目次
はじめに
Wチームドッキングパック チーム銀河&チームボンバーに収録されているこの《U・S・A・BINTA》というカードは、テキストに不備があったということでその効果が訂正されています。
実際のカードには、
バトルゾーンにある自分のクリーチャーの数以下のコストを持つ、相手のクリーチャーを1体破壊する。
と書かれていますが、訂正後の効果は
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、バトルゾーンにある自分のクリーチャーの数以下のコストを持つ、相手のクリーチャーを1体破壊する。
となっています。
Wチームドッキングパック チーム銀河&チームボンバー発売前にこの《U・S・A・BINTA》の効果が判明したときは、明らかなテキスト不備だから後に訂正のお知らせがあるだろうなとは思っていました。
しかしこの《U・S・A・BINTA》、もしミスではなくそういうテキストとしてデザインされたカードだったとしたらどうなっていたでしょうか?
今回はそんな実際には存在しないカードについての考察になります。
常在型能力について
まず、《U・S・A・BINTA》がテキスト通りの効果であった場合、その効果は常在型能力というものに分類されます。
常在型能力というのは、文字通り常に適用され続ける能力ということです。そのため、いつ発動するかということは書かれていません。
また、どのゾーンで機能するかが書かれていない能力は、バトルゾーンでのみ機能します。
昔は「バトルゾーンにある間」というように、どこで機能するかがテキストに示されていましたが、今ではそのテキストは省略されています。
そのため、特に記載がない場合は「バトルゾーンにある間」に適用される能力だと思ってもらえば大丈夫です。
例えば同じ《トット・ピピッチ》でも、古いカードには「このクリーチャーがバトルゾーンにある間」と書かれていますが、
比較的新しいカードではそのテキストが省略されています。
これらのことを理解したうえで《U・S・A・BINTA》の能力をテキスト通り解釈すると次のようになります。
このクリーチャーがバトルゾーンにある間、バトルゾーンにある自分のクリーチャーの数以下のコストを持つ、相手のクリーチャーを1体破壊する。
もしそうだったら何が起こるのか
それでは、《U・S・A・BINTA》が実際にそんな能力であった場合何が変わるのかについて考えていきましょう。
まず、《U・S・A・BINTA》がバトルゾーンにいる限り、自分のクリーチャーの数以下のコストを持つ相手のクリーチャーは常に破壊され続けます。
バトルゾーンに《U・S・A・BINTA》を含む自分のクリーチャーが6体以上存在すれば、相手の《超神星ヴィーナス・ラ・セイントマザー》のメテオバーン能力をすべて使い切らせて破壊することができます。
また、常在型能力は常に適用され続ける能力であるため、誘発型能力と異なり、効果が誘発し解決するという手順を挟まずにその能力を適用できます。
つまり、自分のバトルゾーンに《U・S・A・BINTA》を含むクリーチャーが2体以上存在する時に、相手が《霞み妖精ジャスミン》をバトルゾーンに出した場合、 《霞み妖精ジャスミン》の効果が解決されるより前にそのクリーチャーを破壊することができます。
そうなった場合、「このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、このクリーチャーを破壊してもよい」という《霞み妖精ジャスミン》の効果が解決できず、「そうした場合、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く」という処理は実行されなくなります。
このように、実質《霞み妖精ジャスミン》の効果を不発にすることができます。
同様の理由で、《U・S・A・BINTA》を含むクリーチャーが4体以上いた場合、相手の《ヨミジ 丁-二式》の効果を不発にすることができます。
《U・S・A・BINTA》を含むクリーチャーが5体以上いた場合は、相手が《MEGATOON・ドッカンデイヤー》をバトルゾーンに出した時、自身の手札をすべて捨てるだけになります。
これは、《MEGATOON・ドッカンデイヤー》がバトルゾーンに出たときに誘発する、自分の手札をすべて捨てる能力を解決するよりも前に《MEGATOON・ドッカンデイヤー》が破壊されてしまうためです。《MEGATOON・ドッカンデイヤー》自身が破壊されてしまった後に自分の手札をすべて捨てることになりますが、その時はすでに《MEGATOON・ドッカンデイヤー》はバトルゾーンに存在しないため、「自分の手札を1枚捨てたとき、GR召喚する」という効果は発動できません。
また、《U・S・A・BINTA》には「相手のクリーチャーを1体破壊する」と書かれていますが、常在効果である以上バトルゾーンにいる限り何回でも相手クリーチャーを選んで破壊できてしまうため実質「1体破壊」というテキストは意味がないように思えます。
しかし、「1体破壊」と記されているということは、この能力は相手のクリーチャーを1度選ぶ必要があるということです。
つまり、《異端流し オニカマス》のような選ぶことのできないクリーチャーは、どれだけバトルゾーンにクリーチャーが並んでいようが破壊できないということです。
また、《U・S・A・BINTA》のこの能力は強制効果であるため、選ぶことのできるクリーチャーがいた場合、必ず選ばなければいけません。
《U・S・A・BINTA》を含むクリーチャーがバトルゾーンに7体以上いるときに相手が《レッド・ABYTHEN・カイザー》をバトルゾーンに出した場合、選びたくなくても選ばなければならず、マナゾーンのカードがすべて墓地に送られることになります。
おわりに
今回は、《U・S・A・BINTA》の能力が、もしもテキスト通りであった場合どういう能力になっていたのかについて考えてみました。
当たり前ですが、いくら実際のカードテキストにそう書いてあるからといって、テキスト不備とその訂正のお知らせがあった以上、そちらに従って効果を解決してください。
実際のデュエルでは、《U・S・A・BINTA》の能力は常在型能力ではなく、バトルゾーンに出たときに誘発する誘発型能力なので勘違いしないでください。
間違っても、自分のバトルゾーンに《U・S・A・BINTA》がいるからといって相手の《霞み妖精ジャスミン》や《ヨミジ 丁-二式》の効果を無効にしたりしないでください。 そんなことはできません。
この記事の情報が実際のデュエルで役に立つことは一切ありません。
この記事の情報が役に立ったと言っている人はきっと《U・S・A・BINTA》のテキストが訂正されなかった世界で生きている人だと思われます。