目次
【悪夢の始まりと終わり】
【誕生】
皆さんはこのカードを知っているだろうか?いや、知らないはずがない。彼が生まれたのはDM-10 聖拳編第一弾である。
《無双竜機ボルバルザーク》。EXターンを持った、DM史上最強と名高いクリーチャーである。その能力は至ってシンプル。出すと追加のターンを得ることができる、ただし追加のターンの終わりに自分が敗北する。
出すだけでEXターン、しかしその後に訪れる強制敗北。強烈過ぎるデメリットを持ちながらも、その凶悪過ぎるメリットにより環境をボルバル一色に染め上げた。『出した瞬間にゲームの終了が決定する』その点に置いて他の追随を許さないカードであり、カードゲームそのものを真っ向から否定するカードと言えるだろう。
【終焉】
二年間環境の最前線を駆け抜けた彼も、2006年3月にDM史上初のプレミアム殿堂入りとなりその輝かしい現役クリ生に幕を下ろした。
【時は2017年】
さて、かのボルバルザークであるが、P殿堂入り後は最早過ぎ去った過去の物である。その脅威は風化して忘れられ、歴史の語り草と化した彼も遂に転生を果たすこととなった。
打つだけでEXターン。発表当初は「インフレの象徴」とまで騒がれた一枚であるが、実際環境に進出したかというとそうはならなかった。
まず本家と違うのは言わずもがな、呪文である点だ。本家はSAで自身も2打点を持っていた。つまりEXターンも合わせれば、ボルバルザークのみで4枚のシールドをブレイクできたのである。しかしこのカードがシールドをブレイクすることはない。
加えて、2006年とはあまりにも周囲のカードパワーが隔絶していたのだ。単純に投入するだけで活躍する、というのはあまりにも厳しかった。そして彼はかつての能力をその身に宿しながらも、歴史の狭間へと沈むこととなった。
【時は令和】
しかし、時は令和である。周りのカードがインフレしたのならば、この《無双と竜機の伝説》も他のカードでサポートしてやればいいだろう。
まず始めに思い付くのは、《龍素記号Sr スペルサイクリカ》だ。
このクリーチャーにより、墓地からコスト7以下の呪文を唱えることができる。《無双と竜機の伝説》は丁度7コストである。いける!
しかし現実は甘くない。《無双と竜機の伝説》は追加ターン中に唱えることができないのである。当然の措置だ。
ではどうするか?
同じターンに何回も唱えればいいのだ。
【《無双と竜機の伝説》ループ】
必要なのは、《無双と竜機の伝説》《龍素記号Sr スペルサイクリカ》《天命龍装 ホーリーエンド/ナウ・オア・ネバー》《ボルバルザーク・エクス》の計4枚と12マナ。
①7マナで《無双と竜機の伝説》を唱える。
②5マナ払って《ナウ・オア・ネバー》→《龍素記号Sr スペルサイクリカ》→墓地から《ナウ・オア・ネバー》→《ボルバルザーク・エクス》でマナをアンタップする。
③5マナ払って《ナウ・オア・ネバー》→《龍素記号Sr スペルサイクリカ》→墓地から《ナウ・オア・ネバー》→《龍素記号Sr スペルサイクリカ》→墓地から《無双と竜機の伝説》
④再び5マナ払って《ナウ・オア・ネバー》→《龍素記号Sr スペルサイクリカ》→墓地から《ナウ・オア・ネバー》→《ボルバルザーク・エクス》でマナアンタップ。
これで初期状態に戻る。
【デッキレシピ】
①マナブーストしろ!
《メンデルスゾーン》→《ナウ・オア・ネバー》→《龍仙ロマネスク》によって3ターン目に9マナを作ることができる。《龍仙ロマネスク》でなくとも、《悪魔龍 ダークマスターズ》で妨害することもできる。
②パーツを集めろ!
ここで役に立つのが《「戦慄」の頂 ベートーベン》だ。
《メンデルスゾーン》《ナウ・オア・ネバー》《龍仙ロマネスク》から綺麗に繋がる10コスト、更に《ナウ・オア・ネバー》《ボルバルザーク・エクス》《龍素記号Sr スペルサイクリカ》を全て回収することができる。
加えて各種ビートダウンを殆ど完璧に受け切ってくれるイケメン。
ポイントは3ターン目に打った、《ナウ・オア・ネバー》は墓地に残しておくこと。
マナから《龍素記号Sr スペルサイクリカ》《ボルバルザーク・エクス》、そして墓地から《ナウ・オア・ネバー》を回収することでブーストし、次のターンに12マナに到達できる。回収は強制、ブーストは任意なのに注意。
(なお《無双と竜機の伝説》は回収できないが、このカード自体は墓地にあっても問題ない。ループ手順③からループに入れる。《「戦慄」の頂 ベートーベン》を召喚する前に《無双と竜機の伝説》を唱えて追加ターンで《「戦慄」の頂 ベートーベン》を召喚するのがいいだろう。)
③ループしろ!
手札が整ったらループに入り、無限のEXターンを得る。基本的にこれで勝ち。
【各種カード解説】
《龍仙ロマネスク》
《メンデルスゾーン》→《ナウ・オア・ネバー》と繋げば3ターン目に9マナができる。このデッキに於いてはマナに落ちた《無双と竜機の伝説》を墓地に落とす役目も担う。
《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン/ボルメテウス・レジェンド・フレア》
盾に触れたくない相手用。呪文面を同じ要領でループさせれば盾を全部消し飛ばせる。11マナから狙えるのでこっちをしてもいい。
《ニコル・ボーラス》
高い。でも入れよう。最初にチャージすることで、《メンデルスゾーン》に必要な赤マナを確保しつつ、《ナウ・オア・ネバー》に必要な青マナも確保できる。
《メンデルスゾーン》を打つためには赤と緑の二つの色が必要になる。こうなると2ターン目には単色を置く必要もあり、3ターン目の《ナウ・オア・ネバー》には運要素が絡む。
しかし、1ターン目に《ニコル・ボーラス》をチャージすることで赤色を確保しつつ青色も確保できる。これは《ダークマスターズ》にはできない芸当だ。
《赤龍喚士 ソニア》
2枚目の《ボルバルザーク・エクス》。後述の《侵攻する神秘ニガ=アブシューム/五邪王ニガ=ヴェルムート》と合わせれば本家と並ぶ。
あとかわいい。
《恐・龍覇 サソリスレイジ》
万能枠。基本的に《侵攻する神秘ニガ=アブシューム》を呼び出すが、ビート相手には《恐龍界樹 ジュダイオウ》、《百族の長 プチョヘンザ》が手札にあるときには《龍魂城閣 レッドゥル》など様々な役目をこなす。
《龍覇 ザ=デッドマン》とは一長一短。《百族の長 プチョヘンザ》を入れるなら《恐・龍覇 サソリスレイジ》だと筆者は思う。
《侵攻する神秘 ニガ=アブシューム/五邪王 ニガ=ヴェルムート》
マナの染色と回収役。
『龍解時に5マナ減る』という巨大なネックがあったが、5マナ減ったところで《ナウ・オア・ネバー》《龍仙ロマネスク》により即座に復帰できる。
これらのパーツがドラゴンのため自身の回収対象でもある点もポイント。
【終わりに】
ここまで見てくださった皆さんはお気づきだろう。
たけぇ(小声)
そう、《ニコル・ボーラス》《天命龍装 ホーリーエンド/ナウ・オア・ネバー》これらを擁したこのデッキは馬鹿高い。しかもこいつらまともなリペアがない。ここだけで2万を超えてくる。
だが!!
カッコいい!!!(大声)
そう、本来ドラゴンとはこうあるべきなのだ(錯乱)。誰にでも尻尾を張るわけではない、孤高で誇り高い生物、それがドラゴンなのだ。
《無双竜機ボルバルザーク》から始まったと言っても過言ではないEXターンの歴史。ドラゴンと共に次の時代を作るのはあなただ。