はじめに
遊戯王OCG環境では、6月も環境の研究が進んでおり、さらなる進化を遂げています。
5月からどのような変化があったか、今はどのようになっているのか、早速見ていきましょう!
2024年5月の環境はこちら!
目次
「最強」の定義
本記事では最強デッキを「遊戯王環境での相対的な強さ」と定義します。
Tier1とは「環境内に不利なデッキが少ない、あるいは相性差を覆しやすいデッキであり、大会で持ち込みが一番多いと予想される対策必須のデッキ」です。
Tier2とは「Tier1やTier2のデッキにある程度勝てる見込みがあり、大会でも毎回一定数いると予想されるデッキ」です。
Tier3とは「弱点が多い、デッキパワーが低いなどの理由で使用者は少ないものの、特定のメタゲームでは活躍することができるデッキ」です。
先月からのカードプールの変化
6月22日に『ANIMATION CHRONICLE 2024』が発売されました。
このパックではアニメ遊戯王各シリーズで登場した様々なカードが収録されました。
『ANIMATION CHRONICLE 2024』では、「デモンスミス」出張ギミックで活躍できる《死霊公爵》や【ギミック・パペット】を強化する《ギミック・パペット-キラーナイト》など、環境を大幅に変えるカードこそないものの、各種デッキの選択肢の幅を広げてくれるカードが登場しました。
2024年6月環境では、4月27日に発売されたパック『INFINITE FORBIDDEN』に収録されている「デモンスミス」の出張ギミックが環境を変え、様々なデッキに搭載されています。
《魔を刻むデモンスミス》本体の素引きのほか、効果モンスター2体を素材とする《閉ザサレシ天ノ月》のリンク召喚を経由することで《刻まれし魔の鎮魂棺》をリンク召喚し、「デモンスミス」ギミックにアクセスすることができます。
「デモンスミス」カードによる展開から《永遠の淑女 ベアトリーチェ》《DDD怒涛大王エグゼクティブ・シーザー》などのランク6モンスターや、「デモンスミス」融合モンスターで強力な妨害効果を持つ《刻まれし魔ディエスイレ》などを出すことができます。
この「デモンスミス」ギミックへのアクセスの手軽さ、リターンの大きさが、「デモンスミス」出張の増えている一因となっています。
Tier1
【スネークアイ】Tier1
【スネークアイ】は、モンスターを永続魔法化することにより展開・妨害する炎属性中心のデッキです。
《スネークアイ・エクセル》《スネークアイ・オーク》は自身を含む表側表示のカード2枚を墓地に送ることでデッキから別の「スネークアイ」モンスターを特殊召喚できます。
ここから《蛇眼の炎龍》などを特殊召喚することにより展開につなげる動きが強力。
《蛇眼の炎龍》は自分・相手のフィールドか墓地のモンスターを自分ターンに永続魔法化し、相手ターンに永続魔法化しているモンスターを自分フィールドに特殊召喚できます。
この効果により自分ターンに《I:Pマスカレーナ》などを自分の墓地から永続魔法化、相手ターンに特殊召喚し妨害とすることも。
また《蛇眼の炎龍》の墓地に送られた場合の蘇生効果も強力で、リンク値を伸ばしての展開やリソース確保につなげる選択肢も強力です。
【炎王】Tier1
【炎王】は、破壊をトリガーに効果を発動していく、炎属性中心のデッキです。
《真炎王 ポニクス》を初動として《炎王の聖域》をサーチし、《炎王の孤島》をフィールドに置きます。
《炎王の孤島》の効果で《聖炎王 ガルドニクス》をサーチすることによって、《聖炎王 ガルドニクス》の特殊召喚効果が起動。
手札・デッキ・フィールドの中から獣族・獣戦士族・鳥獣族の炎属性モンスターを破壊できるため、《炎王神獣 キリン》《炎王獣 ガネーシャ》を破壊し、展開や妨害、リソース確保に繋げます。
破壊をトリガーとして途切れにくいリソースと妨害を作り続けるのが【炎王】の特徴です。
最近では「スネークアイ」モンスターを採用した構築が流行しています。
《スネークアイ・エクセル》を初動とした展開で《原罪宝-スネークアイ》に触れ、《真炎王 ポニクス》にアクセスすることにより「スネークアイ」「炎王」双方のギミックに触れることができる展開もさらに強力です。
【天盃龍】Tier1
【天盃龍】は、炎属性・ドラゴン族で統一された、バトルフェイズに真価を発揮するシンクロ召喚テーマです。
「天盃龍」モンスターはそれぞれ以下の共通効果があります。
・バトルフェイズ中にシンクロ召喚を行う効果
・戦闘を行う際に適用される効果
を備えています。
これにより連続で相手に攻撃を行い、炎属性・ドラゴン族シンクロモンスターである《燦幻昇龍バイデント・ドラギオン》《燦幻超龍トランセンド・ドラギオン》《トライデント・ドラギオン》を駆使し、後攻でのワンターンキルを狙います。
また《天盃龍パイドラ》は「燦幻」魔法・罠カードをサーチするかフィールドにセットする効果を持っています。
「燦幻」魔法・罠カードは「天盃龍」モンスターを強力にサポートしてくれる効果を備えています。
《盃満ちる燦幻荘》は、メインフェイズ1の間に炎属性・ドラゴン族が相手の発動した効果を受けない効果、「天盃龍」をサーチする効果、ドラゴン族Sモンスターの攻撃力を倍にする効果、と強力な複数の効果を持っています。
《燦幻開門》は2つの効果がありますが、バトルフェイズ中に発動すれば両方の効果を適用でき、即座に「天盃龍」モンスターを展開できます。
Tier2
【R-ACE】Tier2
【R-ACE】は、「R-ACE」カードとして扱う魔法・罠カードをサポートとして駆使しながら戦うテーマです。
《R-ACEタービュランス》が起動効果で「R-ACE」魔法・罠カードをフィールドに4枚もセットできるという、とても豪快かつ強力な効果を持っています。
この《R-ACEタービュランス》の効果で伏せられるカードも、墓地から「R-ACE」モンスターの手札回収や蘇生などのリソース回収、モンスター効果無効や破壊などの妨害、とこちらも強力なカードです。
この《R-ACEタービュランス》にアクセスするための手段も豊富に用意されています。
「R-ACE」モンスターをサーチする《R-ACEハイドラント》。
「R-ACE」モンスターをデッキから特殊召喚し、使い方によっては相手の妨害を避けることもできる《EMERGENCY!》。
そして《EMERGENCY!》などをサーチする《R-ACEエアホイスター》、《R-ACEハイドラント》に触ることのできる「罪宝」ギミックなど。
《R-ACEタービュランス》に繋げるカードには事欠きません。
【R-ACE】は《R-ACEタービュランス》を通したことによって構えられたリソースと妨害でアドバンテージに差をつけて戦うデッキとなっています。
【ユベル】Tier2
【ユベル】は、戦闘破壊されず戦闘ダメージを0にする「ユベル」モンスターを軸として戦うデッキです。
《ユベル》及び「ユベル」モンスターをサポートするカードによって展開していき、盤面を制圧します。
最終盤面には《破械神ラギア》《ファントム・オブ・ユベル》《終戒超獸-ヴァルドラス》などの多くの妨害をできるカードが並びます。
展開途中で簡単に特殊召喚の条件を満たせる《ファントム・オブ・ユベル》は手札誘発ケアにも、相手ターンの妨害にもなってくれるため非常に優秀なカードです。
「ユベル」関連のカードで特に強力なのが永続魔法《ナイトメア・ペイン》です。
毎ターンのサーチ効果に加えて、相手モンスターと「ユベル」モンスターを強制戦闘させる効果、相手モンスターと「ユベル」モンスターとの戦闘によって発生するダメージを相手に受けてもらう効果を備えています。
「ユベル」モンスターはモンスターとの戦闘によって発生する自分へのダメージを0にするため、《ナイトメア・ペイン》の効果で相手プレイヤーに一方的にダメージを与えることができます。
Tier3
【白き森】Tier3
【白き森】は、光属性・魔法使い族モンスターを中心とする、シンクロ召喚が主体のテーマです。
ここでは【白き森】と相性の良い【センチュリオン】との混合デッキを紹介します。
「白き森」モンスターは自分の手札・フィールドの魔法・罠カードをコストにして強力な効果を使用することができます。
「白き森」魔法・罠カードは共通して、モンスターの効果を発動するために墓地に送られた場合、フィールドにセットする効果を備えています。
このセット効果によって、「白き森」モンスターの効果コストを実質ノーコストにしつつ展開を行うことができます。
「白き森」モンスターは《白き森のシルヴィ》《白き森のルシア》を始めとしたリソース確保に長けているカードが多いのも特徴です。
光属性の魔法使い族チューナーをサポートする効果も多く存在しているので、【センチュリオン】の軸となる《重騎士プリメラ》もこのサポートを受けることができ、展開をより強力にしてくれます。
【センチュリオン】ギミックの展開で、《赤き竜》の効果から《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》や《スカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴン》を出すことでの強力な妨害を作ることができます。
【覇王幻奏】Tier3
【覇王幻奏】は、ペンデュラムを使用するテーマである「覇王門」と「幻奏」を組み合わせた展開系のデッキです。
「幻奏」ギミックで特に強力なカードが《オスティナート》。
《幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ》を融合召喚し、《幻奏の歌姫ルフラン》の蘇生から展開。
《オスティナート》1枚からスケールを揃えるだけでなく、ペンデュラム召喚の権利を使用する前に《召命の神弓-アポロウーサ》を先出しすることができます。
また「覇王門」のギミックによって展開に幅を持たせることができます。
《覇王門の魔術師》はサーチ効果だけでなく、レベル7モンスターであるため《オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン》のエクシーズ素材とし《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》の成立。
《覇王眷竜ライトヴルム》はチューナーモンスターであるため、《ヴァレルロード・S・ドラゴン》などの妨害持ち大型シンクロモンスターをシンクロ召喚することも可能です。
最終盤面には《召命の神弓-アポロウーサ》《I:Pマスカレーナ》《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》《ヴァレルロード・S・ドラゴン》が並び、多くの妨害を構えることができます。
【粛声】Tier3
【粛声】は、《粛声の祈り手ロー》を鍵とする儀式召喚テーマです。
《粛声の祈り手ロー》はデッキから「粛声」永続魔法・永続罠カードを表側表示で置く効果を持っているので、《粛声なる結界》を置くことで「粛声」カードのサーチへと繋げます。
《粛声の祈り手ロー》は戦士族・ドラゴン族で光属性の儀式モンスターを儀式召喚する際にこのモンスター1体で儀式召喚のリリースとできるので、《粛声の竜賢姫サフィラ》 《粛声なる祈り》 などを使い儀式召喚を行います。
儀式召喚先として特に強力なのが《粛声なる守護者ローガーディアン》です。
《粛声の祈り手ロー》をリリースされた時の効果でフィールドに特殊召喚しておくことで、《粛声なる守護者ローガーディアン》の妨害効果と《粛声なる結界》の強固な耐性効果を得ることができます。
「粛声」テーマ内などでのサーチ手段も豊富に用意されていて、《粛声なる守護者ローガーディアン》や《粛声なる結界》によるサーチで毎ターンのリソースも途切れにくくなっています。
【神碑】Tier3
【神碑(ルーン)】は「デッキ破壊」を勝ち筋とした魔法カード中心のテーマです。
「神碑」速攻魔法には以下の共通効果があります。
- このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
- 発動後、次の自分バトルフェイズをスキップする。
- 2つの効果から1つを選択して発動する。
- 1つ目が『○○する。その後、相手のデッキの上からカードをX枚除外する。(Xはカードによって異なる)』という効果。
- 2つ目が『EXデッキから「神碑」モンスターをEXモンスターゾーンに特殊召喚する。』という効果。
選択できる1つ目の効果によって何かしらのアクションをしつつデッキ破壊を行います。
《輝く炎の神碑》や《凍てつく呪いの神碑》などは相手の妨害をしつつデッキ破壊ができるので、デッキ破壊が完了するまでの時間を稼いでいく戦術も強力です。
選択できる2つ目の効果によってEXデッキから「神碑」モンスターを特殊召喚できます。
特に《神碑の翼フギン》は【神碑】デッキの軸となるフィールド魔法《神碑の泉》をサーチできます。
フィールド魔法である《神碑の泉》は、「神碑」速攻魔法をデッキに戻すことで毎ターン最大3枚ドローできる他、「神碑」速攻魔法を相手ターンにも発動できるようになります。
これによって毎ターン手札を補充しつつデッキ破壊を行うのがこのテーマ。
デッキ破壊を完了するために生き延びなければいけないので、モンスターをあまり使わない特徴を活かして《群雄割拠》《御前試合》《センサー万別》《スキルドレイン》などの永続罠カードで相手を縛りながらデッキ破壊を行なっていきます。
環境のまとめと今後の展望
6月のOCG環境は、「デモンスミス」出張ギミックを搭載してパワーを上げた【スネークアイ】【ユベル】【R-ACE】などのデッキが、5月に引き続き環境で活躍しています。
また、【天盃龍】や【炎王スネークアイ】などの「デモンスミス」出張ギミックを搭載していない、元々のデッキパワーが高いデッキも環境で活躍中。
また7月1日からは新リミットレギュレーションが施行されます。
《スネークアイ・エクセル》が制限カード、《篝火》が準制限カードに指定され、【スネークアイ】を使用するデッキの安定感が落ちる形となりました。
【天盃龍】の初動と相手からの妨害耐性を作ってくれる《盃満ちる燦幻荘》も制限カード指定を受け、弱体化。
禁止カードに《カタパルト・タートル》、制限カードに《No.40 ギミック・パペット-ヘブンズ・ストリングス》が新しく指定され、【タキオン】【ギミック・パペット】の先攻ワンターンキルが厳しく規制されました。
他にも《カイザーコロシアム》が準制限カードから禁止カード、《サモンリミッター》が新制限カードに指定され、先攻で使用して強力な永続系のカードも規制も目立ちますね。
一方「デモンスミス」出張ギミックで使用されることの多い《永遠の淑女 ベアトリーチェ》は制限カード指定を受けましたが、採用が1枚のみで事足りることがほとんどです。
「デモンスミス」出張ギミックはリミットレギュレーション改訂の影響を受けることなく、7月以降も環境を席巻することが予想されます。
おわりに
遊戯王OCGの6月の環境について解説いたしました。
この記事が皆さんのデッキ構築・環境への理解の手助けとなっていれば幸いです。
それでは7月の環境解説記事でまたお会いしましょう!