目次
はじめに
北白河は激怒した。
必ず、かの邪智暴虐のミッツァイルを除かなければならぬと決意した。
北白河にはメタゲームがわからぬ。
北白河は、奈良のクソデッキビルダーである。
《レアリティ・レジスタンス》を吹き、起源神と遊んで暮して来た。
けれどもクソデッキで気持ちよくなる前にこちらを殺してくるデッキに対しては、人一倍敏感であった。
はじめまして。あるいは、お久しぶりです。北白河と申します。クソデッキビルダーを志す、しがない復帰勢プレイヤーです。トレカライターコロシアムに引き続き、トレカライターガーデンという貴重な機会に参加できましてたいへん光栄に思います。 その節はありがとうございました。今回もよろしくお願いします。 ここまでコピペ。
さて、第三回トレカライターコロシアムではYoutuberの強さを見せつけられてあえなく第五位という結果に終わってしまったわけですが、今回はガーデンです。誰も争い合うものはなく、ただ良い記事を書くことだけを目標にできる楽園です。
投票数のためにTwitterで自分のツイートをRTし続けたり、カードショップでフリープレイした相手全員にロビー活動を行わねばならない時代は終わったのです。
ところで、投票数を気にしなくてもいいということは、たのしいクソデッキを皆様に提供する好青年たる北白河ではなく今までもたまに顔を出していた治安と性格の悪いほうの北白河でいてもいいということでもあります。今回は別に票が減るわけじゃないし。争わないでいい環境が悪辣な人間性を発達させたのです。
というわけで、今回はいつものゆかいなクソデッキではなく、環境デッキを使っている対戦相手を不愉快にするためだけのデッキを組んでいきます。組みます。組めるかな。努力目標ということでがんばります。
超えなければならない壁
さて。2019年10月末~11月初頭の現環境を定義しているカードとは何でしょうか。これは言うまでもありませんね。
《BAKUOOON・ミッツァイル》です。
コスト軽減・大量展開・SA付与と、デュエマにおいてやってはいけないことを全部やることでおなじみのこのカード。案の定Tier1デッキは《BAKUOOON・ミッツァイル》で埋め尽くされ、環境はコンボ・ミッドレンジ・アグロという多種多様なミサイルが飛び交う修羅の巷となりました。
《BAKUOOON・ミッツァイル》の何がそんなに強いのかと言えば、ぶっちゃけ全部やはりその高速展開性能でしょう。どんなクリーチャーでもいいので盤面に4体揃えるだけで、1コストでSAクリーチャー(しかもW・ブレイカーもいる)が本体含めて5体並んであっさり致死打点が成立。トリガーを嫌うならちょっと待ってからGRゾーン経由で《マリゴルドⅢ》とかから任意の単騎ラフルルを揃えれば勝ちです。最短3ターン目に飛んでくるこの大量展開を止める術は、ほとんどありません。
それでも、止めねばなりません。
3ターン目に突っ込んでくる《BAKUOOON・ミッツァイル》は、相手プレイヤーの「勝ちたい」という強い意志の象徴です。
ならば、それを上回る殺意をもってカードを選ばねばなりません。それを上回る悪意をもってカードを積まねばなりません。そして、それを上回る敵意をもってカードを叩き付けなければなりません。やっていきましょう。
非ミサイル三原則
やっていく前に、まずは座学です。そもそも《BAKUOOON・ミッツァイル》を使ってくる環境デッキとは、どんなデッキなのでしょうか?
タイプは大きく分けて三つ。コンボの【ジョーカーズミッツァイル】、ミッドレンジの【赤青緑ミッツァイル】、アグロの【赤単ブランド】です。それぞれの特徴を軽くまとめてみましょう。
【ジョーカーズミッツァイル】 《ミッツァイル》までの経路:軽量クリーチャーとルーター呪文からの《"魔神轟怒"万軍投》で展開、4体揃えて《夢のジョー星》《パッパラパーリ騎士》で浮きマナを作りそこから1コストで《ミッツァイル》キルムーブ:《夢のジョー星》→《ミッツァイル》を繰り返して展開を続け、詰め札に繋げてワンショット《ミッツァイル》登場ターン:3~4《ミッツァイル》以外に乗り越えるべき障害:《ジョジョジョ・マキシマム》によるトリガー呪文封じ・《次元の嵐 スコーラー》によるエキストラターン
【赤青緑ミッツァイル】《ミッツァイル》までの経路:優良パーツによりブーストや展開・妨害を行いつつ、6マナ以上溜まったら《ミッツァイル》キルムーブ:《ミッツァイル》から出てきたマナドライブGRクリーチャーで《単騎連射 マグナム》《音精 ラフルル》を揃えてワンショット《ミッツァイル》登場ターン:5~《ミッツァイル》以外に乗り越えるべき障害: 単騎ラフルルによるカウンター封じ・《DROROOON・バックラスター》などによる除去・マナドライブ6による爆発的アドバンテージと展開力・やたらと分厚いトリガー
【赤単ブランド】《ミッツァイル》までの経路:1→2→《GIRIGIRI・チクタック》で4体クリーチャーを展開して1コストで《ミッツァイル》キルムーブ:死ぬほど並んだSA高打点GR生物で殴る《ミッツァイル》登場ターン:3《ミッツァイル》以外に乗り越えるべき障害:とにかく高い打点とパワーライン・《"罰怒"ブランド》ルートの存在・軽量クリーチャーによる攻めの継続
これらを踏まえて、対策の方針を決めるとこうなります。
①:【ジョーカーズミッツァイル】の3ターン《ミッツァイル》を止める
②:【赤単ブランド】を止めうる防御力の確保
③:【赤緑青ミッツァイル】の防御をブチ抜けるフィニッシュムーブ
まとめると、「(相手のコンボに聴く耳を)持たず、(ビートされるスキを)作らず、(長期戦に)持ち込ませず」ということになります。非核三原則と同じですね。それ言いたかっただけだろ!
それでは、この非ミサイル三原則を遵守しつつデッキを組んでいきましょう。
ミサイルなき世界を目指して
まず、①の「持たず」です。これについては、【ジョーカーズミッツァイル】に優位のつく数少ない環境デッキである【サンマックス】系列が完璧な回答を持っています。すなわち。
《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》と《音奏 プーンギ》の二大2マナメタクリで、初動を遅れさせます。前者は《BAKUOOON・ミッツァイル》本体を、後者はそれに至るまでの呪文を妨害するわけですね。【ミッツァイル】以外にも刺さる相手が多いこの2枚を採用して、今回はメタビートの形を取っていこうと思います。
次に、②の「作らず」。《奇石 ミクセル》などのメタクリーチャーでキーパーツはある程度止まるとはいえ、4ターン目《MANGANO-CASTLE!》でボカボカ殴られていては命がいくらあっても足りません。メタビートの形を取る以上、なんとかして足止めを行いながらさらに圧をかけられるメタクリーチャーに繋げたい所です。
この問題を解決するには二つのアプローチが存在します。今言った「足止め」と「メタクリーチャー」です。
まず、「足止め」ですが、直接的なブロッカーではすぐぶち抜かれてあまり意味がありません。根本的にぶっこ抜きましょう。つまり。
ピーピングハンデスです。手札消費量が激しい仮想敵相手にはよく刺さりますね。
《ファイナル・アンサー》は始動に《BAKUOOON・ミッツァイル》と起爆剤が必要なデッキに対する回答として探している途中に発見したカードで、どう使ってもどちらかを落とすことが可能です。トップデッキの可能性は付きまといますが、3マナで相手の手札の確認しながらハンデスできるカードは他にほとんどありません。
《解体人形ジェニー》はまあ見ての通りですね。昔から使われている安定して強いカードです。4ターン目にはおそらく相手の手札の内容がかなり少なく濃くなっているはずなので、そこを狙って落とせるのはよいですね。軽いのがいいなら《魔薬医 ヘモグロ》なんかでもいいでしょう。
次に、メタクリーチャーですが、これにもおあつらえ向きのカードが存在します。それは……
常に相手を1ターン遅らせる《停滞の影タイム・トリッパー》と、数少ないGR召喚メタの《百発人形マグナム》です。
《停滞の影タイム・トリッパー》は明確に1ターンぶんの時間を稼いでくれるカードなので、より重いメタクリーチャーまでのつなぎとして機能します。
《百発人形マグナム》まで辿り着けばほとんどのGR召喚の威力は激減しますし、cipを伴わない踏み倒し全般に対して強く見ることができますね。
最後に、③の「持ち込ませず」。メタクリーチャー満載のこのデッキで、トリガーの分厚い相手のシールドをブチ抜いてさっさと勝負を決めるにはどうすればよいのでしょうか?素直に殴るのは絶対嫌ですし、何か策を練らねばなりません。
この問題を解決するには、メタクリーチャーを使う即死コンボがあればいいわけです。ならば。
【キクチVチャロン】です。
《デュエマの鬼!キクチ師範代》は【赤緑青ミッツァイル】のブーストを遅らせることができ、【ジョーカーズミッツァイル】の《夢のジョー星》などにも刺さります。そうでなくても山札からの踏み倒しやブーストを採用する多くのデッキにブッ刺さりますね。
《Vチャロン》は明確にコンボパーツとして運用されることになりますが、それでも即死コンボは魅力です。重たいので《戦慄のプレリュード》で運用したいところですが、《Vチャロン》専用にするにはちょっともったいないですね。ん、無色の重くて強力なメタクリ……?
いました。《あたりポンの助》です。最短4ターン目に出るならば、なんとか《BAKUOOON・ミッツァイル》にも間に合いますね。
というわけで、持たず作らず持ち込ませずの非ミサイル三原則が揃いました。これをベースに、色の合うメタクリを追加でたっぷり採用してデッキを組んでいきましょう!
デッキレシピ:メタメタキクチャロン
4《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》 4《音奏 プーンギ》4《制御の翼 オリオティス 》 2《奇石 タスリク》1《予言者マリエル》4《デュエマの鬼!キクチ師範代》4《停滞の影タイム・トリッパー》2《ファイナル・アンサー》4《百発人形マグナム》3《解体人形ジェニー》2《あたりポンの助》3《Vチャロン》3《戦慄のプレリュード》
2《ポクタマたま》2《捕縛の意志 フェルメル》2《全能ゼンノー》2《白皇鎧の意志 ベアスケス》2《ソゲキ 丙-一式》2《浄界の意志 ダリファント》
ひとりのミッツァイルが、緋の《ドドド・ドーピードープ》を北白河に叩き込んだ。北白河は、まごついた。治安のいいほうの北白河は、気をきかせて教えてやった。「治安の悪いほうの北白河、君は、ノートリじゃないか。早くその《♪仰ぎ見よ閃光の奇跡》とかを積むがいい。 このクソ憎たらしいミサイルは、北白河のデッキを、店舗大会で勝たせるのが、たまらなく口惜しいのだ。」クソデッキビルダーは、ひどく赤面した。
なんということでしょう。様々なデッキを見てメタクリをぽこじゃか積んでいった結果、おぞましい汚物が誕生してしまいました。少なくとも2ターン目に動けなければ当初の想定敵の【赤単ブランド】には勝てそうにない感じの出来に仕上がってしまったと思います。あとよく考えたら【赤緑青ミッツァイル】には《DROROOON・バックラスター》なんていうメタクリ絶対殺すマンがいましたね。ハンデスでぶっこ抜くか出ないことを祈りましょう。
とはいえ、【サンマックス】系列のメタビート概念からさらに一歩先に進んだ形のデッキであることは間違いありません。コンボ特化型の【ジョーカーズミッツァイル】には相変わらず強いし。《単騎連射 マグナム》ばかり目につきがちですが、GR召喚全盛期の今こそ旧式の《百発人形マグナム》が輝く時なのです。100枚買え!
もうちょっと正気を取り戻して考えると、このコンセプトにおいてもやはりある程度のトリガーは必要かと思われます。メタゲームを見ていくつかメタクリを削り、4~8枚くらい《♪仰ぎ見よ閃光の奇跡》《閃光の守護者ホーリー》など、1ターンを生き延びるためのトリガーを積むのもいいかもしれません。腐ってもクリーチャーデッキなので、【キクチVチャロン】がなくても最悪6回殴れば勝てますし。
もし改造するならば、火文明を追加してGR召喚へのより強いメタカードである《早撃人形マグナム》を採用してみるのもいいと思います。その場合は《こたつむり》《マグナム・ルピア》《爆鏡 ヒビキ》《単騎連射 マグナム》なんかも積むことになるでしょう。そうなると色的に【キクチVチャロン】がキツくなってくるので別のフィニッシュプランが必要になりますね。大量に並んだメタクリを活かして、一気に詰め切れるカードなんて……
いい加減にしろよお前~~~ッ!!!
おわりに
というわけで、メタメタキクチャロンでした。本当にメタメタだったのはデッキ構築そのもので、やっぱりいつも通りのクソデッキでしたね。治安と性格が悪いのは北白河ではなく単にミサイル飛び交う環境のほうだったというオチがつきました。どっとはらい。
次回の予定は、この企画があるって知ってたら絶対作らなかったブログのほうでもさらっと触れました、デュエマというゲームの常識そのものに挑戦するゆかいなデッキをご紹介いたします。もしくは第三回トレカライターコロシアムのような、ゲームプレイとは直接関係のない周知系の何かも書けたらいいなと思っています。それでは、次の記事で。