はじめに
デュエル・マスターズ、新商品リリースラッシュ!
この前「禁時王の凶来」が出たと思いきや、あっという間に「英雄戦略パーフェクト20」が発売し、さらにさらに来週の土曜日(8月7日)には20thクロニクルデッキリリース……DMPの心と体は休む間もありません。
しかしながら、目まぐるしく動く環境の中でも、今この瞬間を切り取るのがTierランキングの使命。
今回もこの記事では、激動のアドバンス環境の「今」をお伝えしていきます!
目次
「最強」の定義
本記事では最強デッキを「デュエル・マスターズ競技環境での相対的な強さ」と定義します。
Tier1とは「環境内に不利なデッキが少ない、あるいは相性差を覆しやすいデッキであり、大会で持ち込みが一番多いと予想される対策必須のデッキ」です。
Tier2とは「Tier1やTier2のデッキにある程度勝てる見込みがあり、大会でも毎回一定数いると予想されるデッキ」です。
Tier3とは「弱点が多い、デッキパワーが低いなどの理由で使用者は少ないものの、特定のメタゲームでは活躍することができるデッキ」です。
前環境からの変化について
前記事から「禁時王の凶来」と「英雄戦略パーフェクト20」のリリースを挟んだ結果、環境は大激変。
上位陣の多くが塗り替わる衝撃的なランキング更新となりました。
「禁時王の凶来」のリリースによる変化はオリジナル記事とほとんど変わらない内容ですので、さらっとおさらい。
①《我我我ガイアール・ブランド》による速攻デッキの復権
②《アルカディアス・モモキング》の隆盛・《王来英雄 モモキングRX》の開花
③《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》の衝撃
アドバンス環境においても、これら3つは非常に大きなトピックス。
一方で、《砕慄接続 グレイトフル・ベン》と《Disアイ・チョイス》の影響は、ことアドバンス環境に限れば、それほど大きくありませんでした。
ここに加えて、「英雄戦略パーフェクト20」の新規カードも一部ながら活躍の片鱗を見せています。
中でも目立った影響を与えているのが《ガル・ラガンザーク》。
既存の【青魔導具】のサブプランとして採用されるのはもちろん、このカードを高速で着地させることに特化した専用構築も現れています。
また、今までになかった《百発人形マグナム》形式の置換メタにより、環境のデッキを軒並み封殺できる《モモキング -旅丸-》も注目株。
コスト4かつ多色と非常に拘束が厳しい分、そのメタ能力は本物です。
置換能力によってマナこそ増やされるものの、《希望のジョー星》+《ゼロ・ルピア》や《月下卍壊 ガリュミーズ》などの「召喚」によって《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を乗り越えてくるデッキさえも完封してしまいます。
「進化したいけどメタ能力がなくなると困る……」というようなありがちなジレンマも、シンカパワーが1ターン残るため隙が小さいのが強み。
今のところ採用例はあまり多くないですが、いつ使われてもおかしくないカードパワーの持ち主です。
それでは、これらの変化を踏まえてTierランキングの紹介に移ります!
Tier1
【シータRX閃】Tier1
アドバンスとほとんど同じ基盤でそのままの活躍を見せる【シータRX閃】。
《ドンドン吸い込むナウ》や《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》、《王来英雄 モモキングRX》や《Disノメノン》と言ったリソースに優れつつも攻守のいずれかに役割を持つカードが多数採用されており、デッキパワーを落とさないままに柔軟な対応が可能となっています。
最近のトレンドは《轟壊! 切札MAX》を2〜3枚採用した構築。
受け札の増加によってビートダウンデッキに強く出つつ、踏み倒し能力も《王来英雄 モモキングRX》や《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》、《Disノメノン》などを状況に応じて使い分けられます。
《“龍装”チュリス》+《蒼き守護神 ドギラゴン閃》による押し付けの強さ・高いリソース力・無理なく入るメタ&メタへのメタ・自由枠の確保しやすさと文句の付けどころがほぼない、まさにTier1とも言えるデッキです。
ただし、多色枚数の都合上、マナセットの取捨選択は非常に難しいです。また、頻繁に山札が1周するため、ポテンシャルの全てを出し切るには山札内容の記憶が欠かせません。
総じて習熟難易度の高めなデッキである点には要注意です。
【赤単我我我ブランド】Tier1
速攻デッキは意識されてトリガーを増量されれば簡単に勝てなくなってしまうデッキタイプ。
必然的に、Tier1にはなかなか入りづらいアーキタイプでしたが、この期に及んではいよいよ認めるしかないでしょう。《我我我ガイアール・ブランド》の力は本物です!
とは言うものの、《我我我ガイアール・ブランド》のフィニッシュ力の高さはもちろん歴代随一ですが、それ以上に重要な役割を担っているのが《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》の存在だと言えるでしょう。
過去の【赤単速攻】には存在しなかったメタカードが採用されていることで、これまで【赤単速攻】系に対してギミックデッキが頻繁に狙っていた、「ターンを取れるトリガーを踏ませて、返しにメインギミックを押し付けて勝つ」戦術を取れるデッキが限られるようになりました。
例えば《ドラゴンズ・サイン》、例えば《虹速 ザ・ヴェルデ》+《SSS級天災 デッドダムド》、例えば《“龍装”チュリス》+革命チェンジ。
トリガーで《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を処理できなければ、いかにこれらのギミックが強力であっても返しに勝ちの盤面を作れません。
キルターンが4〜5ターン近いビートダウンデッキであれば1手遅れて対処しても間に合うことはありますが、こと【赤単速攻】のようなデッキを相手取る場合はその1ターンが命取り。
返しの差し切りor盤面制圧という弱点を乗り越えているのは、過去の【赤単速攻】と比較した際の明らかな強化点でしょう。
このデッキもオリジナルとアドバンスで基本的な構築は変わりませんが、せっかくなのでアドバンスらしくGR召喚を少し厚めに採用したサンプルリストをご紹介。
《“極限駆雷”ブランド》は《我我我ガイアール・ブランド》と非常に相性が良く、3ターン目のアクションとしても魅力的です。
生半可な受けであれば《我我我ガイアール・ブランド》の超火力で押し切ってしまえるデッキタイプではありますが、【5cコントロール】の《ドラゴンズ・サイン》・【旅路バーンメア】の《灰になるほどヒート》などの、「クリーチャーを踏み倒しながら受けてくるトリガー」が埋まっているとどうしても苦戦してしまいます。
悲しいですが、これも速攻デッキの宿命か。
Tier2
【5cコントロール】Tier2
《アルカディアス・モモキング》全盛の「禁時王の凶来」環境、活路は「光の呪文」にありか。
初動の基盤こそあまり変わっていないものの、《アルカディアス・モモキング》の跋扈する環境では「光の呪文」の採用がマスト。
《襲来、鬼札王国!》は《灰燼と天門の儀式》に挿し代わり、新たな戦力として《禁時王秘伝エンドオブランド》が加入しました。
《禁時王秘伝エンドオブランド》はクリーチャーの除去と軽量呪文ロックを同時に行いつつ、手札調整しつつ墓地まで肥やすハイパーカード。
全てがクリティカルに刺さる対面はそれほど多くないものの、いずれも汎用性の高い効果であるため、どれも効果がない相手というのはほとんどいません。
また、アタックチャンスもビートダウンデッキとの対戦では非常に有効。
トリガー《ドラゴンズ・サイン》から登場した《龍風混成 ザーディクリカ》で盤面を殴り返しながら唱えれば、ターン終了時の5500火力と合わせて、マナを支払わずに3面処理できます。
「デッキパワーの暴力」度合いが相対的に下がったため使用者は減りつつあるものの、あらゆるピースを取り入れられる懐の深さは健在。
まだまだ強力なデッキであることには間違いありません。
【ジョー星ゼロルピア】Tier2
3ターン《希望のジョー星》は依然として凶悪、最速4ターンkillの理不尽コンボは止まらない。
オリジナル環境の【ジョー星ゼロルピア】が《ニヤリー》にフォーカスを当てた青緑軸中心になってきているのは、以前のオリジナル環境記事でお伝えした通りです。
アドバンス環境ではまだまだ旧来の青黒軸も多いですが、徐々にその波は伝播しつつあります。
というわけで、今回のサンプルリストはアドバンス版の青緑軸をご紹介。
基本的にはオリジナル環境と同じく《ニヤリー》を使い回して大量のリソースを稼ぎつつクリーチャーをチェインしていくコンボデッキですが、アドバンスでは《アクア忍者 ライヤ》の枠に《ヘームル・エンジオン》を採用。
チェインの過程で大量に並んだ盤面を即座に特殊勝利に変換できる《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》が、アドバンス環境における勝ち筋のトレンドです。
初動の豊富さと召喚を使ったコンボであるがゆえのメタりづらさ、最速で動いた際の理不尽度合い。
受けの脆さ以外に目立った弱点がなく、コンボデッキとしての完成度が高いデッキですが、かなり存在を意識されているため、カード除去の採用が増加傾向にあるのはやや向かい風か。
【青魔導具】Tier2
ここに来て待望の新戦力到来! スペルコンボの代表格、返り咲くか。
【ジョー星ゼロルピア】の台頭に伴いカード除去の採用が増えたことで、一見すると厳しい立ち位置に置かれるように見えますが、新たにサブプランとして加わった《ガル・ラガンザーク》が《卍 新世壊 卍》への依存度を大きく下げてくれました。
呪文に選ばれず、2打点とブロッカーを持ったパワー9000の《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》。
それが魔導具呪文を唱えるだけで出てくるのですから、相手からすれば非常に厄介。
「無月の門」系能力の例に漏れず、《ガル・ラガンザーク》の「夢幻無月の門」も召喚。
相手の《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》の影響を受けずに展開できるのは環境上の明確な強みだと言えるでしょう。
このカードの登場以降、早いターンに墓地の枚数を増やせる《堕呪 バレッドゥ》や《堕呪 ウキドゥ》・相手のターン中に開門できる可能性が高まるS・トリガーのついた魔導具呪文の評価が上昇傾向。
また、魔導具呪文を唱えることが《ガル・ラガンザーク》の開門条件となっているため、少ないコストで開門を誘発させられる《堕呪 ゾメンザン》の枚数を増やした構築も増えつつあります。
《Disノメノン》などのジャストダイバー、《アルカディアス・モモキング》などの呪文封殺で無用の長物になる《ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ》は受けとしての信頼度が低迷しています。
それに伴って火文明の採用をバッサリカットし、GRゾーンを使わなくなったた構築も徐々に浸透しつつあります。
とはいえ、GRゾーンなしだと相手に火文明の不採用がバレてしまいますので、実際に大会などで使用する際はなんでもいいのでGRゾーンを用意しておきたいところですね。
【リースモモキングRX】Tier2
リアルのCSではあまり浸透していないものの、ネット大会を中心に活躍中の【リースモモキングRX】。
基本的には3→5から《王来英雄 モモキングRX》や《雷龍 ヴァリヴァリウス》を叩き込むお馴染みのデッキタイプですが、《メンデルスゾーン》という超絶上ブレカードの存在により、時として2→5のアクションで3ターン目に大爆発を押し付けられるのが理不尽さの要となっています。
多色カードがかなり多く、《メンデルスゾーン》を引いた試合で全て2ターン目にプレイできるわけではありません。
が、そもそも3ターン目にプレイして2ブーストし、次のターンのマナセットを飛ばして5マナで動き出す展開でも十分及第点。
また、アドバンス独自の強みを持ったカードとして、《最終龍覇 ロージア》が受け札の枠に就任しています。
トリガーで出てきて堅実にブロッカーとして仕事をしてくれるのはもちろんのことながら、最大の強みは《邪帝斧 ボアロアックス》を装備できる点です。
このデッキの主な自然/コスト5以下は、《王来英雄 モモキングRX》、《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》、《龍罠 エスカルデン》の3種。
それぞれに特徴は違いますが、いずれもリソースを伸ばせるのが共通点。返しの動きを大きく安定させてくれます。
【シータRX閃】と違って水文明の採用数が少ないため《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》のプレイが安定せず、《メンデルスゾーン》を最大のセールスポイントとしているためドラゴン以外のメタカードを採用しづらいのが悩みどころ。
上ブレた際の爆発力と押し付けの強さは環境でも随一ですが、安定性と拡張性の面で一歩譲るためTier2に。
Tier3
【ラッカ鬼羅.Star】Tier3
メタビート、コツコツ活躍中。
【赤単我我我】の《我我我ガイアール・ブランド》や《“罰怒”ブランド》・【青魔導具】の《ガル・ラガンザーク》など、《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》をすり抜ける「召喚」を介した展開は現環境のセキュリティホール。
そこを埋められる《奇石 ミクセル》を無理なく採用できる点で、【ラッカ鬼羅.Star】は一定の優位性を得ています。
受けるデッキに対しては《奇天烈 シャッフ》や(サンプルリストには採用されていないものの)《正義の煌き オーリリア》で。
ビートダウンデッキに対してはメタクリーチャーや《「正義星帝」<鬼羅.Star>》のブロッカー付与で。
幅広いレンジに対応できるのは明確な強みですが、こと勝ちに向かうためには《「正義星帝」<鬼羅.Star>》のカードパワーに頼らざるをえないのが永遠の課題です。
最近ではこの依存を緩和するためか、《T・T・T》と《イグゾースト・Ⅱ・フォー》でリソースを確保・盤面をコントロールし、ワンショットに頼らず勝ち切る構築も登場しているようです。
【青黒ガルラガン魔導具】Tier3
《ガル・ラガンザーク》のパワーは既存デッキの強化に留まらず。
バトルゾーンと墓地から合計4枚、好きな組み合わせの魔導具を。これまでになく柔軟性に富んだ「夢幻無月の門」は、新たな形の魔導具デッキを生み出しました。
闇の魔導具クリーチャーのブロッカーや墓地回収。水の魔導具呪文の受け札や手札調整能力。
両者それぞれの力を存分に活かしつつ、ただ1点、「墓地を肥やす」という部分においてのみ同じ場所を向いています。
呪文に選ばれない、パワー9000の、ブロッカー。マッハファイター+革命チェンジ・侵略による処理を受けない利点は、パワーが高いことでさらに際立ちます。
妨害性能の高いこのカードで相手の足並みを大きく乱しつつ、《追憶人形ラビリピト》+《卍月 ガ・リュザーク》の構えに《零龍》を添え、盤面・手札を荒らし尽くしてフィニッシュします。
まだまだ発展途上のデッキタイプで、真の実力は未知数。今回はTier3に分類していますが、ポテンシャルは十分に高いと言えるでしょう。
【マーシャルループ】Tier3
最後は「最近活躍しつつある注目のデッキ」として、【マーシャルループ】をご紹介。
詳細な手順は省きますが、《クール・ビューティー》+《海姫龍 ライベルモット・ビターズ》の組を2つ用意して交互にバウンスし続けることで無制限にシールド入れ替え・トリガー踏み倒しを可能に。
最終的に《【今すぐ】うわっ…相手の攻撃止めすぎ…?【クリック】》で山札を修復しつつ、《アルカディア・スパーク》で相手に強制ドローを与えて強制LOで勝利します。
「ループにS・トリガーを使っている」ことが環境との最大の噛み合いポイント。ビートダウンに対しては受けの厚さである程度対抗できるうえ、トリガーは「召喚」であるため《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》のメタに引っかかりません。
ループのキーパーツとなっている《クール・ビューティー》は進化クリーチャーをバウンスする能力を持っており、水単色の呪文を止めてくる《アルカディアス・モモキング》にナチュラルに対抗できるのが強み。
また、《Dの劇場 テンダネス・エスセーキ》は殿堂入りした《海底鬼面城》 に代わるドローサポートでありつつ、D2フィールドであるため《希望のジョー星》を張り替えられる貴重なメタカード。
特にD2フィールドへのメタであることが重要で、環境内の【ジョー星ゼロルピア】の母数によっては必須とも言えそうです。
デッキ構造の多くの要素が環境に噛み合っており、実際に戦績も伸ばしつつある注目株。
今後の活躍から目が離せません。
環境のまとめと今後の展望
細かい要素で違いが見えるものの、大まかにはオリジナル環境と同じく、《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》や《希望のジョー星》が牛耳る環境。
これらに対して、召喚を使って展開する【青魔導具】(ガル・ラガンザーク)や【マーシャルループ】がカウンターパートとして徐々に活躍の場を広げています。
Tier1にこそ強力なビートダウンデッキ2種が揃っているものの、アドバンス環境はオリジナル以上にコンボデッキの勢力が強く、安易に受けが強いだけのデッキはコンボに喰われてしまうのが難しいところです。
しかしながら、一部の例外を除き、多くのコンボが複数回のクリーチャー踏み倒しや召喚を伴う、いわゆるソリティアデッキ。
つまり、《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》や《リツイーギョ #桜 #満開》によって大きく勝ち筋を制限できます。
ビートダウンに対してはトリガーの厚さで対抗しつつ、これらのメタカードをナチュラルに採用できるようなコントロールデッキは、活躍の目が十分にありそうです。
例えば、【ギャラクシールド】などは思わぬダークホースかもしれませんね。
おわりに
というわけで、7月下旬のアドバンス環境について解説いたしました。
使ってみたいデッキは見つかりましたでしょうか?
この記事が皆さんのアドバンス環境に対する理解への一助となれば幸いです。
それでは次回、8月のオリジナル環境解説記事でまたお会いしましょう!