遊戯王の教科書 ~脱初心者のためのプレイング指南編~

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遊戯王の教科書 ~脱初心者のためのプレイング指南編~

目次

はじめに

初めましての方は初めまして。
かもめ先生と言います。

前回の「デッキ構築編」に続きまして、
今回は「プレイング指南編」と題して、対戦部分に関するお話をさせて頂こうと思います。
どうぞよろしくお願いします。

プレイングとは?

全く同じ内容のデッキ同士で戦った場合、勝敗を分けるものは2つあります。

1つ目は運(確率)です。
デッキ構築編でもお話しましたが、カードゲームは確率の世界です。
初心者が上級者に勝てるとすれば、この部分になるでしょう。

2つ目がプレイングです。
カードを発動する順序、効果を発動するタイミング、あえて手札に温存して機をうかがう……、
そうした状況に合わせて最適なプレイを行うための力を言います。

基本となるプレイング

プレイングの基本は「相手の立場になって考える」というものです。
自分がこのプレイをしたら、相手はどう受け取るだろうか?」という視点を持って読み進めて下さいね。

・落ち着いてカードをプレイする
全ての基本でありながら、初心者の人が最初に意識すべきことでもあります。
カードの効果を覚えて切れていない、相手のカードがどんなものか分からない、チェーンなどの知識が少ないから訳が分からないなど、
分からないことだらけで不安なのは分かりますが、まずは一呼吸して落ち着きましょう。
自分のターンであっても相手のターンであっても、自分の手札や互いのフィールド・墓地、表側表示のEXデッキ・除外ゾーンなどは、
いつでも(相手に伝えた上で)確認することができます、(いわゆる「公開情報」の確認と言います)
フリー対戦などでは特に制限時間も定められていませんので、ゆっくりと自分のペースでカードをプレイするよう心がけましょう。
自分が知り得る情報をきちんと整理して初めて、適切なカードプレイができるようになるのです。

・できるだけ手札を減らさないようにプレイする カードゲームにおいて手札は「可能性そのもの」です。 強力なカードが手札に1枚でもあれば、逆転する(逆転される)可能性があります。 自分がどれだけ攻め立てても、相手の手札1枚で積んでしまうこともままあります。(バトルフェーダーが最たる例) そしてそれは対戦相手から見ても同じで、手札が1枚でもあれば「逆転される可能性がある」という印象を与えられます。 特に遊戯王は《エフェクト・ヴェーラー》や《増殖するG》といった「手札誘発」もありますので、 そしてその手札が多ければ多いほどその可能性が高く思わせることになり、相手にプレッシャーを与えることに繋がります。 「手札が多い」というのは、その事実だけでも意味を持っているのです。

・セットカードを上手く活用しよう 遊戯王にはカードをセットするプレイがいくつかあります。 セットカードや裏側表示のカードは(一度でも表側にされていない限り)「非公開情報」と呼ばれるものに当てはまります。 先述した「手札を減らさないようなプレイ」というのも、この「非公開情報」を活用したテクニックです。 「それが何かは分からないが、『何かある』と思わせる」ことで、相手にプレッシャーを与えることができます。 手札でに来て使いどころを失ってしまった魔法・罠であっても、 《激流葬》や《聖なるバリアーミラーフォース》と一緒に伏せることで《サイクロン》で破壊されるリスクを減らしたり、そうしたカードを相手に匂わせることで相手に展開を躊躇させることもできるのです。

・モンスターを並べても気を抜かない アタッカーも並べ終わり「攻撃が通れば勝てる」状況になっても、気を抜いてはいけません。 ここまでにも散々お話しているように、相手に手札やセットされた魔法・罠が1枚でもある限り「何かある」のです。 もし相手フィールドに何もなかったとしても、2枚しか残っていない手札で逆転されるという可能性が現実的にあり得ます。 もしその2枚が《速攻のかかし》《拮抗勝負》だとすれば、相手のライフを削ることもできず、折角並べたモンスターたちも失うことになります。 そんな自体を招かないためにも、一度に大量のモンスターを展開するのではなく、 アタッカーを1、2体出して戦いながら、それらが除去されてもすぐにまた展開できるようなプレイングを心がけましょう。

カードゲーム全般、もっと言えば対戦ゲーム全般に言えることですが、
対戦相手の心理を読んで、その裏をかくというのが「駆け引き」であり、醍醐味でもあります。

自分がこのプレイをしたら、相手はどう受け取るだろうか?」ということを念頭に置きながらプレイするよう、心がけましょう。
そうして相手の心を探ることが、プレイングの向上に繋がりますし、対人ゲームの楽しさの奥深い部分でもあります。

より実践的なテクニック

さて、ここからは少し難しいプレイングのお話をしていきましょう。

クイックエフェクトに慣れよう

遊戯王には速攻魔法カードや罠カード、相手ターンで発動するカードも沢山あります。
こうした「相手ターンに発動できる効果」のことを、公式用語で「クイックエフェクト」と呼びます。
カードに記された条件を満たしていれば、自分・相手ターンのドローフェイズ、スタンバイフェイズ、メインフェイズ、バトルフェイズ、エンドフェイズのどのタイミングでも発動できます。
言葉だけ効いてもピンと来ないかもしれませんが、実際に行われる遊戯王の対戦では沢山の「クイックエフェクト」を持つカードが使われています。

  • 無効系 《エフェクト・ヴェーラー》《禁じられた聖杯》《ブレイクスルースキル》など
  • 発動無効系 《召喚獣メルカバー》《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》《トライゲート・ウィザード》など
  • 単体除去系 《強制脱出装置》《バージェストマ・ディノミスクス》など
  • 全体除去系 《つり天井》《無差別破壊》など
  • 召喚反応系 《奈落の落とし穴》《激流葬》など
  • 攻撃反応系 《聖なるバリア-ミラーフォース》《神風のバリア-エアフォース》など
  • (裏側)表示変更系 《召喚獣ライディーン》《月の書》《バージェストマ・カナディア》など
  • 攻守変動系 《オネスト》《虚栄巨影》《スキル・サクセサー》など
  • 魔法・罠除去系 《サイクロン》《ツインツイスター》《砂塵の大嵐》など
  • 除去回避系 《閃珖竜 スターダスト》《禁じられた聖槍》《我が身を盾に》など
  • 制圧系 《スキルドレイン》《魔封じの芳香》《虚無空間》など
  • 召喚無効系 《ライオウ》《神の警告》《神の宣告》など

これらの多くは「除去」や「妨害」のいずれか、またはどちらにも使えるカードたちです。
またその中には、どんなデッキに入れても困らない「汎用カード」もあります。

デッキ構築の際にいくらか余りができたのなら、自分のデッキのコンセプトと相談した上でいくつか採用し、
実際のプレイを通しながら、ゆっくりとクイックエフェクトに慣れて行くようにしましょう。

・TIPS クイックエフェクトとフリーチェーンについて  先述したようにクイックエフェクトとは、相手ターンにも発動できるカードの総称です。  基本的には速攻魔法カードや罠カード全般が、これに当てはまります。  モンスター効果の中にも「相手ターンでも発動できる」など記されたものが当てはまります。(これを誘発即時効果と言います)  さらにその中でも、自分の任意のタイミングで発動できるようなカードをフリーチェーンと言います。(非公式用語)  《和睦の使者》《虚無空間》などといった発動条件の記されていないカードが、それに当てはまります。  また《強制脱出装置》《サイクロン》などはフィールドにモンスター、魔法・罠が存在するときはいつでも発動できるので実質的なフリーチェーンのカードでもあります。  こうした「チェーン」処理のお話は、詳しく説明するとややこしくなくので今回は省かせて頂きます。  遊戯王の対戦にも慣れてプレイングの奥深さを知ったなら一度、「チェーン」や「チェーンブロック」で調べてみてください。

コンバットトリックを活用しよう

モンスターが戦闘を行う際、実は少し特別なタイミングが存在します。
バトルフェイズの間、モンスターの攻撃宣言の後、「ダメージステップ」と呼ばれるタイミングです。
実はこのタイミングは、先ほど紹介したクイックエフェクトのカードであっても、そのほとんどが発動できないのです。

唯一発動できるのは、「攻撃力・守備力を変動できる効果を持つカード」と「カードの発動を無効にするカード」のみです。
前者は先述した「攻守変動系」、後者は「発動無効系」が、それにあてはまります。

こうしたダメージステップにカードを発動するテクニックを、「コンバットトリック」と言います。(非公式用語)
コンバットトリックは、対策できるカードが限られており相手の不意を突きやすい技術でもあります。

クイックエフェクトのカードに慣れてきた方は、このコンバットトリックを上手く活用することも目指してみましょう。

マストカウンターという考え

クイックエフェクトの中でも、特に無効系や除去系のカードは相手の「妨害」にも使います。
せっかく妨害するのであれば「相手が一番嫌そうなタイミング」に発動してあげましょう。

相手の展開の初動となるカードの効果を止めたり、
相手のフィニッシャーとなるモンスターを除去したりして、
ゲームの展開を大きく変えるような(相手を追い込む)妨害を「マストカウンター」と表現します。(非公式用語)

プレイングの力が最も試されるのが、この「マストカウンターを決めることができるかどうか」という部分です。
言葉だけではイメージしにくいと思いますので、少しだけ例を紹介しながら見ていきましょう。

~実際の場面を想像して考えてみよう~ 自分のフィールドにモンスターはおらず、セットカードの中には《激流葬》があります。 こうした状況で、相手は手札から《終末の騎士》を召喚してきました。

《激流葬》

①:モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時に発動できる。フィールドのモンスターを全て破壊する。

対戦相手のデッキとの対戦は2度目なので、ここからの動きは1度見ています。
その時の展開ルートは以下の通りでした。

画像が小さくて見づらいかもしれません。 そのときは新規タブで画像を拡大して見てもらえれば幸いです。

さて、このとき《激流葬》は(1)~(11)のどこで発動するのが、適切でしょうか? (1)《終末の騎士》を召喚した時 (2)2体目の《D-HERO ディアボリックガイ》を特殊召喚した時 (3)《聖騎士の追想 イゾルデ》をリンク召喚した時 (4)《アタック・ゲイナー》を特殊召喚した時 (5)《水晶機巧-ハリファイバー》をリンク召喚した時 (6)《ジェット・シンクロン》を特殊召喚した時 (7)《リンクリボー》をリンク召喚した時 (8)《ジェット・シンクロン》の効果で自身を特殊召喚した時 (9)3体目の《D-HERO ディアボリックガイ》を特殊召喚した時 (10)《I:Pマスカレーナ》をリンク召喚した時 (11)《双穹の騎士アストラム》をリンク召喚した時

もちろん自分の手札や使用するデッキによっても変わりますが、いくつかの解答例が考えられます。 (2)までに発動すると、《聖騎士の追想 イゾルデ》が出せないのでその後の展開もされませんが、次ターン以降に同様の展開が行われる可能性が残ります。 (4)までに発動すると、次ターン以降に《聖騎士の追想 イゾルデ》からの展開は出来なくする可能性は高いですが、肝心の《水晶機巧-ハリファイバー》は使わせていません。 (9)までに発動すると次ターン以降、《水晶機巧-ハリファイバー》までの展開はできなくなりますが、《I:Pマスカレーナ》を残してしまうのが心残りです。 (10)で発動すると、次ターン以降の《聖騎士の追想 イゾルデ》と《水晶機巧-ハリファイバー》からの動きは封じた上で、《I:Pマスカレーナ》もなくなってしまったので相手はかなり辛い戦いを強いられることとなります。 このように整理していくと、相手のリソース(使用できるカード)を最も奪える(10)での発動がマストカウンターだろうと推察されます。

・TIPS リソースという概念
 リソースとは「資源」という意味の言葉です。
 カードゲームでは主に「このデュエル中に使用(再使用)できるカード」くらいの意味で用いられます。

 遊戯王にはデッキ(EXデッキ)・手札・墓地・フィールド・除外ゾーンという領域があります。
 その中でも特に「デッキ(EXデッキ)のカードを使う(使わせる)」ことを「リソースを失う(失わせる)」と表現します。
 対戦が長引いたり対戦相手に上手に妨害されてしまったりすると、デッキの展開札や攻撃札がなくなってしまい(リソースが枯れる)、勝つ手段がなくなってしまうのです。

 逆に考えれば「相手のリソースを失わせる」ことができれば、自分が勝つ確率も格段に高まると言えます。
 それを突き詰めた考え方が「マストカウンター」というテクニックなのです。

皆さんはどう考えたでしょうか?
もちろんこうした考え方は、自分の手札や使用するデッキ、自分・相手の墓地の状況などによっても変わってきます。
さらに言えば、プレイヤー一人ひとりの考えでも変わってくる部分になります。

上手に相手を妨害するためにも(また相手の妨害をかわすためにも)、
どこがマストカウンターになるか」と考えは常に持っておくようにしましょう。

おわりに

いかがだったでしょうか?
今回は基本的なプレイングと、少し発展した内容についてお話させて頂きました。

こうしたプレイングの部分は一朝一夕に身につくものではありません。
いろんなカードに触れたり、いろんな人と対戦したりを繰り返す中で、少しずつ力となっていくものであります。

そしてやはり大切なのは、「いろんな人と対戦する」という部分です。
いろんな人と対戦しながら、いろんなカードやデッキを知ったり、様々な用語や戦術を学んだりと地道な経験の積み重ねていくことが、
強くなるための最善ルートだと私は思います。(これはカードゲームだけでなく、人生においてもそうですが)

ショップに行ってフリー対戦をしたり、オフ会などの交流会に参加したり、今はそうした機会もたくさんあります。
そうした外での対戦は不安もあると思いますが、きっとそれ以上に得られるものがあるはずです。

それに一度対戦して相手の人と繋がりあえば、それからは気兼ねなく対戦することもできるのです。
そうやって色々な人たちと繋がれるというのも、カードゲームの良いところだと私は思います。

読者の皆さまのデュエルライフが、ますます充実することを切に願います。
ご精読ありがとうございました。


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