はじめに
こんにちは、カーナベルプロ所属、はみるとんです。
前回までは「デッキ構築に必要な知識」を紹介してきましたが、おもしろ読み物的なコンテンツやプレイに関わる話などもしていきたいと思います。
というわけで、今回は「なぜカードプール知識は大切か」というお話です。
目次
カードプール知識とは?
カードプールとは、「デッキ構築に使える、存在する全てのカード群」の総称であり、要するに「遊戯王カードをどのぐらい知っているのか?」というのが「カードプール知識」という事になります。
「知っている」という状態には何段階かあり
- ぼんやりと「そういうカードがある」と認識している
- カード名と効果を知っている
- ステータスや使われ方を知っている
- 裁定なども含め完璧に把握している
おおまかにこのぐらいの括りで分けることが出来ます。
今回は主に2の「カード名と効果を知っている」ぐらいのラインで話を進めていこうと思います。
テキストには全ての効果が書かれているわけではない!
多くの方は「知らないカードがあっても実際に使われた時に効果を読めば問題ないじゃん」と思うかもしれません。
当然、遊戯王は対戦中に相手の使ったカードのテキストを教えてもらう事が出来ます。
原作のように、「隠された効果がある!」という様な事態にはなりません。
例えば相手の場に《黄泉へ渡る船》が出ているとします。
《黄泉へ渡る船》
【レベル3】
【水属性/水族/効果】
(1):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に発動する。
このカードを破壊したモンスターを破壊する。
ATK/800 DEF/1400
このカードの事を知らなくても、「あぁ、破壊すると道連れにされてしまうんだな」と分かります。
このように、大抵のモンスターは出てきてから効果を読めば何が起きるのか理解する事が出来ます。
では、《仮面魔獣デス・ガーディウス》が相手の場に居るとしたらどうでしょうか?
《仮面魔獣デス・ガーディウス》
【レベル8】
【闇属性/悪魔族/特殊召喚/効果】
このカードは通常召喚できない。
「仮面呪術師カースド・ギュラ」「メルキド四面獣」の内いずれかを含む
自分フィールドのモンスター2体をリリースした場合に特殊召喚できる。
(1):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、
相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動する。
デッキから「遺言の仮面」1枚を装備カード扱いとして対象のモンスターに装備する。
ATK/3300 DEF/2500
「破壊すると『《遺言の仮面》を装備』されてしまうんだな」という事が分かります。
《遺言の仮面》って何?
装備されるとどうなるの??
そう、このモンスターは、効果が発動すると「何が起きるのか」がテキストに書かれていないのです。
当然、装備される《遺言の仮面》自体にはその処理がきちんと書かれています。
《遺言の仮面》
【通常魔法】
(1):このカードをデッキに戻してシャッフルする。
(2):このカードが「仮面魔獣デス・ガーディウス」の効果で装備されている場合、
装備モンスターのコントロールを得る。
ですが、ルール上、確認できるのは「場や墓地など、公開情報となっているカードのテキスト」だけ。《仮面魔獣デス・ガーディウス》を倒そうか悩んでいる段階ではまだ相手のデッキの中にある、《遺言の仮面》のテキストを教えてもらう事はできません。
日常に潜む様々な《遺言の仮面》
実際に対戦する上では《遺言の仮面》を見る事は滅多にありません。ですが、「発動時点では何が起こるのか分からない」というシチュエーションは、様々なカードで発生します。
「発動時点では何が起こるのか分からない」カードの事を、ここでは総称として《遺言の仮面》と呼びます。
おそらく一生で一番《遺言の仮面》の話を聞く日になると思います。
◆具体例その1《外神アザトート》
さて、突然ですが、貴方は 《外神アザトート》に関する記憶を全て失いました。 今の貴方には《外神アザトート》に誘発をケアされ先攻ワンキルされた記憶も、《星守の騎士 プトレマイオス》から出されて完封された記憶もありません(ちなみにめっちゃ短い期間でしたがプトレアザトートが出来る時期はありました)
現在相手のメインフェイズ、貴方は以下のような状況です。
- 自分の場:《ABC-ドラゴン・バスター》(攻撃表示)
- 手札:《バフォメット》
- 相手の場:《外神ナイアルラ》、《強者の苦痛》
《強者の苦痛》で《ABC-ドラゴン・バスター》の攻撃力は2200に下がっています。
2200を超えるエクシーズが出てきたら《ABC-ドラゴン・バスター》の効果で除去しよう、と思っていたところ、相手が出したのは《外神ナイアルラ》
《外神ナイアルラ》
【ランク4】
【地属性/悪魔族/エクシーズ/効果】
レベル4モンスター×2
(1):このカードがX召喚に成功した時、手札を任意の枚数捨てて発動できる。
このカードのランクは、捨てた枚数分だけ上がる。
(2):1ターンに1度、このカードがX素材を持っている場合に
自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
このカードのX素材を全て取り除き、
対象のモンスターをこのカードの下に重ねてX素材とする。
このカードの種族・属性は、この効果でX素材としたモンスターの元々の種族・属性と同じになる。
ATK/0 DEF/2600
????
なんだこの弱いモンスターは…
よくわかりませんが、相手は攻撃力0で特にアドバンテージを取る効果も除去効果も持っていないエクシーズモンスターを出してきました。
当然、こんなところに貴重な《ABC-ドラゴン・バスター》の効果を使う事はできませんね。
「召喚成功時、こちらは何もありません」
「ではそのまま《外神アザトート》をエクシーズ召喚します。」
《外神アザトート》
【ランク5】
【闇属性/悪魔族/エクシーズ/効果】
レベル5モンスター×3
このカードは自分フィールドの「外神」Xモンスターの上にこのカードを重ねてX召喚する事もできる。
このカードはX召喚の素材にできない。
(1):このカードがX召喚に成功したターン、相手はモンスターの効果を発動できない。
(2):このカードが融合・S・Xモンスターを全てX素材としている場合、
このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
相手フィールドのカードを全て破壊する。
ATK/2400 DEF/0
!?!?!?!?!?!?!?
ドラゴンバスターは除去効果を使用できなくなり、逃げる事も出来なくなってしまいました。
《外神アザトート》の存在を知っていたら、当然《外神ナイアルラ》が出た瞬間に除去するべきだと気付く事ができました。
なぜなら、《外神ナイアルラ》にはテキストに書かれていないだけで、本当は以下のような事が書いてあるからです。
「このカードの召喚が通り再び相手に優先権が回ると、召喚無効を構えていない限り《外神アザトート》が着地してモンスター効果は使えなくなります。」
テキストに実際にこう書かれていたら誰でも《外神ナイアルラ》に除去を撃つでしょう。
しかし、この文章が読み取れるのは「《外神アザトート》の存在を知っている」人だけなんです。
◆具体例その2《メタバース》
さて、突然ですが、貴方はありとあらゆるフィールド魔法に関する記憶を失いました。
《霞の谷の神風》で先攻ワンキルされた記憶も、《光虫基盤》がどう考えても9期に刷られたとは思えないテキストで戦慄した記憶ももうどこにもありません。
現在あなたのスタンバイフェイズ、以下の状況です。
- 自分の場:《有翼幻獣キマイラ》(攻撃表示)
- 手札:《融合》 《ツインツイスター》
- 相手の場:《オルターガイスト・マリオネッター》(攻撃表示)、《強者の苦痛》、伏せカード
《強者の苦痛》さえなければ《有翼幻獣キマイラ》の幻獣衝撃粉砕(キマイラ・インパクト・ダッシュ)によって《オルターガイスト・マリオネッター》を戦闘破壊出来る状況。
《ツインツイスター》をトップで引く事が出来ました。
このまま《強者の苦痛》と伏せを除去してやろう……と思っていたところ、相手が伏せカード《メタバース》を発動してきました。
《メタバース》
【通常罠】
(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を選び、手札に加えるか自分フィールドに発動する。
フィールド魔法カードを自分フィールドに発動する…?
よし、これなら効果処理後に《ツインツイスター》を撃てば《強者の苦痛》と同時に割る事が出来る!!
チェーンありません!「では《魔法族の里》を発動します。」
《魔法族の里》
【フィールド魔法】
(1):自分フィールドにのみ魔法使い族モンスターが存在する場合、
相手は魔法カードを発動できない。
(2):自分フィールドに魔法使い族モンスターが存在しない場合、
自分は魔法カードを発動できない。
!!!!
《メタバース》の処理後にはもう既に《魔法族の里》が適用されてしまっているため、《ツインツイスター》は打てなくなってしまいました。
このケースの場合、「《魔法族の里》の存在を知っている」ほか、「【オルターガイスト】などの魔法使いデッキで《メタバース》を採用する場合、《魔法族の里》が入っている可能性が高い」という情報も併せてあると、より《ツインツイスター》を撃つ選択に踏み切りやすくなるといえます。
また、「《メタバース》から貼られる可能性の高いフィールド魔法に、『先に《ツインツイスター》を撃つことが裏目になる』カードが無い」事も知っている必要があります。
《魔法族の里》の事を知っている人から見れば当然の判断に思えますが、こうして改めて考えてみるとかなり色んな情報を踏まえた上で判断しているんだと気付くことが出来ますね。
◆具体例その3 《M・HERO ダーク・ロウ》
さて、突然ですが、貴方は 《M・HERO ダーク・ロウ》に関する記憶を全て失いました。
墓地利用デッキを組んで除外効果で詰まされた記憶も、《マスク・チェンジ・セカンド》無制限時代にあらゆるデッキから飛んできてサーチを潰された記憶ももうどこにもありません。
現在相手のメインフェイズ、以下の状況です。
- 自分の場:《聖なるバリア -ミラーフォース-》
- 手札:《エフェクト・ヴェーラー》
- 相手の場:《E・HERO シャドー・ミスト》 《ミラージュ・ドラゴン》
《ミラージュ・ドラゴン》 によって《聖なるバリア -ミラーフォース-》が封じられているので、《エフェクト・ヴェーラー》によって無効にする必要があります。
しかしそれは相手がメインフェイズ終了宣言をした時でも間に合うので、他にもっとヤバい動きをされた場合に備えて《エフェクト・ヴェーラー》はギリギリまで持っておく事にしました。
ここで相手は手札から《マスク・チェンジ》を発動。
《マスク・チェンジ》
【速攻魔法】
(1):自分フィールドの「HERO」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを墓地へ送り、
そのモンスターと同じ属性の「M・HERO」モンスター1体を
エクストラデッキから特殊召喚する。
M・HEROって何……?
分からないけど、とりあえず出てきてヤバそうだったらヴェーラーを撃てばいいか……
仮に《エフェクト・ヴェーラー》が効かないような墓地発動とかの効果持ちだったら 《ミラージュ・ドラゴン》 に撃つっていう当初の目的通りで大丈夫だし……
チェーンありません!
「《M・HERO ダーク・ロウ》特殊召喚します」
《M・HERO ダーク・ロウ》
【レベル6】
【闇属性/戦士族/融合/効果】
このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
相手の墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される。
(2):1ターンに1度、相手がドローフェイズ以外で
デッキからカードを手札に加えた場合に発動できる。
相手の手札をランダムに1枚選んで除外する。
ATK/2400 DEF/1800
!!!!!!!
《エフェクト・ヴェーラー》や《増殖するG》は「墓地へ送る」のがコストなので、《M・HERO ダーク・ロウ》が居ると発動自体出来なくなります。
「闇属性のM・HEROといえば《M・HERO ダーク・ロウ》」という事を知っていれば、闇属性モンスターに《マスク・チェンジ》を撃たれた瞬間、「《M・HERO ダーク・ロウ》が出てくる前に撃っておく」という判断が出来ます。
このように、「特定の行動を封じる永続効果」を持っているモンスターを把握しておく事で、「今使わないと手遅れになる!」というような状況を事前に察知する事が出来るわけです。
《遺言の仮面》である事の見抜きやすさ
具体例その1は、《外神ナイアルラ》から直接重ねられるモンスターは《外神アザトート》しか存在しないため、「《外神ナイアルラ》が出てきたら《外神アザトート》が出てくるに違いない」という風に考える事が出来、最も予測が簡単なパターンの《遺言の仮面》です。
この予測のしやすさは「条件の厳しさ」から来ています。条件が厳しければ、必然的に「この状況になればこのカードを出してくる」という予測が立てやすいためです。
これらのカードに初見殺しをされない方法としては、「条件が厳しい変わりにリターンが大きい」というようなカードを見つける度に逐一しっかり記憶しておくという事が大切です。
そういったリターンの大きいカードは大会などで活躍している事も多いので、大会結果を参考にするのも良いでしょう。
具体例その2のような状況は、《メタバース》によってアクセスできる様々なカードの中から状況に合った正解を見抜く事によって回避できます。
全てのフィールド魔法を知っておくのが理想的ですが、とてつもない量があるので、「実際に色んなデッキに採用されているフィールド魔法」を見かける度に覚える等の意識が大切です。
具体例その3は、そもそも「HEROというデッキが何をするデッキなのか」という部分が根本的な知識として必要で、「相手の使っているテーマの強いカード・目的」を知っておく事が必要となります。
こちらもあらゆるテーマの戦い方を把握するのはとても困難なので、「出張性能が高く色んなデッキに入っているテーマ」や「大会で入賞するような流行っているテーマ」に焦点を絞ってチェックする事が大切です。
大会結果をチェックする事の有用性
大会に出るようなトーナメントプレイヤーにとって、大会結果というのは流行をチェックしたり、対戦する可能性のあるデッキの事を知るための重要な情報源ですが、大会に出ないプレイヤーにとってはあまり縁がなく、チェックしないという人も多いのではないでしょうか?
しかし、上述のように「リターンの大きいカード」「アクセス先が幅広いカード」は環境デッキにも採用されている事が多いため、これらのカードを知るための情報源として有用です。
たとえば、フィールド魔法を主体として動くデッキに《メタバース》が採用されていた場合、ついでに強力な汎用性の高いフィールド魔法が採用されている事もあります。
こういったデッキレシピを見て、「《メタバース》からは〇〇が飛んでくる可能性もあるんだな」という知識を得ることが出来ます。
逆に「こういうカードが存在しているが、実際に使っている人は殆どいない」というような情報も得る事が出来ます。
これはカードプールを眺めているだけでは得る事の出来ない知識なので、より実戦的な考察に繋がる情報といえます。
まとめ
自分が使う可能性のあるカードについて考えるのは勿論デッキ構築のために大切ですが、遊戯王は対戦ゲームである以上、ゲームに影響を及ぼすカードの半分は相手の使うカードになります。
自分が興味のないと思ったカードでも、「とりあえず読む」「効果を覚えておく」ことによって、対戦する時に役に立つ事は多いでしょう。
これは環境レベルのデッキに対しても同じ事で、「自分はガチ環境での対戦には興味がない」と思っている人も、大会結果によって「強いカード」「便利なカード」を把握する事で得られる恩恵は、環境レベルで戦う事以外にも活かされるハズなので、是非そういった情報にも幅広くアンテナを伸ばすようにしてみてください。
この記事が載っている「ガチまとめ」には様々な大会結果が載っているので、そちらを参考にするのが良いでしょう。
みんなも《遺言の仮面》には気を付けよう!