効いた感覚はまるでない
こんにちは。あるいはお久しぶりです。北白河と申します。
サイクリングですが、なんと信じられないことに続いています。
「ながら」で進められるってこんなに都合いいんですね。なんか下半身だけずっと運動させといて、上半身だけで生活したいですね。
こうなるときっと上半身だけで動く必要が出てきて、概念としてのテケテケができます。
というわけで、今回もやっていきましょうか。
この記事があなたの良い暇潰しになれば、これほど嬉しいことはありません。
それでは、今日のカードはこちら。
《冒険探検アミトアキ》
【 クリーチャー 】
種族 ドリームメイト / ダイナモ / 文明 自然 / パワー6000 / コスト6
ダイナモ(バトルが始まる時、あるいはこのクリーチャーで攻撃できる時、このクリーチャーをタップしてもよい。そうした場合、そのターンの終わりまで、このクリーチャーのパワーと能力をバトルゾーンにある自分の他のダイナモ1体に加える)
W・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを2枚ブレイクする)
DM-19で登場した、レアのクリーチャーです。種族はドリームメイトとダイナモ。
……そう、デュエマ屈指の不遇種族にして不遇能力にして謎能力、ダイナモです。
不死鳥編のドリームメイトとグレートメカオーに配られたこのギミックは、要するに「タップすることで能力とパワーを仲間のダイナモにそのまま受け渡す」もの。
与え手側には能力としてのダイナモを、受け手側には種族としてのダイナモを要求する……というちょっとちぐはぐな実装ですが、まあ実際は能力としてのダイナモ持ちは全員種族としてのダイナモを持ってるのでこの時点では大丈夫です。逆については言ってないのがミソです。
これだけ見ればダイナモ同士で集めることでなんだか多彩なデッキが組めそう……に見えるのですが、不死鳥編で登場したダイナモはなんとわずかに17種。
しかもどいつもこいつも準バニラですし、戦略らしい戦略も事実上「《 電脳鉄人センジュオー 》に全員でパワーを集めて殴る」一本しかありません。
結論として、このギミックは端的に言って擁護がかなり難しいレベルでの失敗ギミックだったと言わざるを得ません。
なぜこんなことになってしまったのか、少しだけ考察していきます。
まず第一に、「カード単体を強くしすぎることができない」。
複数クリーチャーが力を合わせて大きなパワーを出すというコンセプト上、一枚でダイナモと噛み合って完結したフィニッシャーを刷れないんですよね。
実際に刷られたカードでは前述の《 電脳鉄人センジュオー 》のような「パワーを一点に集めて得するカード」やダイナモの利点を全部消して単体性能で勝負する《 超神星ウラヌス・ナインテイル 》くらいしか存在せず、彼らが出るまでは準バニラどもで力を合わせて戦うという牧歌的すぎるデュエマを要求されます。
カード一枚一枚のデザインの幅や天井が低くなると、カードそのものの魅力も下がってしまう…というのはなんとなく理解していただけるかと。
そして第二に、「記憶が持たない」。
一見「タップすると能力を受け渡す」というシンプルな実装ですが、これが複数重なってくると人間の思考能力というものはゴリゴリ削られていきまして。
特に、「能力を受け渡されたクリーチャーをさらにタップしてリレーを行う」というテクニックを活用し始めると、クリーチャーのパワーを把握するのも一苦労。これに別途一時的なパワー追加とかついてたりしたら、容易に頭が爆発することが想像できます。
DCGとかなら自動で計算してくれるのでまだいいんですが、紙だとどうしても記憶問題が付きまとってしまいます。そのDCGたるデュエプレではそもそも存在を抹消されているのが皮肉なもんですね。
そして最後に、「実装がまずかったせいでバグる」。
前述のように種族と能力によって制御されているこのギミックですが、これは要するに《 ビックリ・イリュージョン 》でハックできるということ。
しかもダイナモを付けた一般クリーチャーにダイナモ持ちが能力をパスすると、おあつらえ向きにダイナモ能力までパスされるんですよね……!
例えばこれで常在型効果の類をパスしまくれば一瞬で能力が重なりまくって大変なことになりますし、G・リンク等の特定のカードを相方に要求するギミックをパスすればゲーム上想定されていないリンクが発生したりします。
さらに、効果の受け渡しがタップで行われるのも結構な問題。能力のリレーを行った後に何らかの手段でアンタップを行う(クリーチャーの効果で行うとこれもパスできてお得)と、積み上がったパワーや能力を再びパスできるようになります。
これらが何を指すかというと……そう。
宇宙が始まります。
ここまで来ればありとあらゆる能力を複数個併せ持った超パワーのキメラ(しばしばリンクしている)がバトルゾーンを跋扈し、開発部が想定していない領域へデュエマを誘ってくれることでしょう。無粋な話になりますが、まあ無限ループも特殊勝利もやり放題ですよ。
……さすがにここまで「何でもできる」のは、TCGというより数学とか哲学のゾーンに突入してしまいそうです。これを活かしてあらゆるゾーンのカードを一個にリンクさせたりとか、有限値の最大パワーを追い求めたりしたりとかする先行研究があったりしますし。
このように、ハックしやすい能力は思わぬきっかけでバグる可能性が高いのは言わずもがな。《 漂流大陸の復活 》が出ても新規が刷られなかったのも、そこら辺に理由がありそうですね。
じゃあなんでよりによって同じシリーズで《 ビックリ・イリュージョン 》なんか刷ったんだと思わなくもないですが、DM-20当時のカードプールならまだ目に見えたバグは起きないはず……
次のパックでもうバグりました。
《 魔刻の騎士オルゲイト 》と墓地回収を絡めればもっと早い段階でバグらせられた気もしますが。
ではどうすればよかったのかというと……たぶん、「受け渡すパワーと能力をカードごとに固定値にし、リレー不可にする(ダイナモ効果そのものをパスさせない)」「受け取りを種族ではなく能力の有無だけで管理する(もしくは受け取り側を無制限にする)」みたいな感じにすればよかったんじゃないかなって思ってます。
パワーや効果をリレーして宇宙の果てまでれっつらごするロマンは失われますが、こうすれば少なくとも書いたとおりに動いてくれますし、アイコン効果にしたりすればある程度視認性も確保できます。
「本人の持ってる能力と付与される能力が違う」みたいなパターンもやろうと思えば作れますし、少なくとも今の実装よりはバリエーションあるカードデザインができたんじゃないかな……って。
まあ、後知恵なんで何とでも言えるってだけの話なんですが。現実は我々の知る通りで、こうはなりませんでした。バグらせようと思えば、世界はバグります。残念でした。
ちなみにフレーバー的にもどういう存在か不明です
というわけで、《 冒険探検アミトアキ 》でした。
ちなみに、MTGでも「複数のクリーチャーが力を合わせて一塊になって戦うぞ!」というテーマの「バンド」という能力があります。
こちらも複雑すぎる関係で早々に事実上の廃止がなされており、「どのカードとどのカードがセットである」と表現するのが難しいTCGにとってこの手の効果が鬼門であることが分かりますね。
そういえば、ほぼ全カードがこのように「複数のカードを合体させてパワーや効果を合算できる」ゲームがどこかにあったような気がするんですが……思い出すとなんだか体の周りが透明になってきそうなのでやめときましょうか。メイプルストーリーiTCGのほうが綺麗な実装してるし。
さて、次回予告のコーナーです。
弊社のECサイトにはカードごとに「一緒に買ってるランキング」というお遊び要素があるのですが、皆様にはそのランキングのみを見て次回のカードを当ててもらいます。
おや、次回予告がありませんね。これは別件の締め切りが発生しててそれどころじゃないからです。
というわけで、次回のカードはこれです。各自予習していってください。
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それでは、次の記事で。北白河でした。