はじめに
遊戯王OCG環境では、6月にも新カードが登場し、環境はさらなる進化を遂げています。
5月からどのような変化があったか、今はどのようになっているのか、早速見ていきましょう!
目次
「最強」の定義
本記事では最強デッキを「遊戯王環境での相対的な強さ」と定義します。
Tier1とは「環境内に不利なデッキが少ない、あるいは相性差を覆しやすいデッキであり、大会で持ち込みが一番多いと予想される対策必須のデッキ」です。
Tier2とは「Tier1やTier2のデッキにある程度勝てる見込みがあり、大会でも毎回一定数いると予想されるデッキ」です。
Tier3とは「弱点が多い、デッキパワーが低いなどの理由で使用者は少ないものの、特定のメタゲームでは活躍することができるデッキ」です。
先月からのカードプールの変化
6月10日には『ANIMATION CHRONICLE 2023』、6月24日には『STRUCTURE DECK 王者の鼓動』が発売されました。
『ANIMATION CHRONICLE 2023』では歴代アニメの未OCG化カードが収録、『STRUCTURE DECK 王者の鼓動』では《レッド・デーモンズ・ドラゴン》に焦点を当てた新規カードが登場しました。
『ANIMATION CHRONICLE 2023』『STRUCTURE DECK 王者の鼓動』の新規カードでは環境への大幅な変化はありませんでした。
6月のOCG環境は、【ピュアリィ】【斬機】【ティアラメンツ】【R-ACE】など、様々なデッキを見かける環境となっています。
6月の新カードによってOCG環境には大きな変化はなかったものの、《ドロール&ロックバード》《無限泡影》などをはじめとした、環境の流行に合わせて手札誘発の採択や枚数、サイドデッキの採用カードが変わっていきました。
Tier1
【ピュアリィ】Tier1
【ピュアリィ】は、「ピュアリィ」速攻魔法を駆使して戦うエクシーズ召喚主体のテーマです。
「ピュアリィ」速攻魔法には共通効果で以下の効果があります。
『①:○○する(○○は固有効果)。さらに、以下の効果を適用できる。●自分の手札を1枚選んで捨て、デッキからレベル1の「ピュアリィ」モンスター1体を特殊召喚する。②:このカードを素材として持っている「ピュアリィ」Xモンスターは以下の効果を得る。(以降は固有効果)』
この共通効果のおかげで「ピュアリィ」速攻魔法は初動の《ピュアリィ》《ピュアリィ・リリィ》にアクセスすることが可能となっています。
《エピュアリィ・プランプ》の効果で素材を補充し、《エクスピュアリィ・ノアール》を成立させる盤面を目指します。
《エクスピュアリィ・ノアール》はエクシーズ素材を5つ以上持っていると相手が発動した効果を受けず、相手ターンにも使えるデッキボトムバウンス効果も備えているので強力な妨害にもなります。
Tier2
【斬機】Tier2
【斬機】は、EXモンスターゾーンに関する効果を持った「斬機」カードを中心とし、サイバース族特有の展開力を生かして盤面を形成するデッキです。
《斬機サーキュラー》が強力な効果を持っていて、コストとしてデッキから「斬機」モンスターを墓地に送り自身を特殊召喚、他の「斬機」モンスターが召喚・特殊召喚された場合に「斬機」魔法・罠カードをサーチします。
《斬機サーキュラー》でサーチできるカードで特に強力なのが《斬機超階乗》です。
墓地の「斬機」モンスターを特殊召喚し、シンクロ召喚またはエクシーズ召喚できる効果を持ち、この効果で《斬機ダイア》をエクシーズ素材とした《塊斬機ラプラシアン》をエクシーズ召喚します。
《塊斬機ラプラシアン》を相手ターンに出すことで、相手の手札をハンデス、相手フィールドのモンスターを墓地に送る、相手フィールドの魔法・罠カードを墓地に送ることができます。また《斬機ダイア》をエクシーズ素材としたターンに《塊斬機ラプラシアン》はカードの効果を無効にする効果を得るので、《斬機超階乗》1枚から最大4妨害を作ることができます。
サイバース族リンクモンスターには《アクセスコード・トーカー》《デコード・トーカー・ヒートソウル》《スプラッシュ・メイジ》《アップデートジャマー》などの優秀なカードが多く、展開力や打点にも長けています。
また、《ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード-ネオテンペスト》により、自分ターンと相手ターンにEXデッキから《サイバース・ディセーブルム》《メレオロジック・アグリゲーター》を墓地に送ることで複数妨害を作ることができます。
【ティアラメンツ】Tier2
【ティアラメンツ】は、墓地肥やしを行い墓地に送られた場合の効果を活用する融合召喚テーマです。
メインデッキに入る闇属性の「ティアラメンツ」モンスターは共通して、効果で墓地に送られた場合に、墓地の自身を含む手札・フィールド・墓地のモンスターをデッキボトムに戻して融合召喚を行える効果を持っています。
この効果によって《ティアラメンツ・カレイドハート》《ティアラメンツ・ルルカロス》《暗黒界の龍神王グラファ》などの妨害持ち大型融合モンスターを展開し、盤面を制圧していきます。
現在では「ティアラメンツ」のメインデッキのモンスターは4種類が制限カードとなっているため、《混沌魔龍カオス・ルーラー》などのカードを採用し、墓地に落とすギミックを活用して墓地融合を狙っていきます。
【超重武者】Tier2
【超重武者】は、魔法・罠カードが墓地に存在しない場合に効果を発揮するフルモンスターテーマ「超重武者」を中心に展開するデッキです。
《超重神童 ワカ-U4》から展開を伸ばすことができ、墓地に送られた場合のサーチ効果にターン制限のない《超重武者装留イワトオシ》を駆使して展開を止めどなく続けることができます。
最終盤面には《セリオンズ"キング"レギュラス》《フルール・ド・バロネス》などが並ぶ他、《アーティファクト-ダグザ》で《アーティファクト-デスサイズ》を魔法・罠ゾーンにセットしておくことで、相手ターンに《超重忍者 サルト-B》の効果でセットされた《アーティファクト-デスサイズ》を破壊し効果を起動させることもできます。
また【超重武者】には《超重武者装留ブレイク・アーマー》と《DDD超視王ゼロ・マクスウェル》を使用した、先攻ワンターンキル型もあります。
【R-ACE】Tier2
【R-ACE】は、「R-ACE」カードとして扱う魔法・罠カードをサポートとして駆使して戦うテーマです。
《R-ACEタービュランス》が起動効果で「R-ACE」魔法・罠カードをフィールドに4枚もセットできるという、とても豪快かつ強力な効果を持っています。
この《R-ACEタービュランス》の効果で伏せられるカードも、墓地から「R-ACE」モンスターの手札回収や蘇生などのリソース回収、モンスター効果無効や破壊などの妨害、とこちらも強力なカードとなっています。
《R-ACEタービュランス》以外の「R-ACE」モンスターもアドバンテージを稼げるカードが多く、《R-ACEタービュランス》までの展開前、展開後をサポートしてくれます。
【神碑】Tier2
【神碑(ルーン)】は「デッキ破壊」を勝ち筋とした魔法カード中心のテーマです。
「神碑」速攻魔法には以下の共通効果があります。
- このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
- 発動後、次の自分バトルフェイズをスキップする。
- 2つの効果から1つを選択して発動する。
- 1つ目が『○○する。その後、相手のデッキの上からカードをX枚除外する。(Xはカードによって異なる)』という効果。
- 2つ目が『EXデッキから「神碑」モンスターをEXモンスターゾーンに特殊召喚する。』という効果。
選択できる1つ目の効果によって何かしらのアクションをしつつデッキ破壊を行います。
《輝く炎の神碑》や《凍てつく呪いの神碑》などは相手の妨害をしつつデッキ破壊ができるので、デッキ破壊が完了するまでの時間を稼いでくれます。
選択できる2つ目の効果によってEXデッキから「神碑」モンスターを特殊召喚できます。
特に《神碑の翼フギン》は【神碑】デッキの軸となるフィールド魔法《神碑の泉》をサーチできます。
フィールド魔法である《神碑の泉》は、「神碑」速攻魔法をデッキに戻すことで毎ターン最大3枚ドローできる他、「神碑」速攻魔法を相手ターンにも発動できるようになります。
これによって毎ターン手札を補充しつつデッキ破壊を行うデッキとなっています。
Tier3
【クシャトリラ】Tier3
【クシャトリラ】は、レベル7のテーマモンスターを中心として、相手のカードを裏側除外しながら戦うテーマです。
レベル7の「クシャトリラ」モンスターには、
- 『自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。』
- 『自分メインフェイズに発動できる。デッキから「クシャトリラ」〇〇(モンスター・魔法・罠のいずれか)カード1枚を手札に加える。』
- 『このカードの攻撃宣言時、または相手がモンスターの効果を発動した場合に発動できる。〇〇する(相手のカードを裏側で除外する効果)。』
といった共通効果があり、この効果を持つうちの《クシャトリラ・フェンリル》《クシャトリラ・ユニコーン》が採用されています。
このレベル7の「クシャトリラ」モンスターのサーチ効果を駆使し展開、裏側除外効果によって妨害していきます。
また「クシャトリラ」ランク7モンスターである《クシャトリラ・シャングリラ》は相手のカードが裏側除外されると相手のカードゾーンを封鎖するという効果を持っています。
そして《クシャトリラ・アライズハート》は、《クシャトリラ・シャングリラ》が効果を使用したターンに「クシャトリラ」モンスターの上に重ねてエクシーズ召喚でき、墓地に送られるカードが除外される永続効果、カードが除外されるたびに除外から素材を補充する効果、素材を取り除いてフィールドのカードを裏側除外する除去効果を備えています。
この強力な効果を持つ《クシャトリラ・アライズハート》と優秀なメインデッキの「クシャトリラ」モンスターで盤面を妨害・制圧していきます。
【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】Tier3
【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】は、フィールドと手札の「VS」モンスターを入れ替えて戦う、コントロール系のデッキです。
「VS」モンスターは共通で、自分・相手ターンに手札のモンスターを相手に見せ、そのモンスターの属性に対応した効果を適用できます。
また上級の「VS」モンスターは、手札にいる場合にフィールドの「VS」モンスターを手札に戻して特殊召喚する効果があります。
これにより状況に応じた「VS」モンスターを出し、妨害効果やドロー効果で手札誘発を引き込むなどしてフィールドをコントロールします。
属性・種族が散らばっているので、《スモール・ワールド》《センサー万別》などが使いやすいのも強みの一つです。
【エクソシスター】Tier3
【エクソシスター】は、メインデッキの「エクソシスター」モンスターが相手の墓地のカードが墓地から離れることをトリガーに、強力な「エクソシスター」Xモンスターに変身して戦うデッキです。
メインデッキに入る「エクソシスター」モンスターの共通効果として、
『自分・相手の墓地のカードが相手によって墓地から離れた場合に発動できる。「エクソシスター」Xモンスター1体を、自分フィールドのこのカードの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。』
といったテキストがあります。
この効果によって「エクソシスター」Xモンスターを展開し、相手の墓地に関する効果を中心とした妨害をしながら戦う、といった特徴があります。
「エクソシスター」魔法・罠には強力なカードが多く、サーチや妨害、展開などをこなすカードがあり、元々のステータスが貧弱な「エクソシスター」モンスターをサポートしてくれます。
【ラビュリンス】Tier3
【ラビュリンス】は、通常罠をサポートする効果を持つ「ラビュリンス」カードを駆使して罠で相手を妨害しつつ、高打点の「ラビュリンス」モンスターで攻めていくデッキです。
「ラビュリンス」モンスターの中でも特に強力なモンスターが《迷宮城の白銀姫》です。
《迷宮城の白銀姫》は特殊召喚条件の緩さ、破壊・対象耐性、通常罠をデッキからセットできる効果のどれも強力です。
特に通常罠をデッキからセットできる効果は、好きな通常罠カードにアクセスできるため、《魔のデッキ破壊ウイルス》《闇のデッキ破壊ウイルス》《ドラグマ・パニッシュメント》《次元障壁》など、状況や相手のデッキに応じた通常罠を持ってくることができます。
《迷宮城の白銀姫》を含む「ラビュリンス」モンスターは《ウェルカム・ラビュリンス》《ビッグウェルカム・ラビュリンス》でリクルートもできます。
《ビッグウェルカム・ラビュリンス》には条件付きの妨害効果も備わっています。
「ラビュリンス」魔法・罠カードは《白銀の城の召使い アリアンナ》《白銀の城の火吹炉》《白銀の城の竜飾灯》などのテーマ内カードでアクセスも容易です。
環境のまとめと今後の展望
今回Tierの上では【ピュアリィ】をTier1と位置付けましたが、6月のOCG環境では上位Tier間ではあまり差はなく、様々なデッキが活躍を見せています。
また、7月1日から適用のリミットレギュレーションでは、《クシャトリラ・フェンリル》が禁止カードに指定。
《斬機サーキュラー》《超重武者装留イワトオシ》《ピュアリィ・スリーピィメモリー》《神碑の泉》が制限カードに指定されています。
その他、環境に影響を及ぼしたカードが多数規制されているため、7月からの来期の環境は大きく動きそうです!
7月からの新環境でどのデッキがトップに名乗りを上げるのか、注目です!
おわりに
遊戯王OCGの6月の環境について解説いたしました。
この記事が皆さんのデッキ構築・環境への理解の手助けとなっていれば幸いです。
それでは7月の環境解説記事でまたお会いしましょう!