目次
はじめに
オンラインデュエル。
読者の皆様は、この言葉を聞いたことがあるでしょうか。あるいは、行ったことがありますでしょうか。
コロナウイルスの影響で大会が開かれない今、家にいながらにしてデュエマができるオンラインデュエルの需要は急上昇しています。
そんな中大手カードショップ「カードキングダム」様主催で4/26に開かれたのが、過去最大級のオンラインデュエルによるデュエマの大会「カードキングダムコロシアム in Discord店(β)」です。
ここしばらくほぼデュエマの実プレイができていなかったこともあり、Twitterで募集記事が流れてきたその場で「ネットでデュエマできるの!?」と驚愕。即座に参加希望を提出し、オンラインデュエル未経験にも関わらず電子の海に飛び込んでしまいました。
果たして、北白河は無事にオンラインデュエルを成功させることができたのでしょうか?というわけで、以下がレポートとなります。
参加の前に:オンラインデュエルに至るまでの環境構築
……とはいえ、まずオンラインデュエルを行うために(もちろん、カード以外に!)何が必要なのでしょうか?
端的に言うと、必要なのは「相手の画面を見るためのモニタ」「自分の画面を写すカメラ」「相手と会話するためのマイク」「Discordなどのビデオ通話アプリ」です。やろうと思えばスマホ一つと、スマホを固定する台やフェンスなどでも十分可能です。
実例として、公式でオンラインデュエル配信を行ったウィザーズのコバ氏はスマホと100均のフェンスのみでデュエル環境を構築されています。プレイマットの上のフェンスにスマホを置いて、アウトカメラで下のデュエル状況を映しながら画面を見てデュエルするわけですね。スマホだけでやるならこれが一番簡単なのでおすすめです。
ちなみに、北白河が5分ほどで自室に用意したデュエマ環境がこれです。
そこらへんにあった箱などで高さを稼ぎ、PCに繋いだやっすいWebカメラを上に引っ掛けてプレイ用テーブルが映るようにし、あとは横に置いておいたPCモニタとヘッドセットで相手の画面を確認しながらゲームを行っています。
こんなズボラな環境で大丈夫なのかと思われるかもしれませんが、結論から言うと全く問題ありませんでした。本気でこのレベルで大丈夫です。どうせ対戦相手には見えませんし。
実際にやってみてわかったのは、オンラインデュエルに必要な環境を用意するハードルの低さです。大会の後スマホ1つで対戦を行える環境を試しに組んでみたのですが、「これだけ!?」と思わず声を出すほど簡単に環境構築ができてしまいました。
大会概要:コロシアムで戦い続けろ!
環境構築が終わって大会そのものに目を向けますと、オンライン故に通常の店舗大会等のルールとは違う点がそれなりにあります。
- 大会の全てはDiscordというビデオ通話・チャットアプリで行われる
- 優勝を決めるのではなく、ガンスリンガー制(詳細は下画像参照)
- 開催時間中(最終的に4時間ほど)に好きなだけ対戦し、ランクを上げることで殿堂入りを目指す
- カジュアルプレイイベントであることと、オンラインで競技性を担保するのが難しいことから賞品等はなし
- オンラインだと証明に時間がかかるため、有限無限問わずループは禁止
といったあたりが大きな違いでしょうか。大会の名前にもあるようにβ版とのことなので、今後変更される可能性は大いにあります。
デッキ選択:「で、どのクソデッキなんです?」
このシステムをざっと読んで「せっかくだから殿堂入りを目指してやる!」と決めた北白河が選んだのがこのデッキ。
青白天門デッドダムドです。
「ループ禁止」「1戦を短くして対戦数が多くするほど有利」「実プレイでは使えなかった十王篇(特にキリフダッシュ)のデッキが多そう」という読みから、環境にビートが多いと予想。それに対抗するために受けて勝てるデッキを選択しました。結果的にこの読みは大当たりでした。
【ロージアダンテ】をベースに、《ヘブンズ・ゲート》《ドラゴンズ・サイン》から《新星!ベルナーレ》等のエンジェル・コマンド・ドラゴンを展開し、《SSS級天災 デッドダムド》に侵略して《勝熱英雄 モモキング》などを焼き払う動きを想定しています。
元デッキの動きを保ったまま魔改造によりクソデッキとしての強度を高めているため、「勝ち」と「楽しさ」を両立できるデッキだと自負しております。ちなみに【起源神】は盤面のスペースを取りすぎてカメラからはみ出し、【ウェイボールレジスタンス】はオンライン対戦の都合上《レアリティ・レジスタンス》の説明が難しいので見送りました。
大会中にデッキ変更や構築変更が認められているため、いろんなデッキを楽しめるのも良いですね。実際に自分もデュエルの合間に枚数の微調整を行いながら参加しました。
大会レポート:終わりなき戦いに身を投じろ!
参加者は事前にDiscordにログインし、専用サーバーに加入して開会を待ちます。
14時の開会式から、20分程度の解説の後に1戦目の卓分けが運営の手で行われ、14:30ごろから大会スタート!以下、簡単なレポートとともに戦績を載せます。
1戦目:キリフダッシュジョーカーズ:早速の仮想敵!トリガー《ヘブンズ・ゲート》からのブロッカー展開で相手の動きを止めて勝利。
・2戦目以降は運営に結果報告の後、Discordのチャットにてレベルごとの「勝ち部屋」「負け部屋」に別れて対戦相手を募集するという流れになりました。数分と待たずに対戦相手が現れて即座にデュエル開始できるのは、実際の大会では味わえないスピード感ですね。
2戦目:青緑ジョルネード:こちらが動き出す前に大量展開を許し、《ジェイ-SHOCKER》に7と5を止められたのち一斉攻撃を受け敗北。
3戦目:赤単速攻:お相手の2ターン目《ブルース・ガー》のブレイクが《ヘブンズ・ゲート》。何もかもがめちゃくちゃになり勝利。
4戦目:赤青覇道:なんとお相手が第二回・第三回トレカライターコロシアム参加者!当時の賞品のスリーブの話など、和やかに会話をしながらプレイ開始。いわゆる「フレア覇道」から《ドラゴンズ・サイン》《ヘブンズ・ゲート》がトリガーするも、手札にドラゴンもブロッカーもなくそのまま敗北。
5戦目:赤単バルガ:お相手の猛攻に圧倒されるも、最後の2枚のシールドが《ヘブンズ・ゲート》《ルシファー》(対戦中にお試しで1枚差してました)で返しの致死打点が成立し、勝利。
・ここでレベル1にレベルアップ。
6戦目:赤白ビートジョッキー:《DOOOPPLER・マクーレ》から大型を展開されるもこちらもトリガー《ヘブンズ・ゲート》から展開し《SSS級天災 デッドダムド》で除去しきり勝利。お相手はなんとこの試合以外全勝で殿堂入りという、まさにコロシアムの覇者であったことが後に判明しました。
7戦目:ロマノフワンショット:コンボではあるがループではないのでロマノフワンショットは使えることを完全に忘れてました。さすがに妨害が間に合わず敗北。
8戦目:連ドラ:お相手がなんと北白河が奈良県にいた時のカードショップの常連さん。デッキも当時愛用されていたもので世間の狭さを感じながらデュエル開始。《百族の長 プチョヘンザ》《偽りの王 モーツァルト》《光神龍スペル・デル・フィン》などで終始劣勢に陥るも、《SSS級天災 デッドダムド》の除去で全て返してなんとか辛勝。
9戦目:赤単ガイギンガ:《シン・ガイギンガ》にはブロックで、そうでないクリーチャーには《新星!ベルナーレ》でなんとか対応。シールド全部失いながらも勝利。
・ここでレベル2にレベルアップ。このあたりから対戦相手のレベルの高さを感じるようになってきました。
10戦目:青魔道具:《卍 ギ・ルーギリン 卍》でブロッカーケアされながら《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》。エクストラターンの《MEGATOON・ドッカンデイヤー》でGRゾーンから追加打点が発生して敗北。
11戦目:キリフダッシュジョーカーズ:大量展開を許すも、トリガー《ヘブンズ・ゲート》で出てきた《新星!ベルナーレ》から3枚《SSS級天災 デッドダムド》同時侵略で盤面処理しきって勝利。
12戦目:5c蒼龍:お相手のコントロールとしての強度が高すぎる!速やかに《古代楽園 モアイランド》が立ってシールドをマナ送りにされ、敗北。
13戦目:連ドラ:お相手の《超天星バルガライゾウ》から《ボルシャックライシス・NEX》などがめくれるも、《新星!ベルナーレ》二体で止めて《SSS級天災 デッドダムド》で除去が間に合い勝利。そんなんばっかりか。
・ここでレベル3にレベルアップ。あと1勝で殿堂入りが見えてくるも、18:30の閉会式まで時間的にあと1~2戦が限界。当たり運を祈りながら対戦待ち部屋に入りました。
14戦目:赤単バルガ:ビート対面で絶好のチャンスと思いきや、まさかのノートリ。一瞬で敗北。
15戦目:赤緑キリフダッシュ:相手の猛攻を受けるも、トリガー《ヘブンズ・ゲート》で《時の秘術師 ミラクルスター》《音感の精霊龍 エメラルーダ》を出してまた《ヘブンズ・ゲート》を埋める動きでなんとか捌き切って勝利。
というわけで、15戦を9-6してなんとか殿堂入りに成功しました!殿堂入りプレイヤーはデッキをdiscordの専用チャンネルに公開することができるのですが、周りを見るとよく練られた多種多様なデッキが溢れており少々恥ずかしい思いをしたりもしました。
いかにガンスリンガーとは言え4時間で15戦できる大会は他に例がなく、非常に満足できました。問題あるプレイヤーに遭遇することもなく、スムーズに対戦を行うことができました。
主催者インタビュー:とり店長
大会後、主催者であるカードキングダムのとり店長様にお話を伺うことができました。以下、テキストによるインタビューの内容となります。
1:自己紹介をお願いします。
カードキングダム所属企画営業兼 カードキングダムDiscord店運営・とり店長です。この度はインタビューお誘いいただきありがとうございます。
大会にもご参加いただいていたので、 参加者側から見た感想の記事など楽しみにしております。
2:大規模なオンライン大会を企画されたきっかけは何ですか?
TCGにとって対戦はあくまでもコミュニケーションの一環だと思っているので、同じカードゲームを話題にした会話も楽しいじゃないかと、それまでサーバーでは対戦交流会や、ボイスチャット交流会を開催していました。
でも、それはお店で対戦できる環境があるから受動的に対戦できていただけであって、対戦をしない癖がついてしまったら、 商品を買う動機がない→ゲームの衰退→カードゲームという文化の消滅に繋がると思ったので、新商品を購入する目的になって欲しいと思い、今まで開催していなかった大型大会を企画しました。
負けてもデメリットが無い、 デッキ変更可能なルールのため新しいカードを試しやすいライトでカジュアルな方が入りやすさを意識しました。 まだ、大会に出たことがない、もしくは知らない人と対戦をしたことないプレイヤーの対戦一歩目になれればと思っています。
今後の開催の際は皆様のご参加お待ちしております。
3:大会を開いてみて、良かった点や想定外だった点などありますか?
みなさんの遊びたいというモチベーションが非常に高く、 賞品が無いのに関わらず、170名以上の方にご登録いただき、120近くのプレイヤーが終始対戦を楽しまれていました。
イベント中にも速やかな運営になりましたし、 開催後のアンケートでもほぼ全て好意的な評価をいただき、運営一同感動しました。本当にありがとうございます。 運営の最中でもお客様同士が対戦する方法が定型化され、 こちらからはほとんどマッチングの手もかからず対戦が成立していました。
嬉しい悲鳴になるのですが、開始時間に多くの方が集まっていたため、1〜2回戦目のマッチングが渋滞してドタバタしていたのは大きな反省点です。しかしながら、参加者の方々がスタッフの誘導に従い、迅速に対応していただけたので、15分ほどで全員が対戦開始できたと思います。
4:オンラインデュエルをこの先広めていく上で、課題と思われるものはありますか?
難しそうというイメージや、通信環境が課題だと思います。
今回参加した方の中には、スマホ1台で参加されている方が多く想像しているよりもハードルは低いという事をオンライン対戦未経験の方に届けたいです。(開催後アンケート90票のうち半数がスマホのみ)
また、通信制限や通信速度での対戦がスムーズに行かないこともあるので、試合時間を設けることが難しいです。(カードの能力を口頭で説明を聞かないとわからないため長くなりやすい)
また、同じ熱量、思想で遊んでいる方同士でないとコミュニケーションが辛いとも思いますので、 ご自身の遊びのスタンスにあったサーバーに参加していただく事を推奨いたします。 普段からサーバーでボイスチャットやチャットに参加していると雰囲気は掴めると思います。
5:オンラインデュエルを今から始める方にメッセージをお願いします。
今までは近くにやっている知り合いがいないから、興味はあっても触れなかった。 友達と遊ぶのは楽しいけど、お互いの時間や場所が合わずに会う機会が中々取れない。 慣れていないから大会は少し怖い。 誰しも最初はそうだと思います。
まずはオンラインで話してみて、知り合った人と対戦して 同じものを好きで、同じ楽しみ方をしている人たちと 一緒にカードゲームで遊んで、同志を見つけましょう。 相手のカードに驚き、自分のカードでドヤ顔する。 その楽しさはオフラインにもオンラインにも必ずあります。
今後、お店で遊べるようになったら、 仲良くなった人たちとお店でオフ会を開催して みんなでカードゲームで遊ぶ。そんな未来を夢見ています。
6:次回のイベントについて予定はありますか?
目標としては、5月の土日に毎週何かしらのイベントを企画できるよう計画中です。 機会がありましたら、ご参加いただければ幸いです。
7:最後に読者に一言お願いします!
世界からカードゲームという文化が消えるか、生き残るのか今が大きな分岐点です。 対戦や交流で絆を繋ぐことで、我々の愛した文化が生き残ります。
少しでも多くの人と楽しみながら、未来にカードゲームを残すようみんなで一緒に遊びましょう。
おわりに
というわけで、「カードキングダムコロシアム in Discord店(β)」の参加レポートでした。
コロナウイルスで外でデュエマができない今こそ、オンラインデュエルという新しい文化に触れることでプレイを続けていきたいと改めて感じさせられました。
最後に、素晴らしい大会を開いてくださった大会運営の皆様と、快くインタビューに応じてくださったとり店長様に心からの感謝を!