死んでる未来もたくさんあったと思うが、この現在はそうではない
こんにちは。あるいはお久しぶりです。北白河と申します。
いやあ。来ましたね、2月。
これにて私も就職三周年。いやその、マジでよく続いたと思いますよ。中高生なら入学から卒業までと同じくらいの期間ですからね。
なんというか、「やりたいこと」と「できること」がそこそこ一致する職場、あるところにはあるんだなあという気分です。ちょうど自分一人分が入る陽だまりで、ひとつだけ残っていきたいですね。
というわけで、今回もやっていきましょうか。
この記事があなたの良い暇潰しになれば、これほど嬉しいことはありません。
それでは、今日のカードはこちら。
《勝熱龍主 モモキング》
【 クリーチャー 】
種族 ヒーロー・ドラゴン / ジョーカーズ / チーム切札 / 文明 火/自然 / パワー5000 / コスト4
■スピードアタッカー
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の山札の上から4枚を見る。その中からジョーカーズを1枚相手に見せ、手札に加えてもよい。残りを好きな順序で山札の下に置く。
■このクリーチャーがシールドをブレイクした時、このターン中、自分が次に使う「キリフダッシュ」能力のコストを最大2少なくしてもよい。ただし、コストは1以下にはならない。
DMEX-13「四強集結→最強直結パック」にて登場した、チーム切札のキングマスターですね。
ドラゴンについて語ることは何もないので本題に入ると、前回のヒキにて「DMEX-13 「四強集結→最強直結パック」という歪んだパックがなぜ生まれたか」というところで話を切っていましたね。
というわけで、今回のテーマはそれです。
例によって推測や邪推のオンパレードになるお行儀の悪い回ですが、どうぞお付き合いくださいませ。
まず、うだうだ言わずにこのパックの正体……とおぼしきものを先に明かしてしまいましょう。
このパックの正体は、「未発売に終わった『チーム零VS美孔麗王国』『暴拳王国VS月光王国』のドッキングパックの2商品の内容をニコイチにし、《 勝熱龍主 モモキング 》と《 鬼ヶ大王 ジャオウガ 》を足したもの」です。たぶん。
なぜこの推測ができるかというと、ヒントはパックの収録枚数にあり。
このパックは全94種、新規カード30種で成り立っています。ここから追加枠のキングマスター2種を抜くと、全92種かつ新規28種となりますね。
そして、これまでの「ドッキングパック」は全46種、新規14種。おやおや、ぴったり2倍ですね。
これを見るに、前述の未発売ドッキングパックはカードプールまで確定した状況で何らかの急な理由があってそのままの形で発売できなくなり、ニコイチとなった今の形になった……という仮説が成り立ちます。
さらに言うと、キングマスター2種のシークレット版が(通常パックと違って)通常版とのイラストの違いがわずかであるというのもこの決定が急だったというポイントに拍車をかけています。俺の中で。
あとまあ……その、商標も出てましたし。
では、その理由とは何なのでしょうか。パッと思いつく範囲では、外的要因と内的要因が一つずつ思い浮かびます。
まず外的要因となるのが、「新型コロナウイルス感染症によるTCG業界全体の縮小傾向」。
2020年4月前後から爆発的に広がったこの天災の影響は、2020年3月下旬スタートの十王篇の展開とダダ被りしましてですね……。
あちらも企業ですので、商品開発・展開をある程度縮小して出費を抑え、危機に備える……というのはまあよくわかります。
そして肝心な内的要因が、「2ブロック環境と基本パーツの供給を意識した『ドッキングパック』の構成が、ターゲットの需要と合っていなかった」。
前回もちらっと述べたのですが、このパックのカードパワーは新規・再録ともに非常に低め。
なんですが……「2ブロックでゼロから新戦略のデッキを組む」ことを考えれば、天門が入ってない以外はまあめちゃくちゃ痒い所に手が届く構成なんですよね。
特にレア以下の充実ぶりは圧巻で、《 終末の時計 ザ・クロック 》《 獅子王の遺跡 》《 ドラゴンズ・サイン 》みたいな「いつもの面々」や、普通なら同一セットには絶対に入らない《 福腹人形コダマンマ 》《 斬斬人形コダマンマ 》みたいなやつらまで網羅してますからね……!
しかも、それらの戦略は特定のチームや王国と密接に繋がったもの。特定のデッキを組もうとしてるなら、二枚に一枚は自分の組もうとしてるデッキに使えるパーツが出てくるっていうのはキッズにとってはめちゃくちゃ大きいですよ。
ついでに言うと、2ブロックがメインフォーマットとして成功を収めた暁には、一年待つだけで超天篇のやらかしを合法的に消し去ることができるんですよ!そりゃ公式も力入れますわな!
つまり「ドッキングパック」は、「キッズにはデッキの基礎固めとともにパックを剥く快感を味わってもらい」「競技勢には徹底的な環境整備を行った2ブロックの魅力を感じてもらう」という、開発部の願いの籠ったパックだったんじゃないかなと思っています。
……これが結果的に全然上手くいかなかったのは周知のとおり。
狙っていたキッズがコロナでショップから消えた(残ったキッズもキングマスターが出る通常弾に行った)のに加え、おそらく競技勢は再録される前からカードを持ってたんですよね。
……とまあ、どこかのタイミングで「この商品通年で全チームぶん出すとヤバいな」と気付いた公式なんですが、発売そのものを中止にすることはたぶん不可能(それを前提にカードプール作っちゃったから)ということもあり。
緊急措置的に「2セットを合体させ、どっか別のところで出す予定(シク枠以外にキンマスのいないDMEX-14あたりですかね)だったモモキングとジャオウガを客寄せに足したパック」が生まれたんじゃないかな……と私は勝手に考えています。
……ただ、1パック4枚入りにした理由はマジで全然わかりませんが。なぜ減らした?
すっごい後知恵なんですが、おそらくこの辺のカードの供給はデッキビルダーセットや「ガチヤバ4」っぽく内容固定のボックス商品でまとめてやればよかったんじゃないかって思ってます。
こうすれば、2ブロックのカードプールを稼いだうえで「初心者向け商品!」という顔ができますしね。それでもまあ、5商品売るのはハードルは高いでしょうが……ここはプラスアルファの付加価値をどう持たせるかで結構変わってきそうですね。
……でも、そうはなりませんでした。なので、この話はこれでおしまいです。
海外TCGとデュエマの齟齬、「コロコロの有無」でだいたいまとまる説
というわけで、《 勝熱龍主 モモキング 》でした。
これは余談になるんですが、実はデュエマのお兄さんことMTGでは「2色の10陣営シリーズ(ラヴニカ)」は三度にわたって成功を収めた鉄板中の鉄板。
開発のウィザーズ社も「俺たちは何度も10陣営シリーズを成功させてきた!デュエマでもできる!」とめちゃくちゃやる気だったそうなんですよ。
実運用としては、「前半5陣営パック→後半5陣営パック→10陣営が混ざるフィナーレ」みたいな形ですね。こうやると、色のバランスも取れますし。
…ただ、ウィザーズはあくまで「開発を担当する会社」。デュエマというコンテンツを取り巻く、基本中の基本を忘れてたんですね。
「デュエマには切札ジョーというメディアミックスにおける主人公がおり、それが出ないパックを刷ることができない」。
MTGは世界観側の設定(プレインズウォーカー)によって「10陣営外の主人公」を設定できるんですが、日本でそれやると「次のテーマは10陣営です!でもジョーは別枠!」「じゃあ11陣営じゃねえか!」になっちゃいますからね……!
それでもめにもめた結果、チーム切札と鬼札王国は通年、それ以外は前半後半という歪んだ構成が生まれちゃったわけで。
いやその……マジで難しいんだと思いますよ。TCG開発と原作メディアミックスを同時並行でやるの。GoAで原作と背景ストーリーがある程度分離されたので、ここらへんの負担が少しでも軽くなっているといいですね。
できれば、メインターゲットである低年齢層から競技・コレクションを行う高年齢層まで全てのプレイヤーが一定の満足感を得られる方面にどんどん改善・進化してもらえると最高です。そんなことができるかどうかは置いといて、理想として。
ところで、ここに起源神の新規を刷るだけで満足感を得られるプレイヤーがいますね。そういうことです。
さて、次回予告のコーナーです。
弊社のECサイトにはカードごとに「一緒に買ってるランキング」というお遊び要素があるのですが、皆様にはそのランキングのみを見て次回のカードを当ててもらいます。
おや、今回もカードがありませんね。これは単にマジで決まってないだけです。
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それでは、次の記事で。北白河でした。