はじめに
遊戯王OCG環境では、9月も環境の研究が進んでおり、さらなる進化を遂げています。
8月からどのような変化があったか、今はどのようになっているのか、早速見ていきましょう!
noteやtwitterで活動中の、東海地方で活躍する強豪プレイヤー。独自のチューンの【ヴァレット】デッキ使いとして知られる。
【主要な戦績】
WCS2009 Jrファイナリスト
エリアチャンピオンシップ(YACS) in Tokaiベスト6
第1回翔CS優勝
つくよ杯同率3位
ほか入賞複数
2024年8月の環境はこちら!
目次
「最強」の定義
本記事では最強デッキを「遊戯王環境での相対的な強さ」と定義します。
Tier1とは「環境内に不利なデッキが少ない、あるいは相性差を覆しやすいデッキであり、大会で持ち込みが一番多いと予想される対策必須のデッキ」です。
Tier2とは「Tier1やTier2のデッキにある程度勝てる見込みがあり、大会でも毎回一定数いると予想されるデッキ」です。
Tier3とは「弱点が多い、デッキパワーが低いなどの理由で使用者は少ないものの、特定のメタゲームでは活躍することができるデッキ」です。
先月からのカードプールの変化
9月7日に『STRUCTURE DECK - 青き眼の光臨 -』が発売されました。
このストラクチャーデッキは《青眼の白龍》に焦点を当てたデッキで、新規カードの登場によって【ブルーアイズ】の展開力・制圧力が強化されました。
9月28日には『WORLD PREMIERE PACK 2024』が発売されました。
海外先行の新規テーマ「ティスティナ」「灰滅」をはじめとし、「炎の剣士」の強化や《マインド・キャスリン》《原始生命態ティア》などの汎用的なカードが登場しました。
8月から大幅に環境が変わるカードプールの更新はありませんでした。
この間に、8月末に発売された『デッキビルドパック クロスオーバー・ブレイカーズ』にて登場した【ライゼオル】が、以前から環境トップの座を譲らなかった【スネークアイ】【天盃龍】を押し退け環境トップメタとなりました。
同パックにて登場した【M∀LICE】も、【ライゼオル】同様環境上位に食い込んでいます。
Tier1
【ライゼオル】Tier1
【ライゼオル】は、レベル4・ランク4モンスターを活用するエクシーズ召喚を主体としたテーマです。
メインデッキの「ライゼオル」モンスターはそれぞれ、自身の効果で特殊召喚できる効果を備えています。
サーチやデッキからの特殊召喚、蘇生効果なども備わっているため、自身の効果での特殊召喚以外の方法でも盤面にレベル4モンスターを並べやすくなっています。
「ライゼオル」エクシーズモンスターも強力な効果を持ち合わせています。
《ライゼオル・デュオドライブ》はX素材を取り除いて「ライゼオル」カードをサーチする効果があるので、「ライゼオル」モンスターをサーチしてさらに展開、「ライゼオル」魔法・罠カードをサーチして妨害などを用意することが可能です。
《ライゼオル・デッドネーダー》は相手が効果を発動する度に破壊効果を使用でき、相手の盤面のカードを複数回破壊できる強力な妨害です。
「ライゼオル」魔法・罠カードも優秀なカードが多いです。
特に《ライゼオル・クロス》は「ライゼオル」XモンスターのX素材を取り除くことで相手モンスターの効果を効果処理時に無効にできるので、妨害として非常に強力に働きかけてくれます。余裕があれば自分ターンに相手の手札誘発モンスターの効果を無効にできるので、《原始生命態ニビル》などのケアにもなります。
【M∀LICE(マリス)】Tier1
【M∀LICE(マリス)】は、除外されるとライフを払うことで特殊召喚できる特徴を持った「M∀LICE」モンスターを駆使して戦うデッキです。
メインデッキの「M∀LICE」モンスターは除外された場合、300ライフを払うことで、EXデッキの「M∀LICE」モンスターは900ライフを払うことでフィールドに特殊召喚できる共通効果を持っています。
また「M∀LICE」罠カードは、フィールドの「M∀LICE」モンスターを除外することでセットしたターンに発動することができる効果を持ち合わせています。
この「M∀LICE」罠カードのセットターンに発動できる効果、「M∀LICE」モンスターの除外されると特殊召喚できる効果を活用して展開を伸ばします。
「M∀LICE」モンスターはサイバース族で統一されているため、展開に長けた各種サイバース族サポートを受けることができます。
展開したサイバース族モンスターによる妨害と、「M∀LICE」罠カードによる妨害、豊富なリソースを抱えて戦うことができます。
Tier2
【スネークアイ】Tier2
【スネークアイ】は、モンスターを永続魔法化することにより展開・妨害する炎属性中心のデッキです。
《スネークアイ・エクセル》《スネークアイ・オーク》は自身を含む表側表示のカード2枚を墓地に送ることでデッキから別の「スネークアイ」モンスターを特殊召喚できます。
ここから《蛇眼の炎龍》などを特殊召喚することにより展開につなげる動きが強力。
《蛇眼の炎龍》は自分・相手のフィールドか墓地のモンスターを自分ターンに永続魔法化し、相手ターンに永続魔法化しているモンスターを自分フィールドに特殊召喚できます。
この効果により自分ターンに《I:Pマスカレーナ》などを自分の墓地から永続魔法化、相手ターンに特殊召喚し妨害とすることも。
また《蛇眼の炎龍》の墓地に送られた場合の蘇生効果も強力で、リンク値を伸ばしての展開やリソース確保につなげる選択肢も強力です。
【天盃龍】Tier2
【天盃龍】は、炎属性・ドラゴン族で統一された、バトルフェイズに真価を発揮するシンクロ召喚テーマです。
「天盃龍」モンスターはそれぞれ以下の共通効果があります。
・バトルフェイズ中にシンクロ召喚を行う効果
・戦闘を行う際に適用される効果
を備えています。
これにより連続で相手に攻撃を行い、炎属性・ドラゴン族シンクロモンスターである《燦幻昇龍バイデント・ドラギオン》《燦幻超龍トランセンド・ドラギオン》《トライデント・ドラギオン》を駆使し、後攻でのワンターンキルを狙います。
また《天盃龍パイドラ》は「燦幻」魔法・罠カードをサーチするかフィールドにセットする効果を持っています。
「燦幻」魔法・罠カードは「天盃龍」モンスターを強力にサポートしてくれる効果を備えています。
《盃満ちる燦幻荘》は、メインフェイズ1の間に炎属性・ドラゴン族が相手の発動した効果を受けない効果、「天盃龍」をサーチする効果、ドラゴン族Sモンスターの攻撃力を倍にする効果、と強力な複数の効果を持っています。
《燦幻開門》は2つの効果がありますが、バトルフェイズ中に発動すれば両方の効果を適用でき、即座に「天盃龍」モンスターを展開できます。
Tier3
【炎王】Tier3
【炎王】は、破壊をトリガーに効果を発動していく、炎属性中心のデッキです。
《真炎王 ポニクス》を初動として《炎王の聖域》をサーチし、《炎王の孤島》をフィールドに置きます。
《炎王の孤島》の効果で《聖炎王 ガルドニクス》をサーチすることによって、《聖炎王 ガルドニクス》の特殊召喚効果が起動。
手札・デッキ・フィールドの中から獣族・獣戦士族・鳥獣族の炎属性モンスターを破壊できるため、《炎王神獣 キリン》《炎王獣 ガネーシャ》を破壊し、展開や妨害、リソース確保に繋げます。
破壊をトリガーとして途切れにくいリソースと妨害を作り続けるのが【炎王】の特徴です。
最近では「スネークアイ」モンスターを採用した構築が流行しています。
《スネークアイ・エクセル》を初動とした展開で《原罪宝-スネークアイ》に触れ、《真炎王 ポニクス》にアクセスすることにより「スネークアイ」「炎王」双方のギミックに触れることができる展開もさらに強力です。
【R-ACE】Tier3
【R-ACE】は、「R-ACE」カードとして扱う魔法・罠カードをサポートとして駆使しながら戦うテーマです。
《R-ACEタービュランス》が起動効果で「R-ACE」魔法・罠カードをフィールドに4枚もセットできるという、とても豪快かつ強力な効果を持っています。
この《R-ACEタービュランス》の効果で伏せられるカードも、墓地から「R-ACE」モンスターの手札回収や蘇生などのリソース回収、モンスター効果無効や破壊などの妨害、とこちらも強力なカードです。
この《R-ACEタービュランス》にアクセスするための手段も豊富に用意されています。
「R-ACE」モンスターをサーチする《R-ACEハイドラント》。
「R-ACE」モンスターをデッキから特殊召喚し、使い方によっては相手の妨害を避けることもできる《EMERGENCY!》。
そして《EMERGENCY!》などをサーチする《R-ACEエアホイスター》、《R-ACEハイドラント》に触ることのできる「罪宝」ギミックなど。
《R-ACEタービュランス》に繋げるカードには事欠きません。
【R-ACE】は《R-ACEタービュランス》を通したことによって構えられたリソースと妨害でアドバンテージに差をつけて戦うデッキとなっています。
【ユベル】Tier3
【ユベル】は、戦闘破壊されず戦闘ダメージを0にする「ユベル」モンスターを軸として戦うデッキです。
《ユベル》及び「ユベル」モンスターをサポートするカードによって展開していき、盤面を制圧します。
最終盤面には《破械神ラギア》《ファントム・オブ・ユベル》《終戒超獸-ヴァルドラス》などの多くの妨害をできるカードが並びます。
展開途中で簡単に特殊召喚の条件を満たせる《ファントム・オブ・ユベル》は手札誘発ケアにも、相手ターンの妨害にもなってくれるため非常に優秀なカードです。
「ユベル」関連のカードで特に強力なのが永続魔法《ナイトメア・ペイン》です。
毎ターンのサーチ効果に加えて、相手モンスターと「ユベル」モンスターを強制戦闘させる効果、相手モンスターと「ユベル」モンスターとの戦闘によって発生するダメージを相手に受けてもらう効果を備えています。
「ユベル」モンスターはモンスターとの戦闘によって発生する自分へのダメージを0にするため、《ナイトメア・ペイン》の効果で相手プレイヤーに一方的にダメージを与えることができます。
【メメント】Tier3
【メメント】は、自身や他のモンスターを破壊して展開するテーマ「メメント」を主軸とするデッキです。
デッキ内の「メメント」モンスターを破壊し初動となる《メメント・シーホース》、それにアクセスする《メメント・エンウィッチ》《メメント・ダークソード》から墓地を肥やして展開していきます。
融合モンスターである《冥骸王-メメントラン・テクトリカ》は墓地を肥やしてくれる効果、自分・相手ターンで使える妨害効果、《冥骸府-メメントラン》をサーチする効果を持ち合わせており、強力な1枚です。
最終盤面では《冥骸合竜-メメントラル・テクトリカ》《メメント・クレニアム・バースト》、その他《S:Pリトルナイト》などの妨害を構えた盤面が形成されます。
《冥骸合竜-メメントラル・テクトリカ》によってリソース・打点の確保、《メメント・クレニアム・バースト》によって相手モンスターの効果の発動を複数回妨害できます。
【粛声】Tier3
【粛声】は、《粛声の祈り手ロー》を鍵とする儀式召喚テーマです。
《粛声の祈り手ロー》はデッキから「粛声」永続魔法・永続罠カードを表側表示で置く効果を持っているので、《粛声なる結界》を置くことで「粛声」カードのサーチへと繋げます。
《粛声の祈り手ロー》は戦士族・ドラゴン族で光属性の儀式モンスターを儀式召喚する際にこのモンスター1体で儀式召喚のリリースとできるので、《粛声の竜賢姫サフィラ》 《粛声なる祈り》 などを使い儀式召喚を行います。
儀式召喚先として特に強力なのが《粛声なる守護者ローガーディアン》です。
《粛声の祈り手ロー》をリリースされた時の効果でフィールドに特殊召喚しておくことで、《粛声なる守護者ローガーディアン》の妨害効果と《粛声なる結界》の強固な耐性効果を得ることができます。
「粛声」テーマ内などでのサーチ手段も豊富に用意されていて、《粛声なる守護者ローガーディアン》や《粛声なる結界》によるサーチで毎ターンのリソースも途切れにくくなっています。
環境のまとめと今後の展望
先月末に登場した【ライゼオル】【M∀LICE】の大躍進によって環境は激変。
今まで環境を席巻していた【スネークアイ】【天盃龍】はシェア数を減らしました。
また10月1日からリミットレギュレーションの改訂が施行されます。
【スネークアイ】【天盃龍】【ユベル】、「デモンスミス」カードなどの規制。
今まで禁止カードだった《十二獣ドランシア》《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》《真竜剣皇マスターP》などの緩和。
そして《増殖するG》の準制限カード指定。
これらを中心として大幅な改訂が行われました。
特に《増殖するG》の準制限カード化はこれからのOCG環境に大きな影響を与えそうです!
また【ライゼオル】【M∀LICE】はほぼ無規制なので、今後の環境でもメタゲームを大きく引っ張る存在となることが予想されます!
今までの環境デッキの大幅弱体化、禁止カードの緩和、《増殖するG》の規制、そして新時代のデッキの活躍、と環境激変目白押しのOCG環境に注目です!
おわりに
遊戯王OCGの9月の環境について解説いたしました。
この記事が皆さんのデッキ構築・環境への理解の手助けとなっていれば幸いです。
それでは10月の環境解説記事でまたお会いしましょう!