はじめに
遊戯王OCG環境では、7月にも新カードが登場し、環境はさらなる進化を遂げています。
6月からどのような変化があったか、今はどのようになっているのか、早速見ていきましょう!
目次
「最強」の定義
本記事では最強デッキを「遊戯王環境での相対的な強さ」と定義します。
Tier1とは「環境内に不利なデッキが少ない、あるいは相性差を覆しやすいデッキであり、大会で持ち込みが一番多いと予想される対策必須のデッキ」です。
Tier2とは「Tier1やTier2のデッキにある程度勝てる見込みがあり、大会でも毎回一定数いると予想されるデッキ」です。
Tier3とは「弱点が多い、デッキパワーが低いなどの理由で使用者は少ないものの、特定のメタゲームでは活躍することができるデッキ」です。
先月からのカードプールの変化
7月1日から新リミットレギュレーションが施行されました。
この改訂で《クシャトリラ・フェンリル》などが禁止カード指定、《斬機サーキュラー》《超重武者装留イワトオシ》《ピュアリィ・スリーピィメモリー》などが制限カード指定となりました。
これによって【クシャトリラ】【超重武者】などのデッキの核となるカードを規制されたテーマは環境から身を引きました。
一方【ピュアリィ】も《ピュアリィ・スリーピィメモリー》を規制されましたが、それ以外の影響はなく【ピュアリィ】はTier1の座を保持しました。
また7月22日にはレギュラーパック『AGE OF OVERLORD(エイジ・オブ・オーバーロード)』が発売されました。
『AGE OF OVERLORD(エイジ・オブ・オーバーロード)』では《黒魔女ディアベルスター》《S:Pリトルナイト》《厄災の星ティ・フォン》などの優秀なカードが収録され、環境に大きな影響を与えました。
7月のOCG環境は、【ピュアリィ】【R-ACE】などを中心として、様々なデッキを見かける環境となっています。
Tier1
【ピュアリィ】Tier1
【ピュアリィ】は、「ピュアリィ」速攻魔法を駆使して戦うエクシーズ召喚主体のテーマです。
「ピュアリィ」速攻魔法には共通効果で以下の効果があります。
『①:○○する(○○は固有効果)。さらに、以下の効果を適用できる。●自分の手札を1枚選んで捨て、デッキからレベル1の「ピュアリィ」モンスター1体を特殊召喚する。②:このカードを素材として持っている「ピュアリィ」Xモンスターは以下の効果を得る。(以降は固有効果)』
この共通効果のおかげで「ピュアリィ」速攻魔法は初動の《ピュアリィ》《ピュアリィ・リリィ》にアクセスすることが可能となっています。
《エピュアリィ・プランプ》の効果で素材を補充し、《エクスピュアリィ・ノアール》を成立させる盤面を目指します。
《エクスピュアリィ・ノアール》はエクシーズ素材を5つ以上持っていると相手が発動した効果を受けず、相手ターンにも使えるデッキボトムバウンス効果も備えているので強力な妨害にもなります。
【R-ACE】Tier1
【R-ACE】は、「R-ACE」カードとして扱う魔法・罠カードをサポートとして駆使して戦うテーマです。
《R-ACEタービュランス》が起動効果で「R-ACE」魔法・罠カードをフィールドに4枚もセットできるという、とても豪快かつ強力な効果を持っています。
この《R-ACEタービュランス》の効果で伏せられるカードも、墓地から「R-ACE」モンスターの手札回収や蘇生などのリソース回収、モンスター効果無効や破壊などの妨害、とこちらも強力なカードとなっています。
また《黒魔女ディアベルスター》《原罪宝-スネークアイ》の登場によって、デッキの初動となる《R-ACEハイドラント》を簡単にリクルートできる手段が増えたため、デッキの安定性が高まりました。
Tier2
【ラビュリンス】Tier2
【ラビュリンス】は、通常罠をサポートする効果を持つ「ラビュリンス」カードを駆使して罠で相手を妨害しつつ、高打点の「ラビュリンス」モンスターで攻めていくデッキです。
「ラビュリンス」モンスターの中でも特に強力なモンスターが《迷宮城の白銀姫》です。
《迷宮城の白銀姫》は特殊召喚方法の緩さ、破壊・対象耐性、通常罠をデッキからセットできる効果のどれも強力です。
特に通常罠をデッキからセットできる効果は、好きな通常罠カードにアクセスできるため、《魔のデッキ破壊ウイルス》《闇のデッキ破壊ウイルス》《ドラグマ・パニッシュメント》《次元障壁》など、状況や相手のデッキに応じた通常罠を持ってくることができます。
《迷宮城の白銀姫》を含む「ラビュリンス」モンスターは《ウェルカム・ラビュリンス》《ビッグウェルカム・ラビュリンス》でリクルートもできます。
《ビッグウェルカム・ラビュリンス》には条件付きの妨害効果も備わっています。
「ラビュリンス」魔法・罠カードは《白銀の城の召使い アリアンナ》《白銀の城の火吹炉》《白銀の城の竜飾灯》などのテーマ内カードでアクセスも容易です。
【ティアラメンツ】Tier2
【ティアラメンツ】は、墓地肥やしを行い墓地に送られた場合の効果を活用する融合召喚テーマです。
メインデッキに入る闇属性の「ティアラメンツ」モンスターは共通して、効果で墓地に送られた場合に、墓地の自身を含む手札・フィールド・墓地のモンスターをデッキボトムに戻して融合召喚を行える効果を持っています。
この効果によって《ティアラメンツ・カレイドハート》《ティアラメンツ・ルルカロス》《暗黒界の龍神王グラファ》などの妨害持ち大型融合モンスターを展開し、盤面を制圧していきます。
現在では「ティアラメンツ」のメインデッキのモンスターは4種類全てが制限カードとなっているため、《混沌魔龍カオス・ルーラー》などのカードを採用し、墓地に落とすギミックを活用して墓地融合を狙っていきます。
Tier3
【神碑】Tier3
【神碑(ルーン)】は「デッキ破壊」を勝ち筋とした魔法カード中心のテーマです。
「神碑」速攻魔法には以下の共通効果があります。
- このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
- 発動後、次の自分バトルフェイズをスキップする。
- 2つの効果から1つを選択して発動する。
- 1つ目が『○○する。その後、相手のデッキの上からカードをX枚除外する。(Xはカードによって異なる)』という効果。
- 2つ目が『EXデッキから「神碑」モンスターをEXモンスターゾーンに特殊召喚する。』という効果。
選択できる1つ目の効果によって何かしらのアクションをしつつデッキ破壊を行います。
《輝く炎の神碑》や《凍てつく呪いの神碑》などは相手の妨害をしつつデッキ破壊ができるので、デッキ破壊が完了するまでの時間を稼いでくれます。
選択できる2つ目の効果によってEXデッキから「神碑」モンスターを特殊召喚できます。
特に《神碑の翼フギン》は【神碑】デッキの軸となるフィールド魔法《神碑の泉》をサーチできます。
フィールド魔法である《神碑の泉》は、「神碑」速攻魔法をデッキに戻すことで毎ターン最大3枚ドローできる他、「神碑」速攻魔法を相手ターンにも発動できるようになります。
これによって毎ターン手札を補充しつつデッキ破壊を行うデッキとなっています。
【エクソシスター】Tier3
【エクソシスター】は、メインデッキの「エクソシスター」モンスターが相手の墓地のカードが墓地から離れることをトリガーに、強力な「エクソシスター」Xモンスターに変身して戦うデッキです。
メインデッキに入る「エクソシスター」モンスターの共通効果として、
『自分・相手の墓地のカードが相手によって墓地から離れた場合に発動できる。「エクソシスター」Xモンスター1体を、自分フィールドのこのカードの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。』
といったテキストがあります。
この効果によって「エクソシスター」Xモンスターを展開し、相手の墓地に関する効果を中心とした妨害をしながら戦う、といった特徴があります。
「エクソシスター」魔法・罠には強力なカードが多く、サーチや妨害、展開などをこなすカードがあり、元々のステータスが貧弱な「エクソシスター」モンスターをサポートしてくれます。
環境のまとめと今後の展望
7月のOCG環境は、【ピュアリィ】【R-ACE】が環境トップの筆頭候補となっています。
7月1日から施行のリミットレギュレーションで大幅な規制をもらわなかった【ピュアリィ】【R-ACE】、この2つのデッキが環境を引っ張っています。
【R-ACE】は新弾の《黒魔女ディアベルスター》関連のギミックを採用した構築での入賞が多く見られ、まだまだ出たばかりのギミックでもあるので今後も研究が進んでいくと思われます。
他のデッキも引けをとることはなく、【ティアラメンツ】【ラビュリンス】などのデッキも環境に食らいついています。
特に【ラビュリンス】は『ANIMATION CHRONICLE 2023』で登場した《トランザクション・ロールバック》を採用した構築での入賞が多く、今後の環境にも影響を及ぼしていきそうです。
おわりに
遊戯王OCGの7月の環境について解説いたしました。
この記事が皆さんのデッキ構築・環境への理解の手助けとなっていれば幸いです。
それでは8月の環境解説記事でまたお会いしましょう!