目次
1 はじめに
始めましての方は始めまして。
前回のトレカライターコロシアムで記事をご覧になった方はお久しぶりです。
ぜくせろと申します。
普段はYoutubeとニコニコ動画で「とにかくフィーリングでデュエル!」というデュエル動画を投稿しております。
さて、今回はよくSNS等で耳にする「調整中」について触れていこうと思います。
この「調整中」とは何なのか、問題点は何なのかを解説していきます。
2 そもそも「調整中」とは何か
全てのゲームはルールの元に成り立っており、それを守ることで円滑で公正なゲームが遊べる訳です。
当然遊戯王にもルールは存在するわけですが、ここでカードゲーム特有の悩みが出てきます。
そう、カード1枚1枚の効果処理の仕方です。
遊戯王は (バニラを除きますが) カード1枚1枚に特有の効果がある為、この効果処理を円滑に行うためにルールが決められる訳ですが、このルールが明確に決まっていない状態を「調整中」と呼びます。
勘の良い方ならもうお気付きでしょう。
この調整中…すなわちルールが明確に決まっていない状態がどういう事かを…
3 実際何がヤバいの?
主題の通り、調整中は何がヤバいのか、何が問題なのかを実例と共に説明していきます。
とりあえず、3つほど例を挙げていきます。
※元々そういう裁定だったというエビデンスが公式的に残っていないので、信じ難いという方は「もしこういう裁定だったらまずかったね」という視点でご覧ください。
ケース1 《光と闇の竜》
《光と闇の竜》光/★8/ドラゴン族/効果ATK2800/DEF2400このカードは特殊召喚できない。このカードの属性は「闇」としても扱う。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にする。この効果でカードの発動を無効にする度に、このカードの攻撃力と守備力は500ポイントダウンする。このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。自分フィールド上のカードを全て破壊する。選択したモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。出典:遊戯王OCGカードデータベース
通称ライダー。
このカードを見るだけで、そのややこしい裁定のあるイメージから、ため息が出てしまう方もいるのではないでしょうか。
(個人的にはカッコイイし、とても好きなカードなのですが…)
このカード特有の裁定が幾つかあるのですが、それを全て詳細まで解説すると国語辞典もびっくりな文字数となってしまう為、一部のみをご紹介します。
(すみません。国語辞典もびっくりの表現は流石に拡大表現でした。)
では、このカードの持つ裁定の1つ、無効効果について以下の裁定が出ています。
Q.《光と闇の竜》の攻撃力・守備力が500未満の場合でも、『効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にする』という効果は発動しますか? A.《光と闇の竜》の『発動を無効にする』という効果は、攻撃力、もしくは守備力が500未満の場合でも発動自体はしますが、攻撃力・守備力を500ポイント下げる事ができませんので、発動を無効にするという効果は適用されません。
19/08/03時点、遊戯王OCGカードデータベースより
強制効果なので発動自体はするけど無効にはできない…といった感じです。
そりゃそうなのですが。
では、このカードが出た当時はどうだったかと言うと、以下のような裁定でした。
Q.《光と闇の竜》の攻撃力・守備力が500未満の場合でも、『効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にする』という効果は発動しますか?A.調整中。
…ん…?
調整中…?
無効にできるの…?出来ないの…?
え、この状況になっちゃったんだけど、どう処理したらいいの…?
とりあえず、調整中という事はコナミ側で無効にできるかもしれないし、できないかもしれないという協議がされてるんだな…
つまり、何回も無効にしてもいいんだな!!!!!(曲解)
という事態になってしまいます。
何となく「調整中」のヤバさが伝わったかと思います。
そう、裁定次第で決闘内容が大きく変化してしまうのに、「調整中」となっている為、上記の通りにどうしたらいいんだよ!!!!!!!!!!!!!!という状態になってしまう=正しい処理方法が誰も分らない状態であるからです。
特に大会中等のかなりシリアスな場面でこうなってしまうと大変なことになってしまう事の想像が容易いと思います。
では、次のカードに移りたいと思います。
ケース2 《王宮の弾圧》+《BF-疾風のゲイル》等
《王宮の弾圧》永続罠(禁止カード)800ライフポイントを払う事で、モンスターの特殊召喚及び、モンスターの特殊召喚を含む効果を無効にし破壊する。この効果は相手プレイヤーも使用する事ができる。出典:遊戯王OCGカードデータベース
《BF-疾風のゲイル》闇/★3/鳥獣族/チューナー/効果ATK1300/DEF400①:自分フィールドに「BF-疾風のゲイル」以外の「BF」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。②:1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの攻撃力・守備力を半分にする。出典:遊戯王OCGカードデータベース
これら2枚の組み合わせで起きた謎裁定です。
( 厳密には《六武衆の師範》等の「特殊召喚する」効果を持ったモンスターでも同じ裁定が起きていましたが、とりあえず《BF-疾風のゲイル》で説明していきます。)
その裁定が以下の通り。
Q.《BF-疾風のゲイル》の『モンスターの攻撃力・守備力を半分にする』という効果にチェーンして、《王宮の弾圧》の効果を発動して無効にすることはできますか? A.調整中
※なお、現在は(当然だが)「できない」という事になっている。
かなり大騒ぎになったので、大会に出ていた方は覚えているんじゃないでしょうか。
この裁定はつまり、「特殊召喚」という行為は行わないけど、カードテキストに「特殊召喚」って書いてあるから、特殊召喚に関係ない効果を発動した場合でも無効に出来ます?→できないと思いますが、できるかもしれないですね(調整中)。ということです。
つまり、以下のようなことになる可能性がありました。(というか、なりました。)
ぼく「あ、ゲイルの効果でコイツの攻守を半分にしたいです。」
相手「ンーーーーーーーーーーー…………………」
相手「弾圧で^^^^^^^^^^」
ぼく「は?」
ジャッジ「多分無効に出来ますね。」
ぼく「は????????」
要するに、大問題である。
しかもこの裁定は「特殊召喚する」効果を持ったカード全てに影響が及ぶことになります。
即ち、何百枚ものカードに対してこの影響が出ます。
ハァアアアアアアアアアア……………………(クソデカ溜息)
これには当時【BF】で公認大会に出ていた私も唖然。
明らかに謎な裁定で決闘者皆がコナミに対して大きな不信感を抱いた一件となりました。
では、次のカードです。
ケース3 《爆導索》
《爆導索》通常罠①:このカードと同じ縦列全てにカードが存在する場合、セットされたこのカードを発動できる。その縦列のカードを全て破壊する。出典:遊戯王OCGカードデータベース
同じ縦列のカードを全て破壊するというユニークな効果を持ったカードです。
では、このカードに起こった笑撃の裁定を見てみましょう。
Q.このカードの発動にチェーンして、このカードを対象に『魔法・罠を破壊する効果』を持つカードを使用してこのカードを破壊しました。
このカードの効果解決時、このカードは自分の墓地にあるので、その縦列にあるカード(自分のデッキ、相手のエクストラデッキ、相手のフィールド魔法)を破壊しますか?
A.調整中
!?!?!?!?!?!????!!!!???
セルフデッキロスできる上に相手のEXデッキを全部破壊できるかもしれないだなんて、「ライトロード」もびっくりです。
ちなみに、現在は元々《爆導索》があった縦列のカードを破壊するという裁定になっています。
4 最後に
この「調整中」がいかにヤバい状態かお分かりいただけたかと思います。
当時は通常プレイに影響が出るカードが多く、「わかんなくなるから使うな!!」と言われた事もあります。(マジ話)
特にヤバかったのは大会で対戦中、対戦相手とジャッジが身内な感じだった時です。
対戦中は事務局とジャッジの判断が全てになりますが、事務局が分らないと言うとジャッジの判断が全てになります。
こうなると、ジャッジは身内を勝たせたいから有利になる裁定を選ぶ…みたいな事例が起きます。起きました。(全ギレ)
現在は事務局の対応がしっかりしていますので「調整中」となっていることはないと思います。
当たり前といえば当たり前なのですが、効果処理については「できる/できないかもしれない」じゃなくて「できる/できない」でしっかりと決めておくことが大事なのだと実感しますね。
それでは、ご視聴ありがとうございました!