目次
はじめに
皆さんは「退化」という行動を知っていますか?
バトルゾーンにある進化クリーチャーの1番上のカードのみをバトルゾーンから離す行為を「退化」と呼ぶことがあります。
これはただの俗称で、正式用語ではありませんが、いちいち「バトルゾーンにある進化クリーチャーの1番上のカードのみをバトルゾーンから離す行為」というのも煩わしいので、ここではこの行動を退化と呼ぶことにします。
デュエル・マスターズ総合ゲームルールには、退化した場合の処理について以下のように記されています。
進化クリーチャーの一番上のカードのみがバトルゾーンを離れる時、その下にあるクリーチャーカードは適正な状態に再構築されてバトルゾーンに残ります。
この「適正な状態に再構築」とはどういうことでしょう。何をもって適正と判断するのでしょうか。
今回はこのような退化に関する疑問について、具体例を交えながら説明していきたいと思います。
退化の基本的なルール
原則として、退化したときにバトルゾーンに残すことのできるクリーチャーの数はその進化クリーチャーが進化元に必要とした数までです。
つまり通常の進化クリーチャーであれば1体まで、進化V(ボルテックス)であれば2体まで、進化GV(ギャラクシー・ボルテックス)であれば3体まで、超無限進化であれば何体でも、下にあったクリーチャーをバトルゾーンに残すことができます。
残せるのは進化元に必要とした数までということは、進化元となったクリーチャーを1体もバトルゾーンに残さないという選択をとることもできます。
このとき残さなかったクリーチャーは墓地へ送られます。
また、このときバトルゾーンに残すクリーチャーは、必ずしもその進化クリーチャーをバトルゾーンに出す際の進化元となったカードでなければならないというわけではありません。
例えば、《時空の庭園》によって進化クリーチャーの下に別のクリーチャーを置いた状態で退化したとします。このとき実際の進化に必要としたクリーチャーではなく、《時空の庭園》で新たに追加した方のクリーチャーを残すこともできます。
退化で場に残ったクリーチャーの扱いについて
退化によってバトルゾーンに残ったクリーチャーは、召喚されたわけでもバトルゾーンに出たわけでもありません。そのためバトルゾーンに出たときに誘発する能力はこの場合誘発しません。
また、退化したときに残ったクリーチャーはもともとの進化クリーチャーと同一のクリーチャーとして扱います。
そのため残ったクリーチャーはもともとの進化クリーチャーに適用されていた効果やその位相を引き継ぎます。
進化クリーチャーがタップしていれば残すクリーチャーもタップした状態であり、《勝利のプリンプリン》の効果によって攻撃もブロックもできない状態であったならばそれも残ったクリーチャーに引き継がれます。
進化クリーチャーがバトルゾーンに出たターンであれば、退化によって残ったクリーチャーは召喚酔いします。
残ったクリーチャーが召喚酔いするかどうかの判断は、進化クリーチャーが場に出たターンのみを基準にします。
召喚酔いしていないクリーチャーの上から進化しても、そのターン中にそのクリーチャーが退化した場合残されたクリーチャーは召喚酔いします。
進化元に進化クリーチャーがいる場合
進化クリーチャーの下に進化クリーチャーが置かれている状態で退化した場合、下にあった進化クリーチャーをバトルゾーンに残すこともできます。
ただし、このとき残す進化クリーチャーの正当な進化元をその進化クリーチャーの下に置く必要があります。
これについてはいくつか例をあげて説明します。
具体例1
バトルゾーンに《大神秘イダ》が存在し、その下に《氷菓の超人》と《大神秘アスラ》が置かれているとします。
このとき退化を行った場合、残すことのできるクリーチャーは《氷菓の超人》か《大神秘アスラ》のどちらかです。
《氷菓の超人》を残す場合は特に問題はなく、《大神秘アスラ》を墓地へ送って《氷菓の超人》を残せばいいのですが、進化クリーチャーである《大神秘アスラ》を残す場合はそのまま《大神秘アスラ》だけを残し《氷菓の超人》を墓地へ送るということはできません。
先ほど説明した通り、進化クリーチャーを残す場合は正当な進化元をその進化クリーチャーの下に置く必要があります。
《大神秘アスラ》の正当な進化元はジャイアントであるため、この場合《氷菓の超人》を下に重ねた状態でしか《大神秘アスラ》をバトルゾーンに残すことはできません。
具体例2
バトルゾーンに《大神秘アスラ》が存在し、その下に《氷菓の超人》と《大神秘イダ》が置かれているとします。
このとき退化を行った場合、残すことのできるクリーチャーは《氷菓の超人》か《大神秘イダ》のどちらかです。
このとき《大神秘イダ》を残す場合、《氷菓の超人》を下に置くことによってのみバトルゾーンに残すことができます。
《大神秘イダ》は マナ進化の能力を持ったクリーチャーで、本来の進化元はマナゾーンの自然のクリーチャーです。しかし、退化によって場に残す場合はその進化クリーチャーを構成していたカードの中でのみ再構築を行います。
新たにマナゾーンからクリーチャーを下に重ねて場に残すというようなことはできません。
これは墓地進化やデッキ進化などでも同様です。もちろん通常の進化クリーチャーを残す場合も、すでにバトルゾーンに存在していた別のクリーチャーに重ねるというようなことはできません。
具体例3
バトルゾーンに《大神秘イダ》が存在し、その下に《大神秘アスラ》が2枚置かれているとします。
このとき退化を行った場合、場に残すことのできるクリーチャーはありません。
再構築を行う際に進化クリーチャーを進化元として進化クリーチャーをバトルゾーンに残す場合、その進化元となった進化クリーチャーにも正当な進化元が必要になります。
要するに《大神秘アスラ》の上に《大神秘アスラ》を重ねた状態でバトルゾーンに残したいならば、その下にさらに正当な進化元を重ねなければならないということです。
ちなみにNEO進化クリーチャーを残す場合は、それを通常のクリーチャーとしてバトルゾーンに残すこともできますし、進化クリーチャーとしてバトルゾーンに残すこともできます。進化クリーチャーとして残す場合は当然正当な進化元が必要になります。
進化元にゴッドがいる場合
ゴッド・リンクしているクリーチャーは1体のクリーチャーとして扱います。
リンクしているクリーチャーを進化させ、その後退化させた場合はリンクした状態でバトルゾーンに残すことができます。
例えば、リンクして1体のクリーチャーとなっている《超絶神ゼン》と《究極神アク》の上に《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》を重ねて進化していたとします。
この状態で退化した場合、リンクした状態の《超絶神ゼン》と《究極神アク》をバトルゾーンに残すことができます。
《超絶神ゼン》または《究極神アク》のみを残したり、《超絶神ゼン》と《究極神アク》を別々のクリーチャーとして残すというようなこともできますが、その場合残すことのできるクリーチャーの数は「退化したときにバトルゾーンに残すことのできるクリーチャーの数はその進化クリーチャーが進化元に必要とした数まで」というルールに従います。
ただし、当然ですがリンクしていない状態から進化し、その後退化した場合は違います。
別々のクリーチャーとして存在している《超絶神ゼン》と《究極神アク》をまとめて重ねて、その上に《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》を進化し、この状態で退化した場合《超絶神ゼン》と《究極神アク》はリンクした状態で残すことはできません。別々のクリーチャーとして残ります。
すでにバトルゾーンにいる進化クリーチャーの下に《時空の庭園》などによって 《超絶神ゼン》と《究極神アク》を入れた後退化した場合も同様で、別々のクリーチャーとして残ります。
また、ゴッドに限らずサイキック・スーパー・クリーチャーなどのリンク状態を作るクリーチャーの上から進化し、その後退化した場合も同様にリンクした状態でバトルゾーンに残すことができます。
おわりに
今では様々なカードの組み合わせによっていろいろな方法で退化させることができるようになりましたが、初めて自分のクリーチャーを退化できるようになったのは《ロイヤル・ドリアン》が登場してからです。
それまでも退化させることのできるカードは《シェル・ポーチ》や《大自然の意志》などが存在してはいましたが、実際のデュエルの中で戦術として組み込み、能動的に自分のクリーチャーを退化させるという行為は《ロイヤル・ドリアン》登場以前はできませんでした。
それから《時空工兵タイムチェンジャー》の登場によって進化クリーチャーの下に新たにクリーチャーを入れることができるようになったり、マナ進化や墓地進化の登場で退化に関する様々な戦術が生まれました。
そうした時代の流れの中で、退化に関するルールは少しずつ変わっていった部分があります。
そのため、昔のルールのまま覚えていたという人は改めて現代における退化のルールを覚え直す良い機会になったのではないでしょうか。