デュエル・マスターズプレイスもリリースから3週間近い日が過ぎ、年末には最初のランクマッチシーズンである『ボルメテウスカップ』が終わりを迎えた。
その中で私が最も感銘を受けたのが、なんと言ってもメタゲームのレベルの高さだ。
- SNSや攻略サイトの発達により、強いレシピや正しいプレイが情報として多くの人に渡るようになった点
- アナログ→デジタルの移行によって、トーナメントレベルの対戦数が大幅に伸びた点
の2点から、本シーズンのメインプールであった1~6弾(2002~2003)とは比べ物にならないほどレベルの高いメタゲームが展開されている。
むしろ、回転率だけを取り分けて見るならば、週末だけでなく平日でもメタゲームが回転する分、
現行のデュエル・マスターズよりもメタ回りが速いほどだ。
そんなデュエル・マスターズプレイスは、12/18~12/31といった僅か2週間で開かれた『ボルメテウスカップ』でどのようなメタゲームの変遷を経たのだろうか。
目次
環境初期
ランクマッチスタート直後の環境は、
- デッキ内の高レアの少なさと全員配布の《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》によって、構築難度が低くなっていた【ボルコン】
- 同様に高レアリティが少なく、また汎用トリガーの生成コストが高かったことから、パンチの通りが比較的良かった【赤青速攻】
の2デッキが中心となっていた。
しかしリリース直後故に、ユーザーのカード資産も不足しており、しっかりとしたメタは固まっておらず、
- 【赤単速攻】
- 【青単リキッドピープル】
- 【青白ブロッカー】
- 【青黒ハンデスビート】
といったあらゆるデッキが散見されていた。ユーザー間であらゆる模索が行われていた時期である。
ミッドレンジ参戦
リリースから少しの日が経つと、課金ユーザーも増え、プラチナ~マスター帯では多くのプレイヤーが不足無いデッキを使用し始めていた。
環境はと言うと、やはりデッキパワーと安定感で勝る【ボルコン】と【赤青速攻】がアーキタイプとして頭一つ抜け始め、
ここの直接対決で軍配の上がる【ボルコン】にやや傾倒する環境になっていた。
すると、待っていたかのように
- 【シータミッドレンジ】
- 【アルカディアス系統】
が【ボルコン】を狩りに現れる。
【シータミッドレンジ】は、リソースとボードを同時に伸ばすカードを多用することで、【ボルコン】の対応力を超える攻めを行う。《機神装甲ヴァルボーグ》を筆頭とした速い展開にこそ弱い傾向があるが、デッキパワーの高さから、多くのデッキに勝てる目を持つ強力なデッキタイプだ。
一方で【アルカディアス系統】は、青白や青白緑を基盤とし、出来るだけ早く《聖霊王アルカディアス》を着地させることで、【ボルコン】のメインストリームである妨害行為を封じる。《聖霊王アルカディアス》の刺さり方が【ボルコン】以外のデッキには微妙な面こそあるが、こと【ボルコン】相手に対しては高い遂行力を発揮する強烈なメタデッキである。
どちらもβテスト版のメタゲームでユーザーが到達したアーキタイプであると言う話もあり、本リリースでも例に漏れずこの道を辿っている訳だ。
この2デッキの台頭により、【ボルコン】に傾倒し始めていた環境は、ビートダウン環境へと引き戻された。
赤青白速攻
しかし【ボルコン】に強いデッキ群の登場によって、一躍ビートダウン環境が訪れたのも少しの間であった。
終止符を撃ったのは【赤青白速攻】。赤青を基調とし、白の強力なトリガー群を差し込んだ、受けの強いアグロデッキだ。
【シータミッドレンジ】が速い展開に弱いのは前述の通りだが、【赤青白速攻】はトリガーも多いために、【シータミッドレンジ】唯一の勝ち筋である打点の切り返しを咎める機会にも恵まれている。
また、メタデッキとして台頭した【アルカディアス系統】も、【赤青白速攻】が採用する
- 《アクア・サーファー》
- 《ホーリー・スパーク》
- 《予言者コロン》
には遂行力を持たず、押し負ける展開も多々。
結局【赤青速攻】の派生である本デッキが強い環境に舞い戻ると、これを倒すために再び【ボルコン】がトップティアへ返り咲いたのである。
赤白ボルメテウス
ここで一旦、目まぐるしいメタの回転は終わりを迎え、【赤青白速攻】と【ボルコン】の睨み合いが数日間続く。(メタの回転が早過ぎて感覚が麻痺ってきている…)
リリース直後は《機神装甲ヴァルボーグ》を主軸とした【赤青速攻】の派系だったが、この頃には既に【ボルコン】に対しての研究が大きく進んでおり、高い継戦能力を持つ《ペコタン》+《ミラージュ・マーメイド》のパッケージ等に、ヒューマノイド群はスロットを押し出されていた。
このため、以前は【ボルコン】に傾倒していた本マッチアップは、この時点では【赤青白速攻】も簡単には負けなくなってきており、
まだ環境に身を置いていた【シータミッドレンジ】等にも【赤青白速攻】が強く出られることもあって、リリース直後環境とは違いビートダウン側に環境が傾倒していた。
《ミラージュ・マーメイド》でコントロールを咎め、トリガー多投でビートダウンを咎める【赤青白速攻】は本当に隙が少なかったのだ。
そんな中、姿を現したコントロールの星こそ、【赤白(赤青白)ボルメテウス】である。
本デッキを簡単に説明すると、フィニッシャーが《聖霊王アルカディアス》から《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》にすり替わった【ブロッカーデッキ】のようなものだ。
従来の【ブロッカーデッキ】は、速攻デッキが繰り出す序盤の攻めこそ凌ぎ切れるものの、
- 攻撃できないブロッカー主体の構成であるためにフィニッシュには時間が掛かる点
- フィニッシャーは《聖霊王アルカディアス》のみが主流であった点
からモタモタしてる間に【赤青白速攻】に横展開を行われ、《ホーリー・スパーク》でブロッカーを一斉に寝かせられ負けるといった致命的な負け筋を持っていた。
しかし【赤白ボルメテウス】は、フィニッシャーが《聖霊王アルカディアス》から《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》に差し代わっているため、フィニッシュに要する時間が少なく、《ホーリー・スパーク》によるカウンターも無い。
また、赤が入ったことによって《クエイク・ゲート》の採用に至っており、《ミラージュ・マーメイド》を駆使した横展開に対し、これを一網打尽に出来る機会に恵まれた構築になっていたのである。
サブフィニッシャーとして採用した《聖霊王アルカディアス》や、《雷鳴の守護者ミスト・リエス》等のドローソースが機能すれば【ボルコン】にも勝ち得るこのデッキは、【赤青白ビートダウン】vs【ボルコン】の構図が占める本環境において、高い影響力を持った。
《クリスタル・パラディン》
【赤白ボルメテウス】がランクマッチで猛威を振り出したのは12/29。『ボルメテウスカップ』は終了まで残り2日と、もう秒読みであった。
しかし、まだメタは回る。
それもそのはず。ここまで11日間の間に、少なくともトップティアが4回転はしたゲームなのだ。
2日という時間は、メタが回るには充分すぎる。
【赤白ボルメテウス】に〈ブロッカー〉+「タップキル」でボードを押し込まれたアグロ陣営は、これを打開すべく《クリスタル・パラディン》の採用へと舵を切った。
29日の夜から30日にかけては、《クリスタル・パラディン》率いる【リキッドピープル】がメタゲームへと参入を果たし、【赤青速攻】の派系も《アクア・ガード》+《クリスタル・パラディン》を用いるものが現れると、
同様に《守護聖天ラルバ・ギア》を採用し、ブロッカー群をこじ開ける【赤白速攻】なども現れ始めた。
一方で【赤白ボルメテウス】が除去をタップキルに任せているために大型生物の処理が難しいことから、ブーストから《ツインキャノン・ワイバーン》や《二角の超人》といった大型生物をぶつける【シータミッドレンジ】にも追い風が吹いており、これを見かける機会も増えた。
そんなこんなで30日31日と【赤白ボルメテウス】を意識した構築が流行る中、ランクマッチ初シーズンであるボルメテウス・カップは終了を迎えたのだ。
総括
すごい。
何がすごいって、デジタルという形態だ。執り行われる試合数がとにかく多い。
『ボルメテウスカップ』ではこのメタゲームの回転が13日間の中で行われていた訳だが、リアルだったら同じ回転をするまでに少なくとも2ヶ月くらいは要するのでは無いだろうか。
この情報化社会においては、リアルのデュエルマスターズでもメタゲームに対するアンテナの敏感さが重要視されているが、デュエプレではこの要素がその何倍もの重要性を持っていることがわかる。
なんせ数日、下手すると半日でメタゲームが入れ替わるのだ。正しいデッキ選択と、アンテナの敏感さがとにかく問われることだろう。
『アルカディアス・カップ』、そして次弾の追加が本当に楽しみになるメタゲームシーンであった。