目次
1.はじめに~夢見がちで穢れた君を撃つ~
十王篇、来たる。
デュエル・マスターズ新時代の幕開けとも言える新パック「十王篇 第1弾 切札×鬼札 キングウォーズ!!!」の登場により、トーナメント環境は大きな変化を見せた。
たとえば、《熊四駆 ベアシガラ》の登場により序盤の安定した手札補充を手に入れ、とうとうサブカラーを入れずにチェイン・コンボの遂行が可能となった【赤緑バーンメア】。
たとえば、《大樹王 ギガンディダノス》を採用することでワンチャンスの逆転能力を得て更に対応力を上げた【アナカラーデッドダムド】。
たとえば、最強の侵略元ソニック・コマンドである《GOOOSOKU・ザボンバ》を得たことで攻・防・速の全てが大きく底上げされた【赤白レッドゾーン】。
特定のアーキタイプを増やすタイプのカードではないが《「蒼刀の輝将」》は今までのデュエル・マスターズをひっくり返すほどのカードパワーを持つドローソースとして様々なデッキで運用され、逆に《不敵怪人アンダケイン》はファーストインプレッションでわかるほどの尋常でないカードパワーを既存のデッキが使いきれておらず、《腐敗勇騎ドルマークス》使い回しなどの非常に尖った新アーキタイプが模索され、そのいくつかはトーナメントシーンにも姿を見せている。
総じて環境はいい意味での混沌を見せ、どんなデッキがCS上位にいてもおかしくない、非常に多様性のあるトーナメントシーンが構築されている。
……ただ一つ、あるアーキタイプを除いては。
【4Cドッカンデイヤー】。
他の追随を許さないループ遂行速度、妨害どころかボトム落ちさえ片手間で処理してしまうループの確度、4色を取ることによる圧倒的なドロー力と対応力、構造上S・トリガーを自然と16枚以上取れてしまう故の凶悪なまでのビートダウン耐性など、超天篇環境末期を支配したTier0デッキだった。
しかし、十王篇環境ではぱったりとその姿を消している。CS入賞報告こそちらほらとあるものの、「使用率80%オーバー」「上位入賞者4人が全員ほぼ同一レシピ」など、かつての尋常でない環境支配率からすれば「環境から消えた」と言ってしまっても過言ではないだろう。
何らかのキーカードが殿堂入りを食らった?
より確実性のあるワンショットキルが開発された?
【赤単速攻】に対する【天門ループ】のように、構造上極端な有利を取れるアーキタイプが隆盛した?
どれも正しくない。
【4Cドッカンデイヤー】の失墜は、たった一枚のカードによって齎されたのだ。
その名は《U・S・A・BRELLA》。
要するに「GR召喚は死ぬ」と書かれたカードだ。
半端なマッハファイターは相打ちに持ち込まれる高パワー、確実にワンテンポを削いでくる効果耐性、おまけにここまで至れり尽くせりな効果を持っておきながらマナコストはたったの3。
【4Cドッカンデイヤー】はマナ加速、妨害、リソース回収、フィニッシュ、展開の拡大再生産、その全てを多種多様なGRクリーチャーに頼って遂行しているため、 《U・S・A・BRELLA》 を1枚ポンと出されるだけでありとあらゆる機能が停止してしまうのだ。
同じくざっくりと「GR召喚は死ぬ」と書かれた《ボルシャック・クロス・NEX》が古代ギリシャの言葉で「永劫の果て」を意味する9マナ、《暴走龍 5000GT》を《U・S・A・BRELLA》と同一マナ数で出そうとすればクリーチャーのみで9枚もの墓地肥やしを要求してくる、まあ要するにガンダーラを目指せと言われているとすれば、「手札からカードをマナゾーンに置く」を3回繰り返すだけでGR召喚を完全封殺してくる《U・S・A・BRELLA》がいかに強烈なカードかが伝わってくるというものだろう。
【4Cドッカンデイヤー】と同じくTier0級のGR召喚デッキであった【シータバーンメア】(現在は【赤緑バーンメア】)は構造上無理なく4枚オーバーのマッハファイターを取れるためそこまで処理を苦としないが、ことメイン除去までもオレガ・オーラである《斬罪 シ蔑ザンド》、要するにGR召喚に頼り切った【4Cドッカンデイヤー】においてGR召喚封じはまさに天敵、蛇にナメクジ、バルドルにヤドリギ、飛鳥五郎に拳銃である。
露骨とも言えるシルバーバレットを膝にもらってしまった【4Cドッカンデイヤー】。王道楽土も全ては一炊之夢、このまま環境から忘れ去られ、ちょっとした(ちょっとした?)悪名だけを残し、究極のループデッキは春の風と共に消えゆく定めなのだろうか。
否。
《U・S・A・BRELLA》1枚により【4Cドッカンデイヤー】が駆逐されたのなら、それを裏を返せば、《U・S・A・BRELLA》さえどうにかできれば【4Cドッカンデイヤー】のデッキパワー自体は今でも環境トップクラスということでもある。
ならば、第一回デッキビルダーコンテスト優勝者である私が、一人のデッキビルダーとしてするべきことは何か。
作ればいいのだ。
《U・S・A・BRELLA》に強い、【4Cドッカンデイヤー】を。
駆逐してやる……! 弾丸兎を、この世から一匹残らず……!!
2.己と環境を見つめ直す~すべきことをするのだ~
新しい【4Cドッカンデイヤー】を作るための雛形として、まずは現在私が使用している【4Cドッカンデイヤー】を紹介する。
ほぼテンプレに近い構築なので叩き台としてはこの上ないデッキのはずだ。
メインデッキ 40枚
【マナブースト 17枚】《フェアリー・ライフ》×4《霞み妖精ジャスミン》×4《イチゴッチ・タンク/レッツ・ゴイチゴ》×1《天災 デドダム》×4《κβバライフ》×4
【GR召喚用カード 13枚】《MEGATOON・ドッカンデイヤー》×4《"魔神轟怒"万軍投》×4《BAKUOOON・ミッツァイル》×1《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》×4
【除去カード 8枚】《斬罪 シ蔑ザンド》×3《テック団の波壊Go!》×4《ひみつのフィナーレ!》×1
【フィニッシュ用パーツ 2枚】《龍素記号Sr スペルサイクリカ》×2
超GRゾーン 12枚
【テンプレ 12枚】《ヨミジ 丁-二式》×2《マリゴルドⅢ》×2《クリスマⅢ》×2《天啓 CX-20》×1《サザン・エー》×2《カット 丙-二式》×2《アカカゲ・レッドシャドウ》×1
超次元ゾーン 8枚
【適当 8枚】
《その先の未来へ、カミヤ・ミキ・ユア・ナルハ/エンジョイプレイ!みんなの遊び場!GANG PARADE!》×1
《愛しい場所、マイカ・月ノ・ハルナ/エンジョイプレイ!みんなの遊び場!GANG PARADE!》×1
《道玄坂マングース、ココ・ユユ・ドクソン/エンジョイプレイ!みんなの遊び場!GANG PARADE!》×1
《時空の英雄アンタッチャブル/変幻の覚醒者アンタッチャブル・パワード》×1
《イオの伝道師ガガ・パックン/貪欲バリバリ・パックンガー》×1
《時空の戦猫シンカイヤヌス/時空の戦猫ヤヌスグレンオー》×1
《アクア・カスケード<ZABUUUN・クルーザー>/弩級合身!ジェット・カスケード・アタック》×1
《勝利のプリンプリン/唯我独尊ガイアール・オレドラゴン》×1
以降はこのデッキレシピを基盤として構築を弄っていくものとする。
一般に流通しているレシピとの違いは「ループ後のフィニッシュルート取り」「《κβバライフ》のバリューを最大化するために《サザン・エー》と《天啓 CX-20》の枚数を逆転」辺りだろうか。いずれも融通が容易な部分であるため、デッキ調整にさほど影響は与えないはずだ。
ここでコンセンサスを取っておかないと今後の読解が非常に難しくなると思われるので、一応ここでフィニッシュルートの説明をしておく。
最大のキーパーツとなるカードは《ヨミジ 丁-二式》。
大前提として、ありとあらゆる手段を駆使して
- 全てのGRクリーチャーがバトルゾーンに出切っており、超GRが空である
- 《ヨミジ 丁-二式》のマナドライブを達成し、バトルゾーンに出た時の効果が待機している状態である
- 他に火文明、自然文明のマナドライブも達成している
- 墓地に《斬罪 シ蔑ザンド》《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》の2枚を揃える
この条件を整える。
ここまで来たら無限ループが発生し、対戦相手の山札は尽き、花は枯れ、鳥は空を捨て、人はほほえみなくすだろう。君の勝ちだ。相変わらずすげえ力だな、ジョーカー!
まずはデュエル・マスターズの「同時に効果が誘発した場合は効果のコントローラーが自由に処理順を選べる」「その処理により更に効果が誘発した場合、その効果も効果処理に加わり自由に順番を選べる」ルールを悪用し、《斬罪 シ蔑ザンド》の効果を無限にストックする手順を説明する。
以下にその方法を記す。
- 《ヨミジ 丁-二式》の効果を使用、このカード自身を破壊し、墓地から《斬罪 シ蔑ザンド》をバトルゾーンに出す。超GRが空なので超GRの一番上が《ヨミジ 丁-二式》に固定される。《斬罪 シ蔑ザンド》の効果が1つ待機する。
- オレガ・オーラの規定の効果でGR召喚、☆「超GRが空で、効果を使用できる《ヨミジ 丁-二式》に《斬罪 シ蔑ザンド》がついた状態」になる。
- 《ヨミジ 丁-二式》の効果を使用、このカード自身を破壊し、破壊される時に一緒に墓地に送られた《斬罪 シ蔑ザンド》を墓地からバトルゾーンに出す。超GRが空なので超GRの一番上が《ヨミジ 丁-二式》に固定される。《斬罪 シ蔑ザンド》の効果が1つ待機する。
- オレガ・オーラの規定の効果でGR召喚すると、《斬罪 シ蔑ザンド》の効果が1つ増えた以外は☆の状態までバトルゾーンが戻る
わかりやすく起こる現象だけを説明すると、「超GRが空なら破壊された《ヨミジ 丁-二式》が即出てくる状態になるから、オレガ・オーラを釣って自壊させて即釣ると出た時能力を無限待機できるよね」である。
……なんでこれが起こって許されると思ったんだ……?
閑話休題(それはそれとして)。デュエル・マスターズは「特定の状態Aから行動を繰り返した結果、ゲームの状況がAに戻ることを証明できるなら、そこに戻すまでの行動を任意回行ったものとして処理してもよい」というルールがあるため、一連の行動によって《斬罪 シ蔑ザンド》を100億回くらい出し入れし、《斬罪 シ蔑ザンド》の効果を100億回待機させることで「無限に自分のクリーチャーを破壊できる状況」を作れる。
それが完成したら次は無限にGR召喚効果を待機させる。ここでキーパーツとなるカードは《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》である。
以下にループ過程を記す。以下「GR召喚を行う効果が待機している個数」を「GRストック」と表現する。
- 先程の☆の状態からスタート、《ヨミジ 丁-二式》を破壊し《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》をバトルゾーンに出す。バトルゾーンに出た時の効果でGRストックが1つ増える
- 《斬罪 シ蔑ザンド》の効果を1回使用、《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》を破壊する。バトルゾーンを離れた時の効果でGRストックが1つ増え、★「墓地に《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》が存在し、超GRの一番上が《ヨミジ 丁-二式》で、《斬罪 シ蔑ザンド》の効果が99億99万9999回待機し、 GRストックが2つある状態」になる
- GRストックを1つ使い《ヨミジ 丁-二式》をGR召喚、破壊して《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》をバトルゾーンに出す。バトルゾーンに出た時の効果でGRストックが1つ増える
- 《斬罪 シ蔑ザンド》の効果を1回使用、《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》を破壊する。バトルゾーンを離れた時の効果でGRストックが1つ増えると、《斬罪 シ蔑ザンド》の回数が1回減り、GRストックが1つ増えた以外は★の状態まで戻る
わかりやすく起こる現象だけを説明すると「GR召喚1回で《ヨミジ 丁-二式》を経由して《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》を用意できて、それを即座に破壊できるならGR召喚2回分になるから、無限破壊さえ用意できれば無限GR召喚だよね」である。
これにより《斬罪 シ蔑ザンド》の効果回数とGRストックを好きなだけ交換できるようになった。とりあえず50億個ずつ割り振ることにする。不安なら100兆回ずつくらい割り振っておこう。増やせるだけ増やしておけ。「寿司 虚空編」でGR召喚回数に差をつけろ。
2つの無限ループを通ることによって「好きなだけ自分のクリーチャーを破壊できる状態」「好きなだけGR召喚を行える状態」が生まれたのが理解できるだろうか。
超GRを空にする過程で全てのGRクリーチャーはバトルゾーンに出尽くしているので、それを《斬罪 シ蔑ザンド》で破壊→GR召喚を繰り返せば、全てのGRクリーチャーのバトルゾーンに出た時の効果を使い放題ということになる。
また、《ヨミジ 丁-二式》の存在から「墓地のクリーチャーの出た時効果」は「GRクリーチャーの出た時効果」と同義であり、無限破壊が成立しているなら「墓地」と「バトルゾーン」は同義であるため、要するにGRでないクリーチャーのバトルゾーンに出た時効果も使い放題である。この状態を求め、そこから先は各々の方法でやりたい放題するのが【4Cドッカンデイヤー】だ。
ここまで来たらあとはミスしないだけの簡単な作業だ。まずは《クリスマⅢ》《アカカゲ・レッドシャドウ》を適宜必要な回数まで使い、「シールド0枚、山札残り1枚」の状態まで持っていく。この時《クリスマⅢ》の効果を使い、《ひみつのフィナーレ!》《龍素記号Sr スペルサイクリカ》がマナに存在しない状態を作っておくこと。マナ以外ならどこにいてもいい。
ここまで条件を揃えたら、手札のカードを《MEGATOON・ドッカンデイヤー》で全て墓地に送る。
ここまでの工程を全て成功させると、「2枚入っている《龍素記号Sr スペルサイクリカ》がバトルゾーンか墓地のどちらかに1枚は存在する」状態になる。未知のゾーンは山札の一番下のみであり、そこに《龍素記号Sr スペルサイクリカ》が存在しても2枚目はバトルゾーンか墓地にあるはずだからだ。バトルゾーンにあった場合はそのまま、墓地にあったとしても《ヨミジ 丁-二式》でバトルゾーンに引きずり出し、《斬罪 シ蔑ザンド》で破壊してデッキの一番下に送る。
ここまで来たら《クリスマⅢ》を使用して先程まで未知のデッキボトムだったカードを手札に加え、それを《MEGATOON・ドッカンデイヤー》で墓地に送ることで、仮にゲーム開始時のデッキの一番下が《ひみつのフィナーレ!》《龍素記号Sr スペルサイクリカ》のいずれかだったとしてもそれを墓地に送って◆「デッキの一番下は《龍素記号Sr スペルサイクリカ》で確定、2枚目の《龍素記号Sr スペルサイクリカ》と《ひみつのフィナーレ!》が墓地に存在する」状態が作れる。そうなったら以下の工程を50回ほど繰り返してゲームエンドだ。
- 《龍素記号Sr スペルサイクリカ》を《ヨミジ 丁-二式》でバトルゾーンに出し、効果で《ひみつのフィナーレ!》を使用。相手のデッキが1枚墓地に送られる
- 《罪斬 シ蔑ザンド》で《龍素記号Sr スペルサイクリカ》を破壊。手札に《ひみつのフィナーレ!》が存在し、デッキ2枚が両方《龍素記号Sr スペルサイクリカ》の状態になる
- 《クリスマⅢ》で《龍素記号Sr スペルサイクリカ》をマナに送り、そのまま手札に戻す
- 《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を出し入れし手札を全て捨てると、相手の山札が1枚減った以外は◆の状態まで戻る
以上が【4Cドッカンデイヤー】のフィニッシュルートである。以後のテキストは全て、「【4Cドッカンデイヤー】はこの形を目指すためのデッキである」というコンセンサスの元書かれているものとする。
改めてレシピをざっと眺めた感想としては「……いやあ、これ……《U・S・A・BRELLA》によええなあ……」に尽きる。
が、これは決して悪いフィードバックというわけではない。
パッと見で《U・S・A・BRELLA》以外の感想が出ないということは、裏を返せば《U・S・A・BRELLA》以外にはだいたい強いと言い換えることができるのだ。
たとえば《U・S・A・BRELLA》と同じく【4Cドッカンデイヤー】対策としてデザインされた《リツイーギョ #桜 #満開》辺りがわかりやすいところで、これはGR召喚を完全には停止させないので《斬罪 シ蔑ザンド》1枚で対処することができる。
【4Cドッカンデイヤー】はループパーツをほぼ全てユーティリティカードとGRクリーチャーで占めているためメインの枠にかなりの自由度があり、無限ループ、環境デッキへの対策、対策への対策、これら全てを無理なく総取りできる強靭なデッキのアキレス腱こそが最大の魅力なのである。
また、対策スロットの分で環境デッキに対して速度が劣っているという感覚もなく、むしろ「実戦的な速度」だけなら環境のどのデッキよりも速いと言っても過言ではないだろう。
さて、「実戦的な速度」とはどういう意味だろうか。
環境に存在する・かつて存在したいくつかのデッキを例示し、それらと比較した際の【4Cドッカンデイヤー】の優位性と共に確認していこう。
たとえば、前環境では局所的に【4Cドッカンデイヤー】を上回る速度を持ち、驚異の3ターンキルを実現させた【白緑ネイチャー】というデッキがあった。
このデッキはフルパワーを発揮するのに「シールドが5枚ある」必要があったため、積極的にシールドを破壊する行為がデッキを回す挙動として肯定される「キリフダッシュ」デッキが一定数存在する十王篇環境では十分なバリューを発揮できない。
また、《ヴァリアブル・ポーカー》を用いてデッキ全体を大回転させながらパーツを揃えていくという性質上受けのパーツを取りづらく、強烈な速度のアグロデッキに轢かれて死ぬパターンを甘んじて受けなければならないのも評価を下げる点である。
これでは「実戦的な速度」を出せるデッキとは言い難く、3ターンキルという名目上の数字は「理論上の最速」でしかないだろう。
また、【赤緑バーンメア】は【4Cドッカンデイヤー】に比べてキルターンが0.5ターンほど早い上に《洗脳センノー》やそれこそ《U・S・A・BRELLA》などの妨害クリーチャーによる防御性能も高く、一見して環境のベストデッキと思える。しかしこのデッキにも瑕疵があり、初動を《タイク・タイソンズ》《ヤッタレマン》+《熊四駆 ベアシガラ》のキリフダッシュパッケージに頼った代償として軽量除去やS・トリガーでの不測の事故に弱く、妨害への強度という意味ではこつこつマナブーストを繰り返していく【4Cドッカンデイヤー】に軍配が上がる。
即ち、手元で一人回しをして出せるキルターンではなく、対戦相手の妨害を突破した上で出せる最速こそが「実戦的な速度」であり、その点において【4Cドッカンデイヤー】の右に出るデッキは未だ存在しないのである。
が、「止めようのない超高速」こそが【4Cドッカンデイヤー】の魅力だとすれば、裏を返せば「何らかの事情で強烈に足をくじかれた瞬間に、【4Cドッカンデイヤー】は魅力を大きく損なう」と言い換えることができる。
即ち、現環境において【4Cドッカンデイヤー】の足をくじく存在こそが《U・S・A・BRELLA》である以上、《U・S・A・BRELLA》を討伐することこそが【4Cドッカンデイヤー】のバリューを引き上げる行為と言えるのである。
この結論は一見トートロジーに終止しているように見えるが、きちんと順を追って問題点を設定し、「【4Cドッカンデイヤー】の魅力」「《U・S・A・BRELLA》が【4Cドッカンデイヤー】において無視できない理由」を再確認したことで、以下のように目的をスコープすることができる。
- 最終目標は《U・S・A・BRELLA》を処理することができる【4Cドッカンデイヤー】である(厳密には《U・S・A・BRELLA》を無視して勝利ルートを構築できるのが理想だが、後述の理由からそこまでやる必要はない)
- そもそものデッキが強いため、より強靭なムーブや斬新なルート開拓は必要なく、根の動きは現状の【4Cドッカンデイヤー】からさほど変えなくてよい
- ただし、その分《U・S・A・BRELLA》を処理する手段は吟味する必要があり、テンポ損や本来のデッキの動きから大きく逸脱したカードを使うことなく処理するのが理想である
このように目標を定義することで、たとえば2マナブースト枠に《シビレアシダケ》互換を用いてキリフダッシュの種を作り、《勝熱龍 モモキング》で盤面を制圧する【キリフダッシュドッカンデイヤー】のような無駄な失敗を踏むことなく、より的確なカードチョイスを行えるようになる。
次の項では上の目標設定を踏まえてより具体的なカード選択に移り、実際に【4Cドッカンデイヤー】を改造していく。
なお、いやに失敗例が具体的なのは実際に組んだからである。《熊四駆 ベアシガラ》でビートプランも取れるから強いと思ったんだけどなあ。《シビレアシダケ》が弱すぎた。
3.新デッキプランの構築~啓蒙! それだ! 響いたぞ!~
さて、実際に《U・S・A・BRELLA》対策を組むにあたり、私がまず真っ先に手を付けた部分があった。
《テック団の波壊Go!》――受け札のスペースだ。
《テック団の波壊Go!》は確かに無難な受け札であり色発生の都合はいいが、こと《U・S・A・BRELLA》対策としての性能は相当に低いと言わざるを得ない。
特に7マナという実質ターンパスに近い莫大なコストを払いながら処理手段がバウンスであることがまずく、《U・S・A・BRELLA》がこちら側にとっての実質的な敗北条件である以上、対戦相手に「《U・S・A・BRELLA》を出し直して勝利」「そのまま自分の動きを突き通して勝利」の2パターンを与えているのが非常に痛い。
環境に《U・S・A・BRELLA》が存在するなら、S・トリガーの枠は手打ちの取り回しがよく《U・S・A・BRELLA》を根から処理できる《九番目の旧王》とするのが無難だろう。
続いて調整の余地があるカードは《κβバライフ》。
確かに《サザン・エー》などにアクセスしながらマナ加速をし、おまけにS・トリガーまでついているこのカードはハマれば非常に強力なのだが、《U・S・A・BRELLA》がいるとマナ加速すらできない可能性があるのが評価を大きく下げる。【4Cドッカンデイヤー】はコンスタントに2→4→6の動きを取るのが重要なデッキであるため、「テンポを著しく失う可能性のあるブーストカード」を採用するのは可能な限り控えたい。
また、S・トリガーとしての性能にも疑問が持たれ、S・トリガーを踏ませたい仮想敵である大半のビートダウンデッキには《U・S・A・BRELLA》が取られ、GRゾーンに蓋をしてからリーサルを取りにくるはずである。最低限ブロッカーの仕事をする《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》はともかく、オレガ・オーラであるこのカードがS・トリガーとして機能することは限りなく少ないと想定できる。
代替のブースト枠として私がチョイスしたカードは《機動基盤 コア・キャリバー/エレクトロ・シャワー》だ。
《フェアリー・シャワー》のほぼ上位とも言えるマナ加速能力に加え、水・自然というカラーリングが非常にありがたく、先程抜いた《テック団の波壊Go!》が供給していた水文明のスロットを自然と埋めてくれる、マイナーながら非常に取り回しのいい1枚である。
さて、ここまでの構築でデッキ内に《U・S・A・BRELLA》を処理できるカードは《九番目の旧王》3枚のみ。《U・S・A・BRELLA》が4枚投入されることを考えると、引き負けないためにそれを上回る枚数、最低でも5枚を《U・S・A・BRELLA》対策に割きたい。つまり《九番目の旧王》以外に何枚かの《U・S・A・BRELLA》対策が必要というわけだ。
ただ、この対策カードというのは《U・S・A・BRELLA》を処理できればどんなカードでもいいわけではなく、漫然と除去効果を持ったクリーチャーやマッハファイター持ちを採用するだけでは【4Cドッカンデイヤー】本来の理想的な動きが阻害され、デッキ全体のパワーを落としてしまうだろう。
ここでの「常にバリューが取れる追加の《U・S・A・BRELLA》除去」探しは非常に難航した。先程までの考察により要件定義された、以下の条件を満たすカードが全くと言っていいほど見当たらないのである。
- 《U・S・A・BRELLA》を除去することができる5マナ以上の呪文、ないしクリーチャー
- ただ除去するだけでなく【4Cドッカンデイヤー】本来の動きをサポートするカード
- 《U・S・A・BRELLA》 を即処理できるように複数枚を取っても負担にならないカード
- 更に、呪文である場合は使用できるターンが《U・S・A・BRELLA》の着地ターンよりも遅れるため、2手以上のテンポを取れるのが望ましい
- 何より《U・S・A・BRELLA》を使ってこない相手にも腐らず使用できなければ意味がない
たとえば《バングリッドX7》はマナ加速をしながら《U・S・A・BRELLA》を取れるため、一見有効な対策カードに思える。実際《洗脳センノー》全盛期は使っていた。しかしアタックトリガーでのマナ加速が有用になるのは4マナ域のみであり(4マナ域以降はマナ加速してから《"魔神轟怒"万軍投》を打ちたいため、メインステップを飛ばしてマナ加速する意味は薄い)、従ってこのカードが最大バリューを取れるのは3~4ターン目のみである。《U・S・A・BRELLA》はどのタイミングで出てきても負け筋になりうるカードなので、後半にほぼバニラのマッハファイターになる《バングリッドX7》は「【4Cドッカンデイヤー】本来の動きをサポートしているか」の要件を満たしていないと言える。その上《バングリッドX7》は相手がクリーチャーを展開してこなかった場合にマナ加速ができず、2→4→6のムーブを成立させないため、「《U・S・A・BRELLA》以外に仕事をできるか」の要件も満たせない、【4Cドッカンデイヤー】の視点では汎用性が低いカードであると判断できる。
このように、一見強力そうに見えるカードでも【4Cドッカンデイヤー】の速度が早すぎ、動きがあまりにタイトであるが故に採用候補から次々とこぼれ落ちてしまうのである。
で、あれば、どのような除去カードなら【4Cドッカンデイヤー】での使用に耐えうるスペックを持っているのだろうか。
2面除去して一気にテンポを取りながら手札も稼げる《“乱振”舞神 G・W・D》? 否。《U・S・A・BRELLA》を除去するためだけにシールドを1枚攻撃するリスクは計り知れず、「シールドを攻撃せずにゲームを終わらせられる」【4Cドッカンデイヤー】のメリットを投げ捨てることになるのは全く好ましくない。
除去しながら《龍素記号Sr スペルサイクリカ》を蘇生できる《襲来、鬼札王国!》? 否。鬼タイムに入れるかどうかが相手任せな上に鬼タイムできなければ《デーモン・ハンド》以下。1アクション使って除去して終わりなら《九番目の旧王》でいい。
《U・S・A・BRELLA》を除去しながら手札を捨てることでマスターG・O・D・Sをサポートできる《ギガグラウ》? 正気か?
迷走に迷走を重ね、調整は難航していく。おそらく現代のデュエル・マスターズに私が求めるスペックのカードは存在しないだろう。これはプールの発掘不足とかそういう話ではなく、単純に査定の問題だ。
そもそも《U・S・A・BRELLA》が突きつけてきた要件がかなり無茶なのだ。3マナで出てくるカードに対して許容されるテンポロスはせいぜいが5マナ。5マナのカードでアドバンテージを取りながらクリーチャーを除去するなど、そんな都合のいい話がそうそうあるわけないのだ。くそっ、なんで3マナなんだよあの《U・S・A・BRELLA》ってカード! 作った奴の家族が不幸になれ!
やはり【4Cドッカンデイヤー】は過去のデッキ、泣きながら《九番目の旧王》で盤面を処理してターンエンドと言うしかないのだろうか。ああ、こんな時に外付けで除去呪文にGR召喚を付与できるカードがあれば……。
あった。
《零龍》を構成するパーツの一つ、《手札の儀》だ。
逆転の発想だ。《U・S・A・BRELLA》を取りながらGR召喚することが不可能なら、別のテキストをGR召喚と読み替えてしまえばいい。即ち、《零龍》を採用することで、相手の手札をゼロにすることがクリーチャーの展開に繋がるようになるのだ。
これなら条件は一気に緩和され、手札破壊と除去を兼ねるカードが全て採用候補として立ち上がってくる。そして都合がいいことに、相手の手札を減らしながら除去するカードにはぴったりの心当たりがあった。
《絶望と反魂と滅殺の決断》。
《U・S・A・BRELLA》を都合よく処理できるパワー-4000に加え、墓地からもう一度使用できるテキストを持つため、実質的にカード1枚で4枚のカードを墓地に送っている計算になる。《零龍》の初期手札+1枚を加味してもこれなら十分に相手のリソースを奪い切り、《手札の儀》でGR召喚を行うことができる。
また、《天災 デドダム》で墓地に送ることで使用準備を整えられるこのカードは、少ない枚数でも通常の除去カードに比べて使用できる機会が多く、実質的に積み増しているようなものなので「複数枚を取って負担にならないか」を間接的にクリア。どんな相手にも腐らない手札破壊×2のモードを持ち、このモードによる妨害もそのまま《手札の儀》の達成に繋がるため、「《U・S・A・BRELLA》以外に仕事をできるか」の要件もクリア。
《絶望と反魂と滅殺の決断》+《零龍》のパッケージは先程リストアップした要件を全てクリアした、まさに《U・S・A・BRELLA》時代の【4Cドッカンデイヤー】におけるベストカードだと言える。
これで《U・S・A・BRELLA》対策は完璧……となったところで、《零龍》投入に伴う新たな問題が浮上した。
同型に勝てないのである。
ものすごく当たり前の話をするが、《零龍》を使っていないプレイヤーと使ったプレイヤーが対戦すると、それだけでカードカウントに1枚の開きが出る。
帳面上の数字は《破壊の儀》ですぐに取り戻せるのだが、「ただ《MEGATOON・ドッカンデイヤー》のGR回数に貢献するだけの手札1枚」と「ゲーム開始時から手札が1枚拡張され、マナ置きの融通が効きやすくなる権利」とではアドバンテージ量に雲泥の差があるのである。全員このデッキ使えば解決するんだけど、そうしたら僕が普通の【4Cドッカンデイヤー】握ってシャクる側になる
このまま《零龍》入り【4Cドッカンデイヤー】を突き進めるのなら、同型相手に置けば勝てるレベルの露骨な対策カードを取らなければならないのだが、そんな都合のいいカードがあるわけ……。
あるわけ……。
ある……わけ……。
……。
4.デッキレシピ紹介~舞い降りた私が君を浅葱色に染めきった~
メインデッキ 40枚
【マナブースト 16枚】《フェアリー・ライフ》×4《霞み妖精ジャスミン》×2《悪魔妖精ベラドンナ》×3《天災 デドダム》×4《機動基盤 コア・キャリバー/エレクトロ・シャワー》×3
【GR召喚用カード 11枚】《MEGATOON・ドッカンデイヤー》×4《"魔神轟怒"万軍投》×4《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》×3
【除去・妨害カード 11枚】《斬罪 シ蔑ザンド》×3《九番目の旧王》×3《絶望と反魂と滅殺の決断》×2《U・S・A・BRELLA》×2《ひみつのフィナーレ!》×1
【フィニッシュ用パーツ 2枚】《龍素記号Sr スペルサイクリカ》×2
初期配置カード 1枚
《滅亡の起源 零無/零龍》×1
超GRゾーン 12枚
【テンプレ 12枚】《ヨミジ 丁-二式》×2《マリゴルドⅢ》×2《クリスマⅢ》×2《天啓 CX-20》×2《サザン・エー》×1《カット 丙-二式》×2《アカカゲ・レッドシャドウ》×1
超次元ゾーン 8枚
【適当 8枚】
《その先の未来へ、カミヤ・ミキ・ユア・ナルハ/エンジョイプレイ!みんなの遊び場!GANG PARADE!》×1
《愛しい場所、マイカ・月ノ・ハルナ/エンジョイプレイ!みんなの遊び場!GANG PARADE!》×1
《道玄坂マングース、ココ・ユユ・ドクソン/エンジョイプレイ!みんなの遊び場!GANG PARADE!》×1
《時空の英雄アンタッチャブル/変幻の覚醒者アンタッチャブル・パワード》×1
《イオの伝道師ガガ・パックン/貪欲バリバリ・パックンガー》×1
《時空の戦猫シンカイヤヌス/時空の戦猫ヤヌスグレンオー》×1
《アクア・カスケード<ZABUUUN・クルーザー>/弩級合身!ジェット・カスケード・アタック》×1
《勝利のプリンプリン/唯我独尊ガイアール・オレドラゴン》×1
何か問題でも?
この項ではデッキレシピ紹介とともにデッキ内のカードの使い方や枚数の理由などを説明していく。
また、【4Cドッカンデイヤー】はマナ・手札・墓地のカードを効率よく循環させて超GRを空にするデッキのため、それぞれのカードが各ゾーンに存在する際の立ち回りについても記していく。
だいたい読めばわかると思うが、【4Cドッカンデイヤー】の基本かつ少しコツがいる部分として、マナタップの優先順位は「《"魔神轟怒"万軍投》のために火を残す」→「マナから離しそうなカードをタップする」→「火以外の色を残す」なのを覚えておくと理解がよりスムーズになる。どうせ5ターン目以後は《"魔神轟怒"万軍投》《MEGATOON・ドッカンデイヤー》以外のカードにマナを使わないためだ。
【マナ加速カード 16枚】
2→4→6の動きを確実に遂行したいため2マナブーストを9枚、3ターン目に打つブーストを7枚採用している。ブーストの枚数はやや少なめだが、《U・S・A・BRELLA》という3ターン目最強ムーブを得たため問題ない。
《フェアリー・ライフ》×4
概要2マナブースト唯一のS・トリガー。このデッキのS・トリガーは《墓地の儀》の誘発フラグになってカウンター《零龍》を成立させられるため他のブーストより優先順位が高く、4枚の採用。
手札8マナ(《マリゴルドⅢ》を使ってなお7マナが残る形)貯まるまではこのカードをマナに置くより山札から未知のカードをマナに入れた方が強いため、打てる時に打っていい。8マナ以降は《MEGATOON・ドッカンデイヤー》のGR材にした方が強いためキープ。
マナ《マリゴルドⅢ》で触れず、《クリスマⅢ》でも触る価値がないレベルの弱いカードのため、ギリギリまでタップしない方がいい。
墓地一応呪文なので《龍素記号Sr スペルサイクリカ》で釣れないこともないが、めちゃくちゃ弱いのでまずやらない。手札1枚+マナ1枚が欲しいなら《天災 デドダム》でも釣ってろ。
《霞み妖精ジャスミン》×2
概要2マナブースト、かつクリーチャー。《音奏 プーンギ》に強いのが利点。《悪魔妖精ベラドンナ》との枚数調整で2枚。
手札《フェアリー・ライフ》と同じ使い方でよし。最悪《破壊の儀》のカウントになるため、《フェアリー・ライフ》と両方を手札にキープしている場合、《フェアリー・ライフ》の方を優先して打ちたい。
マナ《マリゴルドⅢ》から引きずり出すと運次第でアンタップマナを増やせ、奇跡のようなルートから《"魔神轟怒"万軍投》を唱えられる可能性があるため、タップする優先度はまあまあ高い。
墓地一応《ヨミジ 丁-二式》で釣れるが、他にもっといいクリーチャーがいる場合がほとんど。
《悪魔妖精ベラドンナ》×3
概要9枚目の2マナブーストだが、ハンデスを行い《手札の儀》を近づけるという仕事があるためカードパワーは他2種と桁違い。パワーだけを見るなら4枚積みたいが、多色ゆえの事故が怖いため3枚の投入。《霞み妖精ジャスミン》よりは多く取ったという自分への言い訳。 自分で【4Cドッカンデイヤー】を弄りたくなった人のために記しておくが、《悪魔妖精ベラドンナ》(あるいは同じマナ色の《ダーク・ライフ》)を採用するならS・トリガーは《テック団の波壊Go!》でなく《九番目の旧王》にした方が絶対にいい。《テック団の波壊Go!》は1ターン目にマナに置きたいカードであるが、《テック団の波壊Go!》→《悪魔妖精ベラドンナ》と繋げるにはもう1枚の緑単色……要するに2マナブーストが必要となり、《悪魔妖精ベラドンナ》を実質的に2マナブーストとしてカウントできなくなるからだ。また、同じく1ターン目のマナ置き候補である《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》→《悪魔妖精ベラドンナ》と繋げる場合も闇単色のカード、要するに《九番目の旧王》があった方が都合がいい。
手札
使いみちが多いため、他にブーストがあるなら2マナブーストとしての仕事はギリギリまで引っ張りたい。このデッキの自然単色は全て2マナブーストなので、他にブーストがなくて初手に自然マナが存在しない場合はマナに置いた方が受けが広くなる。
マナ《霞み妖精ジャスミン》と同じ仕事はできるが、色の使い勝手がいいためマナに置きっぱなしの方が無難。一応《マリゴルドⅢ》から確実に手札破壊に繋げられる唯一のカード。
墓地どうしてもハンデスしたいカードがある時は《ヨミジ 丁-二式》で釣ると手札破壊に繋げられる。《手札の儀》と《復活の儀》を同時に達成することで次の《ヨミジ 丁-二式》に繋げつつバリューを上げられるのはかなり面白い動き。また、《絶望と反魂と滅殺の決断》の手札破壊よりもこのカードの手札破壊の方が上質なので、墓地にあるなら手札破壊モードより蘇生モードでこのカードを釣った方がいい。
《天災 デドダム》×4
概要手札・墓地・マナを一気に調整してループに入る準備を大きく進めてくれる上に、マナに置けば3色を生成して【4Cドッカンデイヤー】のはちゃめちゃなマナ基盤を支えてくれるこのデッキ随一のパワーカード。減らす理由がないので4。なんなら《機動基盤 コア・キャリバー/エレクトロ・シャワー》の枠もこれ。
手札いくら強いといえどこのカードの着地は2→4→6を決めることに優先されないので、「初手だけで2ターン目にブースト→3ターン目に《天災 デドダム》着地までのルートが見えている」時以外はマナに置いてマナドライブを支えてもらう。未練がましく手札に残しておくとタップインが負債になりがちなので、勇気を持ってマナに置く度胸がこのデッキの序盤に最も必要なものである。4ターン目に《天災 デドダム》→7マナ作って《"魔神轟怒"万軍投》は4キルを狙う時のほぼ必須要件なので、2→4→6ができる時は4ターン目以後のムーブとして積極的にキープしたい。非常に強力なムーブなので、3ターン目に《天災 デドダム》か《エレクトロ・シャワー》か選べる贅沢なハンドの時は《エレクトロ・シャワー》を優先して打つなどして狙っていこう。
マナ《霞み妖精ジャスミン》が担っていた《マリゴルドⅢ》から出してアンタップマナを増やす仕事を、3枚ルックでより確実にこなしてくれる。手札に2枚目の《"魔神轟怒"万軍投》がなくてもこのカードが持ってきてくれる可能性があるため、特に理由がなければ優先してタップしたい。
墓地さすがに《龍素記号Sr スペルサイクリカ》チャンスのある《ヨミジ 丁-二式》から釣るにはややパワー不足なので、《天災 デドダム》で《天災 デドダム》をめくった時はマナドライブ事故を防ぐ意味も込めて可能ならマナに置きたい。唯一の例外は4ターン目に《絶望と反魂と滅殺の決断》を打ちそう、かつ手札に《"魔神轟怒"万軍投》がない時で、この場合は《"魔神轟怒"万軍投》を探しにいくために《絶望と反魂と滅殺の決断》の蘇生モードで《天災 デドダム》を釣ることになるので、積極的に墓地に送る。
《機動基盤 コア・キャリバー/エレクトロ・シャワー》×3
概要本体は下なので、以後《エレクトロ・シャワー》の話だけする。S・トリガーがない代わりに回収するカードに融通が効くようになった《フェアリー・シャワー》の相互互換……と、思いきや、なんと《エレクトロ・シャワー》面には水文明がついていない。このデッキの水文明はほぼ全てが自然文明の金魚のフンのような多色なので、水・自然両方のタップには意外と苦心するため、色事故リスクを大きく緩和できるこのカードは実にありがたい。実質自然単色でブーストしながら種類を問わないマナ回収ができるのはこのカードのみの特権であり、単色インのために3ターン目にチャージした《"魔神轟怒"万軍投》をそのまま拾うなどのこのカードならではの動きもあるため、正直もっと使われていいカードだと思う。本当は4枚取りたいが、《U・S・A・BRELLA》を3ターン目の代替ムーブと考え3枚。
手札《天災 デドダム》が使えない時の3ターン目ムーブなので、《天災 デドダム》を打つためならマナに置いていい。2マナブーストとこのカード以外に自然文明がない場合も2ターン目ブーストの素材として埋める。入るマナがタップインのため、《天災 デドダム》のようなムーブの拡充には使いづらく、後半はマナドライブ達成のためにマナにベタ置きすることが多くなる。
マナ
《機動基盤 コア・キャリバー》面をマナから出すことはない。なるべく起こしておこう。
墓地《ヨミジ 丁-二式》からの《機動基盤 コア・キャリバー》も《龍素記号Sr スペルサイクリカ》からの《エレクトロ・シャワー》も力不足なので、あまり使うことはないと思われる。
【GR召喚用カード 11枚】
諸悪の根源。6~7マナをチャージしてからこれらのカードを使い、連鎖させるのがこのデッキ唯一の勝ち筋。
今回は必要最小限まで枚数を抑え、その分を妨害カードに割いている。
《MEGATOON・ドッカンデイヤー》×4
概要このデッキのキーパーツで、《天啓 CX-20》などで蓄積したリソースを全てGR召喚に費やす拡大再生産カード。あのネタカードがまさかここまで出世するとは……とよく言われるが、よく考えたら「全ての手札を0マナGR召喚呪文に変換している」んだから、そもそものスペックがめちゃくちゃ高いと思う。アクセスしないと話にならないので当然の4。 このカードの効果は「手札を捨て、その枚数分GR召喚する効果」ではなく、「手札を全て捨てる効果」と「手札を捨てた時にGR召喚する効果」で独立しており、これを用いたテクニックがいくつかある。最たるところは「場に《MEGATOON・ドッカンデイヤー》が2枚以上いる状態で効果を使用し、手札1枚につき2回GR召喚」で、これによりGR召喚回数を大きく増やすのが主な決めムーブ。《ヨミジ 丁-二式》と《マリゴルドⅢ》、どちらか片方だけを用いて2体並べるよりも両者を用いて2体並べる方が圧倒的に楽なので、墓地とマナに1枚ずつ《MEGATOON・ドッカンデイヤー》がいる状態が理想と考え、まだアクセスしていないゾーンに優先して送り込んでいこう。テクニックとして、《"魔神轟怒"万軍投》などで《ヨミジ 丁-二式》と《マリゴルドⅢ》が同時に出て《MEGATOON・ドッカンデイヤー》が2体並ぶ時は、1体目が出た時の効果は一旦待機し、2体が並んでから出た時効果を解決すると無駄がない。
手札強力とはいえリスクが大きいカードではあるので、4ターン目の《天啓 CX-20》で手札が5~6枚まで増えたなど、確実なフィニッシュを決められる時くらいしか手札から出さない。どちらかというとマナに置くか《"魔神轟怒"万軍投》で墓地に置くかの決断の方が重要になるだろう。基本的に墓地とマナにばらして置くのが定石だが、例外として「4ターン目5マナ、マナゾーンの火マナが《MEGATOON・ドッカンデイヤー》1枚のみ、墓地に《MEGATOON・ドッカンデイヤー》なし、火のアンタップインは手札に《MEGATOON・ドッカンデイヤー》と《"魔神轟怒"万軍投》のみ」の場合は、《天啓 CX-20》から2枚目の《"魔神轟怒"万軍投》を引いた時のことを考慮し、墓地よりもマナに2枚目の《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を送り込むことを優先する。
マナ《マリゴルドⅢ》から出す最有力候補なので、《"魔神轟怒"万軍投》を打つ時はなるべく優先してタップしたい。「最終的にマナから離れるカード」と考え、《アカカゲ・レッドシャドウ》への火マナ供給はこのカード以外にもう1枚用意しておくと心安らぐ。
墓地こちらも《ヨミジ 丁-二式》から釣る最有力候補。なるべく墓地に置いておくと動きがスムーズになる。例外が《龍素記号Sr スペルサイクリカ》を落とせている時で、こうなっていると《"魔神轟怒"万軍投》おかわりで《マリゴルドⅢ》に辿り着きやすくなるので、マナに2枚目を供給する方を優先することが多い。
《"魔神轟怒"万軍投》×4
概要4ターン目のムーブとして最強のGR召喚呪文。1ターン中に打てば打っただけコストが軽くなり、特に2枚目は4+2の6マナで2→4→6のブーストと綺麗に繋がるため、このカードを2枚使用するのが4ターン目の理想ムーブである。なるべく4ターン目に引きたく、連射が強いカードであるため4。なお、稀に忘れそうになるが、《MEGATOON・ドッカンデイヤー》でガバっと捨てた手札もマスターG・O・D・Sのコスト軽減になる。だいたい1マナで打てるようになるので、上ブレを狙ってどんな時でも赤マナを残しておく癖をつけよう。同じような理屈でマスターG・O・D・Sは《MEGATOON・ドッカンデイヤー》のGR召喚トリガーになる。
手札打ちたいのでギリギリまでキープする。2枚目まではだいたい喜び勇んでキープするが、他に火のカードがない時はどうせ2枚目を打つマナを確保できないので早めにマナ置きする。使用する際は手札をもったいがらず、常にマスターG・O・D・Sで使用するくらいの心構えで行く。1枚目の《"魔神轟怒"万軍投》がもたらすコスト軽減は長い目で見れば4マナ分になるからだ。手札やマナに2枚目を打てる目処がない時も《天災 デドダム》が絡んで手札に2枚目が舞い込んできたり、火マナがアンタップインした時のことを考えてマスターG・O・D・Sで打つ。どうせ手札を捨てた時の後悔なんて《MEGATOON・ドッカンデイヤー》のGR召喚回数が1回減るくらいのものなので、GR召喚3回分の後悔には敵わないと思おう。最悪、それが原因で手札が枯れても《手札の儀》でリカバーは効くし。
マナ《"魔神轟怒"万軍投》を打つために《"魔神轟怒"万軍投》をタップし、《クリスマⅢ》で拾う動きが本当に強いので積極的にタップする。GRクリーチャーの効果を解決している間は手札のカードを使う機会がないので、一度回りだすと一転して《アカカゲ・レッドシャドウ》用の火マナ発生カードに成り下がる。なお、ドッカンデイヤー使いなら誰もがぶち当たる「火マナが《"魔神轟怒"万軍投》と《MEGATOON・ドッカンデイヤー》1枚ずつ、どちらをタップして《"魔神轟怒"万軍投》する?」問題だが、私は基本的に「4ターン目は《"魔神轟怒"万軍投》、7マナ溜まったら《MEGATOON・ドッカンデイヤー》」と決めている。4ターン目の《マリゴルドⅢ》で《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を出すと往々にして5マナになり、マナドライブを達成できなくなるため、《天災 デドダム》などのマナ加速クリーチャーでお茶を濁す場合が多いからだ。《クリスマⅢ》が絡む前提ならそれこそ《"魔神轟怒"万軍投》を拾えばいいしね。
墓地《龍素記号Sr スペルサイクリカ》から打つために1枚は墓地に確保しておきたいが、どうせ打つのでだいたいは1枚あると思う。
《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》×3
概要ループパーツ兼受け札、おまけにマナ基盤。攻防共に優秀な【4Cドッカンデイヤー】の屋台骨だが、今回は3枚に抑えている。私の考えだが、《斬罪 シ蔑ザンド》か《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》のどちらかを減らす必要が出た時は、できれば《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》を減らしたい。GRゾーンを空にしたが墓地に《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》がない場合は《斬罪 シ蔑ザンド》で《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を出し入れすることで《天啓 CX-20》経由で《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》を探せるが、墓地に《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》のみが存在し《斬罪 シ蔑ザンド》がない場合は、どう頑張ってもGR回数の大幅な水増しができないからだ。《κβバライフ》のパラグラフでも説明したとおり《U・S・A・BRELLA》の存在から受け札としての信頼性がガタ落ちした点、水・自然のマナ基盤として《機動基盤 コア・キャリバー/エレクトロ・シャワー》が追加された点などを鑑み、今回は3枚の採用とした。
手札基本的にマナ基盤だが、妥協に妥協を重ねて7枚目の《"魔神轟怒"万軍投》にすることはある。2回目のGR召喚にラグがあるのであまり強くない。基本的に5マナしかない状況ででGR召喚する動きは死と同義なので、《スゴ腕プロジューサー》面でプレイすることはほぼない。
マナ《クリスマⅢ》でマナから引きずり出すルートの場合は余分なGR回数が必要となるので、できればループまでにマナから離しておきたい。安定してGR召喚の水増しをしつつ《斬罪 シ蔑ザンド》と組み合わせてカード2枚で3回のGR召喚を可能とするため、《マリゴルドⅢ》から出す候補としてはなかなか。積極的にタップしたい。
墓地ここに1枚ある状態がゲーム終了に必要なので、できればどこかでアクセスしておきたい。《復活の儀》で落ちるのが理想。このデッキのバトルゾーンと墓地は最終的に同義になるので《ヨミジ 丁-二式》から《スゴ腕プロジューサー》面でバトルゾーンに出すのは問題ないが、《龍素記号Sr スペルサイクリカ》で《りんご娘はさんにんっ娘》面を打って墓地→バトルゾーン→マナの移動をすると再び引きずり出すのがやや面倒なので、できれば避けた方がいい。
【除去・妨害カード 11枚】
環境のデッキに比べフリースペースが非常に多いのが【4Cドッカンデイヤー】の最も大きな利点だと感じたため、様々なカードを細かく散らして非常に枚数を多く取っている。S・トリガーを削って手打ちの妨害を多くしているが、《勝熱英雄 モモキング》に勝てるS・トリガーが取りづらいこと、最も勝ちづらい敵が殴らないデッキ筆頭の【4Cドッカンデイヤー】ミラーマッチであること、殴るデッキの筆頭である【赤緑バーンメア】はどうせ《ジェイ-SHOCKER》で蓋をしてくるためS・トリガーで返したところで敗色濃厚になることを鑑み、そもそも回させないルートを取ることにした。
《斬罪 シ蔑ザンド》×3
概要ループパーツでありながら防御カードでもある非常に取り回しのいい1枚。この枠は《百発人形マグナム》と択一だが、《百発人形マグナム》は環境的に《グレープ・ダール》の先の先を取って出すのが強いのに、そのタイミングで出すとマナ域が被っている《"魔神轟怒"万軍投》のせいで拳銃自殺してしまうのが気になったので、より安定性のある《斬罪 シ蔑ザンド》を採用した。序盤からクリーチャーを処理する行為はお互いをジリ貧に持ち込むため、本来はブーストをカットしてまで遂行する動きではないが、こと《零龍》型の場合はお互いのリソースが枯れると《手札の儀》で展開に繋がるため、テキストだけでわかる《破壊の儀》との単純な相性以外にも《零龍》とは強いシナジーを持つ。《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》のパラグラフでも説明した事情からなるべく枚数を取りたく、環境的にも【赤緑バーンメア】の《ヤッタレマン》スタートにこれを当てると強力だが、ゲーム中に2回は手打ちしないカードなので3枚。
手札無月の大罪は《マリゴルドⅢ》を使い回せるメリットなので基本的に2マナで使用する。2マナでGR召喚1回のカードはこのデッキだと唯一これだけなので、稀に奇跡を祈って空打ちすることがある……が、ブーストがない2ターン目に《クリスマⅢ》狙いで無理やり使うのはやめた方がいい。1/6に祈るよりこのカードの効果を有効に使ってお互いのスピードを落とした方が結果的に勝ちに近づくからだ。貴重な黒単色アンタップインなのでマナに置く時の取り回しは良好。このデッキの除去カードで唯一《U・S・A・BRELLA》を処理できないので、赤っぽいデッキ相手にどの除去カードをマナ置きするか悩んだ時は《斬罪 シ蔑ザンド》を優先したい。
マナ【4Cドッカンデイヤー】を使っていると肌感覚(記憶力がいい人間ならカウンティングで説明できるのだろうが、私は数秒前のことも覚えてられな……何書こうとしてたんだっけ)で「そろそろ《MEGATOON・ドッカンデイヤー》にアクセスできそうなのでこの《クリスマⅢ》は手札補充に使おう」とわかる瞬間があるのだが、そうなった時は最優先でマナから手札に拾っておきたい。墓地に存在し無限《斬罪 シ蔑ザンド》ができるようになるだけでループへの突入難度が段違いに下がるからだ。そのため、タップする優先順位はかなり高い。「マナにあれば《マリゴルドⅢ》で拾えるし別に今慌てて手札にガメなくてよくね?」などと油断することがたまにあるが、その《マリゴルドⅢ》を供給してくれるのがまさに《斬罪 シ蔑ザンド》なのだ。
墓地このカードが墓地に存在することがループの絶対条件であり、「超GRは空だが《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》がない」ループ半歩手前の盤面をループ成立まで押し上げてくれるのは《斬罪 シ蔑ザンド》なので、積極的に墓地に落としたい。《天災 デドダム》で見つかったら可能な限り墓地に送ろう。《ヨミジ 丁-二式》から釣る優先順位は低いが、《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》を破壊できればカード1枚で2回のGR召喚ができるため、稀にこのカードを出すのが最適解になることがある。
《九番目の旧王》×3
概要このデッキで最も受けとして信頼性のあるS・トリガー。-3000モードで【赤緑バーンメア】を強烈に薙ぎ払い、-12000モードで贅沢に《U・S・A・BRELLA》を溶かすことができる。4枚取っていいレベルの使い勝手の良さだが、《絶望と反魂と滅殺の決断》まで取ったことで闇単色が飽和しているので3枚。
手札まあ引いちゃったこのカードは最終的にマナに行くのだが、貴重なアンタップインであることや《U・S・A・BRELLA》の処理に使えることを考え、引いたからと即座にマナに置くのはほんの少し慎重になっていいかもしれない。
マナ
使い道皆無なのでタップは最後の最後でいい。
墓地相手の攻撃から《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》→《ヨミジ 丁-二式》→《龍素記号Sr スペルサイクリカ》と繋がった時には使うが、そのために無理やり墓地に送るほどでもない。だいたい《"魔神轟怒"万軍投》で回しに行く方が強いし。
《絶望と反魂と滅殺の決断》×2
概要このデッキのキーカードである《零龍》を支えてくれる、とてつもなく汎用性の高い除去カード。3C2+重複3モードと全6通りのモードを持ち、あまりに使い道が広範すぎるため、別パラグラフを取って全モードを解説する。《天災 デドダム》で墓地に送ることでも使用できるため、2枚以上がめくれると逆にもったいないと考え最小限の2枚。《U・S・A・BRELLA》処理班のくせにあまりに失うテンポが少なすぎるため、《U・S・A・BRELLA》入り【4Cドッカンデイヤー】が流行したら《九番目の旧王》を減らして3枚にするのも検討している。
全モード解説『ハンデス×2』単純ながら非常に有効。手札に多大なプレッシャーをかけられる。墓地から連続使用した時に最も強く、《手札の儀》達成に貢献できるなら最有力の選択肢。『蘇生×2』釣れるカードが《天災 デドダム》《悪魔妖精ベラドンナ》《斬罪 シ蔑ザンド》しか存在せず、これらに全くシナジーが存在しないため、あまりやらない。《悪魔妖精ベラドンナ》を2枚釣ると重い《スケルトン・バイス》なのでそこが狙い目か。『マイナス×2』緊急事態に非常に強い。特に《U・S・A・BRELLA》と《洗脳センノー》を同時に処理できるのはこのカード並に軽いカードだと《温泉 湯あたり地獄》くらいしかなく、汎用性はこちらがダントツで上。重ねがけして《エモG》を取れるのもポイント高し。『ハンデス+蘇生』非常に局所的な運用しかしない。手札を1枚落とせば《手札の儀》が達成するが盤面に対象がない、今《復活の儀》を達成して零龍卍誕した上で相手の手札を枯らさないと絶対に負ける、暇なのでハンデス×2を打ちたいがちょうど墓地に《悪魔妖精ベラドンナ》があったラッキー、などが狙い所か?『ハンデス+マイナス』このカードを採用した理由となるモードであり、手札から打つ時の最有力候補。盤面に除去対象が1枚しかいなくてもアド損しないのは横並び除去としては破格であり、《U・S・A・BRELLA》1枚に打っても心が全く痛まない。連続使用して手札とバトルゾーンの2面から詰めろをかけていこう。『蘇生+マイナス』普通は一番使わないモードなのだが《斬罪 シ蔑ザンド》を絡めた時の処理能力が異常に高く、《U・S・A・BRELLA》がいない盤面を突破する際の最有力候補。全てが完璧に噛み合うと「《斬罪 シ蔑ザンド》を蘇生しながら-4000(1体破壊)」→「《復活の儀》達成、それをトリガーに《墓地の儀》達成、-3000(2体破壊)」「《斬罪 シ蔑ザンド》の効果で自身とクリーチャーを1体破壊(3体破壊)」→「《破壊の儀》達成、《斬罪 シ蔑ザンド》を回収して即使用、クリーチャー破壊(4体破壊)」と動くことで、7マナ+カード1枚でクリーチャーを4体破壊しながらGR召喚を2回行うことができる。凶悪な動きなのは間違いないが、デュエル・マスターズのテキストは上から処理するため、《U・S・A・BRELLA》を処理してから蘇生ができないところだけが残念。
手札基本的に「必要なモード+余ったらハンデス」で詰めていき、手札を枯らせそうならハンデス×2という運用。相手の手札が0などの理由でどうしても暇な時は蘇生モードで《斬罪 シ蔑ザンド》をめくりGRゾーンを見に行く。
マナ《九番目の旧王》に同じ。
墓地墓地に存在しても手札にあるかのように使えるので非常に強力。できる限り《天災 デドダム》で落としておきたい。手札と墓地の両面にある時はアド損しないためつい墓地から打ちたくなりがちだが、墓地に置いて使用をちらつかせるだけで相手に「とりあえず《U・S・A・BRELLA》+1アクションを取って詰めろをかけつつ無理なくフィニッシュするためのアドバンテージ確保」の動きを取らせづらくできる、《龍素記号Sr スペルサイクリカ》の選択肢を拡充できる、自分の手札からコストの重いカードを減らすことは《手札の儀》達成に近づくなどの理由から、なるべく手札の《絶望と反魂と滅殺の決断》を優先して使用したい。
《U・S・A・BRELLA》×2
概要昨日の敵は今日の友。駆逐? 人聞きの悪いことを言わないでください! 訴えますよ!【4Cドッカンデイヤー】一点張りの対策カード、かつ《U・S・A・BRELLA》のせいで「勝っている時だけ強いカード」に成り下がった《BAKUOOON・ミッツァイル》の代替としての火マナ発生源。先攻なら【赤緑バーンメア】のJチェンジも阻害できるのでお得。強さは散々説明したのでわかってくれると思う。【4Cドッカンデイヤー】相手には1枚出せばだいたい勝てる、火単色のカードを積みすぎるとこちらの動きが悪くなるなどの理由から2枚。本当は3枚取りたいのでどうにかこうにか苦心しているところ。
手札
この手のカードのお約束だが、刺さりそうなら出す、刺さらなそうなら埋める(何も実のあることを言ってないな……)。刺さるかどうかの判断基準は後述するが、GRゾーンを用意している相手にはだいたい刺さるので、迷ったら出して損はないと思う。【4Cドッカンデイヤー】相手に刺せた時のリターンが半端でないので、少しでも怪しいと思ったらキープしておきたい。
マナ
火マナはなるべく起こしておきたい上に、マナから引きずり出すリターンも少ないのでギリギリまで使わないようにしたい。
墓地【4Cドッカンデイヤー】やそれに準ずるほどGR召喚に依存したデッキ相手なら、どうやってもフィニッシュできそうな場合を除いて積極的に《ヨミジ 丁-二式》で釣り上げて嫌がらせでゲラゲラ笑いたい。そうでないなら自分の動きを遂行した方が往々にして強い。
《ひみつのフィナーレ!》×1
概要
一応受け札カウントだが、本質はループパーツ。無限回使用して相手の山札を無限枚破壊する。無限回使用すれば勝てる呪文は掃いて捨てるほどあるのだが、不安定ながら受け札になること、火・闇・水3色が色基盤として優秀なことが他のカードと一線を画す。
たまにS・トリガーとして2枚取る人がいるが、先程からの口ぶりからわかる通り全然このカードを信用していないので1枚。
手札
7マナでギャンブルしている暇はないので、引いたら多色処理のタイミングでマナに置く。
マナ
ここで永久に火マナを発生させることが最大の仕事。マナから出てくることは無限ループ成立まで一切ないのでギリギリまで起こしておく。
墓地《龍素記号Sr スペルサイクリカ》で一応打てるけど、たぶんもっといい選択肢があると思う。
【フィニッシュ用パーツ 2枚】
要するに無限回出し入れすることで勝つためのカード。
他に書く場所がなさそうなので、ここで【4Cドッカンデイヤー】のフィニッシュパーツ選定における基本的な考え方を説明する。
覚えておくべき本質的な考え方として、フィニッシュ確度において《黒神龍ザルバ》に勝るパーツは存在しないという事実がある。
《不敗のダイハード・リュウセイ》などの敗北回避、《悠久のフォーエバー・プリンセス》系の山切れ対策、これらの無限ループ対策を全て貫通するカードは《黒神龍ザルバ》くらいのものだ。
ではなぜそれほどまでの強度を持つ《黒神龍ザルバ》型は一瞬で廃れたか。フィニッシュパーツが【4Cドッカンデイヤー】の動きに貢献しないからだ。
マナ置きを助けるわけではない黒単色、途中でうっかり出してしまうとデメリット以外の何物でもない効果、かといってボディが極端に強靭というわけでもないなど、お荷物でしかない《黒神龍ザルバ》をデッキに入れることは、そのままデッキパワーを大きく引き下げてしまうのだ。
即ち、無限ループ後のフィニッシュパーツを決める時、ひいては【4Cドッカンデイヤー】のカードを1枚1枚選定する時は、そのカードがたとえ全体の1/40といえどデッキ内の荷物になっていないかを強く意識する必要があり、このデッキのルート構築もその考えに倣っている。
《龍素記号Sr スペルサイクリカ》×2
概要このデッキのフィニッシュパーツ。どう使うかは先述したループ工程を参照。「どこが《黒神龍ザルバ》以上か」、即ち【4Cドッカンデイヤー】の動きにどこまで貢献できるかを説明すると、《ヨミジ 丁-二式》でこのカードを釣り、《"魔神轟怒"万軍投》を唱えることで3回のGR召喚ができ、擬似的な《MEGATOON・ドッカンデイヤー》として振る舞えるのが大きな利点。単に手札がない時の代替ルートとして使用できるだけでなく、使用した《"魔神轟怒"万軍投》が手札に戻ってくるため、マスターG・O・D・Sを絡めた連続使用のサポートにもなってくれる。特に1ターンで《"魔神轟怒"万軍投》→《ヨミジ 丁-二式》→《龍素記号Sr スペルサイクリカ》まで繋がればわずか6マナで9回のGR召喚が成立し、そうなってしまえばだいたい勝ちである。この驚異的な爆発力こそが《龍素記号Sr スペルサイクリカ》ルートの最大の魅力である。フィニッシュパーツとしては破壊すると山札の下に行く効果が曲者であり、2枚用意するか別途山札をシャッフルする手段を用意するかしないとループが成立しない。別途《龍素記号Xf クローチェ・フォーコ》を積むくらいなら2枚積んだ方がボトム落ちケアもできてスマートだと感じたため、今回は2枚採用している。ここまで採用してもまだデッキパワーが落ちないため、カードパワーの高いフィニッシュパーツは【4Cドッカンデイヤー】において有用なのだ。
手札マナを寝かせきると《"魔神轟怒"万軍投》連打ルートが潰れて最大の魅力が消えてしまうため、重いこのカードを手打ちすることはあまりない。マナにいるよりも墓地にいた方が有効なので、水アンタップインが必要でないならなるべくガメておき、《"魔神轟怒"万軍投》で墓地に送ろう。とはいえ墓地さえ整っていれば《九番目の旧王》であり《絶望と反魂と滅殺の決断》であり《エレクトロ・シャワー》であり……と様々な状況に対応できるカードであり、後半でトップデックしたら割と使うことになりがち。他にアクションがないなら《絶望と反魂と滅殺の決断》は自身の効果でなくこのカード経由で打ち、更なるハンデス連打を睨みたい。
マナマナにいるとあまり仕事がなく、タップの優先順位は低い。《クリスマⅢ》→《MEGATOON・ドッカンデイヤー》→《ヨミジ 丁-二式》のルートでゲームに復帰させられるが動きがやや野暮ったく、次のGR召喚が《ヨミジ 丁-二式》であることが確定していない限り、無理にマナから拾わなくてもいいだろう。
墓地一方で墓地にいると八面六臂の大活躍。《ヨミジ 丁-二式》が墓地のあらゆる呪文に化けるのは極めて強力である。《天災 デドダム》でめくれたらなるべく墓地に送りたい。
【GRクリーチャー 12枚】
このデッキのアドバンテージ源、フィニッシャー、妨害、リソース回収エトセトラ、要するに全てを担う部分。
連鎖GR召喚やルート構築のために【4Cドッカンデイヤー】の超GRは実に10枚前後が固定されており、このデッキにおいてもテンプレート的な鉄板の12枚を採用している。
《ヨミジ 丁-二式》×2
概要
このデッキのあらゆる歪みの象徴。「デメリットやろ! ガハハ!」くらいの勢いでつけたであろう自壊アイコンが完全に裏目に出ている。
最もカードパワーが高いGRクリーチャー……どころか、デュエマ史上でもトップ10くらいに入りそうなカードパワーなので当然の2投。
使い方・アドバイスこの手の展開能力を持ったGRクリーチャーでGR召喚効果を持ったクリーチャーを出し、GR召喚回数の拡大再生産を行うのが【4Cドッカンデイヤー】のループ手順。先程までの解説を参考に、GR召喚を水増しして次の《ヨミジ 丁-二式》に辿り着くことを意識して回していく。もしも6マナ時点でうっかり出てしまいバトルゾーンに定着してしまった時は、《斬罪 シ蔑ザンド》を用いて超GRに戻せるとスマート。使い方のコツとして、誘発効果の待機を応用してなるべく超GRの上の方にこのカードを送ると展開がスムーズになる。たとえば《"魔神轟怒"万軍投》で《サザン・エー》、《クリスマⅢ》、《ヨミジ 丁-二式》が出て、2体の効果と《破壊の儀》で手札を4枚増やした後に《MEGATOON・ドッカンデイヤー》で手札を全て捨てるルートを構築できたとする。この時、実際の効果の解決順は《サザン・エー》→《クリスマⅢ》→《MEGATOON・ドッカンデイヤー》となるが、まず《ヨミジ 丁-二式》を破壊して《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を蘇生し出た時効果を待機、その後に《サザン・エー》と《クリスマⅢ》を解決して手札を増やしてから《MEGATOON・ドッカンデイヤー》の効果を解決することで、強力な効果を持った《ヨミジ 丁-二式》を超GRの下から三番目に送れるようになる。
《マリゴルドⅢ》×2
概要マナ版《ヨミジ 丁-二式》。このデッキだと《龍素記号Sr スペルサイクリカ》が出せない以外はほぼ《ヨミジ 丁-二式》と出せるカードは同じ。これも展開の拡大再生産に使えるため2投。
使い方・アドバイス《天災 デドダム》などのマナを増やすカードを出すことでアンタップマナを増やし、1ターンに取れるアクション数を増やしたりマナドライブを調整したりすることができる。このデッキに2マナを増やすクリーチャーは入っていないので、このカードだけでマナドライブを水増しすることはできないので注意。このデッキで唯一のマナを減らすカードであり、《ヨミジ 丁-二式》と同時に出ると展開順次第ではマナドライブが消えることがあるため、同時に効果を解決する際は特に理由がなければ《ヨミジ 丁-二式》から解決したい。《ヨミジ 丁-二式》と異なり自壊アイコンを持っていないデメリットがあるため、《斬罪 シ蔑ザンド》で積極的に超GRに戻していけると気分がいい。この時も《ヨミジ 丁-二式》のテクニックを応用し、なるべく超GRの上に戻すようにしよう。
《クリスマⅢ》×2
概要マナドライブを水増ししてくれるGRクリーチャー。……えっ、なんで……?《κβバライフ》が入っている頃は《κβバライフ》からこれがめくれるかどうかでゲームがかなり変わるので嫌だった。6マナでの《"魔神轟怒"万軍投》はこれをめくってマナを増やし《ヨミジ 丁-二式》まで強引に辿り着くか、回収効果で《"魔神轟怒"万軍投》を回収できるかがキーになるので、めくりやすくなるように2投。
使い方・アドバイス《マリゴルドⅢ》より気軽にマナからカードを剥がし、《MEGATOON・ドッカンデイヤー》で墓地に叩き込める。適度に《斬罪 シ蔑ザンド》を回収しておこう。マナ加速として使うなら出たら出ただけ強いが、手札の水増しとして考えた時の質はめちゃくちゃ悪いので、《マリゴルドⅢ》を2回使ってなお7マナが残る9マナが貯まるまでは不要なカードを拾わないようにする。逆に9マナあったらためらわずに起動・回収を行う。一見GR召喚回数が増えも減りもしておらず、余計なカードを超GRに足しただけに見えるが、《MEGATOON・ドッカンデイヤー》が2枚揃えばGR回数をペイできるので使用した方が得をする。
《天啓 CX-20》×2
概要1枚が3枚になる。令和のアンリコ。【4Cドッカンデイヤー】における手札枚数は《MEGATOON・ドッカンデイヤー》でのGR召喚の回数に繋がるので、間接的ながら拡大再生産カードと言える。この手のカードの中で最も手札が増える枚数が多いので2投。
使い方・アドバイス特にない。見たまま使って見たまま強い。9枚も引くと山が切れる懸念があり、結局ただ超GRを太らせただけになりがちなので、《斬罪 シ蔑ザンド》で戻すプレイはあまり推奨されない。
《サザン・エー》×1
概要小さい《天啓 CX-20》。《κβバライフ》があると異常な上ブレを発生させられるが、この構築だと破壊されるデメリットのついた《天啓 CX-20》でしかない。それでも強いものは強いが、《アカカゲ・レッドシャドウ》と枠を分け合って1。
使い方・アドバイス《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を使う前提ならGRが1枚太っても2ドローでペイできるので、《クリスマⅢ》と同じく起動し得。《天啓 CX-20》と同じ理由で超GRを掘りきった後はおそらく起動しないので、なるべく超GRの下に送る。
《カット 丙-二式》×2
概要
このデッキの超GRで唯一無限ループの形成に関わらない妨害GRクリーチャー。回転率の低下を加味しても非常に妨害性能が高く、出れば相手ターンを1ターンスキップできると言っても過言ではない。この手のカードは序盤で出なければ意味がないので2投。
使い方・アドバイスめったにないが、《絶望と反魂と滅殺の決断》で《斬罪 シ蔑ザンド》と《悪魔妖精ベラドンナ》を釣ったらこのカードがめくれた、などの理由で《悪魔妖精ベラドンナ》と同時に使用できる時はランダムハンデス→見てハンデスの方が強い。見てハンデスで抜く予定のカードをランダムハンデスで破壊できたらとてもお得だからだ。無限ループに何も貢献しないので破壊する時はなるべく超GRの下に送る。ハンデスをしてもこちらの動きは何も強くならないので、《"魔神轟怒"万軍投》などの流れでめくれた時は最後の最後まで効果を使わず、他の処理が全て終わってから破壊するようにする。ハンデスは確かに強いが、理想は「破壊する必要なくそのままループが始まってゲームエンド」なのを忘れないように。
《アカカゲ・レッドシャドウ》×1
概要盾落ちケア。地味に途中でめくれても手札補充であり、仮に《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》がめくれたりしたら大宇宙。ループには1枚あれば十分であり、バリューを発揮できるかが運次第であまり信用できるカードではないので1投。
使い方・アドバイスアグロデッキ相手に盾を減らすととんでもないことになりかねないので、殴り返し要員としてバトルゾーンに放置しておくことがある。今手札を増やした方がいいかなるべく延命した方がいいかは相手のデッキがどういうシールドの割り方をするかによるので、デッキを見てアーキタイプを割り出せる知識と判断力が問われる。忘れがちだが「無限ループを形成し、《龍素記号Sr スペルサイクリカ》2枚と《ひみつのフィナーレ!》の所在がはっきりしている」状態ならこのカードは必要ないので、火マナドライブを手放しても問題ない。たまに《天啓 CX-20》でGR回数を水増しするために引いたカードを見ずに捨ててしまうことがあるが、きっちり確認して何を墓地に送ったかを把握し、適切に《MEGATOON・ドッカンデイヤー》をマナから離せるようにしたい。
【初期配置カード 1枚】
《滅亡の起源 零無/零龍》×1
概要【4Cドッカンデイヤー】が見出した新たな可能性。4つの「儀」でアドバンテージを確保し、《U・S・A・BRELLA》処理時のテンポロスを低減するのが仕事。1枚の初期手札を相手に与えるリスクは案の定厳しいが、「儀」のリターンが思っているより大きいので、感覚としては総合して得していると言っていいかもしれない。以下に各種「儀」の達成方法や具体的な使い方を記す。
《手札の儀》
概要どちらかの手札が0枚だと成立。零龍星雲の中で唯一タイミングが固定されており、一度ターン終了を挟まないとどんなにぶん回しても達成できない。逆にこの「儀」さえ達成してしまえば残りはGRクリーチャーをガチャガチャやるだけで達成できるので、手早くここを達成することが零龍卍誕の達成、ひいては全体的に見た時の防御力の上昇に繋がる。零龍卍誕を使いそうなマッチアップの場合は、序盤から条件を満たせるかどうかを意識し、達成タイミングを逃さないようにするのが重要になる。《滅亡の起源 零無/零龍》の効果で相手に1枚手札を与えており条件は厳しく見えるかもしれないが、デュエル・マスターズというゲームが全体的に手札消費の激しいルールであるため、消費の激しいデッキ相手なら《カット 丙-二式》や《絶望と反魂と滅殺の決断》を1~2回叩き込むだけで意外と達成できる。また、自分の手札でも条件を満たせるため、《サザン・エー》であえて引かない、無駄な《フェアリー・ライフ》を打つなどの方法で手札を能動的に減らすのも有効。一回《U・S・A・BRELLA》下で《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を使ってGR召喚を全部無駄にしてから零龍卍誕して、《U・S・A・BRELLA》もろとも全てを焼き尽くしたことがあって面白かった。リワードは1回のGR召喚。通常の《滅亡の起源 零無/零龍》デッキよりGRクリーチャーの密度が段違いのこのデッキにおいては非常に強力な報酬であり、手札がないため《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を活用できずこのGR召喚からゲームが終わることはまずないが、無理して減らした手札を《天啓 CX-20》で補給するなど堅実にアドバンテージを稼げる。テクニックとして、自分ターン終了時ならいつ手札が0枚になっても達成できるので、《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》をターン終了時にマナに送り、そのGR召喚で《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を出せた場合、一瞬だけ手札が0枚になるので《手札の儀》でGR召喚をおかわりできる。
《墓地の儀》
概要墓地が8枚以上になると達成。最も達成のタイミングに融通が利く「儀」であり、《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》がブロックしたり《フェアリー・ライフ》がトリガーしただけで達成される敏感肌。《MEGATOON・ドッカンデイヤー》で冗談みたいな枚数の手札を墓地に叩きつけるこのデッキなら達成に際して特に意識することはないが、重要なのはタイミング。他3つの「儀」を達成した後にこの「儀」を残しておくと、何らかのカードが墓地に送られた瞬間に零龍卍誕し、カウンターで相手のクリーチャーを全滅させられる。この「カウンター卍誕」のルートは非常に強力であり、トリガーをケアする術がなかったり場に定着した《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》をマッハファイター以外で破壊できなかったりする相手に決められると、場合によっては詰みまで持ち込める。「儀」を達成するかどうかはプレイヤーの任意なので、特に用事がなければこの「儀」は意識して残しておくといい。ただ、「カウンター卍誕」以外で勝てる地力があるのが【4Cドッカンデイヤー】のいいところであるため、こだわりすぎは厳禁。零龍卍誕とセットなので忘れられがちだが、リワードがパワー-3000となかなか高い除去性能を持つため、危なそうなら積極的に達成して盤面を取りに行くのが大事。
《破壊の儀》
概要クリーチャー3体の破壊で達成。通常のデッキはこれを取るために四苦八苦するのだが、こと自壊GRクリーチャーでデッキを回す【4Cドッカンデイヤー】において達成は極めて容易。なんならこのデッキで最も簡単な「儀」と言っても過言ではない。簡単な割にリワードが非常に大きく、墓地の闇のカードを1枚手札に戻せる。《絶望と反魂と滅殺の決断》を戻してハンデス連打を睨んだり、《悪魔妖精ベラドンナ》《斬罪 シ蔑ザンド》のような軽いカードなら戻して即使用し、《手札の儀》を狙ったり更なる盤面制圧をすることも可能。単純に《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を絡めて回している時に1回分のGR召喚権として使うのも強力なので、達成できるなら達成して手札を水増ししておこう。注意点として回収効果は強制なので、どうしても零龍卍誕が必要で慌てて「儀」をかき集めている場面では手札を増やす《破壊の儀》と手札0枚を要求する《手札の儀》がアンチシナジーを起こすことがある。いざという時に困らないように、《墓地の儀》以外の「儀」は出し惜しみせず達成できた時にさっさと達成してしまった方がいい。
《復活の儀》
概要カードを墓地からバトルゾーンに出すと達成。クリーチャーでなくてもいいので《斬罪 シ蔑ザンド》でも達成できて安心。このデッキで条件を満たせるカードは《絶望と反魂と滅殺の決断》と《ヨミジ 丁-二式》の2枚。《絶望と反魂と滅殺の決断》はコストが重く、《ヨミジ 丁-二式》は一度使ったら次にいつ条件を満たせるかわからないため、達成できそうなら達成してしまった方がいい。リワードも出し惜しみするものではなく、2枚の墓地肥やし。一見地味、かつタイミングが微妙に噛み合っていないように思えるが、《ヨミジ 丁-二式》のバリューをきっちり引き上げてくれる上に《墓地の儀》の達成をサポートしてくれるので実は重要。目に見えるカードカウントを与えてくれないだけで実は《破壊の儀》並かそれ以上にデッキの回転を助けてくれている。地味に達成が面倒、かつ相手ターン中に達成することはほぼ無理なので、「カウンター卍誕」をやると決めたら無理に《絶望と反魂と滅殺の決断》を打ってでも《復活の儀》を手早く達成してしまいたい。
零龍卍誕
概要4つの「儀」を達成すると零龍が卍誕し、このかっちょいいドラゴンの形態になる。絶対にバトルゾーンを離れない効果、ワールド・ブレイカー、バトル必勝など小学生が考えたカードみたいな効果を持っているが、フィニッシュに殴る必要がないこのデッキにおいては卍誕した時のパワーマイナスが本体。あらゆる除去耐性を貫通しクリーチャーを全滅させる能力は極めて強力であり、長引けば間違いなく勝利できる【4Cドッカンデイヤー】とゲームを一回リセットできる全体除去の相性は抜群。《墓地の儀》を絡めてカウンターで決めるのはもちろん、自分ターン中に達成し、ハンデスを絡めて確実な1ターンを買いに行くプレイや、場合によっては《U・S・A・BRELLA》1体を焼くために卍誕するプランも有効。卍誕しなくても自分の動きで勝てる【4Cドッカンデイヤー】ならではの贅沢な使い方で盤面を制圧しよう。また、「相手のS・トリガーが薄そう」「使い切った《天災 デドダム》や《マリゴルドⅢ》などがバトルゾーンに落ちており、十分なクリーチャーが並んでいる」「墓地の揃いがイマイチで、このまま回してループに行けるか微妙」などの条件が揃った場合、ごく稀にだが普通に《零龍》で殴りに行って決めることもある。もちろん非常にリスキーな動きではあるが、2つの決めパターンを兼ね備えるというのは通常の【4Cドッカンデイヤー】にない利点であり、骨太な対応力が魅力である【4Cドッカンデイヤー】に「殴りルート」という新たな対応策を与えてくれるのは《滅亡の起源 零無/零龍》運用ならではの魅力である。【キリフダッシュドッカンデイヤー】? 人聞きの悪いことを言わないでください! 訴えますよ!
超次元ゾーン
ぶっちゃけ適当。
《ひみつのフィナーレ!》で超次元呪文をめくった時にしか使わないのでそんなに気合を入れて考えてない。たぶん《時空の戦猫シンカイヤヌス/時空の戦猫ヤヌスグレンオー》しか出さないと思う。
内訳は
- ドローソースの《時空の戦猫シンカイヤヌス/時空の戦猫ヤヌスグレンオー》
- 嫌がらせの《イオの伝道師ガガ・パックン/貪欲バリバリ・パックンガー》
- ブロッカーの《アクア・カスケード<ZABUUUN・クルーザー>/弩級合身!ジェット・カスケード・アタック》
- 《超次元ホワイトグリーン・ホール》を最大化したいので《勝利のプリンプリン/唯我独尊ガイアール・オレドラゴン》
- たぶん使わないけどマッハファイターで2面除去ができそうな気がする《その先の未来へ、カミヤ・ミキ・ユア・ナルハ/エンジョイプレイ!みんなの遊び場!GANG PARADE!》
- 5マナ超次元サイクルをめくり、かつブロッカーを出したい場面でのコスト調整として《時空の英雄アンタッチャブル/変幻の覚醒者アンタッチャブル・パワード》
- 見た目が好みなので《道玄坂マングース、ココ・ユユ・ドクソン/エンジョイプレイ!みんなの遊び場!GANG PARADE!》
- 追加のブロッカー兼一応GP覚醒リンクを睨んで《愛しい場所、マイカ・月ノ・ハルナ/エンジョイプレイ!みんなの遊び場!GANG PARADE!》
の8枚。
使い方は……えーっと、《エンジョイプレイ!みんなの遊び場!GANG PARADE!》を貼ると《零龍》が即死するので、やらない方がいいよ……?
5.各マッチアップの立ち回り~邪魔しなくても君は撃たれる~
最後に、環境に頻出しやや不利を取られがちなデッキのサンプルレシピ・判別方法・対策を軽く紹介する。ここに書いてないデッキにはだいたい勝てるのでそこまで肩肘張らなくていい。
【4Cドッカンデイヤー】
色:火・自然・水・闇
キルターン:4.5~5
判別方法:なんかこっちとやってることが同じ
ミラーマッチなので本来なら同速の先攻ゲーのはずだが、《滅亡の起源 零無/零龍》が相手に無駄な速度を与えているのが非常に痛い。各種「儀」も零龍卍誕も効き目が薄いため、《滅亡の起源 零無/零龍》の悪いところだけがのしかかるマッチアップとなり、やや不利か。
このマッチアップで勝つためのキーカードは、ここまでで8億回くらい言ってきたが《U・S・A・BRELLA》。
とにかくカードを探すカード、カードを展開するカードはすべて《U・S・A・BRELLA》に回し、盤面に定着させる。《ヨミジ 丁-二式》は7~8枚のGR召喚で即ゲームエンドが可能になるまで《MEGATOON・ドッカンデイヤー》よりも《U・S・A・BRELLA》を優先する、くらいの勢いでとにかく場に置き続けよう。マジだってマジ。これで勝てるんだって。じゃなかったらこんな記事書くほど切迫してないよ。
【赤緑バーンメア】
色:火・自然
キルターン:5~6
判別方法:やたらジョーカーズが多い、キリフダッシュを構えてきた
《U・S・A・BRELLA》を取れるビートダウンの中で個人的には最も確度が高いと感じているデッキ。キリフダッシュによってサブカラーなしでデッキの回転が可能となったため、受けがやや削れた代わりに大量の蓋能力持ちクリーチャーで盤面を制圧するようになってきた。進化の方向としてはこちらに相当な向かい風。
GR+キリフダッシュデッキなので向こうにも《U・S・A・BRELLA》は刺さるが、《ムシ無視ノンノン/灰になるほどヒート》1枚で返されるため過信はしないこと。
このマッチアップのキーカードは《斬罪 シ蔑ザンド》。
序盤から《タイク・タイソンズ》を積極的に除去することで《バンオク・ロック》によるGR召喚や《バーンメア・ザ・シルバー/オラオラ・スラッシュ》を探すための《熊四駆 ベアシガラ》を止めることができ、相手の足を強く挫くことができる。
そうなってくると【赤緑バーンメア】側は蓋クリーチャーを出して時間稼ぎをしてくるようになるのだが、そこを《絶望と反魂と滅殺の決断》で咎めながらリソース削り合戦に持っていき《手札の儀》を達成、カウンター卍誕を狙うのが理想的な勝ち筋である。
【アンダケインロック】
色:火・闇
キルターン:3(死亡自体はもっと遅いが、向こうがゲーム終了条件を揃えてくるのはこの辺り)
判別方法:《滅亡の起源 零無/零龍》があり、動きが異様
無理!
別に《不敵怪人アンダケイン》ギミックだけなら《U・S・A・BRELLA》でどうにでもなるのだが、ついでのように入っている墓地ソースギミックが本当に無理。GR召喚封じとマナロックを同時にやらないでください。悪意がある。
正直この構築で勝つのは無理があるので、どうしても勝ちたいならマナの色を調整して《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー/お清めシャラップ》を積むか、《サザン・エー》《カット 丙-二式》のどちらかを減らして《ポクタマたま》を積むくらいしかないと思う。フルに回られるとGR召喚できるかさえ怪しくなってくるので《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー/お清めシャラップ》の方が対策としての質は高いが、このデッキは水マナの発生がかなりギリギリなので、《絶望と反魂と滅殺の決断》型を続けるなら《ポクタマたま》の方がおすすめ。
デュエル・マスターズはサイドボードのないゲームなので、正直こういうこともある。幸いなことに驚くほど安定しないデッキなので、予選でとんでもない事故をして全員消え去ってくれることを神に祈ろう。このゲームに最も大事な要素は信心深さである(実質テーロス・ブロック)。
……えー、どうしても勝ちたいの? えーっと……手札の要求条件が異様に厳しいデッキだし、向こうのツモが死ぬことを祈って《絶望と反魂と滅殺の決断》経由の《悪魔妖精ベラドンナ》でハンデスしまくるんじゃないかな……。《不敵怪人アンダケイン》セットが揃っちゃうとトップ何引かれても負けるからきついけど……。
6.むすびに~君の最期の言葉は~
今回の記事では《U・S・A・BRELLA》を対策するための【4Cドッカンデイヤー】の構築に成功した。
ただ、デュエル・マスターズの環境は思っているよりずっと流動的で、デュエル・マスターズのプレイヤーは思っているよりずっと賢い。
こういったアプローチは既に何人ものプレイヤーが思いついているだろうし、このデッキに強い更なるデッキの開発も水面下で進んでいるはずだ。
ならば、加速するデュエル・マスターズの環境に適応するにはどうすればいいか。
答えはシンプルである。デッキの追求を止めないことだ。
本記事は単なる「強いデッキを組めたぞわーい」という内容に終始せず、新たなデッキ構築のための雛形としての読み方もできるように構成されている。記事内で私が行ったように
- 使用したいカード、デッキ、アーキタイプの問題点を洗い出し、
- 同時に強みをリストアップすることで的確な解決手段をスコープし、
- スコープに合った要件を持つカードを柔軟な視点から探し、
- 1枚1枚のカードの採用理由、使用用途をきちんと言語化し、
- 環境デッキとのマッチアップを考察し、更なるブラッシュアップを図る
ことで、自然と新しい構築に出会えるようになるはずだ。
強いデッキを組めた時の喜びもさることながら、何より一つのデッキと真剣に向き合い、新たなソリューションに出会うのはとても楽しい。
本記事がデュエル・マスターズの奥深い楽しみ方に触れるきっかけとなり、新たなデッキを生み出す一助となれたのなら幸いである。
いつかあなた達が生み出したデッキの記事を読めることを祈って。
それでは。