目次
はじめに
こんにちは、北白河と申します。七回目となる今回は、前回の殿堂で大ダメージを受けたあのデッキのリペア……のつもりが、いつものように気持ちよさを優先した結果明後日の方向に向かってしまったたのしいデッキについて紹介していこうと思います。
一つのデッキの死、そして再生
2019年7月1日、《セイレーン・コンチェルト》殿堂入り。
出典：デュエル・マスターズ
一見無害にも見えるこのカードのこの殿堂入りによって、致命的なダメージを受けたデッキがありました。それが……
出典：デュエル・マスターズ
【青単ムートピア】です。
軽量呪文を1ターンに何度も唱えまくり、《超宮兵 マノミ》などのG・ゼロクリーチャーを大量展開。最後は《時空の嵐 スコーラー》で得た追加ターンで殴り切るという、久々に登場した4～5ターンキル安定の高速ソリティアコンボデッキです。少ないマナから大量に呪文を唱えたいこのデッキにおいては、《セイレーン・コンチェルト》は0マナでマナ回収を行うも同然（しかも呪文カウントまで進む）の働きを見せてくれていました。その噛み合いぶりが運営に危惧され、あえなく殿堂入り。最高の潤滑油を失った【青単ムートピア】はその短い命を……
出典：デュエル・マスターズ
終えませんでした。自然文明によるマナブーストを得て、【青緑ムートピア】として華麗に復活を遂げたのです。多色化に伴って安定性と最速パターンこそやや減ったものの、マナが伸びることによりさらに動きに柔軟性を身につけました。さらに自然文明を採用可能になったことで選択肢が爆発的に増加した結果、せいぜいドローソースやバウンス枠に何を採用するか程度の差しかなかった【青単ムートピア】時代から、「《トレジャー・ナスカ》《ガガガン・ジョーカーズズ》などの1マナドローソースで解決型」「《デスマッチ・ビートル》などのメタ生物で延命型」「《ガイアズ・ソング》でG・ゼロ生物からさらに加速型」「《桜風妖精ステップル》などから《妖精の裏技ラララ・ライフ》で打点とマナ確保型」など、多種多様なスタイルが生まれるようになりました。
……とはいえ、これらのデッキも【青単ムートピア】最大の弱点を克服するには至りませんでした。《時空の嵐 スコーラー》で稼いだ1ターンで殴り切るという都合上、トリガーなどでいざ相手を倒し切れないともうどうしようもないのです。《「本日のラッキーナンバー！」》で一番嫌なカードだけガードするプランもありますが、それも読みを外したりD2フィールドのトリガーには無力です。一度凌がれてしまえば、あとはでかいだけの準バニラどもと、欲しいカード全部使い切った山札が残るのみです。多くの場合はそのまま迎えた相手のターンに対処されてしまいますね。なんとかしてこの問題を解決できないでしょうか。ここはシンプルに行きましょう。
追加ターンを2ターン得ればいいのです。
「いやさすがにそれは無理でしょ……こいつ暑さでついに頭がおかしくなったんか……」とお思いの方へ。頭がおかしいのはまあ最初からとして、デュエマの広大なカードプールは、デッキに合う最高の形で解答を用意してくれていたのです。すなわち。
出典：デュエル・マスターズ
あっ間違えました、こっちです。
出典：デュエル・マスターズ
《「大当たり!もう一本!!」》で《次元の嵐 スコーラー》の登場時能力を二倍にするのです。
《次元の嵐 スコーラー》の追加ターンの条件は「その《次元の嵐 スコーラー》がゲーム中最初に出たものであること」なので、能力が倍化しても効果の発生源が変わらずちゃんと追加ターンが増えます。それ以外にも《超宮兵 マノミ》を倍加して結果的に2マナ2ドロー、コンボ始動前なら《桜風妖精ステップル》を倍加して追加のマナブーストと、デッキに入れたいあらゆるクリーチャーとシナジーします。マナがカツカツの青単ムートピアでは使う余裕のない2マナの呪文ですが、青緑ムートピアならなんとか捻出可能です。今回はこれを活かしていく方向でデッキを組んでいきましょう。
妖精さんとデッキビルド
前述の通り《「大当たり!もう一本!!」》はクリーチャーの登場時効果を倍加させるため、《桜風妖精ステップル》と好相性です。盤面に残るマナブーストクリーチャーを採用することで、《妖精の裏技ラララ・ライフ》も使えますね。実質0マナ呪文の《セイレーン・コンチェルト》が殿堂入りになった中、0マナで使うとマナが増える呪文……つまりマイナス1マナ呪文というのはあまりにも破格です。やはり時代は「ゼロ」を超えた「マイナス」だったんですよ！
出典：デュエル・マスターズ
そして、冒頭で軽く触れたジェネリックコンチェルトこと《ローラー雪だるま》。マナがタップインなのが玉に瑕ですが、手札の減らないマナ回収はいつだって強力です。ところで、これらのマナ加速カードは狙ったカードをマナに置けず、色が詰まって困ることが多そうです。1マナ呪文はピンポイントでその色のマナだけ必要ですし、こういうところで手詰まりになると不快ですね。なので。
出典：デュエル・マスターズ
《薫風妖精コートニー》でマナを染めて色事故を消しましょう。おあつらえ向きに《妖精の裏技ラララ・ライフ》の対象のスノーフェアリーです。《桜風妖精ステップル》4枚では足りないので、何枚か足してあげるといい働きをしそうですね。さらにこのカラーリング特有のユーティリティカードとして……
出典：デュエル・マスターズ
《起動基盤 コア・キャリバー/エレクトロ・シャワー》。クリーチャー面でコンボ時の手札補充を、呪文面でコンボまでのマナと手札の調整を行ってくれるスーパーサブです。おまけに追加ターン入ってからうっかり落ちちゃったキーパーツを引っ張ってくるという仕事までできちゃう。というかこれどう考えてもクリーチャー面だけで必須パーツですね。絶対欲しいので4積みです。
ここまで面子が揃えば、あとは【青単ムートピア】の基本パーツを揃えればいいでしょう。よーし一人回しだ！と喜び勇んでプロキシで回し始めたとき、一つの事実に気付いてしまいました。このデッキ、めちゃくちゃマナが伸びます。考えてみれば、「出た時ブースト」「マナ回収の補填にブースト」「無からブースト」なんていうカード群を過剰ドローで回しているのです。そんなにマナが出るなら……
出典：デュエル・マスターズ
絶対勝つマンこと《水上第九院 シャコガイル》を採用できますね。デッキを異常な速度で回転させるこのデッキだと、1ターンで回復した山札を捌き切るのはそんなに難しくありません。出せそうならば追加1ターン目に出してから追加2ターン目にエクストラウィンっていう動きもぜんぜん可能です。なんなら2ターン目に出しても《妖精の裏技 ラララ・ライフ》があればワンチャンあります。序盤はマナに置いといてあとでマナ回収すればいいわけですし。まあ枠を食うしなによりお高いので1枚だけの採用にしときましょうか。盾落ちしそうなら……
出典：デュエル・マスターズ
《ラ・ズーネヨマ・パンツァー/逆転のオーロラ》で強引に回収すればいいのです。腐っても最大5マナブーストであり、追加1ターン目に使って2ターン目に《水上第九院 シャコガイル》を出してもまだコンボに入れるだけのマナが得られます。すでに引いているならマナに置けばいいだけの話です。
あとのパーツは一般的な【青単ムートピア】【青緑ムートピア】に採用されているカードで大丈夫でしょう（2回目）。というわけで今回のプランは、「スノーフェアリーの力を借りつつ軽量ドローとマナ加速呪文を連射し、1ターンに5回呪文を唱えて《「大当たり!もう一本!!」》と《次元の嵐 スコーラー》で追加ターンを複数得て《水上第九院 シャコガイル》で勝負を決める（ダメそうなら仕方なく普通に殴る）」で決定です。またこいつ過剰打点を保険にして胡乱なエクストラウィンしようとしてる……エンジンとゴール地点が揃い、方針は決まりました。あとはデッキを組むのみ！
デッキレシピ：大当たりスコーラーwithシャコガイル
4《海底鬼面城》4《卍 ギ・ルーギリン 卍/卍獄ブレイン》1《セイレーン・コンチェルト》3《ガード・グリップ》2《ローラー雪だるま》4《桜風妖精ステップル》2《薫風妖精コートニー》4《機動基盤 コア・キャリバー/エレクトロ・シャワー》4《妖精の裏技ラララ・ライフ》1《ラ・ズーネヨマ・パンツァー/逆転のオーロラ》4《超宮兵 マノミ》3《凶鬼90号 ゾレーゴ/「大当たり！もう一本!!」》1《水上第九院 シャコガイル》3《次元の嵐 スコーラー》
なんかすごい異形のデッキになったぞ……？
一般的な【青緑ムートピア】との差異点は、《ア・ストラ・センサー》ではなく《ガード・グリップ》を採用していることです。これは単純に、必要パーツに呪文ではないカードが含まれているからですね。うっかりクリーチャー三枚とかめくれると表情が曇るので、普通に引いたほうが精神衛生にいいです。
回し方ですが、基本的には4ターン目までにバトルゾーンにスノーフェアリーと《機動基盤コア・キャリバー》を用意し、5ターン目に動きます。早い段階で《海底鬼面城》が引けていると運が良ければ4ターン目に動けます。この際、《妖精の裏技ラララ・ライフ》は可能な限りコンボを決めにいくまで温存しましょう。チェインコンボにめちゃくちゃ重要になります。
コンボが動き出したら、とにかく低コストで呪文を唱えてドローします。三枚以上唱えたら《超宮兵 マノミ》の連鎖でごっそりカードを引き、《「大当たり!もう一本!!」》から《時空の嵐 スコーラー》に繋げます。この際、できるだけ手札の軽量マナ加速はこのターンのうちに使っておきましょう。追加ターンに使えるマナが増えると安定します。あまりないケースですが《「大当たり!もう1本!!」》の対象は「次に出すクリーチャー」なので、複数枚使えると追加ターンがさらに増えます。追加3ターンはもう何やっても勝てるくらい余裕があるので、覚えておくとお得です。
追加ターン1ターン目に入ったら、おおむねマナが7～9枚くらいあると思います。追加1ターン目の目標は「出せそうなら《水上第九院 シャコガイル》を出し、出なさそうなら《逆転のオーロラ》を使う」です。前のターンと同じようにとにかく引いてカードを探し、可能な限りマナ加速を行います。マナ落ちしたキーパーツはマナ回収で拾いましょう。ターン終了時に山札が2枚になっているのが理想形です。山札の一番下にシャコがいるパターンが一番怖いのですが、これはもうどうしようもないのであきらめてください。
追加ターン2ターン目に入ったら、出ていなければまず《水上第九院 シャコガイル》を出します。余剰のマナがあるはず（なければ《妖精の裏技ラララ・ライフ》で作り出しましょう）なので、山札を引き切るためにカードをガンガン使います。幸いなことに、墓地と混ざって再構築された山札はさっきまで使っていた軽量ドローソースや《妖精の裏技ラララ・ライフ》で満ちているので、概ねあっさりと引き切ることができます。
もしこれらの過程で完全に手詰まりになってしまったら、潔く殴りましょう。《時空の嵐 スコーラー》《超宮兵 マノミ》に加え、各種スノーフェアリーが場に並んでいるはずです。そこでトリガー引いたらご愁傷様です。そういう日もあると思ってあきらめましょう。
出典：デュエル・マスターズ
往時の【青単ムートピア】の安定4キルからは1ターン遠ざかりましたが、代わりにより確実な勝ち手段を身につけたこのデッキは過去のデッキとは似て非なるものに変貌を遂げました。一人回し用のソリティアデッキとしても最上級で、《時空の嵐 スコーラー》を出してやっと折り返しという長時間の時間潰しが可能です。一時間くらい平気で潰せます。対戦の際は可能な限り早くプレイして、相手をイライラさせないようにしましょう。単純計算で【青単ムートピア】とかの三倍時間を使うので……
弱点としては、トリガーがないことによるビートへの弱さと、呪文メタへの脆弱さです。今流行りの侵略系にも置きドロソとスノーフェアリーがすぐに除去されてしまいガン不利です。逆にコスト踏み倒しメタは登場時能力だけ使えればさほど痛くありません。《水上第九院 シャコガイル》もちゃんと正規コストで出しますし。
改造案としては、《龍装艦 ゴクガ・ロイザー》を採用して《「大当たり!もう一本!!」》を二連発し、追加3ターンを得るという【ゴクガサイクル】に寄せるパターンが考えられます。また、細かいパーツの枚数は個人の趣味が多分に出る領域だと思われます。絶対引きたい追加の置きドローソースとして《歩く賄賂 コバンザ》を少数採用することもあるでしょうし、《ガイアズ・ソング》を足してマナ加速のお供にすることもあるかもしれません。各自の手に馴染む構築を！
おわりに
というわけで大当たりスコーラーでした。ループもしないのに《水上第九院 シャコガイル》で勝っちゃう、チェインコンボ好き垂涎のデッキに仕上がったと思います。最初は「追加2ターン！すごい！雑に殴っても勝てる！」みたいなところから始まっただけのデッキなんですが、最終的には追加2ターンに合理的な意味が生まれてしまって少々自分でもびっくりしております。
第八回目となる次回の記事ですが、現在未定となっております。コメントは欠かさず読んでおりますので、何かしらネタにしてほしいカードがあればコメントしていただければ（面白そうなら）どんどん採用して形にしていきます。まあ、今回みたいに天啓めいたアイデアが出てきたらそっちにします。それでは、次の記事で。
