こんにちは、神結です。
秘密デッキの開発というのは、どのプレイヤーにとっても憧れです。それを大舞台で披露し、勝つことができたら、自分のデュエマ人生史に刻み込まれる出来事になることでしょう。
実際、GP3rdでパタさんたちが持ち込んだ【ジョバンニスコール】は衝撃でした。
あのようなド級のホームランって一世一代の持ち込みであり、人生でそうそう何本も打てるものではないのですが、当時は「いったい次は何を持ち込むんだろう」というワクワクにも溢れていました。
で、そんな彼らは続くGP4thでも周囲の期待に応えるように、まだ世には知られていなかったデッキを持ち込むことになります。
「歴代名作デッキ紹介」と題しまして、過去の名デッキの振り返りをしていくこの企画。

今回は【バッシュギヌス】です。
目次
本日の名作デッキ紹介
【モルトNEXT】へのソリューション 「バッシュギヌス」
というわけで今回の名作デッキはGP4thで注目された【バッシュギヌス】になります。
リストはこんな感じ。


バッシュギヌスは、2017年春に誕生。新章デュエルマスターズに突入してから生まれたデッキです。
その【モルトNEXT】全盛期だった当時、貴重な「モルトNEXTに有利なデッキ」でした。
デッキのメインとなっているのは、デッキ名にもある《凶鬼34号 バッシュ》+《魔龍バベルギヌス》によるコンボです。

【 クリーチャー 】
種族 マフィ・ギャング / 文明 闇 / パワー2000 / コスト4
■スレイヤー
■このクリーチャーが破壊された時、パワー1000以下のクリーチャーを1体、自分の墓地からバトルゾーンに出す。
《凶鬼34号 バッシュ》は自身が破壊されたときに、墓地からパワー1000以下のクリーチャーを蘇生するというもの。
基本的にパワー1000以下というのは低コストクリーチャーが多いのですが、そこは長い歴史を持つデュエル・マスターズ。パワー1000ラインでも非常に強力なカードが存在しています。
その代表が《魔龍バベルギヌス》ですね。

(殿堂カード) 【 クリーチャー 】
種族 ドラゴン・ゾンビ / グランド・デビル / 文明 闇 / パワー1000 / コスト7
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、プレイヤーをひとり選ぶ。そのプレイヤーのクリーチャーを1体破壊してもよい。そうした場合、そのプレイヤーの墓地から、《魔龍バベルギヌス》以外の進化ではないクリーチャーを1体選び、バトルゾーンに出す。
魂の移動などたやすいことでお馴染みの《魔龍バベルギヌス》ですが、バッシュ→バベルギヌスと魂の移動を行うことによって結果として好きなクリーチャーを蘇生出来るようになるわけです。
本当に何でも蘇生出来ますので、実際《凶鬼34号 バッシュ》登場直後のCSでは「バッシュ龍墓地」みたいなデッキと対戦したことがあります。普通に《龍世界 ドラゴ大王》が飛んできました。
(龍墓地の解説はこちら)
さて、《凶鬼34号 バッシュ》+《魔龍バベルギヌス》のコンボ自体はわかりやすいものではあるのですが、ここからデッキを組む上では課題が幾つかあります。
①どうやって《 凶鬼34号 バッシュ 》を破壊するか
②《 魔龍バベルギヌス 》から何を蘇生するか
この課題の回答として編み出されたのが、GP4thでお目見えすることとなった【バッシュギヌス】という訳ですね。
まず①については後に殿堂カードとなる《暗黒鎧 ダースシスK》が採用されることに。

(殿堂カード) 【 クリーチャー 】
種族 ダーク・ナイトメア / イニシャルズ / 文明 闇 / パワー5000 / コスト5
■このクリーチャーの召喚コストを支払う時、かわりに自分のクリーチャーを1体破壊し、自分の山札の上から1枚目を墓地に置き、自分の手札を1枚捨ててもよい。
■このクリーチャーが召喚によってバトルゾーンに出た時、このクリーチャーと同じ名前のクリーチャーをすべて、自分の墓地からバトルゾーンに出す。
コストを支払わずに《凶鬼34号 バッシュ》を割れること、更に手札からコンボパーツを墓地に投げられること、更に後述する別ギミックと噛み合う「分身」を使えることから、デッキに欠かせない1枚となっています。
そして《魔龍バベルギヌス》から出して勝つカードとして指名されたのが、《復活の祈祷師ザビ・ミラ》。

【 クリーチャー 】
種族 デーモン・コマンド / エイリアン / 文明 闇 / パワー9000 / コスト8
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の他のクリーチャーを好きな数破壊してもよい。こうして破壊したクリーチャー1体につき、コスト6以下のサイキック・クリーチャーを1体、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出してもよい。 (ゲーム開始時、サイキック・クリーチャーは山札には含めず、自身の超次元ゾーンに置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、そこに戻す)
W・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを2枚ブレイクする)
現在でも「出したら勝つカード」でお馴染みですが、当時は《ヴォルグ・サンダー》が健在だったことで、これを惜しみなく投げつける必殺技がありました。
更に《Dの地獄 ハリデルベルグ》などが絡むとそれこそ《ヴォルグ・サンダー》が10数回投下されることもあるので、《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》のようなカードがない限りはLO勝ちできるでしょう。
基本的には《Dの地獄 ハリデルベルグ》を先に設置し、6マナで《凶鬼34号 バッシュ》+《悪魔の契約》からスタートするか、或いは受けで展開したクリーチャーを元に《復活の祈祷師ザビ・ミラ》を割るか、といった形から入っていくことになります。
相手に殴らず勝つことが出来るデッキなのですが、このデッキの魅力はもう1つ、《終末の時計 ザ・クロック》を採用できる点にあるでしょう。

【 クリーチャー 】
種族 アウトレイジMAX / 文明 水 / パワー3000 / コスト3
■S・トリガー(このクリーチャーをシールドゾーンから手札に加える時、コストを支払わずにすぐ召喚してもよい)
■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、ターンの残りをとばす。(次のプレイヤーのターンをすぐに始める)
当時の環境トップには【モルトNEXT】が存在しており、このデッキは様々なドラグハート・テクニックを使用することで多くの受け札を無効にしていくのですが、数少ないケアできないカードとして《終末の時計 ザ・クロック》がありました。
そのため、《終末の時計 ザ・クロック》を使った受けの強いデッキ(例:落城退化など)は【モルトNEXT】に対して有利を主張できたのですが、この【バッシュギヌス】もその1つですね。
またこの時期にはちょうど「ブレイクルールの変更」がありました。
これは具体的に言うと「T・ブレイカーであれば、シールドを3枚“同時に”ブレイクする」といったものに変更されました(つまり現在と同じようになった)。
それまでのブレイクはT・ブレイカーでもシールドを1枚ずつブレイクしていくため、このブレイクの順序によって「先に除去トリガーから踏んでいれば、《単騎連射 マグナム》退かせて、裏の《閃光の守護者ホーリー》で勝てた」みたいな話もあったりしました。
また《終末の時計 ザ・クロック》がトリガーしていれば、3枚ブレイクの途中であっても強制的にターンを飛ばせたんですよね。
ですので「楯を守りにくくなった」ということで《終末の時計 ザ・クロック》は弱体化したと言われはしたのですが、このようにコンボデッキであると話は別。
楯からパーツを引っ張りつつ《終末の時計 ザ・クロック》でターンを飛ばせるようになったということもあり、どちらと言えばこの手のデッキには恩恵が大きかったように思います。
余談(教訓)
GPとバッシュギヌスの話になると、やはりどうしても触れなくてはいけない話題があります。《超覚醒ラスト・ストームXX》に関する裁定の話です。
このデッキの超次元は《ヴォルグ・サンダー》の他に《時空の踊り子マティーニ》が2枚、そして《超時空ストームG・XX》が2枚となっております。
これは《復活の祈祷師ザビ・ミラ》からの展開をしていく際に、6体破壊からの《ヴォルグ・サンダー》4体と《時空の踊り子マティーニ》を投げることになるんですけど、ここで《時空の踊り子マティーニ》→《舞姫の覚醒者ユリア・マティーナ》の順番に投げると、《時空の踊り子マティーニ》の覚醒条件が達成するんですよ。

【 サイキック・クリーチャー 】
種族 スプラッシュ・クイーン / 文明 水 / パワー1000 / コスト3
ブロッカー
このクリーチャーは攻撃することができない。
覚醒-自分の「ブロッカー」を持つコスト4以上のクリーチャーをバトルゾーンに出した時、このクリーチャーをコストの大きいほうに裏返す。(ゲーム開始時、サイキック・クリーチャーは山札には含めず、自分の超次元ゾーンに置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、そこに戻す)
────────────覚醒後────────────
カード名:舞姫の覚醒者ユリア・マティーナ
カードの種類:サイキック・クリーチャー
文明:光
種族:メカ・デル・ソル
パワー:3000
コスト:6マナ
マナ:-
ブロッカー
このクリーチャーがブロックした時、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
で、《舞姫の覚醒者ユリア・マティーナ》を投げた状況で全てのサイキックを巻き込んで《超時空ストームG・XX》に進化させると、「覚醒する」という条件を引き継ぐので、《超時空ストームG・XX》の即時覚醒を達成できるんですね。

【 進化サイキック・クリーチャー 】
種族 アーマード・ドラゴン / フレイム・コマンド / サムライ / 文明 火 / パワー24000 / コスト20
超無限進化-コストの合計が20以上になるよう、自分のサイキック・クリーチャーを1体以上選び、その上に置く。
自分のサイキック・クリーチャーをバトルゾーンに出した時、または覚醒させた時、このクリーチャーを自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出してもよい。
メテオバーン覚醒-自分のターンのはじめに、このクリーチャーの下にあるカードをすべて墓地に置き、その後、このクリーチャーをコストの大きいほうに裏返す。
Q・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを4枚ブレイクする)
────────────覚醒後────────────
カード名:超覚醒ラスト・ストームXX
カードの種類:サイキック・クリーチャー
文明:火
種族:アーマード・ドラゴン/フレイム・コマンド/サムライ
パワー:35000
コスト:40マナ
マナ:-
バトルゾーンにある自分のクリーチャーを相手が選ぶ時、このクリーチャーを選ぶことはできない。(ただし、このクリーチャーを攻撃またはブロックしてもよい)
このクリーチャーが攻撃する時、コスト10以下のサイキック・クリーチャーを好きな数、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。
ワールド・ブレイカー(このクリーチャーは相手のシールドをすべてブレイクする)
で、当時は「進化クリーチャーではないクリーチャーの下にクリーチャーを置くことはできない」みたいな裁定があって、この条件で覚醒した《超覚醒ラスト・ストームXX》であっても、進化元になっている《ヴォルグ・サンダー》が墓地経由で超次元ゾーンに帰っていったんですよ。
ですのでこれによって《ヴォルグ・サンダー》を再投下してLOで勝てたのですが。
ところが何故かGP4th当日になって「《超覚醒ラスト・ストームXX》に覚醒しても進化元は留まる」みたいな裁定が伝達されまして。
あのー、なんか当時のカバレージとか読むと、以下のような“大本営発表”がされているんですけどね。
以前のルールでは、進化ではないクリーチャーの下にカードが存在する事はできなかったため、適正に存在できないカードは状況起因処理によって墓地に置かれていたが、 ≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫ の登場によって、進化ではないクリーチャーの下にもカードが存在できるようになるルール改変があった。
そのため、上記のテクニックを用いた場合、進化元になったサイキック・クリーチャーは ≪超覚醒ラスト・ストームXX≫ の下に重ねられたまま残るという事に注意しよう。
但し、上記のルールについては、事務局の回答以外ではプレイヤーが知るすべがなく、かつ前のルールを想定して大会に参加したプレイヤーが多数だったため、本大会では特例として前のルールを適用する事となった。今回のルール改変については公式HPで告知するとともに、最新のルール裁定については、プレイヤーへの周知を徹底するので、引き続きデュエマを楽しんでもらいたい。
これな~~~~。
いや、当日に従来の裁定でやることに決めたのは英断だと思うんですよ。
ただ当たり前なんですけど、デッキの根幹に関わる裁定なんだから、事前に確認していないわけなくてですね。
実は関東でもこのデッキを使う人がいたため、GP直前に二度に渡って事務局に問い合わせて確認しているんですよね。
そして当然ながら「できます」って回答をまぁいただいてるんで。
つまり事務局回答でも知る術はなかったんですよね。
そういうことにしたかったのはわかるけど、ちゃんとごめんなさいって言えよな~~~って当時は思ったりもしていました。
まぁ現在は裁定絡みやその伝達方法はかなりクリーンに整備されています。まぁ、過去のこうした教訓が生きているのでしょう。
おわりに
「DM歴代名作デッキ」、第138回は【バッシュギヌス】でした。
バッシュギヌス自体のギミックは競技プレイヤー間ではGP以前から知られていたものではあり、恐らく全国で同じようなデッキが調整していた人も多かったでしょう。私もデッキ自体回していましたし、その上で使わないって選択しましたからね。
とはいえ、GP3rdで【ジョバンニスコール】を持ち込んだパタさんたちの新作ということで、注目が集まったのも間違いないです。
結果として《超覚醒ラスト・ストームXX》の裁定変更に加えて、《魔龍バベルギヌス》もこの後すぐに殿堂してしまったこと、そして同じGPで【緑単ループ】が登場してしまったことで、活躍期間は非常に短いものではありました。
ただやはりGPでの活躍というのは印象が強く残るものでもあり、それ故に今でも広く知られたデッキなのかなぁ、と思っています。
というわけで、今回はここまで。
「このデッキを紹介して欲しい」といったリクエストも受け付けておりますので、#DM歴代名作デッキでご感想をお待ちしております。

それではまた来週会いましょう。
バックナンバーはこちら!

デュエマの歴史を学びたい方はこちら!
