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約半年前の話である。
都内某所にて友人K氏とストレージを漁っていた時のことである。私はその友人に「面白そうなカードあったらこっち投げて」と言ってあり既に何枚かカードが飛んできていたのだが、それらはいまいち僕の胸を昂らせることはなく、またストレージボックスの中へと消えていった。
そんな中、あるカードを私に渡してきてK氏は僕にこう言ってきた。
「これ、ループしそうじゃね?」と。そのカードというのがこれである。
【 クリーチャー 】
種族 ワイルド・ベジーズ / 文明 自然 / パワー3000 / コスト2
パワーがこのクリーチャーより大きい他のクリーチャーがバトルゾーンに出た時、このクリーチャーを自分のマナゾーンに置く。
・種族デッキのビートダウンに採用されていたらしい
・種族デッキにしか採用先がなかったようだが元ネタのアボカドは果物である。肩身が狭い思いをしていたのだろうと考えると不覚にも目頭が熱くなる。
【惚れたッッッ。】
そう、何を隠そう僕はこのカードに惚れてしまったのである。
この絶妙に愛くるしくもあり愛くるしくはない見た目、種族、レアリティ、パワー、フレーバーテキスト、一つでも違ったら僕はこれまで惚れこまなかったろうと思う。
何よりこの「僕はループパーツですよ」と言わんばかりの性能。どこかの豆もこの謙虚さには頭を垂れるだろう。しかし豆は地獄の煮え湯に浸かりアボガドは浸からないとはどういうことだろうか。生で食べるからであろうか。だとしてもあまりにもヒエラルキーをわきまえていなさすぎ、言わばアウトローであろう。
※正しくは「アボカド」だそうです。そこんとこと私の記事をよろしくお願いします。某サイトの掲示板ではそのせいで「間違った日本語を広めるカード」とか言われてました。悲しい。
ともかく、僕はこのカードを主軸としたループ、アボガドループを考えることにしたのである。
(カードプールは2019年11月時点のものになります。)
【第一章~フィニッシュプランを決めろ~】
まずはループデッキである以上、勝たねばならないはずである。え、そうだよね?大丈夫よね?
《クイック・アボガド》はその身を自ら地母神ガイアに捧げる(直訳:自らを能動的にマナに置く)能力である。つまりどんな能力と相性が良いか?と言われると答えは一つである。
そう、「スペース・チャージ」である。
スペース・チャージ持ちのクリーチャーと言えば《常勝ディス・オプティマス》だが、彼は前科者なのでうちの子とつるまれると親として心配であるし、何より大してシナジーがあるわけではない。
こんな感じで親として、心配しながら品定めをしていったのだが、それはアボガド本人にとってはいいことなのだろうか...父親としてはエイリアンとばかりつるもうとする息子が心配なのだが...
あ、そもそもスペースチャージってエイリアンのキーワード能力だったわ。
という茶番を繰り広げているうちにあるカードを見つけた。
【 クリーチャー 】
種族 ガーディアン / エイリアン / 文明 光/水/自然 / パワー7000 / コスト6
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
スペース・チャージ:多色(自分のマナゾーンに多色カードが置かれた時、このクリーチャーの 能力を使ってもよい)
自分のシールドと、相手のシールドをひとつずつ選んで見る。その後、そのどちらかを選び、持ち主の山札の一番下に置いてもよい。そうした場合、そのプレイヤーは自身の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとしてシールドゾーンに加える。
W・ブレイカー
・絶妙に日本語化が面倒
・地味にイラストがかっこいい
これと合わせてマナを染色し、キクチ師範代系のカードを使えばフィニッシュプランとして成立する。
【 クリーチャー 】
種族 スノーフェアリー / 文明 自然 / パワー2000 / コスト2
自分のマナゾーンにあるカードを、すべての文明のカードとして扱う。
・マナ染色と言ったらこいつ!って小学生に言ったら老害プレイヤー扱いされそうだがそもそも小学生にマナ染色の概念があるかすら定かではない。
【第二章~アボガドを引きずり出せ~】
第一章を経て、とりあえず無限に《クイック・アボガド》を出し入れするアボガド永久機関をつくればよいという状態にはなった。全《クイック・アボガド》愛好家の悲願と同時に全世界のアボガド農家(アボカドだけどね)の悲願を達成することになると思うと俄然やる気が出るとともにプレッシャーにより吐血しそうになる。
そもそも、アボガドループは本当に開発されていないのか?もしかしたらすでにどこかの誰かが開発しているかもしれない。そう思ってGoogle先生に聞いてみたらアボカドのレシピばっかり見つかって安心した。おいしそう。
さて、とりあえずアボガドをマナから引きずり出そう。何が良いかな...いた。
【 クリーチャー 】
種族 レッド・コマンド・ドラゴン / スノーフェアリー / 文明 火/自然 / パワー7000 / コスト6
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、またはこのクリーチャーが破壊された時、コスト3以下のクリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを2枚ブレイクする)
・癒しである。
ではとりあえず、こいつをバウンスして出すもしくは墓地回収を絡めて出すことにしよう。
さて、墓地回収を絡めたループ...【ヘルゲートムーン】ならあるがわざわざアボガドを使う必要は無いし...あとは盤面ぐるぐるできるループとな...【マークロ】?あれは呪文だろう。【ケロディナンス】?あれはあれで完成されてるだろう。【ヨミジ】?発売前だ。うーん...
なんかすごそうなループあった。《天気君》ループあった。
何でも《裁キノ聖堂 ラ・ファミリエ》を絡めて、《天気君》を出したり引っ込めたりするらしい。なるほど、これは使えそうだ。
【 呪文 】
種族 裁きの紋章 / 文明 光 / コスト5
■この呪文を自分の手札から唱えた後、墓地に置くかわりに自分のシールド1つの上に表向きにして置く。(そのシールドの束は1つと数える)
■自分のクリーチャーが攻撃する時、このカードが自分のシールドゾーンで表向きなら、光のコスト5以下のクリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。そうしなければ、カードを1枚引く。
・常在型能力を「持つ」レッドリストに載るレベルで貴重な呪文。保全対象である。
いやでもこいつから出せてマナから踏み倒せる都合のいいやつなんて...
都合のいいやつなんて...
なんて...
【 クリーチャー 】
種族 ジュラシック・コマンド・ドラゴン / 文明 光/自然 / パワー5000 / コスト5
■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■ブロッカー(このクリーチャーをタップして、相手のクリーチャーの攻撃先をこのクリーチャーに変更してもよい)
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、コスト3以下のクリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。
・中国産レヴィヤターン
いや本当にいるのかよ。
ともかく、こいつで引きずり出せば良さそうだ。よし、順調。(リアルだとここまで2日かかったのは秘密だ)
ついでにSAも付与しなければな。
【 D2フィールド 】
文明 火 / コスト4
■自分のクリーチャーすべてに「スピードアタッカー」を与える。
(「スピードアタッカー」を持つクリーチャーは召喚酔いしない)
(他のD2フィールドがバトルゾーンに出た時、このD2フィールドを自分の墓地に置く)
・最高に偏差値低い性能でそこそこの汎用性誇ってて結構好き
【第三章~バウンスせよ~】
さて、いよいよ大詰めだ。最後はノーコストでクリーチャーをバウンスすれば万事解決。
クリーチャーを一気にバウンスと言えば《深海の伝道師 アトランティス》があるが、当然このループではあまり現実的ではない。悲しい。
よって呪文を踏み倒すことになる。となると軍配が上がるのはこいつだ。
【 クリーチャー 】
種族 エンジェル・ドラゴン / 革命軍 / ドレミ団 / 文明 光/水 / パワー4000 / コスト5
■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■革命チェンジ:光または水のクリーチャー(自分の光または水のクリーチャーが攻撃する時、そのクリーチャーと手札にあるこのクリーチャーを入れ替えてもよい)
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、光または水のコスト3以下の呪文を1枚、コストを支払わずに自分の手札から唱えてもよい。
・革命軍でドラゴンってことはつまりそういうことなのだろう
・見た目に反して性能は鬼。かのヒラメキウォズレックのメインエンジン。
これで唱えたい呪文と言えばこれだろう。
【 呪文 】
文明 水 / パワー- / コスト2
バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻す。
バトルゾーンに自分のパワー6000以上のクリーチャーがあれば、カードを1枚引いてもよい。
・限定的なキャントリップ付きでまあまあだったのにもはや《ナチュラトゥルー・トラップ》が評価されない時代になって泣いてる。
よしこれでループ完了!勝った!第3部完!
と思っていたのか?
実際僕もよっしゃー!と思って喜々としてここまでのループ手順をK氏に送ったのだが、よくよく見ると呪文回収機構が存在しない。どっか代行してくれる業者はいないかと探したがどうやらなさそうなので自分でやるしかあるまい。
【 クリーチャー 】
種族 ライトブリンガー / ガーディアン / オリジン / 文明 光 / パワー2000 / コスト4
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、呪文を1枚、自分の墓地から手札に戻してもよい。
・ダヴィンチビートに採用できる呪文回収である。《「無情」の極 シャングリラ》?知らん。
あれ?そうなると《ザ・ストロング・スパイラル》ではループできないのでは?じゃあ一体何でループしろと言うんだ!
そういえば、《謎帥の艦隊》って3コストで複数バウンスできるやんな、でも3体やんな、無理だと思うけど一度確認してみるか...
【 呪文 】
文明 水 / コスト3
■S・トリガー(この呪文をシールドゾーンから手札に加える時、コストを支払わずにすぐ唱えてもよい)
■クリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻す。
■マナ武装4:自分のマナゾーンに多色カードが4枚以上あれば、クリーチャーをさらに2体まで選び、持ち主の手札に戻す。
・《幾何学艦隊ピタゴラス》は泣いていい。
まさかの追加バウンス任意。
もうこれは天がこのループを完成させろと言ってるとしか思えない!いや違いますあなたは《最前戦 XX幕府》にお帰りください。
ともかくこれでループは成立!手順もろもろ整理しよう!
【第四章~ループ手順~】
盤面に《チキチキ・JET・サーキット》、《薫風妖精コートニー》、《DG ~裁キノ刻~》、《飛翔の守護者ディス・アル・マーズ》、シールドに 《裁キノ聖堂 ラ・ファミリエ》 2枚、手札に《謎帥の艦隊》、《護龍目 レヴィータ》2枚、《黙示聖者ファル・レーゼ》、《ミラクル1 ドレミ24》、マナゾーンに《クイック・アボガド》を含むマナ1以上が出せるカード5枚がある状態からスタート。
1.手札から 《護龍目 レヴィータ》 を出し、能力で 《クイック・アボガド》 を出す。
2.スピードアタッカーとなった 《護龍目 レヴィータ》 で攻撃。 《ミラクル1 ドレミ24》 に革命チェンジ宣言。 《裁キノ聖堂 ラ・ファミリエ》2枚 の能力が待機される。
3. 先に《裁キノ聖堂 ラ・ファミリエ》 2枚の能力解決。手札から 《護龍目 レヴィータ》 一体と 《黙示聖者ファル・レーゼ》 一体を場に出す。cipは待機。
4. 《ミラクル1 ドレミ24》 の革命チェンジを解決。cipは待機。
5.最後に 《クイック・アボガド》 の能力を解決。 《クイック・アボガド》 がマナに行き 《飛翔の守護者ディス・アル・マーズ》 のスペース・チャージが一回待機。
6. 《ミラクル1 ドレミ24》 のcipを解決。手札から 《謎帥の艦隊》 を発動。即座に解決し、自分の場の 《護龍目 レヴィータ》 一体と 《黙示聖者ファル・レーゼ》 一体を 手札に戻す。
7. 《護龍目 レヴィータ》 、《黙示聖者ファル・レーゼ》 のcipをそれぞれ解決。マナゾーンの 《クイック・アボガド》 をバトルゾーンに出し、 《謎帥の艦隊》 を手札に回収。
8. 《飛翔の守護者ディス・アル・マーズ》 のスペースチャージ解決。相手の盾を一枚デッキに戻し、一枚相手は盾を追加しようとするが 《DG ~裁キノ刻~》 の能力により相手の山札の上一枚は相手の山札の下に置かれる。
9.1の終了時まで戻っているためループが成立。
.........。はい、皆さんご一緒に、せーのっ
要求値高すぎ!
そう、何を隠そう全10種12枚の要求である。確実に量としては気が触れている。しかも何が面白いってそう、代用カードが基本的に存在しないのである。しかも10種類なので...
さあ!デッキレシピの時間だ!
【終わりに~筆者の感想~】
...まあ、実際に組む気は当然ない。マナ加速が採用できない以上、きれいにつなげても最速8ターン目である。ろくなことにならないのは明白だ。
つまり、全くもって実用的なものはできなかったのである。
twitterを見ていると、無限ループ嫌い!という声が非常に多く感じられる。確かにデュエルマスターズという「殴って勝つ」ゲームであり、そのゲーム性を否定していると。確かにそうだ、確かにそうだが、僕たちが「嫌い!」と言っているループにも開発者の苦悩や喜び、ドラマが詰まっている。
僕が作ったループは確かにくそ弱いし、全く実践的ではない。でも実際にループが成立した瞬間は《怒流牙 サイゾウミスト》から《蒼龍の大地》が捲れた時よりも感動したし、嬉しかった。
...そうでもないな。
でも「またループを完成させたい」と思う僕がいるのは事実だ。唯一無二の、自分だけのループを。
皆さんも、もし気が向いたらループデッキ、あるいはワンショットデッキ作ってみてはいかがだろうか。本当に面白いし、楽しいし、嬉しい。これを読んで「ループ出来たぜ!出来栄えは知らねえけど!」って人が現れたならもう超うれしい。何番煎じになるかわからないが、
デュエルマスターズに不可能はない。
ほいじゃね。