はじめに
王来篇環境は新たなステージへ突入!
王来篇第2弾「禁時王の凶来」発売と同時に訪れた環境は完全なる新境地。
強いカードが盛りだくさんの本当に凄まじいパックで、殿堂発表では変わり映えしないかと思われた環境は、オリジナル・アドバンスともに激変しています。
この記事では、オリジナル環境の今について解説していきたいと思います!
目次
「最強」の定義
本記事では最強デッキを「デュエル・マスターズ競技環境での相対的な強さ」と定義します。
Tier1とは「環境内に不利なデッキが少ない、あるいは相性差を覆しやすいデッキであり、大会で持ち込みが一番多いと予想される対策必須のデッキ」です。
Tier2とは「Tier1やTier2のデッキにある程度勝てる見込みがあり、大会でも毎回一定数いると予想されるデッキ」です。
Tier3とは「弱点が多い、デッキパワーが低いなどの理由で使用者は少ないものの、特定のメタゲームでは活躍することができるデッキ」です。
前環境からの変化について
「禁時王の凶来」! すごい! 本当にすごいんだ!
……失礼、取り乱しました。
が、思わず興奮してしまうほど、この王来篇第2弾というパックは非常に強く、それに伴いオリジナルの対戦環境も刺激的に変化していきました。
今回は大きく4つをご紹介します。
①《我我我ガイアール・ブランド》による速攻デッキの復権
火文明のマスターは、相も変わらずマジでBAD!
初代ブランドである《“罰怒”ブランド》を思い起こさせる高速召喚・全軍SA付与に全員アンタップ能力までついてきた超ハイスペックフィニッシャー、それが《我我我ガイアール・ブランド》。
シンプルに打点を作りまくるだけですが、それがめちゃくちゃ強いのがデュエル・マスターズというゲームです。
生半可な受けであれば貫通できるほどの打点生成力を持っており、先攻3ターン目にしてジャスキル+1〜2打点で殴りかかるのは当たり前。
レクスターズという種族の強さで火文明単色以外のバリエーションも活躍の場を広げており、今後の発展性も見込める注目カードです。
②《アルカディアス・モモキング》の隆盛・《王来英雄 モモキングRX》の開花
英雄、遂に完全開花。
呪文とクリーチャーの両方を同時に制限する《アルカディアス・モモキング》もまた、一足先に活躍していた《我我我ガイアール・ブランド》に続いて鬨の声を上げました。
相方はもちろん《王来英雄 モモキングRX》! マナブーストから繋いで4ターン目にしてクリーチャーの展開・光以外の呪文を抑え込まれてしまえば、多くのデッキは対抗手段のほとんどを奪われます。
アドバンスでは《メンデルスゾーン》などから高速で叩きつけるデッキが主流ですが、オリジナルでは後述する《赤き稲妻 テスタ・ロッサ》の存在からか、水文明を多めに採用してメタクリーチャーやマッハファイターで序盤を支えるデッキが活躍中。
光文明を採用しなくとも、火/自然の2色があれば《王来英雄 モモキングRX》経由で踏み倒せるため、カラーバリエーションも豊富。
かなり強力なロック系の能力ということで、今後出てくるデッキへの影響も大きそうなパッケージです。
③《砕慄接続 グレイトフル・ベン》+《Disアイ・チョイス》=∞
誰もが強すぎると思ったこのコンボですが、蓋を開けてみればやはり強すぎた。
大量にマナ加速しつつ自前でマナ召喚能力持ち。
さらにはマナ召喚する対象がディスタスであればノーコストで踏み倒せるため、《Disアイ・チョイス》からカードを連打して瞬く間に戦況を制圧できます。
EXライフで返しの単発除去を耐えられるうえに、出た時点でマナブーストして最低限の仕事はこなしているため、処理されても及第点。
早出し適性が非常に高く、環境開始初日から誰もがありとあらゆる方法で踏み倒す、さながら「ベンチョイス・マスターズ」が開幕しそうな勢いでした。
詳細は個別のデッキ紹介で解説しますが、今のところは《ナウ・オア・ネバー》+《邪眼教皇ロマノフⅡ世》のコンボで4ターン目に大量墓地肥やしを決めつつ、蘇生呪文から次の呪文踏み倒しへと連鎖させて、最終的に《砕慄接続 グレイトフル・ベン》で墓地をマナに変換する構築が主流です。
早出しコンボで早期にゲームを決められるのはもちろんですが、特にコンボにこだわらなくとも既存の5cコントロールに2枚入れるだけでも十分化け物じみた強さを発揮してくれます。
新弾でもトップクラスに「カードパワーの暴力」で圧殺できる、人気の高いコンボです。
④《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》の衝撃
コスト2。火文明単色。バトル時パワー4000。メタの強度はほぼ《洗脳センノー》。
GR召喚やドラグハートをはじめとするゲーム外カードが存在しないオリジナルにおいて、コスト3の《洗脳センノー》と遜色のないレベルのメタカードがコスト2の単色カードとして登場したことには、多くのプレイヤーが驚いたことでしょう。
革命チェンジを主軸に据えたビートダウンはもちろん、登場時効果すら使わせないためCipループ系のコンボデッキにかなりの有効性あり。
前述した《王来英雄 モモキングRX》や、《砕慄接続 グレイトフル・ベン》の早出しを狙うデッキにも強烈に刺さってくれるため、いま最もアツいメタカードになっています。
このカードをいかにして上手く使うか・上手く乗り越えるかがオリジナル環境の焦点になりそうです。
それでは、これらの変化を踏まえてTierランキングの紹介に移ります!
Tier1
【5cロマノフベン】Tier1
【5cコントロール】は新たな境地へ。
既存の基盤はアドバンスの【5cグレンモルト】を残してほぼ存在しなくなり、代わりに異なる2つの5色デッキがCS上位に顔を見せるようになりました。
そのうちの一つ、【5cロマノフベン】は採用カードこそ一見【5cコントロール】に似ていますが、その実態は非なるもの。
3ターン目のマナブーストから4ターン目に《ナウ・オア・ネバー》を唱えて《邪眼教皇ロマノフⅡ世》をプレイ。
登場時能力で墓地を大量に肥やしながらリアニメイトや《ナウ・オア・ネバー》で《龍風混成 ザーディクリカ》や2枚目の《邪眼教皇ロマノフⅡ世》へと繋ぎ、呪文を連鎖させていきます。
ある程度墓地貯まったところでリアニメイト呪文から復活させるのが《砕慄接続 グレイトフル・ベン》。
大量の墓地を一気にマナへと変換し、《Disアイ・チョイス》で《蒼龍の大地》を唱えて登場した《水上第九院 シャコガイル》がゲームを決します。
回り方次第では最速で4ターン目にして特殊勝利で勝負が決する押し付けの強さを持ちつつも、元々【5cコントロール】が有していた強力な基盤を引き継いでいるためカードパワーでも見劣りしないのが最大の強み。
また、仮にコンボが決まりきらなくとも、4ターン目に大量のマナ・大量のブロッカー・2回除去しなければ倒しきれないマナ召喚システムクリーチャーが並んでしまえば、生半可なことでは逆転できません。
EXライフ持ちを踏み倒せるトリガーもかなりの枚数確保されているため、愚直なビートダウンに一定の耐性があるのも魅力です。
メインとなる一連のコンボが《希望のジョー星》で全く阻害されないほか、速度もある程度出せるので、コンボデッキに対してもこれまでの構築より戦いやすい仕上がり。
しかしながら、《ナウ・オア・ネバー》をはじめとした踏み倒しギミックを中心に据えている都合上、能動的な仕掛けができなくなる《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》は見かけ以上のクリティカルヒットです。
意外と盤面に触れる中量級カードが少ないため、従来の5cでは不利になりづらかったメタビートや搦め手込みで攻めてくるミッドレンジがやや厳しい相手。
とはいえ5cのカード群はハイパワー。マナが7マナまで伸び切ってしまえば、どうにでもできてしまうのも事実です。
妨害手段に脆い部分は個々のカードパワーの高さでカバー。総じて攻撃的な構成が魅力の、新機軸な5色デッキです。
【5cカツキングチェンジ】Tier1
こちらも【5cコントロール】の系譜で、より元の構築に近い構成。
基盤となる部分はそのままに、ビートダウンへの耐性に優れた《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》・《界王類邪龍目 ザ=デッドブラッキオ》と革命チェンジのパッケージを採用した形です。
クリーチャーでの受けが多いため呪文ロックにも耐性があり、ビートダウンがはびこる環境においては非常に有力な選択肢となります。
その一方で、能動的に仕掛ける力はかなり弱いのが欠点。
受けに力を割いている分4t〜5tで勝負を決めてくるコンボデッキにも脆く、【5cロマノフベン】との5c対決もやや不利です。
攻めの【5cロマノフベン】に対して、こちらは守りの5色デッキ。
特色がわかりやすいため、環境次第で使い分けるプレイヤーも多くなるのではないでしょうか。
【シータRX閃】Tier1
《王来英雄 モモキングRX》+《アルカディアス・モモキング》のパッケージを使ったデッキはいくつか入賞報告が上がっていますが、テンプレートはまだ固まっていないのが現状。
サンプルリストはあくまでバリエーションの一つとしてご理解ください。
さて、そんな発展途上の《王来英雄 モモキングRX》デッキですが、その中でも多くの構築に共通している部分というのは存在します。
まず1つ目に、《蒼き守護神 ドギラゴン閃》を代表として、「《王来英雄 モモキングRX》が進化できなくても革命チェンジできる」プランを構築に盛り込んでいること。
進化クリーチャーを踏み倒す能力はもちろん有力ですが、そこまでしなくとも5マナで手札を整えて革命チェンジを引き込みつつ攻勢に出られるだけでも十分強力です。
2つ目に、《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》が4枚フル採用されていること。
多くのデッキに対処を強要するこのカードをしっかり4枚採ることで、ビッグアクションの起点となる後手4ターン目を安全に迎えられるように構築されています。
3ターン目の仕掛け自体はあるものの、極端に早いわけではないのがこのデッキ。1ターンの差が重くのしかかる場面も多いです。
最後の3つ目は、《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を上から叩ける《Disノメノン》が採用されていること。
火/水/自然という優れた3色で負担のかかるマナベースの緩和に寄与しつつ、相手の致命的なメタクリーチャーを上から叩きながらマナを延ばすかハンドリソースを延ばすか自由に選ぶことができます。
ジャストダイバーなので殴り返しからの革命チェンジ・侵略の起点にならず、《蒼き団長 ドギラゴン剣》や《蒼き守護神 ドギラゴン閃》でバラ撒けばアンタッチャブルのSA打点をお手軽に用意できて詰めでも大活躍。
メタクリーチャーが注目されつつある現在のオリジナル環境において、このカードを使えること自体が、このデッキを選択する理由となりうるカードだと言えるでしょう。
【ジョー星ゼロルピア】はゲーム速度の兼ね合いからやや苦手なデッキ。
横への展開は革命チェンジに頼りきっているため、いくらビートダウンデッキとはいえ《希望のジョー星》が貼られてしまうと致死打点までは形成できません。
コストを軽減して召喚することで成立するチェインコンボということで、こちらからのメタ能力もあまり通らず、先攻3ターン目の《希望のジョー星》への対抗はなかなかに困難です。
メタが少ない相手への瞬発力は頭抜けており、メタビートに対しても《Disノメノン》や相手の攻め手を牽制する《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》+《蒼き守護神 ドギラゴン閃》のパッケージである程度は対抗可能。
新環境におけるビートダウンデッキの最有力候補筆頭です。
Tier2
【ジョー星ゼロルピア】Tier2
王来篇の【ジョー星ゼロルピア】は水/自然で回す。
既存のムゲンクライムによる展開を払拭し、初動に《堕呪 ゴンパドゥ》や《十・二・神・騎》を採用してコンボパーツを寄せる手段を先鋭化。
盾落ち回収要員が《天体妖精エスメル》になることで、中盤にマナ加速して6マナから《希望のジョー星》+《ゼロ・ルピア》を一発で揃えやすくなりつつ、チェインコンボ中にアンタップマナを作りやすくなりました。
また、《罪無 ジョイダム垓》で墓地のクリーチャーを使い回す必要がなくなったので、メタクリーチャー耐性もさらに向上。
そして、このデッキのリソースを大きく支えるカードが《ニヤリー》です。
《ゼロ・ルピア》1体の時点では1マナかかってはしまうものの、この構築では前述の《天体妖精エスメル》をはじめスノーフェアリーによってアンタップマナを確保しやすく構築されています。
《ゼロ・ルピア》の2枚目までたどり着けばもはや言わずもがな。《罪無 ウォダラ垓》とともに4枚フル採用された《アクア忍者ライヤ》で使い回し、莫大なリソースを稼ぎます。
最終的には3体以上の《ゼロ・ルピア》を揃えて、0〜1マナになった《偽りの名 iFormulaⅩ》を召喚し、《罪無 ウォダラ垓》のムゲンクライムでタップして特殊勝利します。
コンボデッキ特有の引き要求は少なからず存在するものの、《希望のジョー星》のメタ性能が環境に噛み合っており、多くのデッキに対して先攻3t目《希望のジョー星》という理不尽を押し付けられるのが最大の強み。
また、2枚ドローに依存する水/闇型の構築よりも初動の手札調整カードの質が高く、コンボパーツを引き込みやすくなっているのが嬉しい点です。
現在のトレンドである《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を無視して勝利できることも追い風になっており、今後も有力なデッキタイプだと言えるでしょう。
【ラッカ鬼羅.Star】Tier2
メタクリーチャーの夏。【鬼羅.Star】の夏。
コスト2の強いメタクリーチャーが参戦して、《「正義星帝」<鬼羅.Star>》が黙っているはずがありません。
新戦力である《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》以外に大きく構築の変わった部分はありませんが、《その子供、可憐につき》などの順当に環境に噛み合ったカード群を強く使えることで、戦績をのばしつつあります。
特に環境柄重要になってくるのが、《「正義星帝」<鬼羅.Star>》の登場時能力で《カダブランプー》などのアンタップ要員を出すことで、相手の《アルカディアス・モモキング》のタップイン強制能力を無効化できる点。
ビートダウンデッキの多くが沈黙してしまうこの能力をナチュラルに乗り越えられるメリットは多大で、メタビートとしては他と一線を画した優位性を保っています。
相手の《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を除去する手段に乏しいのがやや気になる点ではあるものの、そちらもどうにか枠を作って火文明の除去を取り入れられれば対策できないものではありません。
歪む文明バランスは《カダブランプー》を《暴斬の姉豹》に差し替えて調整できるため、ある程度カスタム性が見込めるのも◎。
構築の幅が広がったことで環境内の多くのデッキに対して優位を取りやすい、今まさに大注目のデッキです。
噂では《ゴルドーザ<ドラギリア.Star>》を採用した新たな構築も出てきているとか……?
【ラッカ鬼羅.Star】テーマ解説
Tier3
【赤白ドギラゴン閃】Tier3
3t《蒼き守護神 ドギラゴン閃》の暴威は未だ健在も、周囲の強化についていけるか。
安定性・メタを乗り越えるパワー・約50%弱でビートダウンを差し返せる《閃光の守護者 ホーリー》と一通りの強みは揃っている優良ビートダウンですが、現時点では新興勢力である【シータRX閃】に一歩譲る位置についています。
最大の差はメタクリーチャーとトリガーの質。
《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を採用できないこともないですが、このカードを入れようとした場合にトレードオフになるのは《モエル・モヒッチ》などのメタカード対策が入っていた枠か、《奇石 ミクセル》のどちらか。
ここでネックになるのが、このデッキのマナベースです。光/火の2色で構成され、《チャラ・ルピア》などの初動の存在から一定の光単色カードの枚数を要求されるこのデッキ。
いくら《チャラ・ルピア》を絡めた召喚ルートである程度乗り越えられる目があるとはいえメタカード対策を完全に切ることは難しく、かといって光単色を減らしてしまうとマナベースに大きな負担をかけます。
このような事情から《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》の採用が難しくなっているのがこのデッキの悩みのタネです。
「トリガーの質」の問題についてはシンプルで、手札を整えつつメタクリーチャーを一時的にどかしながらマッハファイターで革命チェンジできる《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》の方が、デッキとの噛み合いが良く、強力。
もちろんいわゆる「ホーリークロック」でしか返せない場面は少なからずあり、このデッキにおいては光単色であることに大きな意義があるため単純な優劣はつけられませんが、カードの持つ役割の多さ・強さでは比ぶべくもありません。
依然として強力かつ人気ではあるものの、新戦力をうまく取り入れられなかったのが懸念点。
ビート対策へと動きつつある環境ともミスマッチで、入賞数は減りつつあるデッキタイプです。今は雌伏の時か。
【赤白ドギラゴン閃】テーマ解説
【赤単我我我ブランド】Tier3
Wブランドによる圧倒的速度を見よ!
基盤には大きく分けてビートジョッキー軸と盾回収を多めに採用したリソース採用軸がありますが、今回はビートジョッキー軸をサンプルリストに。
ビートジョッキー軸は、《一番隊チュチュリス》とその他コスト2のビートジョッキーを大量に採用することで、
・2ターン目に《一番隊チュチュリス》→3t目に軽減込みで1+1+ブランド
・2ターン目に《一番隊チュチュリス》→3t目に2+軽減されたブランド
・3ターン目に《一番隊チュチュリス》+ブランド
のような展開パターンを狙う構成。
性質上コスト1の採用枚数が12枚前後と、赤単速攻としては少なめになっています。
軽量クリーチャーをガツガツ並べて殴っていく見た通りのデッキではありますが、《こたつむり》や《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》といったメタカード・《ハエタタ・チュリス》や《霊峰 メテオザ-1》などの「メタへのメタ」も採用されており、単なる攻撃一辺倒のデッキではないことが見て取れます。
リソース採用軸は、《斬斬人形コダマンマ》や《花美師ハナコ》で手札に抱えやすくなった《龍装者 バルチュリス》を全力で活かすべく、盤面除去やメタクリーチャーを極限まで削り、3ターンkillの再現性に極振りした構築。
ビートダウン性能が極めて高い分メタクリーチャーへの抵抗力がやや低く、メタの採用余地も狭くなるため、対応力が低いのがネックです。
これらの基軸をブレンドしたようなバランスのいい構築も活躍しており、これまで環境で活躍していた【赤単速攻】と比べて構築段階からかなり融通が効くのが現在の【赤単我我我ブランド】の特色です。
新弾発売直後に大きく活躍し、その後も圧倒的な速度で一定の地位を得ているデッキではありますが、ビートダウンデッキが全体的に増えているため、多くのデッキで受け札の枚数が増加傾向にあるのが懸念点。
また、流行りのメタビートに対しては、《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》こそあまり効かないものの、《奇石 ミクセル》がかなり致命的です。
《我我我ガイアール・ブランド》をうまく活用することで乗り越えられないこともないですが、カードを探す手段のないこのデッキでは、毎試合安定して突破することは難しいと言わざるをえません。
メタビートデッキの増加に合わせて【5c】系統も盤面を取れるカードの採用枚数を増やす傾向にあるため、全体としてはかなり向かい風の環境へとシフト中。
ポテンシャルは間違いなくある、しかし活躍の時は今ではない。そんな立ち位置のデッキです。
【墓地退化】Tier3
墓地退化も根強い人気のあるコンボデッキ。
これまた《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》が効かず、メタクリーチャーをかなり貫通しやすいため、環境にはよく噛み合っています。
《竜魔神王バルカディア・NEX》のフィニッシュ力は抜群で、呪文ロックはもちろん攻撃時能力もかなり無体。
最近では攻撃時能力で《The邪悪 寄成ギョウ》を踏み倒してクリーチャートリガーの登場時能力をコピーできる態勢を作り、《竜魔神王バルカディア・NEX》の呪文ロックと合わせてほとんど単騎ラフルルに近い状態で安全なフィニッシュを狙う構築が一般的になってきました。
《The邪悪 寄成ギョウ》では無効化しきれない《終末の時計 ザ・クロック》は、引き続き採用されている《∞龍 ゲンムエンペラー》でカバー可能。
相手のデッキに合わせて必要な方を適切に踏み倒してこれるのがポイントです。
準備さえ整っていればわずか4マナで始動できる隙の小さいコンボデッキであり、コンボパーツがナチュラルに受け札になるため、ビートダウンにも一定の耐性があるのが嬉しいですね。
比較的要求パーツの多いコンボデッキであるためルーター連打で全てを揃える必要があり、墓地に逃しておくと墓地メタですべてデッキに返されてしまうリスクがあるのが弱点。
とはいえ、現在の環境には墓地利用デッキがあまりなく、それに伴って墓地メタが減少傾向にあるため、環境的にはかなり追い風を受けている印象です。
今後の活躍に期待がかかるデッキタイプでしょう。
【墓地退化】テーマ解説
環境のまとめ
発売直後から紆余曲折を経て、7月上旬時点でオリジナル環境の中心にいるのは、《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》であると言えるでしょう。
多くのビートダウン・高速コンボを強烈に足止めできるこのカードを、いかにして強く使うか・いかにして無視するかが環境の焦点となっています。
《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を強く使えるデッキの代表格が、【シータRX閃】・【ラッカ鬼羅.Star】。
《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を無視しやすいデッキの代表格が、【5cカツキングチェンジ】・【ジョー星ゼロルピア】・【墓地退化】。
これらのデッキは現在の環境の推移とかみ合っており、今後も活躍が注目されるデッキタイプです。
また、《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を強く使えるメタビートが着々と増えていることを踏まえ、環境全体の受け枚数は増加気味になることが予測されます。
そんな中で活躍しやすいのが、受けを無視して勝利できるコンボデッキ。
というわけで、今後の環境で注目したいのは、
・《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を使うデッキ群の中でもっとも強い【シータRX閃】、【ラッカ鬼羅.Star】
・《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を無視しつつ、増加が予測される受け札の影響を受けづらい【ジョー星ゼロルピア】、【墓地退化】
の4デッキ。
また、カード単位で見た場合、《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》と《希望のジョー星》を1枠で同時に対処できる《メッチャ映えタタキ》はかなり注目度の高い1枚。
クリーチャーが展開できないためビートダウンデッキで使うのはコンセプトを歪めてしまう恐れがありますが、そうでないデッキであれば積極的に採用候補に挙げられます。
デッキごとにある程度の傾向というものは見えてきたものの、とにかく「禁時王の凶来」のカードが強すぎるため、メタゲームらしいメタゲームはほとんど定まっていません。
大会の結果を見ても地域差や日ごとの差がかなり大きく、明確な答えを出しづらいのが現在のオリジナル環境です。
まだまだこれからどうなっていくのか……というところなのですが、早くも今週末には特殊パックである「20周年超感謝メモリアルパック 技の章 英雄戦略パーフェクト20」がリリースされます。はやくない?
まだ煮詰まっていないこの環境が終わりを迎えてしまうのは少しもったいないような気もしますが、気持ちを切り替えて新しいカードにも期待したいですね。
おわりに
というわけで、7月初旬のオリジナル環境について解説いたしました。
使ってみたいデッキは見つかりましたでしょうか?
この記事が皆さんのオリジナル環境に対する理解への一助となれば幸いです。
それでは次回、7月のアドバンス環境解説記事でまたお会いしましょう!