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あなたは運が悪いですか?
今日もデュエルスペースから声が聞こえてくる。
「ぎゃー事故ったー!」
「運悪すぎんだけどマジで!」
うんうん、実に楽しそうですな。カードゲームは運の要素が付き物。不運もゲームを楽しくするスパイスだ。
だが、「いっつも自分は引きが悪い……」と思い、楽しめていない人はいないだろうか?それはもしかすると運が悪いのではなくデッキ構築が悪いのかもしれない。
デッキ構築で考えるべきことは非常に多いが、ここは「事故りにくくすること」に焦点を当てて、3つのポイントを紹介しようと思う。
①理想ルートを思い描こう
あなたのデッキはどのようにして勝つデッキだろうか。「この切り札で勝つぞ!」と考えていても、切り札を出すに至るまでの道筋、また切り札を出した後の勝利までの道筋は明確になっていないプレイヤーも良く見かける。
勝利までの理想ルートを可能な限り明確にすることは、デッキを構築する上で最も重要な部分だと私は考えている。
実際に私の作ったデッキで見てみよう。
こちらは以前投稿した「ネオンクス無限ターン」デッキだ。(詳しくは過去の記事を参照のこと)
切り札はもちろん《ネオンクス》、そこに至る為のルートとして4ターン目、5ターン目に《ブレイン・チャージャー》を使う。《ネオンクス》を出した後は呪文の連鎖で《ガ・リュミーズ》を唱えることで勝利する。勝利までのルートをはっきりさせ、それに特化した構築となっている。
もちろん、相手の動きに応じてプレイするカードを変える必要がある対応型のデッキの場合はここまで明確にはできないだろうが、その場合でも「相手が殴るデッキだったらこれ、相手がコンボデッキだったらこれ」というように、いくつかのパターンを想定して考えておくことは出来る。
②ルートを太くする
勝利へのルートが明確になったら、そのルート通りに動ける確率を上げよう。
デュエマでは、同じカードはデッキに4枚までしか入れることが出来ない。勝利への道筋がデッキに4枚しかないカードに依存していると、当然それを引けなくて「事故ったー!」となる可能性が高い。
そこで、勝利へのルートに必要なカードと同じ役割をこなせるカードを探そう。代表的な例だと、《フェアリー・ライフ》に加えて《霞み妖精 ジャスミン》などを入れて2コストのマナ加速を8枚にする構築は見たことがあるのではないだろうか。
もちろん、同じ役割をこなせるカードが存在しない「替えの効かないカード」も存在する。そのような場合は、ルートの中にドローやサーチを組み込むことで、そのカードを手札に加えられる確率を引き上げると良いだろう。
ネオンクスデッキの場合だと、《ハリケーン・クロウラー/ブレイン・チャージャー》と呪文面は同じ役割をこなせる《ブレイン・チャージャー》を採用している。合計枚数を増やすことで、4ターン目に使うことが出来る確率を引き上げている。
また、替えの効かないカードである《ネオンクス》を手札に加える確率を上げる為に、《スペルブック・チャージャー》や《ブレイン・ストーム》など《ネオンクス》を探せるカードを採用している。《スペルブック・チャージャー》の場合はマナ加速、《ブレイン・ストーム》の場合はデッキトップ操作という役割もあり、単に手札に《ネオンクス》を加えるだけの役割ではないところがポイント。《クリスタル・メモリー》のようにサーチするだけのカードを使うと、その分だけ動きが遅れてしまうので、なるべくプラスアルファの役割を持たせたい。
③サブプランを用意する
どうしても替えの効かないカードがあり、それを手札に加える手段を増やすこともできない場合、理想ルート通りに動くことは困難だ。そのような場合、第二のルートを用意してやるといい。
こちらは前回投稿した「ゾンビート」。このデッキの勝利へのルートは、《堕魔 グリール》→《堕魔 ヴォガイガ》→《不死 ゾンビーバー》→《卍月ガ・リュザーク卍》+「ムーゲッツ」だ。
ところが、《グリール》の「墓地肥やし」+「侵略元」という役割、《ヴォガイガ》の「墓地肥やし」+「ゾンビーバー回収」をこなせる魔道具がない。例えば《堕魔 ヴォ―ミラ》はゾンビーバー回収が出来ないのが困る。ゾンビーバーもこのデッキにおける「替えの効かないカード」だから、手札に加える確率はなるべく上げたい。
魔道具以外ならば、《幽具 ギャン》は3コスト以上の闇のGRクリーチャーで固めることで《グリール》同様に「墓地肥やし」+「侵略元」になれる。《白骨の守護者ホネンビー》は《ヴォーミラ》同様に「墓地肥やし」+「ゾンビーバー回収」がこなせる。しかし、魔道具ではないカードを2種類も増やすと《ガ・リュザーク》が召喚しづらくなってしまうのが問題だ。
そこで、サブプランとして《堕魔 グリギャン》→《夢幻騎士ダースレイン》というルートを用意した。これにより、「墓地肥やし」+「侵略元」+「ゾンビーバー回収」という役割をばっちりこなしつつ、魔道具以外のカード投入を1種類に抑えることが出来た。
有名なデッキでサブプランを採用している例としては、【印鑑パラス】の《“必駆”蛮触礼亞》+《勝利龍装 クラッシュ"覇道"》採用型が挙げられるだろう。ここまで極端な例ではなくても、【カリヤドネループ】がライブラリーアウトだけでなく《スコーラー》で殴り勝つことも想定しているなど、フィニッシュ手段を複数用意しているようなデッキは多い。
気を付けたいのは、別ルートのカード同士の相性が良いかどうか。私のデッキを例に挙げると、《グリール》→《ダースレイン》となると《グリール》の墓地肥やし能力が発動させられないし、《グリギャン》→《ヴォガイガ》だと侵略元が用意できないので、実はあまり相性が良くない。《グリール》と《グリギャン》、《ダースレイン》と《ヴォガイガ》は役割が異なるカードなのでこのような事故が起こってしまう。同じ役割のカードで②の「ルートを太くする」方法が取れるのであれば、そちらの方がより安定させやすい。
デッキ構築は奥が深い。
事故を防ぐ3つのポイント、いかがだっただろうか。ここに書いたことはあくまで「事故を防ぐ」ことに焦点を当てた、デッキ構築の考え方のごく一部であり、この通りに組んだからと言って強いデッキになるとは限らない。例えば話題の《ナウ・オア・ネバー》ループは、必要枚数が4枚で替えの効かないカードばかりという、細い細いルートなのだが、デッキとしてはかなり強いと考えている。(何故強いか語るのは、この記事の余白は狭すぎる。)
デッキ構築は本当にとても奥が深い。この記事がその奥深さを理解する助けになれば幸いだ。