執筆をしなくていい土日がこんなにも気楽だったなんて
こんにちは。あるいはお久しぶりです。北白河と申します。
一週間の休載を頂いて何をしていたかというと、なんとさまざまな記事を書いていました。トレカライターは因果な仕事なので、永遠に執筆から逃れられないのです。きたしーもまた、無明の中で佇んでいます。
というわけで、今回もやっていきましょうか。
この記事があなたの良い暇潰しになれば、これほど嬉しいことはありません。それでは、今日のカードはこちら。
《別格の超人》
【 クリーチャー 】
種族 ジャイアント / キカイヒーロー / 文明 水/自然 / パワー8000 / コスト7
■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■W・ブレイカー
■相手のクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手とガチンコ・ジャッジする。
自分が勝ったら、そのクリーチャーを相手のマナゾーンに置く。(ガチンコ・ジャッジ:各プレイヤーは自身の山札の上から1枚目を見せ、山札の一番下に置く。そのカードのコストが相手以上であれば、自分の勝ちとする)
■相手が呪文を唱えた時、相手とガチンコ・ジャッジする。
自分が勝ったら、カードを2枚引く。
「和の鉄人」
DMX-22こと「超ブラックボックスパック」にて登場した、いろんな意味で異彩を放つ一枚です。「季節感を出していきましょう」というよしもとさんの声に答えて、11/1が寿司の日ということでこのチョイス。
「寿司を握る半人半機の巨人」「別格なる謎の名称」「さらに謎めいたイタリックなるルビ」など、一見ただただ要素が取っ散らかっているだけに見えるこのカード。
ですが、このカードにはもう一つの顔があります。デュエマというカードゲームでも唯一無二の、「特定個人への追悼の意を込めて作られたカード」なのです。
というわけで、今回はこのカードが向けられた相手……伝説的デッキビルダーにしてプロプレイヤー、『和の鉄人』こと故・石田格(いしだいたる)氏について語っていこうと思います。
かかったな!今回もデュエマじゃなくてMTGの話しかしない回だ!コラボカード回以外でも俺はこういうことをやるぞ!
一応次の見出し一つ読み飛ばせばデュエマの話に戻るので、どうしてもって人はそこだけ飛ばすといいですよ。
イタリック体
「突然知らん人の話始まった……なんか怖い……家でパラッパラッパーしとこ……」 と思われた方もいるかもしれませんが、プレステを起動するのは少しだけお待ちを。
あなたは、「自分だけのオリジナルデッキ・独自のチューンが全国的に広まり、環境トップメタになる」ことに憧れを持ったことはありませんか?
また、「環境のメタを完全に読み切り、一人のプレイヤーとして頂点に立つ」ことや、「TCGの腕一本でプロとして活躍し、それのみで生計を立てる」「プレイヤーとしてだけでなく、クリエイターとして新たなTCGを作り出す」ことなんかはどうでしょうか。
多くの人にとって、これらは夢物語に過ぎません。ですが、石田格氏はこれら全てを成し遂げたのです。
高校時代からMTGのトッププレイヤーとして名を知られるようになった石田氏は、98年頃から「極端な一強環境にて、アンチデッキを自ら作成して入賞」「自分の名を冠したデッキ【イタリックブルー】を持ち込み、後の環境トップメタの原型とする」など先験的デッキビルダー・プレイヤーとして活躍。
01年には国内外のトップクラスの大会にて数々の成績(具体的には、この1年でMTGWikiでピックアップされてるだけで6回入賞)という恐るべき成績を上げました。
ちょっと乱暴にデュエマで例えると、「GP2回と日本一決定戦すべてでベスト8に残る(何なら優勝もする)」くらいのことはやってのけてますからね。
特にメタ読みの上手さは常軌を逸しており、「環境トップメタに対抗するためにどのデッキも対策を積んできている」→「ならばその対策をメタったトップメタを組めばいい」という発想で華麗に優勝をかっさらって行くなど、その逸脱した実力が伺えます。
他にも「(特殊ルールの)チームドラフトにて味方チーム全てのピックを指示して圧勝」「日曜日に海外で初登場したデッキを月曜日にチェックし、金曜日には最終形態まで完成させて土日の大型大会で負けなしの優勝」「日本史上初の、(大会賞金等でなく)スポンサー契約のみで生計を立てるプロプレイヤーとなる」など、その強さを示す逸話には事欠きません。
その後、その実力を見込まれて(現ウィザーズ日本支部代表の)真木孝一郎氏の誘いで「デュエル・マスターズ」開発に携わり、TCG開発者・プレイヤーとしての活躍を期待されていた矢先の2013年1月13日、33歳の若さで急逝。最後の言葉は「デッキ組まなきゃ」だったと言われています。
そんな彼は、全てのTCG プレイヤーが目標とするべきまさしく「別格」の存在と言えるでしょう。
で、なんで寿司?
…というわけで、彼への追悼の意を込めて作られたこのカード。その前提を知った上でカードの要素を紐解くと、開発部から彼に向けられた多数の想いが見えてきます。
「イタリック」「別『格』」と直接意識された名前に始まり、彼のお気に入りだったとされるジャイアント/キカイヒーローという種族。そして、彼の大好物だった寿司をモチーフにした(これはE2期の食物モチーフのジャイアントとも一致します)イラスト…と、仕込まれたネタの数は随一と言えるでしょう。
……寿司が好きだったから寿司のイラストになる(何なら握る方)のが当人にとって嬉しいのかはちょっと微妙ですが。ともあれ、明言こそされていないものの相当の想いが詰まったカードであることは確かです。
きたしーの大好物は鰹のたたきなのですが、もし自分が結果を残した時にそれを大プッシュされるのが嬉しいかと言われると……うーん?
最後の晩餐
というわけで、《 別格の超人 》でした。
…そういえば、能力面については特に元ネタがあるかは謎だったりします。記事を書くにあたって結構調べたんですが、出てこなくてですね。もしご存じの方がいらっしゃれば教えてくださいませ。
何もなければ来週の今頃には、「どう考えてもアニメや漫画と同じ使い方をしない方が強いカード」についての記事が上がるはずです。お楽しみに。
この記事の感想や知らん人の話を聞きたい気持ちなどありましたら、#北白河の今日の一枚でのツイートや拡散などなど心よりお待ちしております。
見つけ次第ひつじとおもちのアイコンの知らんアカウントからお礼のリプライが飛んできて、とってもお得です。
下のボタンからすぐにやると、確実に拡散できてさらにお得!今すぐやれ!
それでは、次の記事で。北白河でした。