ドラゴン性は失えば失うだけ得
こんにちは。あるいはお久しぶりです。北白河と申します。
いやあ。出ましたね、「龍覇爆炎」。
ドラゴンと関係があるだけで種族にドラゴンがついた人たちがいっぱい集まってわちゃわちゃする構図を見ていると、トップがドラゴンであれば手足の生えたエビカツすらドラゴン扱いされるどこかのハムカツ団を思い出しますね。
でもトンカツはドラゴンではないそうです。この差はなんなんだ。
というわけで、今回もやっていきましょうか。
この記事があなたの良い暇潰しになれば、これほど嬉しいことはありません。
それでは、今日のカードはこちら。
《メンデルスゾーン》
【 呪文 】
文明 火/自然 / コスト2
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
自分の山札の上から2枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中からドラゴンをすべて、タップして自分のマナゾーンに置き、それ以外のカードを墓地に置く。
DMX-11で登場した、商業的には刷って大正解だったけどデュエマ的には刷るべきではなかったと個人的に思っているカードです。いやきたしーがドラゴン嫌いなことを差っ引いても。マジで。
効果はまあ見りゃわかるんですが、「トップ2枚からドラゴンをマナに送る」……つまり、適切なデッキで使えば2マナ2ブーストです。そりゃみんなドラゴン使うわな!
今回はそんなこのカードについて、私怨に満ちた考察をしていこうと思います。みなさんが殿堂改定前にしたり顔でやっていることを、思いついたタイミングでできる。それが、ライターの特権です。
直接ドラゴンに触れても語ることは何もないので、こうやって輪郭線に触れていこうという算段ですね。ドラゴン以外全部を語れば、焼くべきドラゴンの姿が見えてくるんですよ。
まず大前提として、デュエマというゲームにおいて「2ターン目に2マナを使って行ってもいいブースト量」は原則1マナです。《 フェアリー・ライフ 》の昔から現代に至るまで概ね維持され続けている、暗黙の了解といったところですね。
で、暗黙の了解というものは新カードの登場(と書いてインフレと読みます)よって崩されるもの。「2ターン目に2ブーストしたら……楽しいんじゃないか!?」と開発部が考えるのも自然な話です。
実際この発想は不死鳥編の頃にはもうあったらしく、めくる先にクリーチャーを指定する類似効果の《 リトルアイズ・グロース 》(現4マナ)が開発段階では2マナだったことが知られています。いいわけ、ないだろー!
で、そのまま迎えたのが大ビッグマナ時代ことエピソード2。
マナを伸ばす価値の高かったこの時代こそ、2マナ2ブーストを刷るべき時代だと公式も考えたのでしょう。種族デッキを推していた時代でもありましたから、特定の種族専用にしようというのもわかります。この発想自体はまあ間違ってないと思うんですよ。
問題は、「すでに人気があり」「これからも絶対に大量のカードが刷られることになる」ドラゴンでいきなりそれをやっちゃったこと。
これは完全に後知恵の事後諸葛亮なんですが、この手の「これからも増えることが分かりきっている」メジャーな要素を指定するサポートカードって、強すぎた場合取り返しがつかないんですよね。
例えば「マイナー要素指定」「強すぎた」パターンであれば、それ以降にそのマイナー要素をあんまり増やさないようにするという形で調整が可能です。また、効果そのものが強すぎたならばそこを弄ることもできます。
逆に「メジャー要素指定」「強くなかった」なら、それを踏まえてもう少しだけ強いカードをデザインするという方面でこれまた調整ができますね。
もちろん「マイナー要素指定」「強くなかった」なら、一個上のような調整に加えて「ならそれをメジャー要素に持って行けばどうか」みたいなルートでもより良いカードを作っていけます。
ただ、「メジャー要素指定」「強すぎた」パターンだけは、調整手段が「カードそのものを殿堂・プレ殿にしてごめんなさいする」か「『そのカードが存在するのが前提のデュエマ』として、以降のデザインを歪める」しかないんですよ。
で、実際に取られる方策はおおむね後者。前者はシンプルにそれによって被害を受けるデッキやユーザーが大きく、企業としてダメージがデカいからですね。
こういうカードを、「カードデザインを歪めるカード」といいます。
他にも、この手の「カードデザインを歪めた結果、それが存在するのが前提になってしまったカードやギミック」は多数存在します。
例えば、光のブロッカーを指定する《 ヘブンズ・ゲート 》。例えば、コマンドやドラゴンを指定する侵略や革命チェンジ。例えば、コスト7以下のcip持ち生物を指定する《 ナウ・オア・ネバー 》。例えば、コスト5以下の生物を指定する《 生命と大地と轟破の決断 》。 後半二つは範囲が広すぎんか?
カードデザインにおいて意識しなければならない要素が増えることは、デザイン上の制約と負担の増加に繋がります。本来刷れたはずのもっと楽しいカードが刷れない……というのは、長い目で見てもまあ損失なわけです。
この手のヤバいカードがエキサイティングなデザインであるのも事実ですが、可能ならば未来のカードデザインを歪めないに越したことはないのはなんとなくわかってもらえると思います。
それを踏まえて、2マナ2ブーストとして最初に刷られるべきだったのは……
《 バニラ・ゾーン 》だったと思うんですよ。
これを刷ってみて弱かったので、少しずつ要素を拡大したうえでドラゴンに配っちゃいました!という流れならまあなんとなく理解できますし、その過程で「これこの要素にだけは配っちゃいかんな……」みたいなところも見えてきたりしてもっと良バランスのカードが供給されてた未来もあったんじゃないかな……って。
あとまあ、素直に《 龍の呼び声 》を刷ればよかったとも思うんですが……これは《 フェアリー・クリスタル 》と効果が被ったんでしょうね。
《 龍の呼び声 》ルートなら《 フェアリー・クリスタル 》の代わりに無色カードだけマナに送る2マナ2ブーストを用意する……というのもよかったとも思いますが、これを唱えるために有色マナが必要になるので噛み合わない不快感なんかもありそうでなかなか難しそうです。
まあゼニスには《 戦慄のプレリュード 》もあるし、そこに2マナ2ブースト来たらさすがに強いかもしれませんね。
……と、こういう歴史のifを考えるのは楽しいんですが、どこまで行っても楽しいだけなんですよね。楽しい空想もいつも綺麗な思い出も、それだけじゃお腹が空くのです。
というわけで、我々は暗澹とした気分で対戦相手の2ターン目2ブーストを甘んじて見届け、こちらは《 ボルシャック・ドギラゴン 》でこのカードがめくられるという現実と戦う必要があります。
無力な私においては、たくさんのドラゴン使いがトップ参照効果でこのカードをめくって嫌な気持ちになることを願うばかりです。できれば、《 ボルシャック・ドギラゴン 》の効果でめくっているとうれしいです。
ちょっと考えてメンデルスゾーンを使う関西の人「ンー、メンゾスルデ」
というわけで、《 メンデルスゾーン 》でした。
全然関係ないんですが、謎BBPが出る前に漫画「セレベスト織田信長」とのコラボでこのカードが来ると割と本気で予想してたんですよね。いや、漫画に出てくるんですよ。「メンデルスゾーン」って読む単語が。
作中においてのこの単語は、「遺伝の法則を発見したG・J・メンデル博士とそっくりな顔をした人たちによるダンスパフォーマンス」、つまり「メンデル衆(ス)亜空間(ゾーン)」。言葉にするとわけわからんな……読んでもわからんけど……。
さて、次回予告のコーナーです。
弊社のECサイトにはカードごとに「一緒に買ってるランキング」というお遊び要素があるのですが、皆様にはそのランキングのみを見て次回のカードを当ててもらいます。
というわけで、次回のカードはこれです。各自予習していってください。
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それでは、次の記事で。北白河でした。