前回の記事ではデュエプレのメタゲームに関して書いたが、本記事では更に視点を遠くに置き、デュエプレの気になった点・バランス調整の陰の部分について言及していきたいと思う。
ややネガティブな内容になっているが、最後まで付き合って頂けたら幸いだ。
目次
ライトユーザーへの風当たり
前回の記事でも書いたが、『ボルメテウスカップ』上位層のメタゲームは大変流動的であり、大成功に終わったと言っていいだろう。
高レベルのバランス調整と、カードプール選定の上手さの賜物だ。
しかしあくまでそれは、ランキング上位層で行われたゲームの話である。
メタゲームを追う力を持たない初心者や無課金プレイヤーにとって、この高レベルのバランス調整は、無縁の存在どころか、むしろ厳しいゲーム感を与えていたのではないかと私は考えている。
①壊れカードの廃止
デュエプレ第1弾『超獣の始動』は、リアルデュエマの1~7弾をメインに構成されたプールだ。
元々そこには
- 《サイバー・ブレイン》
- 《スパイラル・ゲート》
- 《エメラル》
- 《ストリーミング・シェイパー》
- 《アストラル・リーフ》
- 《アクアン》
- 《呪紋の化身》
といった環境を揺るがすほどのストロングカード群が存在していた訳だが、デュエプレでは
- 存在そのものが無かったことになっている
- 代わりに性能の近いカードが入っている(《スパイラル・ゲート》→《スパイラル・スライダー》)
- 調整版が新カードとしてリリースされている(《ストリーミング・シェイパー》→《ストリーミング・ビジョン》)
のいずれかによって対処されており、存在を許されていない。
そのため、1アドや1ミスが勝敗に直結するレベルの緻密なアドバンテージ合戦が展開されやすい、難しいゲームになっているのだ。
つまるところ、バランス調整が上手くいき過ぎていることから、逆に「お利口」すぎるゲームになっていると私は感じている。
このようにお利口すぎることから、カードの力に頼れないゲームは、それ以外のプレイや構築で勝敗が決するため、「上手い人が勝ちやすい」ゲームになる。
逆を言えば、初心者・上手くない人は負けやすいゲームになっているのだ。
②殿堂入り制度が無い
上の壊れカードが存在しないといった話に付随し、デジタルカードゲームでよく採用されている「レジェンドカード(デッキに1枚しか入れられない代わりに逸脱した強さを持つカード)」を用いた制度が採用されていないことも「上手い人が勝ちやすい」ゲームを助長している。
リアルデュエマで言うところの殿堂入りカードがこれだ。
しかしデュエプレは、壊れカードが4枚入れられない世界線であるどころか、本来であれば殿堂入りであることから1枚は使えたカード群が、1枚すら使うことが出来ないために、
「カードの力に頼って勝つ」シーンが、デュエル・マスターズ史上最も少ない環境になっているのである。
それはつまりデュエル・マスターズ史上、最も「初心者・上手くない人に厳しめな環境」であると言えよう。
③最大積載数が多い
デュエル・マスターズのルール上、1種類のカードは最大4枚デッキに積める。
この4枚という数字は、実はデジタルカードゲームでは多めな数なのだ。
勿論、強度や汎用性で優れたカード群は高レアリティに設定してあるため、デッキの理想形を達成するには、これら高レアリティのカードを4枚ずつ採用することも珍しくない。
しかし、
- 高レアリティの排出率(シャドバよりもやや低く、カード1枚当たりの換算も高い。ハースストーンよりも低く、カード1枚当たりの換算は同程度。)
- 分解・生成の効率(シャドバよりも低く、ハースストーンよりもやや低い)
のどちらにおいても、やや絞り気味のゲームではあるため、これを4枚ずつとなると、無課金~低額課金プレイヤーに要求されるハードルは、少し高めであるのかもしれない。
④ライトユーザーへの風当たりまとめ
つまり、①~③の話を経て言えることは、初心者や無課金プレイヤーといった『ライトユーザー』には、やや厳しめなゲームになっているのではないかと言うことである。
お金を出す&強いプレイヤーが勝てるゲームである点は、大変に良いことであるが、それはそれとして、ややそちらに比重が向き過ぎたゲームになっているように感じるのだ。
この点で、ライトユーザーが離れやすくなっているのではないかと、私個人はちょっとした懸念を持っている。
個人的には、特に「殿堂入り制度」の導入を前向きに検討して欲しい。
例えば《サイバー・ブレイン》、例えば《アクアン》。これらのカードが1枚ずつ使えるようになることで、ゲームに抑揚が生まれるのではないだろうか。
カードプールの消費速度
ライトユーザーへの風当たりが強い点以外に、気になっている点がもう一つある。
それこそがカードプールの消費速度だ。
上にも書いたように、デュエプレ第1弾『超獣の始動』では、リアルデュエマの1~7弾のカードプールを流用している訳だが、このままの速度でリリースすると、とんでもない速度でカードプールのストックを消費して行きそうな点に懸念がある。
当然、エキスパンションによって枚数が抑えられたりはするだろうが、それでも『超獣の始動』レベルのクオリティを維持するのであれば、1つのデュエプレ弾につき、リアルデュエマ4~5弾のプールは費やしていく必要があるのでないだろうかと私は踏んでいるのだ。
一方で、リリースから1ヶ月が経ったデュエプレの『超獣の始動』環境は、メタの回転も緩まりつつあり、カードプールの狭さもあってか、流石にユーザーの飽きが見られつつある。
この飽きによるアクティブユーザーの離脱を防ぐ最も効果的な手段こそが「新弾のリリース」であると私は思っているのだが、上記のストックの消費速度の問題からリリースの間隔を狭めるのは、やや難しいのではないかと感じるのだ。
つまり、現状『超獣の始動』のクオリティのパックをリリースしていくには、「ゲームの寿命」か「ユーザーの飽き」のどちらかを許容しなければならないように側からは見える。
ここに関しては、個人的に気になってこそいるものの、対策や方針は既に決められているはずなので、今後どのようにこの二つとの距離感を保っていくのかには注目だ。
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また、これも素人が挙げる解決の一案なのだが、例えば先の「殿堂入り制度の導入」にあわせて、
拡張パック第2弾→殿堂入りカード数枚がリリース→拡張パック第3弾→殿堂入りカード数枚がリリース
といったように、エキスパンションの間に影響力の大きいカード(この際殿堂入りカードでなくともよい)数枚を何かしらの形で差し込むだけで、
「カードプールの消費速度(ゲームの寿命)」を抑えつつも、「ユーザーの飽き」を防ぐ一環になるのではないかと思った。
まとめ
- ゲームに抑揚が薄いため、初心者や上手くないプレイヤーには難しめなゲームである。
- 最大積載数が4枚のゲームだが、分解生成の効率はやや絞ってあるため、無課金~低課金には辛いかも。
- カードプールの消費速度は、どのように解決していくのだろう。
といった現在~将来的に気になる点が、この1ヶ月を通して見えてきた。
しかし一方で、
- バランス調整の精度(《クリムゾン・ワイバーン》の強化、S・トリガーで対処できるシーンが増えた《襲撃者エグゼドライブ》)
- カードプールの選定の上手さ(《聖霊王アルカディアス》をよりプレイアブルなカードに押し上げるための《光臨の精霊ピカリエ》、この頃の自然文明が苦手としたリソース戦を解決できる《二角の超人》等)
といった『ボルメテウスカップ』で披露された長所からは、期待しか感じられないのだ。
私を含め、ヘビーユーザーから見た際、このレベルのメタゲームを展開するデュエマがデジタルで出来るというのは、大変に魅力的なものである。
未だ広いユーザーから、様々な声が上がっているが、これらが少しずつでも良い方向に向かっていった時、最後には素晴らしいデュエル・マスターズが待っているのではないかと、私は期待している。