こんにちは、神結です。
アドバンスというデュエル・マスターズのカードをシャブリ尽くして遊べるフォーマットをメインに遊んでいます。
最近はアドバンスの開催状況を調べているのですが、全国的に見ると関西圏以外ではそれなりにやってる都道府県も多いので、興味のある方は是非遊んでみてください。
さて、今回は“斜にマス”のお時間です。
この記事では、主に斜に構えて逆張るオタクを応援する……もとい、ちょっと予想外の使われ方、活躍の仕方をしたカードを取り上げて紹介するものとなっております。
第4回はループのフィニッシャーとして活躍しました、あのカードの話をしましょう。
……思えばコイツこそ、真の斜にマスなのかも?
目次
ドラゴン“らしさ”の1つ、ザルバ
というわけで今回紹介するカードはこちら。
【 クリーチャー 】
種族 ドラゴン・ゾンビ / 文明 闇 / パワー5000 / コスト4
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手はカードを1枚引く。
「我が苦しみは、我が文明の苦しみ。」ということで、大変苦しんでいそうなイラストのドラゴン・ゾンビです。初出は2004年の聖拳編第3弾。
お馴染み《暗黒王デス・フェニックス》の同期になります。
後の時代になるとラップに励んだりするドラゴン・ゾンビさんたちですが、闇文明らしくちょっとグロテスクで、負の思念が寄り重なって竜を形取っています。
まぁそんな誕生経緯の奴らがマトモな感性を持っているわけもなく、この頃のドラゴン・ゾンビというのはくせ者というか、シンプルに使いづらいカードが多いのです。
……というかドラゴン・ゾンビに限らずそもそもこの時代のドラゴンという連中は、(ジャイアント程ではないせよ)揃いも揃ってどっか抜けてる連中が多かったという印象です。
例えばこういう奴とか。
【 クリーチャー 】
種族 アース・ドラゴン / 文明 自然 / パワー7000+ / コスト5
W・ブレイカー
パワーアタッカー+4000(攻撃中、このクリーチャーのパワーは+4000される)
自分のターンのはじめに、自分のマナゾーンにあるカードをアンタップできない。
或いはこういう奴とか。
【 クリーチャー 】
種族 アース・ドラゴン / 文明 自然 / パワー6000 / コスト4
このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、相手は自分自身の手札からクリーチャーを1体選び、バトルゾーンに置いてもよい。
W(ダブル)・ブレイカー(シールドを攻撃したとき、このクリーチャーはシールドを2枚ブレイクする)
《黒神龍ブライゼナーガ》も元々はこの枠のカードに該当した筈なんですが、アイツはなんか時代が追い付いてしまったみたいです。
まードラゴンでデッキをどうこうしようとすると、結構シャレ抜きで《ガザリアス・ドラゴン》とかが採用されるレベルだった時代です。
【 クリーチャー 】
種族 アーマード・ドラゴン / 文明 火 / パワー4000+ / コスト5
自分のシールドが1枚もなければ、このクリーチャーのパワーは+4000され、「W(ダブル)・ブレイカー」を得る。
私の記憶だと4マナ4000バニラの《紅神龍メルガルス》がコロコロで「能力はないけどドラゴンとしては使いやすい!」みたいに紹介されていた記憶があります。
ぶっちゃけ読んだときは、「確かにそうかもな」と子どもながらに思いました。
【 クリーチャー 】
種族 ボルケーノ・ドラゴン / 文明 火 / パワー4000 / コスト4
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まー恐らくなんですけど、「ドラゴンというのは大きな力を持っているけど、低コストのカードだとその力が制御しきれない」的なフレーバーにしたかったのではないか、と推測出来ます。
実際クスダルフのFTにも「圧倒的過ぎる龍の力が、自然の法則すらも封じ込めた。」とか書いてあるし、そういうことなんでしょう。
で、話を《黒神龍ザルバ》に戻しましょう。
このカードは、登場時に1ドロー出来ます。相手が。
いやいやいや……と言いたいところではありますが、上記の流れのように、別にデメリット持ちのドラゴン自体、当時はそこまで珍しい話でもありません。
闘魂編から聖拳編にかけてのドラゴンというのはそういう連中ばっかりだったので、《黒神龍ザルバ》に関して特別な感情で「なんでデメリット効果持ってんだよ!」とはならなかったです。
むしろクスダルフみたいな連中と比べると遙かに使いやすく、「まぁ1ドローくらいならマシか……」と、小学生環境では普通に許されるレベルのカードでした。コモンだし。集めやすいし。
そう、使ったんですよこのカード。普通に召喚して。4コスト払って。
何故かといえば実は既に答えを書いていて、コイツが《暗黒王デス・フェニックス》の進化元だったからですね。
【 進化クリーチャー(進化V) 】
種族 フェニックス / 文明 闇/火 / パワー9000 / コスト4
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化Vー自分のドラゴン・ゾンビ1体とファイアー・バード1体を重ねた上に置く。
W・ブレイカー
このクリーチャーがシールドをブレイクする時、相手はそのシールドを手札に加えるかわりに持ち主の墓地に置く。
このクリーチャーがバトルゾーンを離れた時、相手は自分自身の手札をすべて捨てる。
いまでこそ……というかデュエプレなんかでは《黒神龍ゾルヴェール》や《神滅翔天ザーク・ゼヴォル》といった優秀なカードを貰えていましたが、当時のドラゴン・ゾンビはそうではありません。
それこそ上にもある《黒神龍ギランド》くらいしか低コストのまともなカードがなく、デメリットの比較的少ない《黒神龍ザルバ》は、友達と遊ぶ分には実運用して全然問題ないレベルのカードでした。コモンだし。集めやすいし。デスフェニ出たら手札1枚とか関係ないし。
あとは同じく、《超神龍アブゾ・ドルバ》の進化元としても使われるカードでした。理由は上に同じです。
【 進化クリーチャー 】
種族 ドラゴン・ゾンビ / 文明 闇 / パワー11000+ / コスト6
進化-自分のドラゴン1体の上に置く。
このクリーチャーがバトルゾーンにある間、このクリーチャーのパワーは自分の墓地にあるクリーチャー1体につき+2000される。
T(トリプル)・ブレイカー(シールドを攻撃したとき、このクリーチャーはシールドを3枚ブレイクする)
アブゾ・ドルバは松本大先生の漫画での印象的な活躍もあって、当てたら流石に使いたいカード。1ドロー与えるくらい気にしません。アブゾ・ドルバ出たら関係ねえから、ゲームに負けても気分は勝ちだから。
というように、牧歌的なデュエル・マスターズにおいてはそれなりに収録された意味を見出され、それなりに役割を与えられていた《黒神龍ザルバ》。
それこそ《ガルベリアス・ドラゴン》や《紅神龍メルガルス》などと同じように、時代とともに忘れられていくカードになるかと思われましたが……。
ザルバ回し
さて、それから時を経ること……何年ですかね。だいたい5年くらい? デュエル・マスターズに新しいデッキ概念が登場します。
いわゆる即死コンボ……ループデッキの登場です。《生命と霊力の変換》を使った【変換エンドレス】や《剛勇霊騎エシャロット》を使った【タイフーンエシャロット】といったデッキです。
まぁデッキ解説をすると話がややこしくなるのでここでは省略しますが、現代的に言えば「一連の動作の中でマナを無限に起こせるので、好きな呪文を使い回せる」というループコンボになります。
そして当時は《母なる大地》や《母なる紋章》がまだ使えたこともあり、好きな呪文を使い回せるということは盤面のクリーチャーを出し入れすることも可能であり、実質的に好きなクリーチャーを使い回すことも可能だったんですね。
ゲームのフィニッシャーとしては《生命剥奪》という最終的にシールドを全部焼けるカードなんかも使用されましたが、クリーチャーを出し入れ出来ることを生かして《黒神龍ザルバ》を任意の回数だけ出して勝つ、という方法が考案されます。
そう、《黒神龍ザルバ》のドローって強制なんですよ。
ここに来てザルバ、まさかの再就職です。
いや、なんか田舎でのんびり余生を送るつもりだったのに、突然のオファーには何よりザルバさん自身が困惑したことでしょう。
このザルバを無限に出し入れするギミックは「ザルバ回し」なんて呼ばれたりもします。
ザルバ回しの一番わかりやすい形は、【ヘルゲートムーンLO】でしょうか。
【 進化クリーチャー(究極進化) 】
種族 ルナティック・エンペラー / デビルマスク / 文明 闇 / パワー13000 / コスト10
究極進化-自分の進化クリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、クリーチャーをすべて、自分の墓地からバトルゾーンに出す。その後、相手は自身のクリーチャーをすべて、墓地からバトルゾーンに出す。
T・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを3枚ブレイクする)
2体の《神羅ヘルゲート・ムーン》と《百発人形マグナム》、そして《黒神龍ザルバ》を使ったループデッキで、ヘルゲートムーンでヘルゲートムーンを釣ることが出来るので、これを《百発人形マグナム》の効果で自壊させながら無限に使う……みたいなループデッキです。
で、ループ始動タイミングで墓地に《黒神龍ザルバ》がいると、《黒神龍ザルバ》も無限に墓地と場を回廊することになるよ、というわけです。
これらは環境デッキとは言えなかったですが、ファンデッキとしてはかなり知名度の高いものであり、必然的にザルバ自身の認知度も上がっていきました。
そんなわけで、牧歌的なデュエルマスターズにおいて、《超神龍アブゾ・ドルバ》や《暗黒王デス・フェニックス》の下敷きとなっていた《黒神龍ザルバ》の姿はそこにはもうありません。
【 クリーチャー 】
種族 ドラゴン・ゾンビ / 文明 闇 / パワー5000 / コスト4
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手はカードを1枚引く。
なんか新しいフレーバーテキストまで貰ってます。前の就職先より明らかに待遇がいいです。
ということで、ループデッキに1枚入ってるカードとして、《黒神龍ザルバ》はお馴染みのカードとなりました。
ただ近年ではループそのものが高性能になっていることが多く、フィニッシャーとしてのザルバの採用を見掛けるケースは少なくなりました。
とはいえ実際考えてみると、《黒神龍ザルバ》と同じ役割が出来るカードってあんまりないんですよね。
ループのフィニッシャーとして、最後に殴らず勝利出来ることはかなりのメリットです。そうなると、LOという手段を取ることになります。
しかしLOは大抵《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》に行く手を阻まれることになり(「無限回効果を使えばいつか山札が悠久だけになるタイミングがあるので、そうなるまで省略します」というループの省略が認められていない時期がありました)、悠久を無視してLO出来るザルバは結構貴重なんですよ。
ですので、一時期【天門ループ】なんかでも、黒の嵩増し兼フィニッシャーとして採用されているリストを見掛けたことがあります。
ちなみに当然ですが、【ダンタルサガ】のフィニッシャーとして運用しても問題なく役割を果たしてくれます。
意外と現代でも、ループの手段によっては《黒神龍ザルバ》が最適解となるケースもあるかもしれません。
或いはなんかのツインパクトとかになってくれれば、また心おきなくザルバ回しが出来る日がくる……かも?
おわりに
というわけで今回の斜にマスは《黒神龍ザルバ》の紹介でした。
デュエル・マスターズはカードの総数が凄まじいですが、環境で使用されるカードなどごくごく僅かです。大半のカードが、忘れられていきます。
《黒神龍ザルバ》もそういったカードの1つになるはずだったんですが……なんかテキストがオンリーワンだったために、記憶の彼方から引き戻されることになってしまいました。
ザルバ回しを最初に気付いた人は凄いです。特に当時はSNSも発展していない時代ですから、今みたいに新カードと相性のいいカード画像を2~3枚貼られたツイート……じゃなくてポストが、Twitter……じゃなくてXに流れてくる、なんていうことも起こらないのです。
つまりはカードをいっぱい覚えておくと、もしかしたらいいことがあるかも……? という話なのかもしれません。
いずれにせよ、そんなロマンというものを、《黒神龍ザルバ》からは感じています。
というわけで、今回はここまで。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!