古き良き時代の名残 《リビングデッドの呼び声》代用カード紹介

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古き良き時代の名残 《リビングデッドの呼び声》代用カード紹介

目次

はじめに:ちょっとした昔話

どうも初めまして、第1回より引き続き参加させていただきます「白金 将」です。普段は自分のブログにてほぼ毎日遊戯王に関する記事を書いております。もしかしたら「お久しぶり」という人もいるかもしれませんし、いつも見てます、という人もいるかもしれません。

そんな私が第2回トレカライターコロシアムで一本目に書くのはみんなご存知《リビングデッドの呼び声》についてのお話です。いえ、少し間違えました。「《リビングデッドの呼び声》の規制により生まれた代用カード」のお話です。

《リビングデッドの呼び声》

【 永続罠 】 

自分の墓地からモンスターカード1体を選び、攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールド上に存在しなくなったら、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。 

出典:遊戯王OCGカードデータベース

《リビングデッドの呼び声》は2000年9月8日発売のパックに発売されて以降、様々な場所でデュエリストたちに愛されてきました。しかし登場当初は《早すぎた埋葬》《死者蘇生》と並ぶ強力な蘇生カードとして名を馳せ、様々な場所でパワーカードとして扱われることとなります。それによって2001年1月15日に制限、2008年3月1日に禁止カードに指定されました。

2008年3月1日当時のリミットレギュレーションを見てみると、当時、蘇生カードは軒並み制限を食らっておりデッキにはあまり搭載できない状況でした。具体的なカード名を挙げると……

  • 《死者蘇生》制限
  • 《早すぎた埋葬》制限
  • 《リビングデッドの呼び声》禁止

墓地からモンスターを蘇生させるカードの中でも有名処はこんな有様。しかし、2008年3月1日辺りは丁度「遊戯王デュエルモンスターズGX」が終わって「遊戯王5D's」が始まろうとする時期。パックで言えば《オネスト》が表紙を務めた「LIGHT OF DESTRUCTION」が発売された時期で、あの「ライトロード」が登場した時期でもあるのです。次の弾ではあの《スターダスト・ドラゴン》も収録されるんですよ。

そうなれば、やっぱり蘇生したいじゃないですか。別に《リビングデッドの呼び声》が禁止にされたことがトリガーになったわけではありません。あのカードが制限で《死者蘇生》が入れ替わりに禁止だった時代から人々は蘇生カードを求めていたのです。

そんなことをおそらく運営側も考えていたのでしょう。2001年1月に制限カードとなってから《リビングデッドの呼び声》は汎用性が高すぎたと判断したのか、そのカードを意識した下位互換カードが多く生まれました。物によってはカテゴリ専用カードとして蘇生札がもらえている事例もあり、《リビングデッドの呼び声》には届かないものの多くのデュエリストたちの需要に応えることとなります。

代用カードたちは《リビングデッドの呼び声》が2009年9月1日に《死者蘇生》と入れ替わりで制限緩和、2011年9月1日に準制限、2012年3月1日に無制限となるまでの間に生まれましたが、本家《リビングデッドの呼び声》が完全復活してからは採用される意義もなくなってしまいます。現代では《戦線復帰》といったカードも登場し、当時の代用カードたちの立つ瀬はますますなくなってしまいました。

現在はデュエルリンクスで見るだけのカードも多いですが、ここで一旦彼ら「代用カード」を復習しましょう。何故振り返るかというと、デッキ内のイラストや世界観を合わせる際にこれらのカードが役に立つことが往々にしてあるのです。

前にこんなことをTwitterで呟いたら多くの人から賛同のいいねを貰いました。このことでデッキ構築で世界観を深めたい、という層が多くいることは分かったのでそういった方に向けて筆を執らせていただきます。

長々とした前置きになってしまいましたが、そろそろ本題に移りましょう。

「代用カード」と呼ばれし者たち

ということで、類似効果を持つカードを取り上げていく訳ですが、ここで紹介するのは2012年3月1日までに登場したカードとさせていただきます。それ以降にも《強化蘇生》といったカードはありますが、その日以降のカードはここでは話には上げません。なにとぞご了承ください。

◆《蘇りし魂》

《蘇りし魂》

【 永続罠 】 

自分の墓地から通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。 このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。 

出典:遊戯王OCGカードデータベース

2004年2月26日に発売した「ファラオの遺産」に収録されたカードになります。あの《魔の試着部屋》《黒・魔・導》と同期のカードですね。当時のレギュレーションでは《早すぎた埋葬》《死者蘇生》《リビングデッドの呼び声》はどれも制限カードとなっており、通常モンスターの4枚目の蘇生札として扱われることになります。当時は【カオス】【サイエンカタパ】が環境で暴れていました。

◆《ヒステリック・パーティー》

《ヒステリック・パーティー》

【 永続罠 】 

手札を1枚捨てる。自分の墓地に存在する「ハーピィ・レディ」を可能な限り特殊召喚する。このカードがフィールド上から離れた時、このカードの効果で特殊召喚したモンスターを全て破壊する。 

出典:遊戯王OCGカードデータベース

2006年3月16日に発売した「ストラクチャーデッキ―烈風の覇者―」に収録されたカードです。現在でも【ハーピィ】における強力な蘇生札として活躍している1枚ですが、登場当初はそもそもの「ハーピィ・レディ」が少ない状況でした。そのため登場当初から今のように強かったわけではありませんが、当時からしてもなかなかのスペックと言えるカードでしょう。

◆《化石発掘》

《化石発掘》

【 永続罠 】 

手札を1枚捨てる。自分の墓地に存在する恐竜族モンスター1体を選択して特殊召喚する。この方法で特殊召喚されたモンスターのモンスター効果は無効化される。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。 

出典:遊戯王OCGカードデータベース

こちらも手札を1枚捨てるタイプの罠ですね。2006年5月18日日発売の「POWER OF THE DUELIST」に収録されたこちらの同期には《死皇帝の陵墓》があります。コストはありますがそれ以外は恐竜族限定の《リビングデッドの呼び声》といった感じで、デュエルリンクスでお世話になった人も多いのではないでしょうか。恐竜族デッキで蘇生札を探す際、手札のカードを墓地へ送ることができる点では現在でもこちらが採用できる可能性があります。

◆《正統なる血統》

《正統なる血統》

【 永続罠 】 

自分の墓地から通常モンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターがフィールド上に存在しなくなった時、このカードを破壊する。 

出典:遊戯王OCGカードデータベース

収録は2006年11月16日発売の「STRIKE OF NEOS」で、あの「六武衆」と共にやってきました。また、暗黒界でも《暗黒界の取引》が登場し、他にも《古のルール》など今でも聞くカードがこの辺りから収録され始めます。罠自体の効果は《蘇りし魂》の攻撃表示版、といった感じですが、バトルフェイズ中の蘇生から追撃が出来るようになりました。ただ、通常モンスターの需要がこの頃あったかと言われると自身はありません。

◆《携帯型バッテリー》

《携帯型バッテリー》

【 永続罠 】 

自分の墓地から「電池メン」と名のついたモンスター2体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを全て破壊する。そのモンスターが全てフィールド上から離れた時このカードを破壊する。 

出典:遊戯王OCGカードデータベース

2008年2月23日発売「LIGHT OF DESTRUCTION」にて収録されたこのカードはいよいよもって禁止カードとなる《リビングデッドの呼び声》の代用カードとして生まれてきたようでもありました。同パックでは既存カテゴリであった「電池メン」デッキが大幅に強化されており、このカードもその一環です。実際のところ《漏電》を有する「電池メン」にとっては《リビングデッドの呼び声》よりも優先度が高くなるかもしれません。

◆《閃光のイリュージョン》

《閃光のイリュージョン》

【 永続罠 】 

自分の墓地から「ライトロード」と名のついたモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。自分のエンドフェイズ毎に、デッキの上からカードを2枚墓地に送る。このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターがフィールド上から離れた時このカードを破壊する。

出典:遊戯王OCGカードデータベース

こちらも「LIGHT OF DESTRUCTION」に収録の1枚。墓地の「ライトロード」を蘇生させるカードで、エンドフェイズ毎にデッキから2枚カードを墓地へ送るコストを支払うことになります。墓地肥やしをどの程度まで戦略に組み込むかでこのカードの評価もまた変わってきます。個人的には【ライトロード】だったら是非ともこちらを使いたいですね。

◆《リミット・リバース》

《リミット・リバース》

【 永続罠 】 

自分の墓地から攻撃力1000以下のモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。そのモンスターが守備表示になった時、そのモンスターとこのカードを破壊する。このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。 

出典:遊戯王OCGカードデータベース

こちらも「LIGHT OF DESTRUCTION」に収録されたカード。デュエルリンクスをやっている方なら【ユベル】に入っていたことでおなじみでしょう。実際のところ、当時の【ユベル】を組む際に蘇生札を採用するなら《リビングデッドの呼び声》よりもこちらが選ばれます。守備表示にして自壊させることができる、というのはあちらにはないメリットです。

◆《エンジェル・リフト》

《エンジェル・リフト》

【 永続罠 】 

自分の墓地に存在するレベル2以下のモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターがフィールド上から離れた時このカードを破壊する。 

出典:遊戯王OCGカードデータベース

2008年4月19日「THE DUELIST GENESIS」にて収録されたカードです。登場時は《死者蘇生》《早すぎた埋葬》が制限カードで《リビングデッドの呼び声》は禁止カードでした。この《エンジェル・リフト》は「遊戯王5D's」で不動遊星が何度も使用していたため見たことある人も多いでしょう。今でこそ《リビングデッドの呼び声》の完全下位互換ですが、イラスト通りに【ワイト】で使用してみるのも面白いかもしれません。

◆《サイコ・チューン》

《サイコ・チューン》

【 永続罠 】 

自分の墓地に存在するサイキック族モンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはチューナーとして扱う。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターがフィールド上から離れた時このカードを破壊する。このカードが墓地へ送られた時、自分はこのカードの効果で特殊召喚したモンスターのレベル×400ポイントダメージを受ける。 

出典:遊戯王OCGカードデータベース

2008年11月15日に発売された「CRIMSON CRISIS」に収録されたカードです。登場時は《死者蘇生》が制限カードで《早すぎた埋葬》《リビングデッドの呼び声》は禁止カードでした。サイキック族モンスター専用蘇生カードとして扱うだけでなく、チューナー化する部分を生かしてシンクロ召喚のサポートを行うことも出来ます。

◆《ウィキッド・リボーン》

《ウィキッド・リボーン》

【 永続罠 】 

800ライフポイントを払い、自分の墓地に存在するシンクロモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを表側攻撃表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、このターン攻撃宣言をする事ができない。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。 

出典:遊戯王OCGカードデータベース

登場は2009年2月14日発売の「RAGING BATTLE」。ちょうど【シンクロダーク】が隆盛し始めた頃で、2008年9月1日の制限改定で《早すぎた埋葬》が禁止カードとなって単体蘇生効果を持つ汎用カードが《死者蘇生》のみであった時代に生まれたカードでした。シンクロモンスターを蘇生させる罠版《早すぎた埋葬》のようでもあり、当時の蘇生カードの強さを物語る一枚ですね。

◆《コアの再錬成》

《コアの再錬成》

【 永続罠 】 

自分の墓地に存在する「コアキメイル」と名のついたモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。自分のエンドフェイズ時にそのモンスターが破壊された時、このカードのコントローラーはそのモンスターの攻撃力分のダメージを受ける。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。 

出典:遊戯王OCGカードデータベース

2009年4月18日発売「ANCIENT PROPHECY」に収録されたこちらは「コアキメイル」の専用蘇生カードとして登場しました。相変わらず汎用蘇生カードが《死者蘇生》しかなかった中、環境でも【アンデシンクロ】【シンクロダーク】が規制され始めた頃です。エンドフェイズ時に破壊された時のデメリットが存在するため現在採用する場合は注意が必要となるでしょう。

◆《アマゾネスの意地》

《アマゾネスの意地》

【 永続罠 】 

自分の墓地から「アマゾネス」と名のついたモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは表示形式を変更する事ができず、攻撃可能な場合には攻撃しなければならない。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。 

出典:遊戯王OCGカードデータベース

2010年4月17日発売「DUELIST REVOLUTION」に収録された1枚。このカードが出た当時は《死者蘇生》《早すぎた埋葬》が禁止カードで《リビングデッドの呼び声》が制限カードでした。現在は「アマゾネス」カードをサーチする効果を持つモンスターの登場により【アマゾネス】でその姿を見ることができます。

おわりに:蘇生札の相対的弱体化

《死者蘇生》《早すぎた埋葬》《リビングデッドの呼び声》の3枚は昔はどれかが制限だったらどれかが禁止だった、と目まぐるしく入れ替わる時代を経験しています。つまりはそれほどに墓地蘇生の効果を持つカードが強力だったことでもあり、下位互換のカードがたくさん生まれたこともそれを裏付けています。

とはいえ、現在は《リビングデッドの呼び声》は3枚デッキに積むことができる時代ですし、なんなら《戦線復帰》というカードまで出てきています。《死者蘇生》は相変わらず制限カードで《早すぎた埋葬》は禁止カードですが、墓地からカードを蘇生させる罠カードは他にもたくさんある訳です。

《戦線復帰》

【 通常罠 】 

①:自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。 

出典:遊戯王OCGカードデータベース

そんな時代ですから、昔生まれた「代用カード」を使う意義は多くの場合失われてきています。勿論《携帯型バッテリー》《アマゾネスの意地》のように現代でも差別化できているカードはありますが、多くのカードは性能面でもなかなか追いつけません。そうなると、いよいよカードイラストによる雰囲気の統一、くらいでしか使用する機会がなくなってしまいます。仕方ない事ですがやはりそれは悲しい。

環境最前線で活躍するカードは勿論注目すべきですが、ストレージへ入っているだろうこれらのカードに対する見方が少しでも変わるようでしたら幸いです。激動の時代を生き抜いてきたカードたちへ思いを馳せるのも悪くないでしょう。


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