目次
はじめに
こんにちは、北白河と申します。四回目となる今回は、有名かつド派手なコンボデッキであるところのファイブスターハイオリーダをより「気持ちよく」するために考察した、その過程と成果物であるデッキを紹介していこうと思います。
そもそもどんなコンボなの/何がそんなに足りないの
ファイブスターハイオリーダは、あらかじめ超GRゾーンをパワーの下三桁が500のクリーチャーで統一しておき、《幸運の精霊ファイブスター》のいる状況で《音奏 ハイオリーダ/音奏曲第3番「幻惑」》のクリーチャー面を出すことでGR召喚→下三桁500のクリーチャー→W・シールド・プラス→シールド追加されたのでまたGR召喚……というループを繰り返してGRクリーチャーを12体並べるという、ガチャという概念に喧嘩を売るコンボデッキです。天井まで回せば出る!
出典:デュエル・マスターズ
出典:デュエル・マスターズ
WotC開発部主任のしゃばさん(実はこの人も伝説的デッキビルダーで北白河の憧れだったりもします)が開発・提唱して以来熱狂的なファンを持つデッキであり、自分もその爽快感に惚れ込んでしばらく使っていました。しかし何度も回しているうちに、少しずつ物足りなさを感じるようになりました。決して弱いわけではありません。ターンさえ回ってくれば過剰なほどの致死打点ですし、その過程でブロッカーもどっさり出るため返しのターンも安心。その気になれば《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》でトリガーや盤面無視して決めることも可能です。そんなデッキの何が物足りないかと言うと……
この12枚重ねのシールドです。
いやこれ絶対《音感の精霊龍 エメラルーダ》とかでぶっ壊して気持ちよくなりたいでしょ!デュエマプレイヤーの夢と希望ですよこんなの!これを見なかったことにして「はい殴ります!勝ち!」はもったいなさ過ぎるでしょ!プレ殿入りした往年のコンボこと暴発ミルザムの二倍ですよ!気持ちよくなりたい!気持ちよくなーりーたーいー!
というわけで、私はオーバーキルに手を出します。「ファイブスターハイオリーダをキメてGR召喚12連ガチャを行って気持ちよくなった後、普通に殴る前に《音感の精霊龍 エメラルーダ》でガチャの副産物で作ったシールドからS・トリガー12連ガチャを行ってさらに気持ちよくなる(ついでに勝つ)」。エンジンもゴール地点も最初から目に見えてました。デッキを組んでいきましょう!
出典:デュエル・マスターズ
デッキを組んで気持ちよくなろう
とりあえず使用感を確かめるために一般的なファイブスターハイオリーダのレシピに暴発用の《音感の精霊龍 エメラルーダ》と、シールドガチャから出てきてうれしいトリガー兼パーツ召喚用の《ヘブンズ・ゲート》と《ドラゴンズ・サイン》、トリガー付与の《革命聖龍 ウルトラスター》あたりを雑に突っ込んで(さっきの写真のデッキがそうです)何度か回しているうちに、ある事実に気付きました。
《音奏 ハイオリーダ》のテキストは「自分のシールドゾーンにカードが置かれた時、GR召喚する」。《幸運の精霊ファイブスター》のテキストは「パワーの最後の三桁が「500」のクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から2枚まで、裏向きのまま、自分のシールドいずれか1枚の下に加えてもよい」。つまり、GRクリーチャー1体につき2枚のシールドが追加可能です。そしてGRクリーチャーは12枚。なんということでしょう、このS・トリガーガチャは12連ガチャではなく、最大24連ガチャだったのです!暴発ミルザムの四倍だぞ四倍!
……とはいえ、冷静に考えると24連ガチャを回そうとするとほぼ確実にライブラリアウトするんですが。しかしこれは裏を返せば、「ライブラリアウトギリギリまで好きな枚数のカードをシールドに積み上げて暴発できる」ということになります。山札のラスト1枚か2枚、もしくは手札か残りの平積みシールドの中にさえなければなんだってトリガーできるのです。これはもうほとんどやっていることとしては《インビンシブル・テクノロジー》を超えています。最大24ドロー+トリガー踏み倒しだもんな!
よーしこれで踏み倒した《ヘブンズ・ゲート》複数枚から《覚醒の精霊ダイヤモンド・エイヴン》や《帰還の精霊シュマヌマージ》なんかを出して無敵軍団で一斉攻撃だ!追加の勝ち手段で《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》も欲しいから、踏み倒すなら《緊急再誕》かな!よーしいい記事が書けるな……などとウキウキしていたその時、Twitterに見慣れないカードが流れてきました。
マスターピースが降ってきた
【呪文】
【文明】自然
【コスト】5
■この呪文を自分のマナゾーンから唱えてもよい。そうしたら、唱えた後、墓地に置くかわりに自分の山札の一番下に置く。
■次の中から2回選ぶ。(同じものを選んでもよい)
▶自分の山札の上から1枚目を、タップしてマナゾーンに置く。
▶コスト5以下のクリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出す。
▶このターン、自分のクリーチャー1体はパワーを+3000され、タップまたはアンタップしているクリーチャーを攻撃できる。
出典: コロコロチャンネル
▶コスト5以下のクリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出す。
▶コスト5以下のクリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出す。
▶コスト5以下のクリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出す。
は?
いやまさかね?自然マナを自身で供給し、マナから唱えてコンボパーツ二枚マナから踏み倒し?最悪でもマナブーストか擬似マッハファイター除去ができる?そんな夢みたいなカードがあっていいのか?このカードの製作に関わったの誰だ……!?
デッキ開発者本人じゃねえか!
というわけで全北白河が(あと最速で記事書いてたパインさんも)震撼した、2019年9月21日発売予定の『超天篇第3弾 零誕!魔神おこせジョルネード1059!! 』収録の《生命と大地と轟破の決断》。コンボパーツ三枚が全部コスト5のクリーチャーである以上、誰がどう使っても超強化です。軽量マナブーストから最短4Tでハイオリーダファイブスターが完成し、ファイブスターを出した次のターンに使えば一発でS・トリガーガチャが行えます。
……ここまで至れり尽くせりしてくれるなら、できるんじゃないでしょうか?
とにかくガチャを回しまくるだけでなんか自動的に勝ててしまうデッキが!
デッキを組んでもっと気持ちよくなろう
とりあえず、コンボパーツ三種と《生命と大地と轟破の決断》は必要です。さらにコンボパーツを直接出せるトリガー《ヘブンズ・ゲート》《ジャスティ・ルミナリエ》も採用が確定。そして最終的にセルフシールドブレイクして勝つことから、勝ち手段はS・トリガーもしくはS・トリガーのカードで出せるなにかで統一することになります。当初はここに《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》を出すための《緊急再誕》がいたのですが、《生命と大地と轟破の決断》がマナをゴリっと削ってしまうためこれとは違うルートを考えなければならなくなりました。そんな都合のいいカードあるのか……?もしかして高くて絶対買いたくない《光霊姫アレフティナ》とか《水上第九院 シャコガイル》とか必要になったりしないか……?と思いながら「クリーチャーを出せるS・トリガー」をひたすらカード検索で漁っていると……
出典:デュエル・マスターズ
あった!《転生スイッチ》です。このどこからどう見ても悪用してくれと言わんばかりのテキスト!今回はありがたく悪用させてもらいます。このカードを見た瞬間、答えはすでに決まっていました。
出典:デュエル・マスターズ
出典:デュエル・マスターズ
《閃光の守護者ホーリー》を転生させ、12体並んだGRクリーチャーを《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》に進化させる。この符合……!
単純な受け札としても異様に強い《閃光の守護者ホーリー》ですが、手札に来ても《ヘブンズ・ゲート》トリガーからポンと出たりと八面六臂の活躍を見せてくれます。ここまで面子が揃うとデッキのほとんどが「コンボパーツ」と「それを出すS・トリガー」と言えるまで濃くなり、速攻耐性もついてきます。残った少ない枠には単純にドローやマナ加速といった潤滑油で固めていきましょう。そんなわけで、デッキが完成しました!
デッキレシピ:シールドタワーをつくってこわそ
4《ケンザン・チャージャー》4《幸運の精霊ファイブスター》4《音奏 ハイオリーダ/音奏曲第3番「幻惑」》4《音感の精霊龍 エメラルーダ》3《ジャスティ・ルミナリエ》4《転生スイッチ》4《生命と大地と轟破の決断》(画像では《天頂計画》)3《ヘブンズ・ゲート》3《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》3《審絆の鎮り 新蓮/ジャスティス・シェイパー》4《閃光の守護者ホーリー》4《越境の意志 ドナート》2《防護の意志 ランジェス》2《発起の意志 ラパエロ》2《純白の意志 ヴィンチ》2《煌銀河 サヴァクティス》
美しすぎる……
軽量ドロー兼マナ加速として《ケンザン・チャージャー》を、同じくドローとして《審絆の鎮り 新蓮/ジャスティス・シェイパー》を採用。ヒット率はそこそこですが、低マナ域を埋めてくれる恩恵が非常に大きいです。GRゾーンには「500」軍団がずらり。《白皇鎧の意志 ベアスケス》は効果が強制でライブラリアウトの可能性があるため入ってません。
回し方ですが、とにかくキーパーツの《幸運の精霊ファイブスター》《音奏 ハイオリーダ》《音感の精霊龍 エメラルーダ》を集めて可能な限り早く揃えます。特に《幸運の精霊ファイブスター》は絶対に最初に出す必要があるためなんとしても気合で引きましょう。《生命と大地と轟破の決断》があればマナに置き、コンボパーツもマナに埋めてハンデス対策をするのもいいでしょう。とはいえ、《ジャスティ・ルミナリエ》《ヘブンズ・ゲート》などのトリガーから出すために手札に置いておく選択肢もあります。
《転生プログラム》は完全にコンボパーツのため基本的にはマナに置きます。偶然トリガーしてしまった場合は、相手クリーチャーに使うことで、新しく出てきたクリーチャーを召喚酔いさせ、実質的に攻撃を止めることができます。とはいえ下手に戻して《奇石 ミクセル》なんかを出されたら大変なので、相手のデッキがわからない状況やピンチではないタイミングで使うのはやめておいた方が無難でしょう。手札に戻してマナに送る選択肢があることは忘れないで下さい。
《生命と大地と轟破の決断》については基本的には二番目の効果でマナから召喚するのがベストなのですが、余裕はあるがキーパーツが来ていないタイミングで重ね引いた際はマナブーストに充てるという手があります。また、軽量のシステムクリーチャーが邪魔な場合は三番目の能力で殴って除去することもできます。この場合は殴り返しにだけご注意を!
《幸運の精霊ファイブスター》《音奏 ハイオリーダ》による12連GR召喚が成立したら、まず手札を見て《音感の精霊龍 エメラルーダ》が出せそうか、あるいはすでに同時に出しているかを確認します。出せるなら、基本的には山札が残り2~3枚(もしフィニッシュができなかった際に、次のターンで総攻撃をかけるため)になるように一枚のシールドにまとめて追加して暴発させます。出なさそうであれば12枚追加で止めておきましょう。いっそのこと抑止力として各シールドにばらけて追加するのもアリです。どうせ次のターンには一斉攻撃に入りますし。そこでトリガーを踏んだ場合は、まあその。ご愁傷様です。
無事に重なったシールドを暴発してガチャができたら、まずその中に《閃光の守護者ホーリー》《転生プログラム》《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》が揃っているかを確認します。揃っていれば勝ちます。やったね!《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》だけは事前に手札にあっても許容されるので、一枚マナに置いた後に引いたら念のためそのまま握っておくのも手です。揃っていない場合は、次のターンの一斉攻撃のためにある程度展開を行います。《ヘブンズ・ゲート》から《音感の精霊龍 エメラルーダ》を出してトリガーを埋めるのもよいですね。《音奏 ハイオリーダ》のシールド追加だけは強制なので、ライブラリアウトが見えそうな場合は出さないよう注意してください。
なお、相手依存のうえ非現実的な確率ですが、理論上は後攻1ターンキルが成立します。《ニクジール・ブッシャー》《轟轟轟ブランド》で割られたシールドが《ジャスティ・ルミナリエ》《ヘブンズ・ゲート》で、《幸運の精霊ファイブスター》《音奏 ハイオリーダ》《音感の精霊龍 エメラルーダ》を出すケースですね。
この手のデッキの宿命として、踏み倒しメタカードには脆弱です。「召喚」でも「バトルゾーンに出す」でも引っかかりますし。そういう相手には、素直にマナを溜めて出していきましょう。コンボに頼らずとも6マナで12連GR召喚成立→次のターン7マナで《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》とかはよくあります。あきらめないで!
改造案……というか一度考えて諦めたアイデアなのですが、《深海の伝道師 アトランティス》か《金色類 ポラリス》を転生させて《水上第九院 シャコガイル》に変換するプランもちょっと考えました。前者はGRクリーチャーが戻るので殴り勝ちルートが消え、後者は素でトリガーを得るのが遅いという弱点があり現行の形になりましたが、やりようによっては相手に一切妨害させることなく勝てるという非常に大きなリターンがあります。デッキ構築に自信のある方はぜひ形にしてみてください。
おわりに
思わぬところに着地してしまいましたが、当初の目的通りに(決まりさえすれば)最高に気持ちいいデッキが完成しました。《緊急再誕》軸で書きかけてた記事が半分くらい吹き飛びましたが些細なことです。あっちはあっちで光単色で事故らないから好きなんですが……お暇な方はそれがどんなものだったか考えて組んでみて下さい。
《生命と大地と轟破の決断》 の解禁はまだ先ですが、一人回しをしたりフリープレイで相手の了承を得てプロキシを使って遊んだりする分には全然OKなのでぜひそのヤバさを体感してください。一応、3積みパーツを4種類を4枚にして《生命と大地と轟破の決断》を抜けば今でもデッキとしての体裁は整います。マジでヤバいぞこのカード。
プレイマット五回目となる次回の記事は、本当に考えて考えて考え続けて今も答えが出ていない、とても思い入れのあるアーキタイプの話になると思います。それでは、次の記事で。