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ネオンクスとの出会い
TCGプレイヤーなら誰しもが、「愛するカード」や「思い出のカード」を胸に秘めているものだ。そうしたカードを使って勝つのは最高に楽しいし、好きなカードと相性の良い新カードが出ると興奮する。そんな経験はきっとあなたもあるだろう。
私の場合は、《ブレイン・チャージャー》だった。
友達から勧められて初めて買ったパックに入っていた、一見地味なカード。当初は強さが良く分からなかったが、「アドバンテージ」の概念やマナ加速の重要性が分かるにつれて、徐々に好きになっていった。
《凶星王・ダークヒドラ》や《ソウル・アドバンテージ》などの強力なカードと組み合わせたり、《封魔アドラク》でグルグル使い回して、このカードが生み出すアドバンテージに酔いしれていた。生涯で最もプレイしたカードは間違いなく《ブレイン・チャージャー》である(一試合で何十回も使ったりしてたから。)力強いイラストやフレーバーテキストも世界観を良く表していて、もう何もかも好き!大好き愛してる!
……コホン、そんな《ブレイン・チャージャー》愛好家だった私だが、時の流れと共にデュエマで遊ぶ友達がいなくなり一度は引退。十数年の時が流れた。
すっかりおっさんになった頃、なんと甥っ子がデュエマを始めて、最近のカードを色々と見せてくれたのだった
なんやこいつ《ブレイン・チャージャー》との相性最高かよ!(大興奮)
ブレイン呪文がめくれる限り呪文を連鎖的に使えるし、ブレインじゃない呪文でも何でも使えるな!よーしおじさん《インビンシブル・フォートレス》撃っちゃうぞ~
……などと、今思えばとても平和なことを考えながら、デッキを作り始めるのであった。
まさか、無限ターンデッキが産まれてしまうとは、そして現代デュエマの闇に触れてしまうとは露知らず……
デッキレシピ
《ブレイン・チャージャー》をはじめとする「ブレイン」を極限まで詰め込み、延々と呪文の連鎖を繰り返し大量のアドで気持ちよくなることを目指したら、うっかりループになっちゃった構築。《永遠の少女 ワカメチャ》と《スペルブック・チャージャー》以外は全て連鎖を続けられる呪文で構築されている。なお《ブレイン・チャージャー》はスペースの都合で3枚しか入れられなかった(血涙)
このデッキの使い方
具体的にこのデッキでどのように無限ターンを得るのか見ていこう。
まず、《ブレイン・チャージャー》などのチャージャー呪文を使い、4→6→8の動きで《遣宮使 ネオンクス/ネオ・ブレイン》に繋ぐ。
《ネオンクス》は出た時と「ブレイン呪文」を唱えた時にデッキの一番上の呪文を唱えることが出来る。デッキのほとんどが「ブレイン」呪文なので次々に使ってデッキを掘り進めることが出来る。
デッキをある程度掘り進めたら、《ブレイン・ストーム》でデッキにカードを積み込み、デッキと墓地に含まれるカードを以下のように操作する。
・《永遠の少女 ワカメチャ》1枚
・《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》1枚
・《失われし禁術の復元》2枚
・《ブレイン×ブレイン》《遣宮艦 タマテガメ/時を御するブレイン》複数枚
・その他(不純物は少なくした方が回しやすい)
これで準備は完了。《ブレイン珊瑚の仙樹》を使うなどして2体目の《ネオンクス》を場に出そう。
すると、《ブレイン×ブレイン》《遣宮艦 タマテガメ/時を御するブレイン》などのブレイン呪文を使う度にネオンクスの効果ストックが増えていく。その為、ブレイン以外のカードが少々めくれても延々とめくり続けることが可能。《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》を唱えて《永遠の少女 ワカメチャ》でデッキに《ガリュミーズ》と「ブレイン」を戻し、再び唱え……と無限ループすることが可能になるのだ。
《ワカメチャ》でデッキをシャッフルした後は《失われし禁術の復元》でデッキの一番下にカードを加えることで、《ワカメチャ》がボトムに落ちてライブラリーアウトしてしまうのを防ぐことが出来る。《復元》が2枚あれば、墓地に戻せる呪文が無くて困ることもなく確実。
《ブレイン珊瑚の仙樹》など、ドローが強制の呪文を使って《ワカメチャ》が手札に加わってしまうと面倒くさいので、ドローせずに済む 《ブレイン×ブレイン》《遣宮艦 タマテガメ/時を御するブレイン 》以外の「ブレイン」は唱えずに墓地に送る方が簡明な手順でループが出来る。
ここまでくれば大抵の相手は投了してくれるだろう。投了されなければ、好きなだけ追加ターンを得た後に呪文を唱えないことを選んで《ネオンクス》の効果を消化して連鎖を止め、適当に殴ってやろう。例えクリーチャーをS・トリガーなどで除去されようと手札に予備の《ネオンクス》、デッキに《ワカメチャ》があれば再度ループして墓地から回収してどうとでもなる。
各カード解説
《遣宮使 ネオンクス/ネオ・ブレイン》
【 ツインパクトカード 】
種族 ムートピア / サイバー・コマンド / 文明 水 / パワー9000 / コスト8
■W・ブレイカー
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、あるいは名前に《ブレイン》とある呪文を唱えた時、自分の山札の上から1枚目を墓地に置く。それが呪文なら、コストを支払わずに唱えてもよい。
────────────呪文────────────
カード名:ネオ・ブレイン
文明:水
コスト:4マナ
■S・トリガー
■カードを2枚引く。
おっさんを再びデュエマの世界に引きずり込んだ元凶にして、このデッキのエンジンとなるカード。
気を付けなければならない点として、デッキの1番上のカードを墓地に送るのは強制だということが挙げられる。その為、《ワカメチャ》がデッキの中に無いのに調子に乗って効果を使いまくるとライブラリーアウトで負けてしまう可能性がある。準備が整うまでは、2体目の《ネオンクス》は出さずに回した方が安定するだろう。
《ブレイン珊瑚の仙樹》
【 呪文 】
文明 水 / コスト8
■カードを3枚引く。その後、自分の手札にあるカードの枚数以下のコストを持つ水のカードを1枚選んでもよい。そうしたら、そのカードを自分の手札からコストを支払わずに使う。
ループを完走する上で鍵となるカード。
効果で手札から「ブレイン」呪文を唱えれば、1回のネオンクスの効果でこのカード自身と踏み倒した「ブレイン」の2回分、《ネオンクス》が誘発するので効果をストックすることが出来る。すると、《ワカメチャ》などの「ブレイン」ではない呪文がめくれても問題なくループを続行できる。
《ハリケーン・クロウラー/ブレイン・チャージャー》を出すのも強力。コンボパーツをマナから回収+アンタップマナの生成で事故防止を兼ねる動きができる。
《遣宮使 ネオンクス/ネオ・ブレイン》 を出すのにも使える。ループのフィニッシュ時に2体目を出す使い方だけではなく、ネオンクスを引けていない時に3ドローで掘り当てることが出来ればそのまま場に出すことも可能。《ロック”SPK”スピーカー》と同じようにツインパクトは好きな方のコストを参照することが出来るので、手札が4枚あれば《ネオンクス》を出すことが出来るので覚えておこう。
このように使い道が多く強力なカードなので、うっかりマナに埋めすぎたり、無駄遣いしないように気を付けよう。また、ドローが強制なのでライブラリーアウトにも注意。
《ハリケーン・クロウラー/ブレイン・チャージャー》
【 ツインパクトカード 】
種族 アース・イーター / 文明 水 / パワー4000 / コスト5
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の手札をすべてマナゾーンに置く。その後、それと同じ枚数のカードを自分のマナゾーンから手札に戻す。
────────────呪文────────────
カード名:ブレイン・チャージャー
文明:水
コスト:4マナ
■カードを1枚引く。
■チャージャー(この呪文を唱えた後、墓地に置くかわりに自分のマナゾーンに置く)
最愛のカードに強力なクリーチャーが付いたとかマジ!?
このカードが登場したおかげで連鎖型の《ネオンクス》が成立したと言えるほど重要なカード。序盤のマナ加速、アンタップマナの生成によるループの安定、マナ回収によるキーカード回収と八面六臂の大活躍を見せてくれる。
このデッキには盤面のクリーチャーを使い回すシステムは入っていないので、マナ回収できる回数に制限があるので無駄遣いしないように気を付けたい。《ワカメチャ》がマナに埋まったまま最後の《ハリケーン・クロウラー》がネオンクスの効果でめくれてしまった……なんていうのは割とあり得る事故要因だ。
・《ブレイン・ストーム》
デッキトップにカードを仕込める《ネオンクス》との相性が完璧なカード。ようするに「手札にある好きな呪文を踏み倒せる」ので、《ブレイン珊瑚の仙樹》などを仕込みたい。《ネオンクス》を出す直前のターンにデッキの上から2番目に踏み倒したい呪文を仕込んでおくと、次のターンにドローした後ちょうどよく《ネオンクス》で打つことが出来る。
4ターン目に使うためのチャージャーを探したり、ドロー枚数が任意であるのを活かしてデッキ枚数を回復したりすることも出来て、とにかく便利なカード。《復元》で使い回そう。
・《 ラ・ズーネヨマ・パンツァー/逆転のオーロラ 》
《ワカメチャ》《ガ・リュミーズ》の盾落ちケア。「ブレイン」ではないがアンタップマナを作ってくれるので、手札から「ブレイン」呪文を唱えることが出来ればループを続行できる。
マナに送った後に《ハリケーン・クロウラー》で回収して《ブレイン・ストーム》でデッキに積み込む必要があるので中々手間。直接手札に回収できる《デビル・ドレーン》も良いかもしれない。
・《スペルブック・チャージャー》
愛する《ブレイン・チャージャー》の枠を奪った憎いカード。《ワカメチャ》以外の全てのカードを持ってくることができる。《ネオンクス》を出す前に《ブレイン・ストーム》で《珊瑚》が仕込んであるのが理想形なのだが、そのパーツを集めるのに大いに役立ってくれる。
また、デッキボトムを操作できるのが《ワカメチャ》や《ネオンクス》の能力を使う上で強力。
・《ブレイン×ブレイン》《遣宮艦 タマテガメ/時を御するブレイン》《ドレミ団の光魂Go!》
防御用S・トリガー。前者2種は《復元》で再利用もできるので、ビートに対してはなるべく墓地に落としておきたい。 《ドレミ団の光魂Go!》 は「ブレイン」ではないが、「ブレイン」を踏み倒すことができるのでループを阻害しない。
ちなみに、 《ドレミ団の光魂Go!》 を抜けば双・超2ブロック対応になる。その場合、 《超ブレイン a.k.a 発電》が代わりのカードとしてお勧め。防御向きのGRクリーチャーを詰め込めば多少はビート対策になる。
その他候補カード
・《水上第九院 シャコガイル》
《ガ・リュミーズ》が来るまではフィニッシャーを務めていたカード。《ネオンクス》でめくれると悲しみを知ることになるが、面倒なループをせずともデッキを切らせば勝ちなので時短にはなる。出したい時は手札を溜めて《ブレイン珊瑚の仙樹》を使おう。
特殊勝利条件は「最後の1枚をドローした時」なので《ネオンクス》の効果で最後の1枚を墓地に落としてしまうと普通に負ける。要注意。
・《エターナル・ブレイン》
デッキトップを操作できる上に、手打ちや《光魂GO!》などで使い回すことも出来る非常に相性の良いカードなのだが、別に無くても安定して回せたので抜けていった。
・《卍 ギ・ルーギリン 卍/卍獄ブレイン》
最低コストの「ブレイン」。入れておけば《スペルブック・チャージャー》がめくれてしまっても、1マナで唱えて連鎖を続けることが可能になる。
なんと《ガ・リュミーズ》の隠された能力により、クリーチャーとして殴ることも可能になっている。《ワカメチャ》が盾に落ちてループが出来なくなった場合に役立つかもしれない。
・《ホーガン・ブラスター》他
《ネオンクス》や《ブレイン珊瑚の仙樹》が踏み倒せればそのまま勝利できる可能性がある。これに限らず、踏み倒せる効果を持つ呪文は《ネオンクス》でめくれてもブレイン呪文に化けてくれる可能性が高く、デッキの動きを阻害しづらいので採用が検討できる。
で、このデッキ強いの?
無限ターンデッキを生み出しウキウキ気分だった復帰勢のおっさん。昔よりインフレが進んでいるだろうとは思っていたが、「このデッキ最強じゃね?」とすら感じていた。しかし、現代デュエマの闇はおっさんの想像をはるかに超えて深かった。
↑主にこいつのせい
GR召喚で大量展開したり、凶悪なループコンボで4~5killは当たり前、中には3kill可能なデッキもある中で、《ネオンクス》は遅すぎてあくびが出るようなレベルだったのだ。チャージャー→チャージャー→《ネオンクス》と繋いでも最速6ターンkill。ガチデッキの多くに対して到底間に合わないというのが現実であった。
もちろん、相手が遅めのデッキだったり、トリガー運や相手の事故り具合によっては間に合うこともある。大量投入したチャージャーのお陰で、1人回しでの6kill率は9割を超える安定性を誇るので、相手さえ遅れてくれれば勝ち目はあるだろう。ガチデッキには劣るが、それなりにファンデッキとしては強いものになったと思う。
あくまで1人回しの話で、妨害されたら6killは無理だけど(小声)
なんとかガチデッキ相手でも《ネオンクス》を間に合わせたいならば、自然文明を足すのが面白い。《フェアリー・ライフ》などの2コストブーストを入れれば《ネオンクス》が5ターン目に出せる。「ブレイン」以外の呪文がめくれて連鎖が止まってしまう危険性はあるが、マナブースト呪文でアンタップマナを2マナ生み出すことが出来れば《エターナル・ブレイン》などを撃って連鎖を継続することができるので、意外と完走率は悪くない。代わりにS・トリガーを入れる枠が厳しくなるのが欠点。
緑マナの出せる「ブレイン」である《未来妖精ミクル/ミラクル・ブレイン》や、《ネオンクス》を踏み倒せる《天上天下双極∞》など変わったカードも活躍できて、なかなか面白い。
闇文明を足して相手の妨害をして間に合わせることも考えられる。《ブレイン・タッチ》はハンデスで妨害できる「ブレイン」なのでピッタリ。あとはハンデスを撃つ為の闇マナの確保が必要。《ネオンクス》でめくれて強い闇の呪文が欲しいが……ん?《オール・デリート》?駄目だそれじゃ別のデッキだな。
というわけで、強そうで強くないちょっと強い《ネオンクス》デッキ、いかがだっただろうか。少なくとも面白いデッキではあると思うので、是非試してみてほしい。
なお、対戦相手は楽しくないので、使う時は気を付けよう。