こんにちは、神結です。
皆様、私が普段連載している「歴代名作デッキ」のコラムは読んでいただけていますでしょうか。
こちらは主に私が過去に出会ってきた名作デッキたちを紹介していく、というシリーズです。
今回はその拡大出張版になります。
というのも今回紹介したいのは「名作デッキ」とは言えず、そもそもデッキのリストすら曖昧という奇妙なものです。
ですが、皆さんの思い出の中には確実に存在するデッキでもありますし、結構な歴史も存在しています。
となるとその経緯とか背景を考えると、シリーズの一つとするよりは今回拡大出張版という形でしっかり書きたいなと思いまして。
で、そのデッキですが……。
はい、「アレ」です。
目次
誰もが通る道、「ブロッカーいっぱい並べて最後殴るアレ」デッキ
ブロッカーが突破できません
これを読んでいる皆さんも、小学生の時からデュエマをやってた、という方は多いでしょう。
そのあと中学入ってやめたとか、そのままずっとやってるとか、一度やめたけど復帰したとか(私はこれです)、いまは紙はやってないけど懐かしいからデュエプレだけ楽しんでいるとか、もうやってないけど動画は観ているとか、色々な形があると思います。
そんなわけで十人十色のデュエルマスターズがあるとは思うのですが、「小学生時代に友達とやってたデュエマ(以下「小学生デュエマ」と呼びます)」と言えば、なんとなくイメージは絞られてくると思います。
環境とか全然知らないので持っているカードでデッキを組んだり、"一軍・二軍"デッキを作ったり、でも学年に1人くらいはガチで強い人がいたり……。
そんな中でも「小学生デュエマであのデッキは強いよね」と言えば、皆さん思い浮かべるデッキやカードがあるのではないでしょうか。
《光陣の使徒ムルムル》
【 クリーチャー 】
種族 イニシエート / 文明 光 / パワー2000 / コスト2
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
バトルゾーンにある自分の他の「ブロッカー」を持つクリーチャーすべてのパワーは+3000される。
《光陣の使徒ムルムル》のようなパワーを上げるブロッカーでガチガチに固めて、最後に《ダイヤモンド・ソード》みたいなカードで殴る、というデッキですね。
だいぶ主観も含まれますが、小学生デュエマの環境と言えばこんな感じではなかったでしょうか?
Tier1:ブロッカーいっぱいデッキ
Tier2:連ドラ、速攻
Tier3:なんかいっぱいマナ伸ばしてコスト高いカード使うデッキ
ちなみにTierGoDには1人だけ環境デッキを持っている子がいたりするのですが、それはさておき。
基本的には持っているカードを組むのでリストも何もかも滅茶苦茶なんですが、「光のなんかブロッカーがわらわら出てくるデッキ」とは、皆さんも一度は対戦経験があるのではないでしょうか?
実際みんなが使いたいカードと言えばでガンガンに攻めていくドラゴンだったり、《凶戦士ブレイズ・クロー》みたいな速攻系デッキだったりするので、ブロッカーデッキって友達との対戦では特に強かったんですよね。
その歴史は意外と長い ~闘魂編・聖拳編~
ではこのふんわりした「光のブロッカーいっぱいデッキ」を少し紐解いてみましょう。
実はこのデッキの歴史はかなり長く、デュエマの歴史と共にあります。
遡ること約18年ほど前の小学生が遊んでいたブロッカーデッキは、だいたいこんな感じだったのではないでしょうか?
我ながら再現度が高くて感心するな。
とりあえず強いと思ったブロッカーを詰めて、強そうな光り物を入れて、あとは色の合ってるカードでスキマを埋める、というのがデッキの作り方でしたね。
そして《光陣の使徒ムルムル》にあたるカードが、《曙の守護者パラ・オーレシス》でした。
【 クリーチャー 】
種族 ガーディアン / 文明 光 / パワー2500 / コスト3
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
相手のターン中、自分の他のクリーチャーのパワーは+2000される。
相手のターン中ですが、自分の他のクリーチャーのパワーを引き上げるカードです。これを複数体並べることで、自軍をムキムキブロッカー軍団にしていきます。
レアリティはRということもあって比較的集めにくいカードにも見えますが、2種の構築済デッキに投入されていたため、小学生の間でも比較的出回っているカードではありました。
ちなみにこのリストは白単ではあるのですが、聖拳編で多色が登場したことで、《電脳聖者タージマル》というカードも小学生環境では猛威を奮いました。
【 クリーチャー 】
種族 イニシエート / リキッド・ピープル / 文明 光/水 / パワー4000+ / コスト3
ブロッカー
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
火のクリーチャーとバトルする時、このクリーチャーのパワーは+4000される。
まぁみんな赤いカード好きだからね。私のブレイズクローは幾度となく、このタージマルの前に粉砕されていました。《火炎流星弾》だけが頼みの綱です。
なお既に「カードを引く行為」が強いと理解している小学生もそれなりにいた筈です。私の周りでも《アクアン》+《スパイラル・ゲート》で青を8枚だけ入れる(アクアンは2005年の始めくらいまでは4枚使えました)、とかそういうことやっている人もいましたからね。所謂、アクアンホワイトに近いデッキです。
そこに《雷鳴の守護者ミスト・リエス》なり《光器ペトローバ》が入ったりすれば、ほぼ環境デッキ近い構成にはなりました。
ちなみに《開眼者クーカイ》という詰みカードもあり、存在は認識されていました。
ただしメカサンダーという誰が使っているんだかもわからない種族から進化するという都合、流石にそこまで使われたという記憶はありません。
この時期は構築済デッキもそこまで強くはなく、カードの再録というのも多くはなく、皆が持っているカードはバラバラでした。
パックを買って普通に遊んでいた小学生の間で「同じ構築のデッキ」はほぼ存在しなかったんじゃないですかね。
《光陣の使徒ムルムル》、登場。
さて、時期はそこから少し経った2008~2009年くらいの話。
まず2007年末、小学生デュエマ最強カードである《光陣の使徒ムルムル》が、遂に登場しました。
【 クリーチャー 】
種族 イニシエート / 文明 光 / パワー2000 / コスト2
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
バトルゾーンにある自分の他の「ブロッカー」を持つクリーチャーすべてのパワーは+3000される。
ムルムル自体、当時の感覚から言ってもそこそこちゃんと強いカードでした。ですので、何も小学生の間でのみ強かったというわけではありません。
ですが、より輝くのは……となると、そりゃもう、ね。
加えて2009年になると、もっと大きな変化がありました。
まず2008年終わりに、構築済デッキ「アルカディアス・ナイツ」が登場。
そして続けて2009年には同じく構築済デッキである「パーフェクト・エンジェル」、更にはこの構築済を強化出来る内容固定パックまでもが次々に登場します。
アルカディアス・ナイツには超豪華な構築済デッキでもありますが、《光陣の使徒ムルムル》に加えて《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》が登場。
【 クリーチャー 】
種族 イニシエート / ゴースト / ナイト / 文明 光/闇 / パワー4500 / コスト2
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
ブロッカー
G・ゼロ-このターンに呪文を唱えていれば、このクリーチャーをコストを支払わずに召喚してもよい。
このクリーチャーは攻撃することができない。
このクリーチャーはバトルに勝っても、バトルの後、破壊される。
パーフェクト・エンジェルには《ヘブンズ・ゲート》を始め、強力なドローソース、更に更にパックにはダメ押しのムルムルに《知識の精霊ロードリエス》といったカードまでが収録されます。
ここで大事なのは、《光陣の使徒ムルムル》のようなカードが世の中にたくさん登場したことです。
小学生の主なカード入手手段といえば、パックを幾つか買うか、クリスマスなどの大きなイベントで構築済デッキを買って貰うか、そして友達とトレードするかくらいしかありません。
このように集めやすい形でカードがたくさん出回ったことで、これらカードを手に入れるケースが多くなり、結果として《光陣の使徒ムルムル》+《知識の精霊ロードリエス》のようなデッキを作る難易度は大きく下がりました。
「小学生の切り札といえば《光陣の使徒ムルムル》」というよくある話は、このような経緯で生まれていたわけですね。
実際、私が少し下の世代の子(大学生くらいの子)と話すときに「小学生のときによく使った(使われた)カードは?」って 訊くと、「ムルムル」って返ってくるケースが多いんですよね。
これは全国的にそうだったんじゃないかと思っています。
で、リスト化するとこんな感じでしょうか。
これも例によって皆が皆オンリーワンの構築ではあるのですが、なんか先に貼ったのに比べて随分強くなったな~という感じがしますね。カードのインフレもありますが、構築済デッキそのものが強くなったというのも大きいでしょうね。
《ダイヤモンド・カッター》もいつしか《ダイヤモンド・ソード》だったり《覚醒の精霊ダイヤモンド・エイヴン》だったりに変わりました(更にこの後に、《白騎士の開眼者ウッズ》へと変わります)。
そして中々手に入らず憧れだった《ホーリー・スパーク》も、上位互換である《スーパー・スパーク》を簡単に手に入られるようになりました。構築済デッキって凄いのよ!
また、アルカディアス・ナイツを生かして、これに呪文と黒を足した《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》を入れたデッキも作れます。当時はナイト系のカードも手に入れやすかったんですよね。
もちろん、ムルムルがキーカードであり、やること自体はそんなに変わっていないですのが、この手のデッキはフィニッシャーに《ハイドロ・ハリケーン》というアレなカードを使うことは出来ました。まぁ、流石に小学生からこのカードを撃たれた記憶はないですね。
ともあれムルムルやロードリエスといった有力なカードを簡単に手に入られるというのは大きく、別に小学生じゃなくても上記のようなムルムルブロッカーデッキは使われていました。私も持ってましたね。もちろん〆にハイドロハリケーンは撃ってましたけど。
お馴染みのムルムルデッキはこうした背景を元に誕生し、皆の記憶に残っているのだろう、と推測しています。
現代のムルムルって何なんだろう?
一応補足しておくと、現代競技シーンではムルムルは活躍することは出来ません。
しかし小学生デュエマで強いのか、使われているのか、その点に関しては一切不明です。
我々の知っている小学生はカードショップやCSにいる子なので、「熱心に情報収集をしている」「YouTubeで紹介されたデッキを使っている」などと思いがちですし、実際に私もカードショップで小学生に2ターン《卍 新世壊 卍》を喰らったりしたこともありますが……。
しかしカードショップに来ている子と友達同士で遊んでいる子は、同じではないですよね。カードショップにいるのって、「クラスに1人くらいいた、ガチでカードやってる子」の方ですよね?
となると、友達とワイワイ遊んでいる子がどんなデッキを使っているのかは、私からはちょっと不明です。
我々にとってのムルムル的なカードって、いまの小学生だと何になるんでしょうね?
ちなみに「友達とデュエマ!」みたいな動画を投稿している若い子(小中学生くらい?)の動画を拝見したことがありますが、《轟く侵略 レッドゾーン》が滅茶苦茶強そうでした。
まぁレッドゾーンは逆ムルムル感のあるカードですが、ちょっとムルムルほどお手軽には手に入らないような気もしますし、同じポジションなのかな、というと難しそうですね。
まぁ昔に比べて圧倒的に新カードも再録も増えているので、もう「みんなが共通で思い浮かべるあのカード」というのはないのかもしれません。
もし小学生のお子さんを持つパパさんだったり、或いは現役小学生という方がいましたら、どんなデッキを使っているのか使われているのか、ぜひ教えてください。
おわりに
というわけで今回は拡大出張版ということで、小学生時代によく遊んだ(使われた)であろう、ブロッカーいっぱいデッキの話をさせていただきました。
実態のないデッキではあるのですが、皆の記憶にはある。中々レアなケースとなりました。
ムルムルは私の地域の子も使ってましたし、話を聞くと別の地域でもそうっぽかったので、「ムルムルデッキ」って本当に全国的に有名だったんでしょうね。
というわけで、今回はここまでです。
是非本家「DM歴代名作デッキ」の方も、よろしくお願いします。
それではまたお会いしましょう。