はじめに
遊戯王OCG環境では、1月の新制限が適用され、環境はさらなる進化を遂げています。
12月からどのような変化があったか、今はどのようになっているのか、早速見ていきましょう!
目次
「最強」の定義
本記事では最強デッキを「遊戯王環境での相対的な強さ」と定義します。
Tier1とは「環境内に不利なデッキが少ない、あるいは相性差を覆しやすいデッキであり、大会で持ち込みが一番多いと予想される対策必須のデッキ」です。
Tier2とは「Tier1やTier2のデッキにある程度勝てる見込みがあり、大会でも毎回一定数いると予想されるデッキ」です。
Tier3とは「弱点が多い、デッキパワーが低いなどの理由で使用者は少ないものの、特定のメタゲームでは活躍することができるデッキ」です。
先月からのカードプールの変化
2023年1月1日にはリミットレギュレーションの改訂が適用されました。
この改訂では、主に前期に大暴れしていた【ティアラメンツ】【クシャトリラ】に大幅な規制が入りました。
特に目を引くのが、【ティアラメンツ】のエンジンとなっていた《ティアラメンツ・キトカロス》が禁止カード指定となったこと。
デッキの根幹となるカードが禁止カードになり、【ティアラメンツ】は他にも《ティアラメンツ・シェイレーン》《ティアラメンツ・レイノハート》が今回の改訂で制限カード指定を受け、かなり厳しい規制となりました。
【クシャトリラ】も《クシャトリラ・フェンリル》《クシャトリラ・ユニコーン》《六世壊=パライゾス》と3種類のカードが制限カード指定を受けました。
《クシャトリラ・フェンリル》に関しては単体での性能も高かったため他デッキへの出張もされていましたが、今回の改訂で《クシャトリラ・フェンリル》を出張する旨味は薄くなりました。
【ティアラメンツ】のほとんどのレシピにも《クシャトリラ・フェンリル》が採用されていたため、【ティアラメンツ】はその影響も受けました。
【ティアラメンツ】【クシャトリラ】に大幅な規制が入ったことで、環境は一新されるかのように見えました。
実際、1月適用の新リミットレギュレーションを12月に先駆けて適用していた非公認大会では、最初は【鉄獣戦線スプライト】【リチュアスプライト】などの「スプライト」系統のデッキが多く見かけられました。
しかし環境が進むにつれ【ティアラメンツ】の入賞報告が目立ち始め、【ティアラメンツ】はまだ大会環境でも通用するという認識が広まっていきました。
そして現在では、【ティアラメンツ】は再び環境トップへと返り咲きました。
Tier1
【ティアラメンツ】Tier1


【ティアラメンツ】は、墓地肥やしを行い墓地に送られた場合の効果を活用する融合召喚テーマです。
メインデッキに入る闇属性の「ティアラメンツ」モンスターは共通して、効果で墓地に送られた場合に、墓地の自身を含む手札・フィールド・墓地のモンスターをデッキボトムに戻して融合召喚を行える効果を持っています。
この効果によって《捕食植物ドラゴスタペリア》や《ティアラメンツ・カレイドハート》《ティアラメンツ・ルルカロス》などの妨害持ち大型融合モンスターを展開し、盤面を制圧していきます。
また「ティアラメンツ」モンスターのほとんどはデッキからカードを墓地に送る効果も備えており、融合召喚する効果を起動しやすくなっています。
《ティアラメンツ・キトカロス》が禁止カードとなったため、融合素材として《沼地の魔神王》や「シャドール」モンスターが採用されています。
そしてそれらを墓地に送る確率を高めるために《現世と冥界の逆転》の関連カードも採用されています。
《古尖兵ケルベク》《古衛兵アギド》による墓地肥やしで、闇属性「ティアラメンツ」モンスターの効果による融合を狙い、《剣神官ムドラ》《宿神像ケルドウ》で相手の墓地利用を妨害します。
Tier2
【鉄獣戦線スプライト】Tier2


【鉄獣戦線スプライト】は、獣・鳥獣・獣戦士族モンスターを中心としたリンク召喚によって盤面を制圧していくテーマ「鉄獣戦線」と、レベル2・ランク2・リンク2のサポートが豊富なテーマ「スプライト」の混合デッキです。
メインデッキの「鉄獣戦線」モンスターの効果によって墓地から獣・鳥獣・獣戦士族モンスターを除外し、除外した枚数と同じ数のリンクマーカーを持つ獣・鳥獣・獣戦士族リンクモンスターを特殊召喚して展開します。
メインデッキの「スプライト」モンスターはレベル2と、ランク2またはリンク2がいると特殊召喚できる効果を持っています。
「鉄獣戦線」のモンスターは《鉄獣戦線 キット》《鉄獣戦線 ケラス》《鉄獣戦線 徒花のフェリジット》《鉄獣戦線 塊撃のベアブルム》がレベル2・ランク2なので「スプライト」モンスターの共通効果で展開ができます。
また、「鉄獣戦線」「スプライト」モンスターを繋げてくれる役割を持つのが《ギガンティック・スプライト》で、片方のギミックにしかアクセスできなくても《ギガンティック・スプライト》の効果でもう片方のギミックを呼んでくることができます。
双方のギミックに容易にアクセスできるため、盤面に両方のギミックの妨害を用意しやすいのも【鉄獣戦線スプライト】の強みの一つです。
Tier3
【ラビュリンス】Tier3


【ラビュリンス】は、通常罠をサポートする効果を持つ「ラビュリンス」カードを駆使して罠で相手を妨害しつつ、高打点の「ラビュリンス」モンスターで攻めていくデッキです。
「ラビュリンス」モンスターの中でも特に強力なモンスターが《迷宮城の白銀姫》です。
《迷宮城の白銀姫》は特殊召喚条件の緩さ、破壊・対象耐性、通常罠をデッキからセットできる効果のどれも強力です。
特に通常罠をデッキからセットできる効果は、好きな通常罠カードにアクセスできるため、《魔のデッキ破壊ウイルス》《闇のデッキ破壊ウイルス》《ドラグマ・パニッシュメント》《次元障壁》など、状況や相手のデッキに応じた通常罠を持ってくることができます。
《迷宮城の白銀姫》を含む「ラビュリンス」モンスターは《ウェルカム・ラビュリンス》《ビッグウェルカム・ラビュリンス》でリクルートもできます。
《ビッグウェルカム・ラビュリンス》には条件付きの妨害効果も備わっています。
また、通常罠の他に永続罠も採用されていることが多く、《スキルドレイン》《群雄割拠》《御前試合》などで相手を妨害します。
【神碑(ルーン)】Tier3


【神碑(ルーン)】は「デッキ破壊」を勝ち筋とした魔法カード中心のテーマです。
まずテーマの大半を占める「神碑」速攻魔法について。
「神碑」速攻魔法には以下の共通効果があります。
- このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
- 発動後、次の自分バトルフェイズをスキップする。
- 2つの効果から1つを選択して発動する。
- 1つ目が『○○する。その後、相手のデッキの上からカードをX枚除外する。(Xはカードによって異なる)』という効果。
- 2つ目が『EXデッキから「神碑」モンスターをEXモンスターゾーンに特殊召喚する。』という効果。
選択できる1つ目の効果によって何かしらのアクションをしつつデッキ破壊を行います。
《輝く炎の神碑》や《凍てつく呪いの神碑》などは相手の妨害をしつつデッキ破壊ができるので、デッキ破壊が完了するまでの時間を稼いでくれます。
選択できる2つ目の効果によってEXデッキから「神碑」モンスターを特殊召喚できます。
特に《神碑の翼フギン》は【神碑】デッキの軸となるフィールド魔法《神碑の泉》をサーチできます。
フィールド魔法である《神碑の泉》は、「神碑」速攻魔法をデッキに戻すことで毎ターン最大3枚ドローできる他、「神碑」速攻魔法を相手ターンにも発動できるようになります。
これによって毎ターン手札を補充しつつデッキ破壊を行うデッキとなっています。
しかしそれだけではパワーが足りないので、相性のいいテーマやギミックと組み合わせることが環境で戦うためのセオリーとなっています。
現在主流の「永続罠」型は、【神碑】がモンスターに頼らず魔法カードで戦うテーマであることを利用し、モンスターに影響を与える永続罠を採用して相手をさらに妨害し、デッキ破壊を決める型となっています。
【リチュアスプライト】Tier3


【リチュアスプライト】は、儀式召喚に長けたテーマ「リチュア」と、レベル2・ランク2・リンク2のサポートが豊富なテーマ「スプライト」の混合デッキです。
《グリム・リチュア》のリクルート効果によって《リチュア・アビス》を呼び出し「リチュア」モンスターをサーチ、《スプライト・エルフ》で《リチュア・アビス》を再び特殊召喚することでさらに「リチュア」モンスターをサーチします。
《リチュア・アビス》の効果で加えるモンスターは、「リチュア」儀式モンスター・儀式魔法にアクセスできる《シャドウ・リチュア》《ヴィジョン・リチュア》です。この2枚を経由することで儀式召喚への準備を整えていきます。
状況に応じた「リチュア」儀式魔法をサーチすることで《イビリチュア・ネーレイマナス》の儀式召喚を狙います。
《イビリチュア・ネーレイマナス》には儀式召喚成功時に水属性モンスターの蘇生効果が備わっているため、レベル2モンスターを特殊召喚して《ギガンティック・スプライト》へと繋げ、そこから「スプライト」モンスターによる展開をすることが多いです。
「リチュア」と「スプライト」による妨害により盤面の制圧と、《リチュア・アビス》のサーチによるリソース確保をすることで、ゲームを有利に持っていくことができます。
環境のまとめと今後の展望
新リミットレギュレーションでは【ティアラメンツ】のエンジンである《ティアラメンツ・キトカロス》が禁止、その他のカードも厳しい規制を掛けられ、大打撃を受けました。
しかし《沼地の魔神王》や「シャドール」モンスター、《現世と冥界の逆転》関連カードを採用することで【ティアラメンツ】は環境トップに再び居座ることとなりました。
一方純構築の【クシャトリラ】は《クシャトリラ・フェンリル》《クシャトリラ・ユニコーン》《六世壊=パライゾス》が制限カード指定を受け、前期と比べデッキの安定性が大幅に下がり、環境から姿を消しました。
現在の大会環境を見ると、【ティアラメンツ】が環境トップ。

それに続いて【鉄獣戦線スプライト】や【リチュアスプライト】などの「スプライト」カードを組み込んだ系統のデッキ。
他にも【神碑】や【ラビュリンス】などの低速系デッキもちらほらと見かける、といった環境となっています。
再び環境トップとなった【ティアラメンツ】への対抗馬が現れるのか、そしてメタゲームはこれからどのように変化していくのか、今後のOCG環境に注目です!
おわりに
遊戯王OCGの1月の環境について解説いたしました。
この記事が皆さんのデッキ構築・環境への理解の手助けとなっていれば幸いです。
それでは2月の環境解説記事でまたお会いしましょう!