目次
はじめに
【自然水闇デッドダムド】あるいは【アナカラーデッドダムド】と呼ばれるデッキは、2019年の夏頃、デュエルマスターズ界を震撼させた。その圧倒的な盤面除去とフィニッシュ力から環境の最大多数となる一方、【赤単速攻】や【青魔導具】、【メルゲドッカンループ】【青黒カリヤドネ】といったデッキが台頭した。
そんなことも今は昔、《禁断機関 VV-8》を失いフィニッシュ力が弱くなったことや、ループデッキの始動の高速化などから環境からこのデッキは大きく数を減らした。それでもなお、デッドダムドというデッキは魅力的であり、愛用者は少なくは無いだろう。
そんな魅力的なデッキなのだが、レシピを見れば
「《すご腕プロジューサー》を4枚入れて〜」「《龍装艦 チェンジザ》を4枚〜」
高額カードが山盛りなことも珍しくない。チェンジザ4枚など、貧乏学生の身分では中々手が出せないものだ。そんなことでストレージやら様々なサイトを漁って高額カードを必要最小限に抑えていながら、それをただの妥協に留まらないような工夫を盛り込ませていただいた。
ただし結論から言うと、実はこのデッキはそこまで安くない。というのも、このデッキを作った時点から《天災 デドダム》が大幅に高騰してしまったのだ。しかし、このカードは流石に抜きようがないためご了承願う。
デッキリスト
《ガチャマジョ・チャージャー》や《零星シェダス》といったあまり見ないカードが見えると思う。このあたりが高額カードを用いないことを妥協で終わらせない工夫に繋がっている。
動かし方
【 オレガ・オーラ 】
【種族】 マフィ・ギャング / デリートロン / ゼロリスト
【文明】 闇
【パワー】+2000
【コスト】4
■これを付けたクリーチャーは「ブロッカー」を得、相手プレイヤーを攻撃できない。
■これを付けたクリーチャーがブロックした時、そのブロックの後で、そのクリーチャーを破壊する。
■これを付けたクリーチャーが破壊された時、コスト３以下の進化ではないクリーチャー１体またはコスト３以下のオーラを１枚、自分の墓地からバトルゾーンに出す。
基本的には《零星 シェダス》と自壊するGRクリーチャーで墓地の《特攻人形 ジェニー》や《悪魔妖精 ベラドンナ》を使い回してテンポを取りながら零龍の卍誕を目指す。卍誕させることに成功したら《奇天烈 シャッフ》によってシールドトリガーをケアしながらフィニッシュに向かおう。
復活の儀
■カードを自分の墓地からバトルゾーンに出した時、この零龍星雲を自分の《滅亡の起源 零無》にリンクしてもよい。そうしたら、自分の山札の上から２枚を墓地に置く。
2ターン目に 《特攻人形 ジェニー》か《霞み妖精 ジャスミン》、《悪魔妖精 ベラドンナ》をプレイして墓地に送る。 その後《零星 シェダス》で自壊するGRクリーチャーを捲り、そのまま《特攻人形 ジェニー》や《霞み妖精 ジャスミン》、《悪魔妖精 ベラドンナ》を使い回して達成させる。このデッキの場合一番最初に達成するのはだいたいこれになる。《SSS級天災 デッドダムド》を侵略させる準備にもなるし、後続を用意するための墓地肥やしにもなる。
墓地の儀
■カードを自分の墓地に置いた時、自分の墓地にカードが８枚以上あれば、この零龍星雲を自分の《滅亡の起源 零無》にリンクしてもよい。そうしたら、相手のクリーチャーを１体選ぶ。このターン、そのクリーチャーのパワーを－3000 する。
【 呪文 】
【文明】 闇
【コスト】4
■自分の山札の上から３枚を墓地に置く。
■GR召喚する。（GR召喚：自分の超GRの上から１枚目を、コストを支払ったものとして召喚する）
■チャージャー（この呪文を唱えた後、墓地に置くかわりに自分のマナゾーンに置く）
《特攻人形 ジェニー》→《天災 デドダム》→《零星 シェダス》→《復活の儀》でだいたい4枚くらい肥えているため、《ガチャマジョ・チャージャー》と何かで達成できる。《ドンドン吹雪くナウ》あたりで欲しいカードを探すついでに達成できるだろう。あるいは、《零星 シェダス》を使う前に《ガチャマジョ・チャージャー》を使っておくのも良い。《復活の儀》の達成時効果で《墓地の儀》を達成する準備になる上に、GR召喚をする効果とチャージャーの相性が良く、《カット 丙-二式》などのマナドライブの準備にもなる。
破壊の儀
■クリーチャーが破壊された時、このターン中、他に２体以上破壊されていたら、この零龍星雲を自分の《滅亡の起源 零無》にリンクしてもよい。そうしたら、闇のカードを１枚、自分の墓地から手札に戻す。
ここでも大きく貢献してくれるのは《零星 シェダス》だ。自壊GRクリーチャーで1回、蘇生したジェニーやベラドンナで1回、そのまま《墓地の儀》を満たすことができればその効果で相手のウィニーを破壊することで3回。そうでなくとも、2マナ余っていれば手札から《特攻人形 ジェニー》や《霞み妖精 ジャスミン》、《悪魔妖精ベラドンナ》を使って3回、といった具合に達成することができる。
【 呪文 】
【文明】 闇
【コスト】5
■この呪文を、自分の墓地から唱えてもよい。そうしたら、唱えた後、墓地に置くかわりに自分の山札の一番下に置く。
■次の中から２回選ぶ。（同じものを選んでもよい）
→相手は自身の手札を１枚選んで捨てる。
→コスト４以下の闇のクリーチャー１体またはコスト４以下の闇のオーラを１枚、自分の墓地からバトルゾーンに出す。
→相手のクリーチャーを１体選ぶ。このターン、そのクリーチャーのパワーを-4000する。
《絶望と反魂と滅殺の決断》も大きく貢献してくれる。4コスト以下の蘇生効果を2回使い、《零星 シェダス》2枚や《零星 シェダス》＋《特攻人形ジェニー》などを蘇生すれば1アクションで《破壊の儀》を達成することができる強力なカードだ。また、このデッキは墓地のクリーチャーとオーラは触れるが、墓地の呪文は触ることが苦手である。《ガチャマジョ・チャージャー》や《絶望と反魂と滅殺の決断》が欲しい場合はここで回収すると良い。特に後者は手札から唱えて《破壊の儀》を達成し、そのまま手札に戻す動きはとても強い。次の《手札の儀》にも繋がっていく。
手札の儀
■自分のターンの終わりに、手札が１枚もないプレイヤーがいれば、この零龍星雲を自分の《滅亡の起源 零無》にリンクしてもよい。そうしたら、GR召喚する。
要となるのは《悪魔龍ダークマスターズ》だ。7マナで相手の手札を見て３枚も奪い取れる強力なクリーチャーである。GRクリーチャーにも《カット 丙-二式》や《バクシュ 丙-二式》といったハンデスを担えるクリーチャーがいるため、手札補充の手段が少なく、さくさく手札を使うデッキが相手の場合は《特攻人形ジェニー》を数回使いまわすだけでも達成できるかもしれない。ここでも 《絶望と反魂と滅殺の決断》 は強力で、墓地にいる《悪魔龍ダークマスターズ》を《ヨミジ 丁-二式》で蘇生するために《零星シェダス》を2枚蘇生してヨミジを捲りに行く動きは強い。場合によっては相手の手札を5枚くらい奪いながら、同時に《破壊の儀》なども達成できる。
その他
《零星シェダス》
シェダスを最大限に活かすため、3コスト以下のクリーチャーがやや多めになっているのがこの構築の特徴である。《特攻人形 ジェニー》《霞み妖精 ジャスミン》《悪魔妖精 ベラドンナ》《天災 デドダム》《終末の時計 ザ・クロック》の5種類がある。 《特攻人形 ジェニー》《霞み妖精 ジャスミン》《悪魔妖精 ベラドンナ》 はアドを取りながら自力で墓地に戻ってくれるため使い回しが効き、デ《天災 デドダム》 はマナ加速に墓地肥やしに手札補充に侵略元と八面六臂の活躍をしてくれる。 《終末の時計 ザ・クロック》 については後述する。
そして、一番重要なのが、このカードを動きの軸とすることによって《全能ゼンノー》を入れる余地が無くなるという点である。
《零星 シェダス》のついたGRクリーチャーを積極的に破壊することによってテンポを取りながら零龍を卍誕させてフィニッシュにもって行くということは、場に居座ってナンボの《全能 ゼンノー》は非常に相性が悪く、このデッキの動きを大幅に損なうことになり、妥協抜きに採用しない明確な理由とこの構築だからこそできる特有の強みを生み出している。
こんな山盛りカードがコモンというレアリティであるのは本当に奇跡みたいなことなので、ストレージで見つけたら今の内に無限回収しておくことをオススメする。
《絶望と反魂と滅殺の決断》
基本的には墓地の《零星 シェダス》や《特攻人形 ジェニー》あたりを使いまわすために使用する。《虹速 ザ・ヴェルデ》や《天災 デドダム》も出せることは覚えておいて損は無い。詰めのシチュエーションで1回ほど使えれば十分なため1枚採用としている。
《終末の時計 ザ・クロック》
《零星 シェダス》で《天啓 CX-20》や《バクシュ 丙-二式》が捲れてしまった場合、 《終末の時計 ザ・クロック》 を墓地に置いておくことで「攻撃すると、墓地から 《終末の時計 ザ・クロック》 が出てくる」というビートダウンにとっては悪夢のような状況が生まれる。勿論、状況によっては自壊GRクリーチャーでも自壊させずにシェダスを場に残す択が存在することを忘れてはいけない。
とにかく、このデッキは攻防共に《零星 シェダス》という、ストレージに落ちているような安価で、それでいて強いカードに大きく支えられているのだ。
相性
有利対面
・【赤青クラッシュ"覇道"】《終末の時計 ザ・クロック》の蘇生ギミックやハンデスの刺さりが良く、強気に出られる。
・【白緑ファイブスター】【ナウ・オア・ネバー】《奇天烈 シャッフ》を引ければ基本的には一方的に勝つことができる。
不利対面
・【墓地ソース】《暴走龍 5000GT》でほとんどのクリーチャーを出せなくなる。墓地メタも積んでいないため、勝ち筋がほとんど無い。
・【青黒カリヤドネ】墓地を肥やすため、《ブラッディ・クロス》を連打されるとすぐに山札が消し飛んでしまう。《奇天烈 シャッフ》の刺さりも悪い。
・【速攻】
シールド・トリガーが少なく、マナや墓地を増やして戦うため準備が整う前に負ける可能性が高い。
・【4cドッカンデイヤー】
ループを止める手段がほとんど無い。
まとめ
おおむね、このデッキのパーツは《天災 デドダム》《絶望と反魂と滅殺の決断》《零龍》の３つを除いて2020年2月26日時点で1枚500円に収まってくれている。《天災 デドダム》はやや高額となってしまったが、非常に汎用性が高く、代替できるカードがほとんど無いことから持っていても決して損にはならないカードであるため、このデッキはきっと額面以上に「お得」なものとなってくれるはずだ。
ストレージに眠っているようなコモンカードひとつが、ここまで多様な役割を持ってデッキの回転に大きく貢献してくれるというのは中々に面白いのではないだろうか。シングルカード相場の高騰を嘆くのもよいが、安くしつつもそれを妥協にしない工夫、それもデッキビルダーの腕の見せ所ではないだろうか。
私は、このデッキを通してそのようなことを伝えたかった。
「妥協だけではない安さ」が伝わればなによりである。
