《最近のデュエル・マスターズはつまらない。》
初心者層からも、競技プレイヤー層からも、様々な方面から聞く言葉だ。
カードパワーのインフレや、カードの高額化など、いろんな要因があるだろう。
それがきっかけで、デュエルマスターズから離れていくプレイヤーも少なくない。
現代デュエル・マスターズは、CSサポート、DMPランキング制度というガチ勢向けのやり込み要素もあり、デュエマフェスやデュエバトル、ナイトリーグなど、初心者層がデュエル・マスターズをプレイできる環境への配慮もきっちりされているはず。
それなのに、なぜプレイヤーが次々と離れていき、新規加入者があまり寄り付かないのだろうか。
目次
《「本日のラッキーナンバー!」》が作る、初心者と中~上級者の壁
デュエル・マスターズにおける現環境で注目されているカードといえばこのカードだろう。
相手のクリーチャーを複数除去できるクリーチャー面だか、注目すべきは呪文面。
数字をひとつ宣言することで、そのコストを持つクリーチャーの召喚と呪文の詠唱を防ぐことができる。
うまく使えば相手は何もできないため、実質もう1ターン自分がプレイできるようなものだ。
特筆すべきはコストの軽さで、たった3コストで相手の動きを縛り付けることができる。余ったマナで唱えたり、何度も使いまわすことで、ゲームを自分のペースに持ち込むことができる強力なカードだ。
【青黒カリヤドネ】【シータミッツァイル】【赤青ジョー星ミッツァイル】【青黒ハンデス】など、所謂トップメタと呼ばれるデッキに多く採用されているこのカード。しかし、そもそものカードデザインに大きな欠点がある。
《使用するプレイヤーによって強さが変わる》
そう、数字の宣言が必要なため、現環境で使われているカードを幅広く把握しておかないと、このカードの強みを最大限に引き出せないのだ。
DMPランキングに本気で取り組んでいるような競技プレイヤーであれば、『次のターンにプレイされたくないカード』がわかるので、とても強力なカードになる。
しかし、最近デュエル・マスターズをはじめたプレイヤーや、デュエル・マスターズに復帰したばかりのプレイヤーは、『次のターンに何をプレイされるのかわからない』『相手のデッキに何が入っているのかわからない』のだ。現環境のカードを把握しきれていないがために、有効な数字を宣言できず、カードの効果を最大限生かしきれない。
《「本日のラッキーナンバー!」》がうまく使えない初心者は勝てない。
うまく使える中~上級者は勝てる。
相手はやりたいことをやっているのに、自分はやりたいことをさせてもらえない。
これほどつまらないと感じるものはないだろう。
使用者によって強さが大きく変わるカードによって、結果的に初心者と中~上級者の間に大きな壁ができてしまっているのだ。
環境を握るカギ
現代デュエル・マスターズで最も使われている切り札といえばこのカード、《BAKUOOON・ミッツァイル》が真っ先にあげられるだろう。強力な盤面リソースを生み出し、過剰打点で押し切る。単純明快かつ豪快なカードだ。
このカードが強い理由として、『対策が少ない』というのが大きな要因である。
生半可な踏み倒しメタを超えてくるこのクリーチャーに有効な対抗策が、
《「本日のラッキーナンバー!」》なのである。
次々と召喚されるであろうGRクリーチャーのコストを宣言することで、《BAKUOOON・ミッツァイル》による大量展開を防ぐことができる。
しかし、ここで大きな問題が浮上する。
そう、『初心者が使う《「本日のラッキーナンバー!」》は弱い。』
《BAKUOOON・ミッツァイル》が出てくるターンの前に、そこから出てくるであろうGRクリーチャーのコストを宣言することはできても、その他のターンや、それ以外の相手に使う《「本日のラッキーナンバー!」》が非常に弱いのだ。
《「本日のラッキーナンバー!」》が使えないということは、《BAKUOOON・ミッツァイル》に対して無防備だということ。しかし、対戦相手の使う《「本日のラッキーナンバー!」》には、自分が出したいクリーチャーや唱えたい呪文のコストを宣言され、やりたいことができない。そうこうしているうちに、相手の《BAKUOOON・ミッツァイル》や、《魔導管理室 カリヤドネ》が出てきて負けてしまう。
《「本日のラッキーナンバー!」》をうまく使うことができるかどうかが、現代デュエル・マスターズで勝つためのカギを握っているのだ。
とはいえ、使い方のわからないカードをデッキに入れていてはデュエルに勝つことはできないし、なによりつまらない。
楽しいからやっているデュエル・マスターズが、《「本日のラッキーナンバー!」》というカードの影響で、相手はやりたいことをやって、自分は使いたいカードを使えずなにもできない、という状況を頻繁に生み出し、つまらなく感じさせてしまう。
『使用者によって強さが変わるカード』の効果を強くしすぎると、初心者と中~上級者の間に大きな隔たりができてしまうのだ。
《「本日のラッキーナンバー!」》に対抗するには?
では、《「本日のラッキーナンバー!」》をうまく使えない初心者層は、現代デュエル・マスターズで勝つことはできないのだろうか。
たった3コストで相手の動きを縛りつけ、自分のペースに持ち込む。
一見、隙のない強力な呪文に思える《「本日のラッキーナンバー!」》だが、もちろん弱点は存在する。
《「本日のラッキーナンバー!」》を使われる前に勝つ
《「本日のラッキーナンバー!」》は、使うタイミングこそ間に合えば強力なカードだが、先に相手にクリーチャーを展開されてしまうと無力となる。
相手のペースに持ち込まれる前に、殴り切ってしまえばいいのだ。
豊富な低コストクリーチャーに、《”罰怒”ブランド》や《BAKUOOON・ミッツァイル》を組み合わせて、早めにゲームを決めきるデッキ。フィニッシャーのコストが散らばっていて、なおかつ序盤に盤面を作ることができるため、相手の《「本日のラッキーナンバー!」》にほとんど干渉されることなく勝つことができる。
《「本日のラッキーナンバー!」》をうまく使わせない
また、《「本日のラッキーナンバー!」》は、相手が使いたいカードを読み切る必要があるため、多様な展開が可能なデッキに対して数字の宣言が難しい。
相手に《「本日のラッキーナンバー!」》をうまく使わせなければいいのだ。
ビートジョッキーの軽減効果を生かして、《”罰怒”ブランド》や《龍星装者 “B-我”ライザ》を出して攻め切るデッキ。《龍星装者 “B-我”ライザ》のコストは8だが、《“必駆”蛮触礼亞》や《”末法”チュリス》からも出すことができるため、《「本日のラッキーナンバー!」》で召喚を止めることが非常に難しい。《龍星装者 “B-我”ライザ》の効果で山札から出てくるクリーチャーも《「本日のラッキーナンバー!」》で止めることができないので、デッキ単位で、《「本日のラッキーナンバー!」》への耐性があるといっていいだろう。
このように、《「本日のラッキーナンバー!」》を使わずして、《「本日のラッキーナンバー!」》に対抗する方法はある。
しかし、デッキタイプや戦略が単調になりがちで、『色んなカードを使ってみたい』はずの初心者層にとっては飽きやすいものになってしまう。
それに、多種多様なカードを使ったり使われたりして覚えていかないと、いつまでたっても《「本日のラッキーナンバー!」》をうまく使うことはできないままだ。これでは、いつまでたっても初心者と中~上級者の壁がなくならないのである。
この先、《「本日のラッキーナンバー!」》が使われつづけるのであれば、デュエル・マスターズのプレイ人口は大幅に減ってしまうのではないだろうか。
終わりに
使いたいカードを使って勝つ
これはとても難しいことで、万人にできることではない。
しかし、
使いたいクリーチャーを召喚させてもらえない
使いたい呪文を発動させてもらえない
しかも、プレイングや構築が要因ではなく、たった3コストの呪文のカードデザインが要因で。
これでは、つまらないと言われても仕方ないのではないだろうか。
なにも初心者層にCSに出ろと言っているわけではない。
ただ、使いたいカードを使うぐらいは、万人に許されることであって欲しい。
この先、もっともっと多種多様なカードが使えて、楽しみ方は違えど、初心者~中、上級者までみんなが楽しくプレイできる。
そんな素晴らしいデュエル・マスターズを、私は期待している。