目次
0.はじめに
このデッキは、《ブラック・マジシャン・ガール》の正当化に全てを費やしたデッキです。意味不明な動機、意味不明な論理、意味不明なデッキレシピをお楽しみ頂けたら幸いです。
1.《ブラック・マジシャン・ガール》
☆6/闇/魔法使い/2000/1700
①:このカードの攻撃力は、お互いの墓地の「ブラック・マジシャン」「マジシャン・オブ・ブラック・カオス」の数×300アップする。
注:この記事の大部分は2019年9月23日以前に書かれています。
多くの方がご存じであろう《ブラック・マジシャン・ガール》。彼女のファンとして彼女を活かすデッキを考えたことのある方は多いでしょう。筆者もその一人ですが、浅学菲才な筆者は彼女の採用意義が中々見出せずにいました。2019年2月に登場した《師弟の絆》も《ブラック・マジシャン》とのペア採用を前提とした効果でした。非力な筆者の考える範囲では、《守護神官マナ》の助けを用いても存在意義の確立には至りませんでした。(「マジシャン・ガール」カードたちとの共演については日々研究中です。)…やはり《ブラック・マジシャン》と一緒でないと採用できないのか……?生まれてから20年近く経過した今ですら、師匠に頼りっぱなしの小娘から脱却できない……そんなことがあってよいのでしょうか。否。我々決闘者が《ブラック・マジシャン》に依存しない彼女のデッキを考え、彼女自身の存在意義を見いだすべきなのです。もちろん筆者は、そのカードが好きという点のみで十分採用する価値があるとは考えています。しかし一方で、決闘者であるからにはやはり、全ての人に胸を張って「《ブラック・マジシャン・ガール》でなければならない理由があるから彼女を採用した!!」と言い張れるようなデッキにしてみたい……。そう考え様々な言い訳シナジーを探し、ついに辿り着いたのがこのデッキです。後述しますが、膨大なカードプールで彼女にしか果たせない役割を見つけそれを実現した、いうなれば彼女の存在意義を証明したデッキです。乞うご期待。
2.3つのQで分かるこのデッキ
Q1.《竜魔導の守護者》の縛り重いけどどうすんの? →A1.諦めます。 Q2.融合をメインにするのに《強欲で金満な壺》はヤバくない? →A2.メインアタッカーは8枚あるので大丈夫です。 Q3.《ブラック・マジシャン・ガール》いる? →A3.A2の状態を実現するためには絶対に必要です。
3.デッキレシピ
※カード名などの情報はクリック・タップで確認できます。そのためカード名の枚挙は省略しました。
ありがとうDECKMAKER。
4.主要カードについて
《竜魔導の守護者》
☆4/闇/ドラゴン/1800/1300
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、このカードの効果を発動するターン、自分は融合モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、手札を1枚捨てて発動できる。デッキから「融合」通常魔法カードまたは「フュージョン」通常魔法カード1枚を手札に加える。②:EXデッキの融合モンスター1体を相手に見せて発動できる。そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスター1体を自分の墓地から選んで裏側守備表示で特殊召喚する。
このデッキの中核。融合手段・融合素材を用意して状況に応じた融合モンスターとなり攻撃に転じます。
その他のモンスターたち
余白が足りないため《竜魔導の守護者》以外のモンスターたちの関係・役割については画像1枚と少しのコメントで済ませます。
《妖醒龍ラルバウール》…《忍法 超変化の術》で相手ターンに《竜魔導の守護者》を特殊召喚した場合、自分ターンまで生存する見込みは低いです。このカードを経由すると《竜魔導の守護者》を手札に保持でき、安全に融合の準備をできます。《ダイナレスラー・パンクラトプス》…雑に強い1枚ですが、融合でモンスターが減りやすいこのデッキは特殊召喚条件を満たしやすいです。
《強欲で金満な壺》
①:自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側表示のカード3枚または6枚をランダムに裏側表示で除外して発動できる。除外したカード3枚につき1枚、自分はデッキからドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。
融合の重い消費、不安定な初動、《竜魔導の守護者》へのアクセスという大きな問題全てを解決しうる強力なドローソース。このデッキは《竜魔導の守護者》の制約回避を諦めているためEXデッキには融合モンスターしか入れません。さらに使いたいカードも多くないため、少数種類の複数投入が可能です。よって、融合モンスターの使用を前提としながら6枚除外が可能という愉快な構築となっています。《竜魔導の守護者》から全てのアタッカーを召喚できるため、多少吹き飛ぼうと何かしら召喚できるという寸法です。
《星遺物の守護竜》
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:このカードの発動時に、自分の墓地のレベル4以下のドラゴン族モンスター1体を対象にできる。その場合、そのモンスターを手札に加えるか特殊召喚する。②:1ターンに1度、自分フィールドのドラゴン族モンスター1体を対象として発動できる。その自分のモンスターの位置を、他の自分のメインモンスターゾーンに移動する。
お気に入りその1。下級ドラゴン族の蘇生・サルベージと、ドラゴン族の位置変更効果を持った永続魔法。《竜魔導の守護者》を蘇生しながら、その後はEXモンスターゾーンのドラゴン族融合モンスターをメインゾーンに退かします。《竜魔導の守護者》の蘇生は単純に強力で、《融合再生機構》が無い場面での融合に大きく貢献します。さらにこのデッキはリンクモンスターが一切採用されていないため、融合モンスターを並べることも当初は諦めていました。しかしこのカードの登場により、カードを増やしながら後続の場所を空けられるようになりました。メインアタッカーの3種全てがドラゴン族であるため、蘇生効果と合わせて謎のシナジーを形成する奇跡のカードです。しかし弱い場面もあり採用枚数は要検討です。
《融合回収》
①自分の墓地の「融合」1枚と融合召喚に使用した融合素材モンスター1体を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。
お気に入りその2。融合の消費を補い次の融合召喚を強烈にサポートするカード。このデッキでは手札コストを要求する《竜騎士ブラック・マジシャン・ガール》を扱うため、活躍の場面は多いです。実質的な発動条件が見かけ以上に重く、序中盤で腐りやすいことが登場以来難点でした。しかし《竜魔導の守護者》の登場によって簡単にサーチできるようになり、1枚採用してほしい時だけサーチという理想の使い方が可能になりました。
融合先
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》☆8/闇/ドラゴン/2800/2000 トークン以外のフィールドの闇属性モンスター×2①:このカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を選び、その攻撃力分だけこのカードの攻撃力をターン終了時までアップする。②:1ターンに1度、相手フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時まで、このカードはそのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。③:融合召喚したこのカードが破壊された場合に発動できる。相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。
《天翔の竜騎士ガイア》☆7/風/ドラゴン/2600/2100 「暗黒騎士ガイア」モンスター+ドラゴン族モンスター①:このカードはモンスターゾーンに存在する限り、カード名を「竜騎士ガイア」として扱う。②:このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分のデッキ・墓地から「螺旋槍殺」1枚を選んで手札に加える。③:このカードが相手モンスターに攻撃宣言した時に発動できる。その相手モンスターの表示形式を変更する。
《竜騎士ブラック・マジシャン・ガール》☆7/闇/ドラゴン/2600/1700 「ブラック・マジシャン・ガール」+ドラゴン族モンスターこのカードは上記カードを融合素材にした融合召喚または「ティマイオスの眼」の効果でのみ特殊召喚できる。①:1ターンに1度、手札を1枚墓地へ送り、フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。その表側表示のカードを破壊する。この効果は相手ターンでも発動できる。
信頼性の高い《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》、馬鹿にできない攻守変更・貫通・ドロー付与を持つ《天翔の竜騎士ガイア》、そしてこの2体の欠点を補う破壊効果持ちの《竜騎士ブラック・マジシャン・ガール》の3種類を採用します。状況に応じて召喚しましょう。
めくられるカード
《竜騎士ガイア》 ☆7/風/ドラゴン/2600/2100「暗黒騎士ガイア」+「カース・オブ・ドラゴン 」
《クリッチー》 ☆6/闇/魔法使い/2100/1800「クリッター」+「黒き森のウィッチ」
めくるカード。貴重なアドバンテージ源である《黒き森のウィッチ》に繋がる《クリッチー》がEXデッキから消えることはゲームエンド級の大事故であるため、《クリッチー》は3枚です。3枚では不安、あるいは《浮幽さくら》対策をしたい場合は《音楽家の帝王》と併用しましょう。
5.アレンジの余地
夢と欲望に従いすぎたため妨害が足りていません。《黒き森のウィッチ》でサーチできる《増殖するG》《原始生命態ニビル》や、《妖醒龍ラルバウール》でサーチしやすい《幻創龍ファンタズメイ》あたりを入れるのも良いでしょう。減らす候補は《召喚僧サモンプリ―スト》《龍の鏡》《ワールド・ダイナ・レスリング》《混沌の場》《超融合》《星遺物の守護竜》、忍者セットあたりでしょう。
6.《ブラック・マジシャン・ガール》の必要性
《竜魔導の守護者》から召喚できるモンスターを主軸に置き《強欲で金満な壺》での手札増強を図る以上、メインアタッカー全飛び回避のために3種類の投入は必須です。《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》《天翔の竜騎士ガイア》は決定として、残る選択肢(と相方)を列挙してみます。実際にはめくるカードを別に用意すれば出せるものが他にいますが、枠がないためめくり役を兼任できるものに限定します。
《E・HERO ブレイヴ・ネオス》(《E・HERO ネオス》)《デーモンの顕現》(《デーモンの召喚》)《竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー》(《バスター・ブレイダー》)《召喚獣カリギュラ(《召喚師アレイスター》)《ミレニアム・アイズ・サクリファイス》(《サクリファイス》)《呪符竜》(《ブラック・マジシャン》)《竜騎士ブラック・マジシャン》(《ブラック・マジシャン》)《竜騎士ブラック・マジシャン・ガール》(《ブラック・マジシャン・ガール》)
上から5体は召喚後の活躍が期待できないか、素材と《竜魔導の守護者》の相性が良くないかで採用に難があります。
《呪符竜》《竜騎士ブラック・マジシャン》ですが、前者は打点が出るだけで《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》との役割被りが気になります。後者は守りたいカードがほぼない上に、攻撃性能は打点しか評価できません。一方《竜騎士ブラック・マジシャン・ガール》なら役割被りもなく、相手ターン中の役割も持てます。
以上から全カード中、このデッキで役割を与えるなら《ブラック・マジシャン・ガール》は唯一にして最高のカードなのです。
7.衝撃の新規―おわりに
2019年9月23日21時00分。YU-GI-OH.jpにて3枚の新規カードの情報が公開されました。
なんと3種全てが《ブラック・マジシャン・ガール》を指定し、内2種は《ブラック・マジシャン》がデッキになくとも効果を存分に発揮できる仕様になっているのです。しかも強い。さらに言えばカテゴリとしての「マジシャン・ガール」に新しい光を指す部分も多く、筆者のnoteも大幅に加筆しなければなりません。…… ついに、《ブラック・マジシャン・ガール》は長い時を経て《ブラック・マジシャン》なしにデッキに採用するに足る理由を公式から授かったのです。もう彼女は自分の存在意義に悩むことなどなく、多くの決闘者から合理的な理由でデッキに投入される地位を手にしたのです。こんな歪んだデッキではなくとも。
この記事の大部分を書きえた段階で発表されたこのニュースに喜ぶと同時に困りもしました。……このデッキの存在意義が危ぶまれる……。しかし、それでいいのです。《ブラック・マジシャン・ガール》はこれを境に生まれ変わるのです。新しい世界へと旅立つ彼女へのはなむけに、このデッキを捧げましょう。彼女の為にコンセプトを決め、それを支える奇抜かつ天才的なロジックにより55枠を埋め、一部予想外のシナジーを形成し……どれをとっても意味不明なこのデッキを、トレカライターコロシアムという場を借りて彼女に捧げます。
おめでとう、《ブラック・マジシャン・ガール》