【GoD:全国大会2017】君臨するのは神か、魔王か【Great Match of DuelMasters】

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【GoD:全国大会2017】君臨するのは神か、魔王か【Great Match of DuelMasters】

こんにちは、神結です。

 

デュエマの名試合を皆様にお届けするGreat Match of DuelMasters、略してGoD。

今回も皆様を、名試合の世界にご案内しましょう。

 

さて、来る6月12日にいよいよ全国大会が開催されます。選手はもちろん、ファンの皆さんにとっても待ちに待った日がいよいよ近付いています。

そんなわけで今回は全国大会の方から紹介をしていこうと思います。

デュエマの歴史に燦然と輝く全国大会2017、そしてその主人公は皆様ご存じ、dottoさん。

彼はこの大会のチャンピオンであり、この年より始まった全国ランキングの頂点に立った男です。

彼が大会で魅せた圧巻のパフォーマンス、環境への答えとも言えた使用デッキの完成度、それらが合わさったことによって成し遂げた勝利が、多くのプレイヤーに「全国大会」の意味合いを再確認させました。

そして翌年以降、数々のプレイヤーがその舞台を目指して邁進していくこととなるのです。

目次

全国大会2017

デュエマの競技化――CSサポート、大型公式大会を始め、現在ではお馴染みになっているデュエマの競技シーンですが、これまでの歴史の中で大きな分岐点と言えるのが、少なくとも2つはあるでしょう。

1つは、GP1stが開催された2015年夏。以降、デュエマはGPと呼ばれる大型イベントが定期的に開催されるようになりました。

コロナ下で長らく中断しているものの、今年遂にGP10th(だと思います)や超CSといった大型イベントが告知されています。楽しみで仕方ありません。

そしてもうひとつは、DMPランキングの施行。

それまで、全国大会に参加出来るのは各地域のエリア予選を抜けたプレイヤーだけに限られていました。それは特に狭き門で、そして何より一発勝負です。「今日はあんまりツキがなかった」、それだけで全国大会の夢は潰えてしまいます。

しかし、DMPランキングの施行によって事情は変わりました。年間を通してコンスタントに戦績を残せば、全国大会に行けるようになったのです。

そしてそれは同時に、全国大会のレベルが大きく上がったことも意味します。年間を通してコンスタントに勝つには、それ相応の実力を伴う必要があります。決して運やフロックでは辿り着けない世界です。

ですので、DMPランキングから全国大会にやってきたプレイヤーは、トップオブトップのプレイヤーであることを意味しています。

dottoは、このDMPランキング枠を勝ち取って全国大会への進出を決めたプレイヤーでした。

 

48枚同型戦

全国大会の開催日から遡ること2週間ほど前、これまでの環境に大きなメスを入れる殿堂改訂がありました。

それまで環境2トップであった【モルトNEXT】と【白緑メタリカ】が事実上消滅することになりました。

前者は《超戦龍覇 モルトNEXT》《爆熱剣 バトライ刃》のコンビ殿堂によって環境から退くことになり、後者は《ベイB ジャック》のプレミアム殿堂によって、デッキそのものが消滅しました。

その他、これまで活躍してきた【ロージアダンテ】などで一掃され、環境は一変することになります。

しかしその一方で、1つの爆弾がこの環境に投下されていました。

マスター・ドルスザクで新規に登場した《“龍装”チュリス》ですね。

《“龍装”チュリス》

(殿堂カード) 【 クリーチャー 】
種族 ドラゴンギルド / ビートジョッキー / 文明 火 / パワー5000 / コスト5

■B・A・D2(このクリーチャーを、コストを2少なくして召喚してもよい。そうしたら、このターンの終わりにこのクリーチャーを破壊する)
■スピードアタッカー(このクリーチャーは召喚酔いしない)

正直、このカードが登場したことで「あー、《蒼き団長 ドギラゴン剣》も遂に殿堂するんだな……」と思いました。

しかし冷静になって考えてみると、ドギラゴン剣が殿堂されるのならこのカードを収録した意味も特にありません。そんなわけで、ドギラゴン剣本体にお咎めなし。

結果、従来の環境デッキがほぼ消滅ないし弱体化したこともあって、【赤青バスター】一色の環境になります。

それもその筈で、先攻3ターンでバスターアパッチして6点作れるデッキはバスターしかないですし、それを咎めることの出来る《異端流し オニカマス》を自然と採用出来るデッキもバスターなのです。

《異端流し オニカマス》

【 クリーチャー 】
種族 ムートピア / 文明 水 / パワー2000 / コスト2

■相手がクリーチャーを選ぶ時、このクリーチャーは選べない。(ただし、このクリーチャーを攻撃またはブロックしてもよい)
■相手のターン中に、相手が召喚以外の方法でクリーチャーをバトルゾーンに出した時、そのクリーチャーを持ち主の手札に戻してもよい。

現在ではマッハファイター等の登場によって事情は変わりましたが、当時はこの《異端流し オニカマス》を除去出来るカードはかなり限られていました。実戦レベルのカードで言えば、ほぼ「なかった」と言っても差し支えないと思います。

最強の赤青バスターと言えど、同型の《異端流し オニカマス》は除去出来ない。

よって、この同型戦は「《異端流し オニカマス》を出したあとは、《プラチナ・ワルスラS》で殴り続けるゲーム」だと認識されました。

そしてそれはイコールで、先攻を取った場合に圧倒的に有利、ということになります。

《プラチナ・ワルスラS》

(殿堂カード) 【 進化クリーチャー 】
種族 マジック・コマンド / イニシャルズ / 文明 水 / パワー6000 / コスト3

■進化:自分の水のクリーチャー1体の上に置く。
■W・ブレイカー
■このクリーチャーが攻撃する時、カードを3枚引いてもよい。そうしたら、自分の手札を1枚捨てる。

《異端流し オニカマス》の支配下で《プラチナ・ワルスラS》を除去するには、基本的には同じ《プラチナ・ワルスラS》で殴り返して相討ちすることになります。しかしこの状況は、単純に盾枚数に差が付いています。

先攻でワルスラを走らせれば盾を2点詰めることが出来ていますが、後手にはその権利がありません。かといって後手のワルスラが盾に突っ込んでいくと、今度は先手の手番が生きて続くターンに大量の追加打点を展開されて普通に負けます。

というわけで【赤青バスター】同型はじゃんけん、という認識は割と一般的だったと思います。そういうこともあってか、この大会の参加者では【赤青バスター】を選択しなかったプレイヤーも多かったです。

しかしdottoは同じく全国大会出場者であったピカリ、そして2011年に【マーシャルループ】で全国優勝を果たしたあばばばと共に、1つの答えに辿り着いていました。

それが赤青バスターに《Dの牢閣 メメント守神宮》入れる、というアプローチでした。


《Dの牢閣 メメント守神宮》

(殿堂カード) 【 D2フィールド 】
文明 光 / コスト4

■S・トリガー(このD2フィールドをシールドゾーンから手札に加える時、コストを支払わずにすぐ展開してもよい)
■自分のクリーチャーすべてに「ブロッカー」を与える。(「ブロッカー」を持つクリーチャーをタップして、相手のクリーチャーの攻撃先をこのクリーチャーに変更してもよい)(他のD2フィールドがバトルゾーンに出た時、このD2フィールドを自分の墓地に置く)
■Dスイッチ:いずれかのプレイヤーが自身のターンに最初のカードを引いた時、このD2フィールドをゲーム中で一度上下逆さまにしてもよい。そうしたら、相手のクリーチャーをすべてタップする。

一応、これまでの赤青バスターも後手の捲り要素としてトリガーである《閃光の守護者ホーリー》を採用しているのが一般的でした。

しかしこの《Dの牢閣 メメント守神宮》の革新的なところは、盾からだけでなくドローしても強力なカードであること(ホーリーは引いてしまうとマナに置くしかありません)に加え、ブロッカー付与によって盤面が強固になるため後手からしっかり捲れること、そして能動的に《異端流し オニカマス》を処理することが可能なことです。

先に上げた赤青バスター同型の問題点を、見事に解消しています。

そしてこの大会の準決勝で、dottoとピカリは48枚同型戦を行うことになりました。赤青バスターに勝てる赤青バスターなのですから、この巡り合わせは必然だったと言えるでしょう。

これも名勝負、そして名カバレージが刻まれた試合でありますが……結果は、dottoの勝利。決勝へと進出します。

そして決勝で、再び【赤青バスター】との対戦を迎えることになるのです。

 

神か、魔王か

決勝の相手は、ちゃそ。

関東で活躍するプレイヤーでした。彼は旧原一派、と呼ばれる関東の西葛西を中心としたコミュニティで調整を続けていました。

そしてちゃそが構築で採用していたのは《閃光の守護者ホーリー》です。

この大会、赤青バスターの《Dの牢閣 メメント守神宮》に辿り着いていたのは、やはりdottoとピカリだけだったのです。

第1ゲーム

第1ゲーム、この日ここまで全勝のdottoですが、いきなり試練が訪れます。ちゃそが《異端流し オニカマス》をプレイしたのに対し、先手のdottoはこのカードを引けなかったのです。

それは即ち、《蒼き団長 ドギラゴン剣》に走られることを意味します。

dottoが《プラチナ・ワルスラS》で2点詰めた返し、ちゃそは《蒼き団長 ドギラゴン剣》で走りながら、《勝利のアパッチ・ウララー》こそなかったものの盤面に《熱湯グレンニャー》を繰り出して優位を築きます。

 

しかしdottoはオニカマスを持っていない場合のプレイについても、当然想定していたのでしょう。

続くターンは《“乱振”舞神 G・W・D》で盤面を取りつつ、更に盾を詰めていきます。これでちゃその盾は、残り2枚。

ちゃそが自身の有利を信じて《単騎連射 マグナム》を送り込んだ返しに、dottoはこの対面の切り札を繰り出します。

即ち、《Dの牢閣 メメント守神宮》

これによって、ちゃその盤面の優位が揺らぎ始めます。

《Dの牢閣 メメント守神宮》は、《異端流し オニカマス》をタップしたいのはもちろんとして、そもそもが実質的に1ターンをもぎとるカードです。また自陣をブロッカーにすることで、耐久力も高めてくれます。

そして盾に潜んでいるかもしれない追加の《Dの牢閣 メメント守神宮》が、ちゃそにプレッシャーを与えます。

自身の盾は2枚。

盤面は有利ながらも、dottoの盤面がブロッカーで固まっていることで、相手を倒しきることが出来ません。倒しきれなかった場合、そして盾からのメメントがあった場合、それは即ち敗北に直結します。

だから、ちゃそは殴れない。

互いに《奇天烈 シャッフ》を送り込みながら牽制し合う流れになりますが、こうなると先に盾を詰めていたdottoが勝機やってきます。

dottoはここで《プラチナ・ワルスラS》と《“龍装”チュリス》を送り込み、一気に勝負を決めに行ったのです。

ちゃそは決してミスをしたわけではないにも関わらず、気付けば捲られていました。

dottoは神なのか、はたまた魔王なのか……一体何ターン前からこの状況を想定していたのでしょうか。果たしてdottoの総攻撃は通り、決勝の1本目を見事に奪取します。

その大局観は、悪魔的という他ありません。

《Dの牢閣 メメント守神宮》という構築の勝利であり、そしてdottoのプレイングセンス・大局観の勝利と言えるでしょう。

 

 

第2ゲーム

そして2本目、dottoはいよいよ盤石のデュエマを魅せます。

前半で互いにクリーチャーを並べ合うゲームをした後、dottoが《Dの牢閣 メメント守神宮》を展開したことで本領を発揮。

ちゃその《異端流し オニカマス》を相討ちで処理しながら《蒼き団長 ドギラゴン剣》で走ると、《勝利のアパッチ・ウララー》《紅蓮の怒 鬼流院 刃》の展開を作ります。

そして《光器セイント・アヴェ・マリア》まで並べて、鉄壁の要塞を作り上げてしまったのです。

ちゃそも《異端流し オニカマス》が退いたことで《蒼き団長 ドギラゴン剣》で走ることが出来ましたが、当然これもdottoの想定内。《Dの牢閣 メメント守神宮》に守られた陣地は、突破を許しません。

こうして最後は《単騎連射 マグナム》まで用意したdotto。

ほぼ全ての防御手段を封じ、攻勢に転じます。

これを返す手段は《Dの牢閣 メメント守神宮》しかありませんが、ちゃそのデッキにこのカードは存在しません。

dottoはその卓越したスキルと構築によって、予選から一度も敗北することなく優勝を勝ち取ります。恐らく3本先取だったとしても、再戦したとしても、dottoが勝っていたでしょう。それくらい必然の勝利に見えました。

やはりdottoは神か、魔王か。

大会終了後、dottoを称える言葉は止まりませんでした。

そしてこの戦いは「蒼龍革命」の伝説として、いまの時代まで語り継がれることになるのです。

《蒼き守護神 ドギラゴン閃》

【 クリーチャー 】
種族 メガ・コマンド・ドラゴン / 革命軍 / ハムカツ団 / 文明 光/火 / パワー13000 / コスト8

■革命チェンジ:光または火のコスト5以上のドラゴン
■ブロッカー
■T・ブレイカー
■自分のターンの終わりに、自分の多色クリーチャーをすべて、アンタップする。
■ファイナル革命:このクリーチャーが「革命チェンジ」によってバトルゾーンに出た時、そのターン中に他の「ファイナル革命」をまだ使っていなければ、自分の山札の上から4枚を表向きにする。その中から進化ではない多色クリーチャーを、コストの合計が6以下になるように好きな数選び、バトルゾーンに出す。残りを好きな順序で山札の下に置く。

 

敗者たちの栄光

全国大会2017は、これまでとは明らかに異なる大会でした。

直前の2年はじゃきーせいなと中部のプレイヤーがこの大会を制していました。彼らの使用デッキは、天門とモルトNEXT。

しかしこの時は新殿堂直後ということもあり、完成された構築ではありませんでした。どちらかというと、その意外性による読み勝ちだった、と言えます。

しかしこの大会のdottoは別でした。圧倒的な環境トップデッキを、洗練されたプレイスキルで使いこなし、そして勝利が必然だったとも言える構築に辿り着いて持ち込んでいたのです。

そしてdottoは、DMPランキングを勝ち抜いての全国大会参加でした。

我々プレイヤーは、その圧倒的な強さに衝撃を受けます。

これまであくまで一イベントとして観ていた全国大会も、そこがプレイヤーとして目指すべき最高の舞台として目に映るようになりました。

dottoは憧れの、栄光の象徴だったのです。

この大会で敗れたプレイヤーも、この大会に辿り着けなかったプレイヤーも、そして《Dの牢閣 メメント守神宮》に気付けなかった各陣営も、それぞれが敗者でした。

私もまた、この大会に於いては敗者でした。この大会、私はライターとして参加出来ませんでした。呼ばれなかったからです。そして私はイヌ科が書いた準決勝のカバレージを読み、その瞬間に敗北を突きつけられました。

ですが、敗者は決して敗者のままでは終わりません。

やがて敗者たちは、dottoが掴んだ栄光を求めて2018年度DMPランキングに挑むことになります。

私もまた、ライターとしての最高峰の舞台に向かうために相応の努力した、ということはここに記しておこうと思います。

 

全国大会2019

さて、いよいよ全国大会2019が目前に迫っています。

40名を超えるプレイヤーたちの戦いが、そこにはあります。

それぞれ想いが、理想が、意地が、誇りが、そしてスキルが、いよいよ大会という舞台の上でぶつかることになります。

何年越しの全国とか、何回延期したとか、そんな話をしたいのではありません。

「この大会に懸けるプレイヤーたちがいる」「そのプレイヤーたちが戦い合う」そういう大会を観るのが楽しみで仕方ありません。

ですのでこの大会でもまた、きっと伝説が生まれることでしょう。

その伝説の目撃者に、皆さんも是非なって欲しいなと思っています。

 

おわりに

というわけで今回のGoDは試合を紹介しつつも、少し変わってdottoさん特集みたいな感じになりました。

かくいう私もdottoさんに憧れた人間の一人なので、改めて書いていくとその凄さをしみじみと感じます。

全国大会の観戦ガイドは、また近く書けたらと思っています。

そんなわけで、また次回の記事でお会いしましょう。

感想などは、是非Twitterで#デュエマGoDをつけてお願い致します。

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