。 こう書くと無敵のデッキに聞こえるかもしれませんが、環境内での風当たりは冷たいものでした。 2018年1月27日 に《凶鬼０７号 ジャバランガ》が登場してから《ジョジョジョ・マキシマム》と《唸る鉄腕 ギリガザミ》周りの裁定が確定するのが2018年4月8日なので、全盛期は3ヶ月ほどでした。 それからメタカードである《ポクチンちん》の登場により【ジョラゴン】の隆盛、圧倒的速度の《“轟轟轟”ブランド》絡みのデッキの成立と環境内での立ち位置が悪いものとなりました。 それらに規制が入れば今度は受けを無視しながらの【ミッツァイル】やより安定するループである【ロマノフ】や【カリヤドネ】のほうが優秀だったのです。 また2018年9月5日に入った同時破壊のルール改定によりループルートが減ったこともあり、今や使用者はほとんどいないでしょう。 でも私は調整してました。理由を挙げるとするならば、プレイも調整も楽しかったから。ファンデッカーならそんなもんです。
2019年秋時点のリスト
リストを公開する前にお伝えすることがあります。
《復活の祈祷師ザビ・ミラ》が入ってません。
理由は後述。それではリストをどうぞ。
テンプレ以外のカードが何枚か入っていますので説明いたします。
まずは《黒神龍装 ダフトファントマ》。本来《復活の祈祷師ザビ・ミラ》だった枠。入れ替えた理由は役目が減ったからです。以前は《復活の祈祷師ザビ・ミラ》がループの中継とフィニッシュを兼ねていましたが、《ヴォルグ・サンダー》のプレ殿により中継のみにしかならなくなりました。そのため複数の役割が担えるカードに枠を譲ることになりました。
主な役割は３つ。①山札の増減を調整可能であること。これのおかげで本来触れなかったデッキの底5枚に触れるようになりました。②マフィ・ギャングでコストが6であること。《阿修羅サソリムカデ》で釣り上げられてコスト7にアクセスできるようになりました。③確定除去持ちであること。主に出されるとすごく困った《封鎖の誓い 玄渦》を除去しやすくなりました。
入っていても《インフェルノ・サイン》であることが多い枠。ループ中に出すことで手札に引いてしまったパーツを墓地に落とす役目があります。《黒神龍装 ダフトファントマ》と《ルソー・モンテス/法と契約の秤》のおかげでマナに《阿修羅サソリムカデ》《凶鬼０７号 ジャバランガ》を同種２枚まで置けるようになりました。
受け目的で入っていることは多いですが、この構築ではフィニッシュ札を兼ねています。【GRゾルゲ】で使われた《バクシュ丙‐二式》＋《ツタンメカーネン》＋山札回復で勝利を狙います。説明が長ったらしくなりそうなので、ちょっとしたクイズとさせていただきます。正確な手順が分かった方はコメントまで。
時代は2020年へ
それから半年ほどでいくつか新商品のリリースや新殿堂の施行など環境が移り変わって行きました。
ではいまどう構築するかを考えてみます。
このまま持ち込むと頭を抱えそうなカードがこれです。
GRをありったけ回転させて勝利する都合上、Jトルネードでコスト3や4を指定されるとそこで止まるため《*/弐幻ニャミバウン/*》をフィニッシュにできなくなりました。
更に逆風が強くなりましたが、同時に心強い味方も出ていました。
復活の儀で墓地を2枚追加で増やせるため、《阿修羅サソリムカデ》蘇生の価値が上がりました。ループ中に手札の儀以外を達成できるので卍誕もデッキの構造として狙いやすいほうでしょう。
というわけで《零龍》を組み込んだリストがこちら。
お願い《拷問ロスト·マインド》。そんな構築になりました。以下入れ替えたカードの説明です。
おそらく一番使われなかったS級侵略。ライブラリアウトとしてお手軽だった《ヴォルグ・サンダー》無規制時代に登場しているので、比べられ採用する理由がありませんでした。
多くのリストでは《黒神龍ザルバ》で代用されていた枠。
でも個人的には最初から候補から外していました。
理由は、相手に利用されかねないことと手打ちのタイミングが存在しないことです。またメインデッキにコスト3のクリーチャーが入らななかったため、蘇生困難でした。
《復活の祈祷師ザビ・ミラ》と合わせて運用する分には問題ありませんが、併用しないと使い辛さが目立ちました。
《拷問ロスト・マインド》を打った次のターンに《戒王の封》を探せて、かつ受けにもなりうるものとして採用。正直納得していないので入れ替えの可能あり。
ループルート解説
まずは一番簡単な墓地に《阿修羅サソリムカデ》2、《堕魔 ドゥポイズ》1のルートから始めます。
蘇生と破壊を同時に発生させて破壊→蘇生の順に処理することで再び同じ状況を起こせます。仮にこれをAとして次が変形型です。墓地に《阿修羅サソリムカデ》1、《凶鬼０７号 ジャバランガ》1、《堕魔 ドゥポイズ》1、《偽りの星夜 スター・イン・ザ・ラブ》1です。これを仮にA'とします。
次はターンの終わりに発生する自壊効果を利用したものです。よくあるパターンとしては墓地に《阿修羅サソリムカデ》1、《凶鬼０７号 ジャバランガ》1、《堕魔 ドゥポイズ》1を用意できた場合。または墓地に《阿修羅サソリムカデ》2、《凶鬼０７号 ジャバランガ》1で二回分の墓地肥やしで《堕魔 ドゥポイズ》が用意できなかった場合で発生します（ただし三回目の墓地肥やしまでに《堕魔 ドゥポイズ》が落ちる必要があります）これをループBとします。
《阿修羅サソリムカデ》効果を何回使ったのか必ず把握しておきましょう。ターンの終わりに使える破壊効果はこのターン使った《阿修羅サソリムカデ》効果分キッチリ消費しなくてはなりません。つまり破壊ストックが溜まってなければ《凶鬼０７号 ジャバランガ》を破壊することもできず、またループ失敗して殴り切るプランを取るときに余計な破壊ストックで打点が足らなくなることもあります。ブラフで用意した超次元のカードでストック管理をオススメします。（ちなみに同名カードで揃えてあってもGRカードでストック管理ができないので注意。ジャッジ確認済み）
このループA、A'、Bを使って墓地に《阿修羅サソリムカデ》1、《黒神龍装 ダフトファントマ》1、《凶鬼０７号 ジャバランガ》1、《偽りの星夜 スター・イン・ザ・ラブ》1を落とします。そして盤面に《偽りの星夜 スター・イン・ザ・ラブ》1、《黒神龍装 ダフトファントマ》1を揃えれば山札を自由に操れる状態になります。枚数を変更できるのはもとより、工夫すれば特定の位置にカードを送り込むことができます。
ここからはストックを増やすループを説明します。まず基本となる《阿修羅サソリムカデ》を蘇生するための８コストをいくらでも増やすルートから。これを仮にフィニシュAとします。必要なのは盤面に《偽りの星夜 スター・イン・ザ・ラブ》1、《黒神龍装 ダフトファントマ》1、墓地に《阿修羅サソリムカデ》2、《凶鬼０７号 ジャバランガ》2、《堕魔 ドゥポイズ》1状態で8蘇生1つ以上です。
次はフィニッシュAで獲得した限りない８蘇生を利用して別の蘇生ストックを作ります。2019verでは《邪眼教皇ロマノフⅡ世》を蘇生して更に胡散臭く動きました。2020verではデッキスロット圧縮のため《S級不死 デッドダラー》に置き換わっています。条件は盤面に《偽りの星夜 スター・イン・ザ・ラブ》1、《黒神龍装 ダフトファントマ》1。墓地に《阿修羅サソリムカデ》2、《凶鬼０７号 ジャバランガ》1、《堕魔 ドゥポイズ》1、《S級不死 デッドダラー》1です。
今回は使いませんが発覚したルートもおまけで説明しておきます。初期からあった《復活の祈祷師ザビ・ミラ》などが持つ「自分の他のクリーチャー」の能力を本体に適用可能する方法です。要はゾーンを往復し能力を二回誘発させて、同じカードではありますが過去に発生した効果は「他のクリーチャー」として現在のクリーチャーを巻き込めます。
次は《阿修羅サソリムカデ》能力のみを抽出する方法です。こちらも単純で《阿修羅サソリムカデ》を出しで能力処理前に破壊します。
《偽りの星夜 スター・イン・ザ・ラブ》効果では盤面が壊滅するので山札は組み直したいが場に残したいクリーチャーがいる場合や、墓地リセット効果が絡むときに適用後で墓地を増やし直して出し直すことができます。
対戦ログ
メタカードが刺さる、速度も足りない。そんなデッキではありますが環境デッキにぶつけてみました。あくまで一人回しなので正確性を求めないでください。先にムカデ先攻で5本、後攻で5本の結果です。
【シータバーンメア】《ポクチンちん》入り
2-3/0-5
天敵入りのタイプ。ただし引けていない場合《戒王の封》と《バーンメア・ザ・シルバー/オラオラ・スラッシュ》着地が同じく5tなのでムカデ側が先攻だと《堕魔 ドゥポイズ》の餌となりかねない《奇天烈 シャッフ》のポン置きを強要できるために取れたパターン。後攻だと逆で展開>《奇天烈 シャッフ》置きがムカデ側が咎められなくて落とした感じ。
【４Cデイヤー】墓地メタ《奇天烈 シャッフ》無し
3-2/0-5
先攻で三つ取れたのは奇跡に近い。お互い5tフィニッシュを狙うが妨害したくて《解罪 ジェ霊ニー》を打つと展開が遅れるという問題のため。逆にムカデ後攻だと《戒王の封》が間に合わず、妨害を打たなくてはならないが結局1ターンでケアされてしまい先手後手が入れ変わらずそのまま終わる感じ。
【赤青覇道】
2-3/0-5
これも先手後手が重くのしかかるマッチ。《パイレーツ・チャージャー》先になれば《奇天烈 シャッフ》が《黒神龍装 ダフトファントマ》で咎められて逆であれば蓋をされて終わるパターン。
【カリヤドネ】《リアリティ・ヴォイド》入り
2-3/0-5
《拷問ロスト・マインド》から手札の儀で《ポクタマたま》で完全リセットしても、トップルーターから巻きかえされる。なにより《リアリティ・ヴォイド》が《焦土と開拓の天変》のように働くため、先手後手を入れ変えられやすい。《セイレーン・コンチェルト》盾落ちでも打点＋《機術士 ディール/「今日のラッキーナンバー！」》で勝てるため不利マッチ。
感想は定番の動きではゲームの主導権を握ることができず、相手の動きを抑えきれないと行ったところ。だからこそより速さを求めて《“魔神轟怒”万軍投》＋《七王の円卓》や《我狼罪 フェンリ業ル》利用型が成立したのでしょう。
総括として「《拷問ロスト・マインド》の通りは悪かった。せめて2コストブーストを挟むべき」「先攻ならワンチャンス、後攻だとノーチャンス」というところでしょうか。
とある界隈にこんな名言があります。「ダイアグラム(対戦相性)は変わらない」。努力ではどうにもならないものがあるというとネガティブに聞こえるかもしれません。しかしTCG ではカードの入れ変えという「性能変化」が可能なので構築を練るやり込みが重要になるのです。
終わりに。可能性の獣。獣？
先程の「ダイアグラムは変わらない」界隈には「やりこみは裏切らない」という希望に満ちた名言も存在しています。ゆるくながら調整を続けていて少ないながらある種の成果が上がりました。
その成果をお伝えする前に小話を一つ。なぜ【ロマノフ】のフィニッシュは《水上第九院 シャコガイル》で【チェイングラスパー】のフィニッシュは《龍芭扇 ファンパイ》なのか？ 答えは「適切」だからです。逆で扱おうものなら余計なデッキスペースを取られることでしょう。
それでは本題です。ムカデに対するやり込みもとい練り込みの成果は「フィニッシュ札を(無理をすれば)好きなように選べる」ことです。例をいくつか紹介します。
《極真龍魂 オール・オーバー・ザ・ワールド》を揃えたい？できるよ。使うのは《インフェルノ・サイン》じゃなくて《龍装３０号 シグルネ/グール・チューン》です。《龍覇 ニンジャリバン》を蘇生して揃えます。《阿修羅サソリムカデ》効果を貯めてから《極真龍魂 オール・オーバー・ザ・ワールド》を破壊すると墓地がなくなっても再度クリーチャーを展開できます。
《龍魔神王 バルカディア・NEX》を使いたい？できるよ。《復活の祈祷師サビ・ミラ》で《超時空ストームG・XX》と進化元を用意する。《超時空ストームG・XX》に《転生スイッチ》を当てて、竜魔神王光臨。ついでに《悪魔神 バロム・クエイク》も揃えればフィニッシュとして堅いものでしょう。
蒼に染めたい？できるよ。GR呪文連打してから墓地から釣るなりすればOK。
《光霊姫アレフティナ》でエクストラウィンしたい？できるよ。 《光霊姫アレフティナ》をマナに埋めながらチャージャーで伸ばして、GR呪文連打して《防羅の意志 ベンリーニ》で盾増やして後で蘇生なり《ホーガン・ブラスター》で拾うなりすればOK。保険で《セイレーン・コンチェルト》があると安心。
ゼニスを連打したい？できるよ。山札に戻しながら《天運ゼニスクラッチ》しよう。エターナル・Ωで手札に戻っても墓地に捨てることができるので問題なく回る。
最強ロック三銃士を揃えたい？できるよ。山札に戻しながら《ホーガン・ブラスター》で可能。ただし《龍世界 ドラゴ大王》が最後だぞ。常在効果なので《古代楽園モアイランド》が出ないしループが途切れるよ。ループおじさんとの約束だ。
《P·P·P·P》で勝ちたい？できるよ。《セイレーン・コンチェルト》などで各位置に置いて、ありったけ《機術士 ディール/「本日のラッキーナンバー！」》でロックして擬似的なエクストラターンを貰えばOK(《機術士 ディール/「本日のラッキーナンバー！」》だけで済むっていうのは秘密)
五大ドラグハート最終形態を揃えたい？できるよ。《ホーガン・ブラスター》で最終形態ドラグナーを出してターン終了タイミングまで移行。ドラグハートにターンの終わりのタイミングを読み込まぜてから、《阿修羅サソリムカデ》などを破壊して（《極魔王殿 ウェルカム・ヘル》）《ゲラッチョ男爵》でタップ&アンタップ(《闘将銀河城 ハートバーン》)破壊で盾を増やして（《真聖教会 エンドレス・ヘブン》）呪文の回数を達成して（《超龍素要塞 エビデシュタイン》）《無双と竜機の伝説》などでエクストラターンを取って（《恐龍界樹 ジュダイオウ》）完成。枠カツカツだけれどもなんとか入るもんです。
最後に今一度の【ムカデループ】の隆盛を願ってお開きとさせていただきます。稚拙な文書に長々とお付き合いいただきありがとうございました。
