二週間ぶりの水曜日の空気
こんにちは。あるいはお久しぶりです。北白河と申します。
前回から三日しか経っていませんが、通常営業です。やっぱり原稿は落ちかけました。原稿を落とすと、原稿は落ちやすくなるのです。
というわけで、今回もやっていきましょうか。
今回は特別編として、この企画の中断前にしこたま溜まったリクエストを無数にさばいていくダイジェスト回としてお送りしていこうと思います。記憶が正しければ残りは13件ですね。
詳しいことは前回の記事をどうぞ。
この記事があなたの良い暇潰しになれば、これほど嬉しいことはありません。
それでは、今日のカードの一発目はこちら。
《Code:1059》
【 オレガ・オーラ 】
種族 ドラゴン・コード / トリックス / デリートロン / 文明 水 / パワー+4000 / コスト5
■これを付けたクリーチャーに「パワード・ブレイカー」を与える。(「パワード・ブレイカー」を持つクリーチャーは、そのパワー6000ごとにシールドをさらに1つブレイクする)
■DL-Sys:これを付けたクリーチャーの攻撃の終わりに、相手の墓地にある呪文を1枚コストを支払わずに唱えてもよい。そうしたら、その呪文を持ち主の山札の一番下に置く。その後、このオーラを自分の他のGRクリーチャー1体に付けてもよい。
■自分のターンの終わりに、GR召喚する。
ドラゴンについて語ることは、何もありません。
…あと、アイキャッチに表示されるカードって横向きにできたんですね。知らなんだ。
《マーシャル・クイーン》
【 進化クリーチャー 】
種族 スプラッシュ・クイーン / 文明 水 / パワー5000 / コスト3
■進化-自分のスプラッシュ・クイーン1体の上に置く。
■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の手札を3枚まで裏向きにしてシールドに加え、その後、同じ枚数のシールドを自分の手札に戻す。
言わずと知れた【マーシャルループ】の核たる一枚ですね。
シールドをドバっと入れ替えるばかりか、この手の効果にありがちなトリガー制限がないことから古来より多数のコンボの核となっているこのカード。
……ですが、実はこいつの暴発ムーブは実は開発部の意図したものではありません。なぜそう言い切れるか、例の憶測シリーズの縮小版としてやっていこうと思います。
実はこのカード、そもそも初登場時点では「戻したシールドのトリガーは使用不能」という裁定が出ていました。
開発部的には、「《 暴発秘宝ベンゾ 》みたいにトリガーOKって書いてない限り、効果でシールド戻してもトリガーにはならない」ってことにしたかったんでしょうね。
…ただ、プレイヤーは可能な限り自分の有利なようにテキストを誤読したがるもの。「《 エメラル 》みたいにトリガー使用不能って書いてないからトリガー使える!」と思い込むプレイヤーが続出したものと思われます。
おそらく当時のルール事務局にて「トリガー使えません」「じゃあなんてエメラルとテキスト違うんだよ!」と相当な数の押し問答があったのでしょう。
2009年8月28日、暫定解答としてついに「回収したシールドのトリガーを使える」という逆転裁定が発表され、晴れて今我々が知るトリガーの女王が誕生した……というわけです。
ちなみになぜ「トリガー不可」の一文が欠落したかというと、これはこのカード以前に登場していた類似効果のGBAオリジナルカードこと《 エンペラー・アロエラ 》の処理やテキストを参考にしたから…と、勝手に考えています。
こちらにもトリガーの可不可のテキストがありませんが、ゲーム版では回収したシールドのトリガーは使用不可だったので、ある程度流用できるものとして持ってきた…つもりだったんでしょうね。
GBAオリカは他と比べてテキストのテンプレートの統一がちょっと甘く(いつもの開発部と違う人が作ったのかもしれませんね)、それが引き起こした珍現象と言えるでしょう。
デュエマ、なぜかすでに印刷されたテキストには真摯なので「書き間違えると書き間違えたとおりに動く」んですよね…。
《アクア・メルゲ》
(プレミアム殿堂カード) 【 クリーチャー 】
種族 リキッド・ピープル / 文明 水 / パワー1000 / コスト2
■自分のターン中、自分の他のクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の手札を1枚捨ててもよい。そうした場合、カードを1枚引く。
現プレミアム殿堂の、「誰がどうやっても悪さするカード」ですね。
「普通に戦ってるだけで手札の質が上がって墓地が肥える」という特性を活かして【青黒墓地進化速攻】でデビューを果たし、【メルゲループワンショット】で殿堂入りした後も【メルゲドッカンデイヤー】の核として働き続けた結果ついに御用となりました。
…今見れば、【メルゲドッカンデイヤー】はどう見ても他のカードもヤバいんですが。こいつ毎回共演するカードごと殿堂に叩んでるな。
そんなこのカードですが、「アクア・(職業)」というネーミングが基本のリキッド・ピープルにしてはやや違和感のあるネーミングをしていますね。
「メルゲ」という職業がある…というわけではなく、実は彼の正体は先に登場していた《 電脳妖魔メルゲイナー 》というカードの水文明要素だけが独立したもの。
同じパック収録の《 否男 》は闇の片割れで、《 メルゲ否男 》などでたびたびタッグを組んでいますね。
ちなみに彼、DMX-22のフレーバーでは「殿堂解除されそうになるものの、同じく【メルゲループ】のせいで殿堂入りした《 盗掘人形モールス 》《 疾封怒闘 キューブリック 》に妨害されて殿堂に留まる」というストーリーが描かれています。
一番ヤバいのがこいつだったことはのちの結果が語っていますが…まあ、こいつらも二度と戻ってくることなさそうですね。
次にBBP系列で再録されるとき(実は現在BBPシリーズ皆勤賞です)のフレーバーでドッカンデイヤーと緑決断が同じセリフを吐いてたりしたら笑うんですが、その頃には全員仲良くプレ殿にいたりしないかな…とも思わなくもありません。
《バジュラズ・ソウル》
(殿堂カード) 【 クロスギア 】
文明 火 / コスト5
■クロスギア
■これをクロスしたクリーチャーのパワーは+2000され、シールドをさらにもう1枚ブレイクする。
■これをクロスしたクリーチャーが攻撃する時、相手のマナゾーンからカードを2枚まで選び、持ち主の墓地に置く。
厳密にはドラゴンではないんですが、やんごとなき事情により語ることはありません。
《ミステリー・キューブ》
【 呪文 】
文明 自然 / コスト5
■S・トリガー(この呪文をシールドゾーンから手札に加える時、コストを支払わずにすぐ唱えてもよい)
■自分の山札をシャッフルする。その後、上から1枚目をすべてのプレイヤーに見せる。それがクリーチャーであれば、バトルゾーンに出してもよい。クリーチャーでなければ、自分のマナゾーンに置く。
今なお活躍中の、ランダム踏み倒しカードの決定版と言える一枚です。
もう少し有り体に言うと、《 ミラクルとミステリーの扉 》の調整版の《 ホーガン・ブラスター 》の調整版です。それでもなお一時期は殿堂入りしてますからね…。
ランダム踏み倒しの調整は我々が思う以上に難しいようで、 海外版デュエマことKaijudoにおいて唯一の制限カードとなった《Bottle of Wishes》もランダム踏み倒しカードです。
能力的には「進化ではない生物かコスト7以下の呪文」にまで範囲が狭まった《 ホーガン・ブラスター 》なんですが、それでもダメだったみたいです。これさえ刷らなきゃ世にも珍しい「禁止・制限を出さないまま完走したTCG」になれたのに…
閑話休題。このカードが現在許されているのは、ひとえに「環境の高速化」のためです。
それによってこのカードが使える5マナに到達する前に勝負がつくようになってしまったのはもちろん、「わざわざ踏み倒しに頼らずとも超加速して素で出したほうが早い」なんていうケースもありますからね。
それならちょっと強化したバージョンを出してもいい頃合い…に見えるかもしれませんが、実はそんなにすぐに出ると思ってなくてですね。
仮にこのカードの相互互換を刷ったとして、ランダム踏み倒しトリガーが3種9枚取れるようになっちゃうんですよね…。嫌でしょ期待値で1枚以上ランダム踏み倒し飛んでくるの。
4枚だと良調整だったカードが8枚になった瞬間極悪化するのは《 巨大設計図 》が証明済み。カード作り、本当に難しいですね…。
《禁断の轟速 レッドゾーンX》
【 進化クリーチャー 】
種族 ソニック・コマンド / S級侵略者 / イニシャルズ / 文明 闇/火 / パワー8000 / コスト6
■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■進化―自分の闇または火のクリーチャー1体の上に置く。
■S級侵略[轟速]―闇または火のコマンド(自分の闇または火のコマンドが攻撃する時、自分の手札か墓地、またはバトルゾーンにあるこのクリーチャーをその上に重ねてもよい)
■W・ブレイカー
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手のクリーチャーを1体選び、相手はそれに封印をひとつ付ける。
ドルマゲドンの回で触れてやるから!バイクばっかり要望すんなって!
《鎧亜戦隊ディス・マジシャン》
(プレミアム殿堂カード) 【 クリーチャー 】
種族 ロスト・クルセイダー / エイリアン / 文明 闇/自然 / パワー4000 / コスト5
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■スペース・チャージ:闇/自然(自分のマナゾーンに闇、自然のいずれかまたは両方を持つカードが置かれた時、このクリーチャーの 能力を使ってもよい)
闇:クリーチャーを1体、自分の墓地から手札に戻す。
自然:このターン中、次に召喚するクリーチャーのコストを最大2少なくする。ただし、コストは1より少なくならない。
スペース・チャージという能力が失敗であると公式の脳裏に刻み込んだ、プレ殿カードです。
……いやまあ、こいつについてはよりによって《 霞み妖精ジャスミン 》の存在を見落としてたとしか思えないんですが。《 薫風妖精コートニー 》までは想定の範囲内だったと思うんですけどね……。
わずか37種のカードから殿堂1枚、プレ殿1枚を生んだいわくつきの能力ことスペース・チャージですが、この能力の元ネタはデュエマの先輩ことMTGの人気能力「上陸」です。
あちらはデュエマのマナにあたる「土地」が場に出た時に誘発する能力で、その人気にあやかってこちらに輸入されたものと思われるのですが…
MTGとデュエマの違いは、「デュエマには土地がなく、あらゆるカードがマナチャージできる」ことと、「デュエマにはマナゾーンと呼ばれる領域が存在する」こと。
一見同じ能力に見えて、「土地」というカードタイプに依存するか「マナゾーン」というゾーンに依存するかという点で全く違う能力だったわけです。
端的に言うと《 魔天降臨 》《 カラフル・ダンス 》とかのゾーン移動系効果でもどっさり誘発しちゃうわけです。
(文明縛りという制限があってなお)あちらと比べて格段にインチキしやすいという事実から、スペース・チャージは「強いと一瞬でコンボに悪用される」「弱いとマジで使う意味がない」という調整困難な能力になっちゃったわけですね。
そんな中でも能力二つとも直接的にヤバい…どころか、《 爆裂マーズ・ギル・ヒドラ 》と《 悟りの精霊ガガ・シャウラ 》の効果が1枚でシナジーするこのカードが許されるはずは初めからありませんでした。
もちろん、たぶん永遠に帰ってこないと思います。来ません。こないで。
……しかしまあ、「鎧亜戦隊」サイクルってこいつだけ露骨に強いですね。ディス・ピエロ以外のサイクルのやつらの名前と効果、思い出せます?
《偽りの王 ヴィルヘルム》
【 クリーチャー 】
種族 キング・コマンド・ドラゴン / アンノウン / 文明 闇/火/自然 / パワー12000 / コスト9
■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のクリーチャーを1体破壊する。その後、カードを1枚、相手のマナゾーンから選び持ち主の墓地に置く。
■相手のカードがどこからでも墓地に置かれた時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置いてもよい。
■T・ブレイカー
ドラゴンについて語ることは、何もありません。
もう総集編に逃げられない
というわけで、総集編その2でした。
実は総集編をやると精神には優しいんですが文章量が増えまくるんですよね。
半分くらい語ってないこの記事でもだいたい6000字くらい。いつもの倍くらいあります。
というわけで、残る負債は以下の5件です。
《 帝神龍装 ティーゾリス 》
《 単騎連射 マグナム 》
《 終焉の禁断 ドルマゲドンX 》
《 黒月の古城オリジナル・ハート 》
《 灼熱の連撃 テスタ・ロッサ 》
……ここまで削れば、さすがに語ることもあるでしょう。俺よりゆうへいパパに語らせたほうが速そうなやつもあるけど……
さて、次回予告のコーナーです。
弊社のECサイトにはカードごとに「一緒に買ってるランキング」というお遊び要素があるのですが、皆様にはそのランキングのみを見て次回のカードを当ててもらいます。
というわけで、次回のカードはこれです。各自予習していってください。
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それでは、次の記事で。北白河でした。