【DMプロリーグbyカーナベル】フェアリー×ユーリ VS ZweiLance × ギラサキ【決勝戦】

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【DMプロリーグbyカーナベル】フェアリー×ユーリ VS ZweiLance × ギラサキ【決勝戦】

目次

 "プロプレイヤー"。
 デュエル・マスターズにおいてこの言葉が持つ意味とは、果たしてなんなのだろうか。

 デュエル・マスターズのプロプレイヤーが誕生したとき、まず話題になったのはこの部分だった。
 現状は企業にスポンサードを受けているプレイヤーを総称してそう呼ぶことが多いのだが…良くも悪くもこれ以上の意味合いを持つことはなかった。

 理由は単純。プロをフィーチャーしたイベントが存在しなかったから。
 現在行っている活動といえばCSに出て圧倒的な勝率を稼ぎ、所属チームのサイトで攻略記事をアップする。これだけである。
 この現状では彼らはプロと呼ばれているだけの強いプレイヤー…それ以上の価値を持つことはできなかったのだ。

 ……だからこそ、この場所はある意味"答え合わせ"のようなものだ。 

DUELMASTERS PRO LEAGUE。
 初めてプロのみが集い、プロ同士のデュエルを披露する場所。

 それが私たちに何をもたらすのか、1日をかけた最初の答え合わせなのだ。

 

 そして、私がプロリーグに求めていたものはたった一つ。
 そしてそれは"予想通り"叶った。
 それは単純にプロ同士の対戦を楽しむこと……いや、これだけでは言葉が足りない。

 ただプロと呼ばれているだけの一プレイヤーではない。
 多くの強豪プレイヤーとは違う、人を惹きつけるまでの実力を持つことによってプロと呼ばれたプレイヤーたち。
 彼らのみが、ただ勝利を求めてぶつかり合う。

 それは予想通り…いや、予想以上にただのデュエマとは全く異なるもので。

 当然、面白くないわけがなかったのだ。

 

 さあ、決勝戦が始まる。

 

 …………………

 

 この場にいるプロプレイヤーの中でも最年少、17歳の高校生。
 しかし纏う雰囲気は明らかに高校生のそれではない。年齢不相応な顔立ちと合わせて、老成したような貫録を感じる。

 人呼んで"時代の革命児"―――本人がそう自称し始めたのがきっかけだが―――ユーリがまず席に着いた。

 憚らずにそう自称するのにも理由がある。
 それは現在の競技デュエマ界でナンバーワンといってもいい、デッキビルダーとしてのセンスだ。

 GP9th直前に環境を席巻し、今日のプロリーグでも何人かが使用している【シータミッツァイル】。
 それの原作者は、紛れもなくこのユーリなのだ。

 ひと昔前は彼にしか扱えないと言われていた【青単《禁断機関 VV-8》】を作り。
 半年前の【黒緑ドルマゲドン】の欠点を解消しつつ、環境に対するメタデッキとなった【黒緑ドンジャングル】で結果を残し。
 《GIRIGIRI・チクタック》リリース直後、それを生かした現行の【赤単ブランド】をいち早く形にし……

 そこに今回の【シータミッツァイル】だ。
 彼がいなければGP9thまでに現行のテンプレートができあがっていたか誰にも予想できない。
 この2019年10月の環境は、彼の手のひらの上だったというわけだ。まさに時代の革命児。
 まだ高校生だというのにこれだけのデッキを作るセンス、今後どこまで飛躍するかが非常に楽しみな1人である。

 そして今日のプロリーグ。
 同じくハイセンスなビルダーである相方、フェアリーと相談し、初めてのBO3環境に革命を起こすべく持ち込まれたのは……

 全チーム唯一の"アグロ2面構成"。見事全員の虚を突いてみせた。
 デッキ発表の時はしたり顔だったであろう革命児、その使用デッキは環境最強のアグロである【赤単ブランド】だ。

 対するギラサキ・ZweiLanceチームからはZweiLanceが登場。
 彼が愛用する【アナカラーデッドダムド】は受けトリガーが0。
 デッキ公開制のルールがある以上、ユーリは目論見通り1勝をもぎ取りに行く……

 

 だがZweiLanceの勝利に対する執念。
 それが一瞬で終わるはずだったこのゲームを、複雑怪奇なものに変貌させていく。

 

【第1試合】 ユーリ ( 赤単ブランド ) VS ZweiLance( アナカラーデッドダムド )

 ZweiLanceにとっては速攻を相手取るにとって、そしてユーリにとっては毎試合勝ち切るにあたって…要となるのは当然じゃんけん。
 その結果……先攻はユーリ!! 控室からフェアリーが喜ぶ声、ギラサキの嘆く声が聞こえてくる。

 さらにユーリの手札は決勝戦にして最高潮。1ターン目に《螺神兵ボロック》、2ターン目に《斬斬人形コダマンマ》!!
 赤単ブランドが理想とする最上級の動き出しを見せ、《螺神兵ボロック》によりシールドが1枚削られていく。

 

 ……だが、ZweiLanceの情熱に応えた手札。
 ここから2分程度で終わるゲームが、とんでもない方向に変貌する。

 2マナ目をチャージしたZweiLanceは…………

 

 1マナをタップ。

 

 なんとそこから繰り出されたのは《フェアリー・ギフト》!!
 後手から唯一「赤単ブランド」に間に合う方法であるこのカードを入れていたZweiLance、これを引き込み残る1マナで《虹速 ザ・ヴェルデ》を召喚!!

 《虹速 ザ・ヴェルデ》の全色を有する効果により、《螺神兵ボロック》は溶けていく。
 そのまま《斬斬人形コダマンマ》にアタックし…《“罰怒“ブランド》の殴り返しを警戒してか、《SSS級天災 デッドダムド》に侵略。

 途端にピンチに陥ったのはユーリ。普通のプレイヤー相手ならここで終わっていたはずのゲームだが、ZweiLanceを前にそんな慢心は許されない。
 とはいえその手札は1ターン目から続いて絶好調、最大値を狙うために《GIRIGIRI・チクタック》から入る。

 GRゾーンから捲れたのは…《ロッキーロック》。
 少し顔を歪めながら《“罰怒“ブランド》を召喚。《ドドド・ドーピードープ》が出ればそのまま致死打点だっただけに、少し欲が出てしまうもの。

 そして今後のプランと相談した結果…《GIRIGIRI・チクタック》で1点を入れるのみでターンを終了。
 《“罰怒“ブランド》効果でたった今殴った《GIRIGIRI・チクタック》が破壊される。

 さて、想定外の妨害を受けてキルが遠のいたとはいえ、依然有利なのはユーリ側だ。
 現在《“罰怒“ブランド》を有したユーリは、これが処理されなければこれから出すクリーチャーを即打点に変換可能。そのまま余裕を持ってビクトリーロードを歩むこととなる。
 ZweiLanceがこれを倒すには2枚目の《SSS級天災 デッドダムド》が必要だし、もし倒されてもブレイクによって手札を得、次の展開へと繋げることができる。
 赤単らしからぬ波状攻撃。ビルドセンスだけではない、ユーリは単純なプレイスキルも非常に高いのだ。

 一方のZweiLanceは「考えます」と一声入れて長考に入る。
 《フェアリー・ギフト》で窮地を脱したが、先述の通り絶体絶命であることには変わらない。
 どうにかしてこの局面を凌ぐ方法はあるか。

 考えて、考えて…………

 

 一定の場数を踏んだプレイヤーは、混沌とした局面でも落ち着いて答えを探すことができる。
 並のプレイヤーならこの盤面を凌ぐことに必死になって、このプレイに辿り着かないかもしれない。

 当然プロは違う。そしてZweiLanceはプロプレイヤーだ。
 地道な練習と圧倒的な場数。彼をプロたらしめる、ZweiLanceの経験が導き出した答え。

 凌ぐのではない。"一手先を行く"。

 

 チャージなしから《霞み妖精ジャスミン》をプレイ。効果は発動"しない"。
 そして《SSS級天災 デッドダムド》を同名カードに侵略させ、シールドを2枚ブレイクしつつ《“罰怒“ブランド》に対処する。
 なるほど、一見その場しのぎのプレイに見える。

 

 ……が、盤面に残した《霞み妖精ジャスミン》。
 そして、《斬斬人形コダマンマ》によって1枚減らされたユーリのシールド。
 この2つの要因によって、このプレイはその場しのぎどころではない、全く別の意味を持つ。

 そう、ユーリが返しのターンに有効打を打てなかった場合、ZweiLanceが保有する2打点+1打点。
 これでそのままダイレクトアタックが可能、即ちZweiLanceの勝利を意味するようになったのだ。

 このプレイによって戦況は逆転。ユーリはまさかの窮地に追いやられる。
 ブレイクとドローで入った3枚の手札には…《“罰怒“ブランド》も《BAKUOOON・ミッツァイル》もない。
 つまりこのターンのキルは不可能、ZweiLanceの思惑通り速度勝負で逆転を許してしまった。

 【赤単ブランド】は伝統的赤単速攻の例に漏れず、どうしても中後半のボードコントロールは苦手分野。
 このような試合展開に縺れ込んだ以上、《“罰怒“ブランド》といった速度を出すカードを引けなければ何もできずに終わってしまう……

 ……が、革命児の手札にはまだ秘策があった。
 それはかつて、彼自身が仲間内で真っ先に試したガチャレンジゾーンである。

 

 4マナ目をチャージしたユーリ、2マナを支払い《GIRIGIRI・チクタック》を召喚。
 そこから出てきたのは……

 

 なんと《“魔神轟怒”ブランド》!!
 残る手札から《凶戦士ブレイズ・クロー》《ブルース・ガー》を出し……
 祈りを込めて、《ロッキーロック》が《SSS級天災 デッドダムド》に攻撃する。

 

ユーリ「あの時点では《ソニーソニック》か2枚目の《“魔神轟怒”ブランド》が1番の狙いだったんですよね。
 1枚目の《“魔神轟怒”ブランド》が出たことによって、SAを作れば超天フィーバー効果を利用してキルまで持っていけたんで。

 ですけど、こいつが捲れても十分でした」

 

 捲られたのは《ブルンランブル》。
 ユーリの2番目の狙い。それはこの効果によって《霞み妖精ジャスミン》を破壊し、ZweiLanceのキルターンを遅らせること!!

 まさかのどんでん返し。《“魔神轟怒”ブランド》で2点を刻みつつ、超天フィーバー効果で殴り返しまでケアしてターンを渡す。
 序盤3ターンとは思えない濃密な攻防。激闘の果て、ついにZweiLanceにできることは何もなくなった。
 シールドを全て割るのみでターンを返し、ダイレクトアタックを受け一言。

ZweiLance「………そんなことある?

WINNER:ユーリ

 

 2回戦に入る前、ギラサキが相方のZweiLanceに声をかける。

 「ネイチャーに対して先攻欲しいのって俺のほう?」

 そう、ここが今回のプロリーグにおけるBO3ルールの妙。
 2ゲーム目の先攻は敗者側に与えられ、かつ敗者側のみがデッキを自由に選ぶことができる。それも相手のデッキが分かった上で、だ。
 つまり、絶対に先攻が欲しい側…つまり、後攻を取ると不利になる側を確実に通すような選択ができるのだ。

 相談の結果、2ゲーム目も続けてZweiLanceが席に座ることとなる。
 そして、その対面には。

 

 YouTuberとしてのZweiLanceの相棒である、フェアリーが座る。

 

……………

 

  GP7th、2018年度エリア予選、2018年度全国大会...ありとあらゆる大舞台を、私は全て【黒単デスザーク】というデッキと共に駆け抜けた。
 【赤白轟轟轟】を使わせた日には、猿は宙を舞い、戦車はエンスト。
 練習し尽くした一つのデッキしか満足に使えない...でもその一つは、全国の舞台へだって連れて行ってくれる。それが不器用な自分の、不器用な強さ。

 反対に、フェアリーさんの強さは言うなればアドリブ力地力
 特別な練習はせずとも、どんなデッキを使っても平均点以上のプレイを叩き出す。例えそれが初見のデッキだとしても。
 大会の仕様候補は手持ち全てのデッキ。大会で使うデッキも日によって様々。まさにオールラウンダー

ZweiLanceとフェアリー決定的な違い より

 有名な話ではあるが、フェアプロ2人のプレイスタイルは正反対。
 そして、こうでなければ現在のフェアプロは成立しなかったとも言える。

 上ではプレイスタイルについて書かれているが、やはりフェアリーの本懐といえばそのデッキ構築力。
 もちろん先天的なセンスもあっただろう…が、やはり現在のスタイルを形作ったのはYouTuberとしての生活。
 彼の構築力は、今のフェアプロを成立させるために身につけた能力といっても過言ではない。

 高クオリティのデッキによる対戦動画を毎日投稿。これがフェアプロの2人が己に課している義務の一つ。
 そのためデッキ構築担当のフェアリーには、多い時には1ヶ月で20個以上のデッキを考えなければならない使命が課されているのだ。

 彼の凄みはこれを全て1人で行っているところだ。
 相棒のZweiLanceはその分編集作業にリソースを割いている。
 外部の調整グループに所属しているわけでもない。グループ発のアイデアを自らの生活のために動画のネタにするわけにもいかないからだ。

 さらに、動画のデッキだからといって完成度を妥協するわけにもいかない。
 動画で紹介されたフェアリー考案のデッキ、ほとんどは競技シーンでも十分通用するものなのだ。
 現に今回彼が使用したオリジナルの【赤緑ネイチャーヴァイカー】も彼らの動画で紹介されているもの。
 《“轟轟轟“ブランド》も《BAKUOOON・ミッツァイル》も使用しないアグロデッキを見つけ出し、プロリーグのルールでは不可能と思われた「チームアグロ二面」を実現。
 ライバルの虚を突いての躍進には、フェアリーの構築力は欠かせない力だったのだ。

 そして、その完成度を担保するのがZweiLanceの環境デッキ。
 特にZweiLanceが使い慣れたデッキに勝つほどのデッキならば、トーナメントシーンに風穴を開けることだってできるだろう。

 だが、動画でZweiLanceは1度、それを許さなかった。
 かつての【モルトNEXT】、【デスザーク】、【ジョーカーズ】のように愛用している現環境の相棒…
 そう、今日も持ち込んでいる【アナカラーデッドダムド】で完膚なきまでの圧勝を見せつけたのだ。

 動画の成績と合わせれば現在このマッチは1-1。
 最後の1戦の舞台となったのは…

 プロリーグ決勝戦、第2試合だ。

【第2試合】 フェアリー ( 赤緑ネイチャーヴァイカー ) VS ZweiLance( アナカラーデッドダムド )

 先攻を取ったZweiLanceはその手札も上々。《霞み妖精ジャスミン》で初動を決める。
 対するフェアリーも《葉鳴妖精ハキリ》で返す。

 だが、ZweiLanceの手札は最良中の最良…先攻2ブーストからの《天災 デドダム》!!
 これにより《禁断機関 VV-8》まで秒読みとなると同時に、殴り返しを匂わせることで《葉鳴妖精ハキリ》の自由を奪っていく。

 そして、フェアリーの手札はそれに対して応えられるほど強いものではなかった。
 《桜風妖精ステップル》2枚で5マナに到達し…《葉鳴妖精ハキリ》が殴らずエンド。《BUNBUN・ヴァイカー》による特攻を狙いたかったが、手札に恵まれなかった。

 そして、先攻4ターン目、
 フェアリーがもたついている間に、ZweiLanceが早々と決定打を着地させる。

 

 

 対ビートダウン殺戮兵器、《無修羅デジルムカデ》!!
 盤面の《天災 デドダム》とともにこれ以上の展開、そしてこれまでの展開を全て無に帰す一撃となる。
 さらにこれが《天啓 CX-20》を呼び出し、マナドライブを達成していることで3ドロー。王手に向けて十二分のリソースを獲得する。

 《生命と大地と轟破の決断》のマッハファイター付与効果があればこれに対処できたが、マナゾーンにも手札にもそれは姿を見せず。
 《桜風妖精ステップル》のワンブーストに望みを託したが《風の1号 ハムカツマン》がタップインしたのみ。そのままターンを返さざるを得なくなり…

 ZweiLanceの手札から《天啓 CX-20》がもたらしたであろう《禁断機関 VV-8》が着地する!!
 さらにこれにより3枚の進化コマンドが集結。
 《超奇天烈 ギャブル》《SSS級天災 デッドダムド》《SSS級天災 デッドダムド》を《天災 デドダム》に乗せ、追加ターンを獲得。
 プロリーグのデッキは公開制。つまり、フェアリーのデッキにトリガーが入っていないことはお互いに承知済み……

 勝利までの道筋は異なるものだったが、奇しくも解説動画と勝敗は全く同じ。
 先攻を取ってきっちり回ったダムドは並のビートダウンに負けない。
 リリース直後から今日まで誰よりもこのデッキを使い込んできたZweiLanceがそれをしっかり証明してみせた。

WINNER:ZweiLance

 

 さあ、星は五分に戻った。両者ともここまでは織り込み済み。
 余談になるが、今回のプロリーグでは全ての試合が3試合目まで縺れ込んでいる。やはり2試合目をほぼ確実に取れるルールが作用したということだろう。

 さあ、フェアプロ対決を制したZweiLanceが控室に戻り、ギラサキに最後を託す。

 

 ………

 

 ギラサキは席に着くと、旧知の友人である私にニヤニヤしながらこう言う。
 「おい!大役やんけ!w」
 ……半年前も同じことを聞いたような気がする。

 さて、こうやってスペースを取ったからにはプロプレイヤー・ギラサキがどういう人間かを書かなければならない。
 だが、第3試合の準備中。このワンシーンをお見せすれば私が言いたいことが概ね伝わるだろうか。

 談笑しながら準備をするギラサキとフェアリー。
 フェアリーは「フェアプロのギラサキに勝てない方になりたくない…」と軽口を叩きながらも、準備が進むにつれて

 すると、フェアリーの緊張を察知したらしいギラサキ、途端に笑いながらこう言い放った。

 「俺、緊張してる人には強いんよな」

 あまりに大胆不敵。フェアリーの緊張をほぐす意味合いもあっただろうが、ある意味勝利宣言とも取れかねない発言だ。
 当然この発言にフェアリーを挑発する意図はないし、ギラサキが強気に出たわけでもない。

 そこが全国大会の決勝戦だろうが、プロリーグの決勝戦だろうが「いつも通り」、変わることがない。
 普段通りにあけすけに笑う、これがギラサキにとっての自然体。ただそれだけの話なのだ。

 ここから繰り出される、誰にもできない変幻自在の構築。奇想天外なプレイング。
 これが、かつてZweiLanceに「怖い」と言わしめたギラサキの強さなのだろう。

 この最終局面で、ZweiLanceは最強のライバルに背中を預けている。
 その想いを知ってか知らずか…どこか飄々とした表情で、ギラサキはその時を待っていた。

 

………

 

 お互いにその強さは言伝でしか聞いたことがない。
 活動地域が大きく異なり、お互いにあまり遠征をしない性格も相まって同じ大会に出たことだってほとんどないと笑う。

 そんな強豪同士がぶつかり合い、ドラマが生まれる。
 これこそがプロリーグ。そしてこれが、決勝戦の最終試合だ。

 2018年度日本一、ギラサキ。
 フェアリープロジェクトの心臓、フェアリー。

 観客席から配信席にまで聞こえてくる、デュエマ・スタートの掛け声。
 それが聞こえるか聞こえないかのタイミングで、ギラサキのマナセットでゲームが始まった。

 

【第3試合】 フェアリー ( 赤緑ネイチャーヴァイカー ) VS ギラサキ( シータt白ミッツァイル )

 本日最終戦、運命のじゃんけんに勝利したのは…ギラサキ!
 そこから2ターン目に《レッツ・ゴイチゴ》。しっかり初動も引き込んだ。
 フェアリーは初動として2ゲーム連続で《葉鳴妖精ハキリ》を出す流れ。

 ギラサキの3ターン目、【シータミッツァイル】にとって重要な2→4→6のマナカーブを成立させるべく、《鼓動する石版》でブーストを行う。
 ここで2枚目の《BAKUOOON・ミッツァイル》が落ちてしまい不満げな顔。

 返すフェアリーのターン、第2試合でその実力を存分に発揮できなかった《葉鳴妖精ハキリ》がついに火を噴く。
 《風の1号 ハムカツマン》で4マナに伸ばすと、そのまま《葉鳴妖精ハキリ》を攻撃に向かわせる。
 登場したのは…《DROROOON・バックラスター》!!
《ブルンランブル》を出して一気に4打点を生成。これが新生赤緑ビートダウン、3ターン目に殴りながらこの展開力だ。

 ただ、こういった横並びの展開をギラサキは予測していた。
 プロリーグ特注に仕上げてきた【シータミッツァイル】、6マナ目をチャージしてから《イチゴッチ・タンク》を撃ち、5マナをタップすると…

 《超次元ボルシャック・ホール》!!
 「対応力が強み」と本人が語るテンプレート外のテックカード、これが《ブルンランブル》を破壊して《勝利のリュウセイ・カイザー》を召喚する。

 そしてこのプレイは、ギラサキにしかできないとんでもない発想から繰り出されたものだった。

ギラサキ「実は、あのターンに《勝利のリュウセイ・カイザー》を出したのは一種の賭けでした。

 あのとき、相手のマナに《BUNBUN・ヴァイカー》があるけど《生命と大地と轟破の決断》がない状態でした。
 ということは、定石通りならフェアリーくんは《BUNBUN・ヴァイカー》を手札に持っていることが予想されます。
 《勝利のリュウセイ・カイザー》を出しても《葉鳴妖精ハキリ》の効果で出されてしまうのが目に見えている。
 であればターンを返すわけにはいかない。現実的な思考をするなら《勝利のガイアール・カイザー》あたりをプレイするべきだったと思います。

 でも、僕にはフェアリーくんがそのプレイを誘っているように見えた。
 もし彼があえて《生命と大地と轟破の決断》をマナに置かずに持ち続けたとしたら、成功率が低く裏目が多いぶっぱルートに誘導することができます。

 その場合、彼にとって裏目になるのは《生命と大地と轟破の決断》を封じられる《勝利のリュウセイ・カイザー》なんです。
 もちろんそれを外した裏目もあるんですが、自分の直感を信じてプレイしました」

 現代デュエマにおいて、このような定石を外すプレイは避けられる傾向にある。
 カード1枚の威力で全てが決まりかねない以上、リスクリターンの計算を正しく行った堅実なプレイが求められる。

 ギラサキの強さの根幹は、このような常識を自ら破壊できるところにある。
 …いや、というよりは自分の価値観を持った上で常識を見ることができると言った方がいいだろう。
 だからこそ独特な構築を作ったりプレイングができるし、しかしその理由は常に計算されたものである。

 だからこそ、普段堅実なフェアリーを相手取ってさえも。
 ここ一番で嵌め手を仕掛けてくるかもしれない、という発想ができる。

 さあ、ある種フェアリーのプレイングに賭けたと言ってもいいギラサキ。
 それを見たフェアリーは、5マナ目をチャージする。

 そして、何もせずに《葉鳴妖精ハキリ》の攻撃宣言。
 それは当然…フェアリーが賭けに勝った証であった。

 《勝利のリュウセイ・カイザー》をすり抜け、《BUNBUN・ヴァイカー》を手札から召喚!
 《その子供、凶暴につき》がいなくとも、単体でも横並びの打点を脅威に変換するこのデッキの切り札。
 早速《葉鳴妖精ハキリ》のブレイクで効果を起動する。GRゾーンから《ソニーソニック》が出て、打点も追加される。

 さあ、《DROROOON・バックラスター》が続いて攻撃に入る……

 半年前、私は全国大会の決勝戦でこう書いた。
 ギラサキのここ一番での勝負運は、とんでもなく強い。

 それをもう1度書くことになるとは思わなかった。
 それも、私にとってはとんでもなく強烈な印象を残したこのカードによって。

 

 

 墓地にはこれまでのアクションにより、4枚の呪文がある。
 それを計算していたギラサキが、勢いよく叩きつける。
 もう少し遅いタイミングで踏めばまだ間に合ったと、フェアリーの顔が歪む。
 そして、控室から、客席から歓声が上がる。

 《BUNBUN・ヴァイカー》が手札に戻され、GRモードで《オコ・ラッタ》が召喚される。
 《BUNBUN・ヴァイカー》がなければ致死打点を作れないフェアリーの猛攻は、止まる。

 そう……このGP9th翌日、このプロリーグにおいても。
 勝負を決めたのは、ギラサキのトリガー《知識と流転と時空の決断》!!

 無為に手札を与えるわけにはいかないフェアリーはターンを終了するしかなく……

 

 当然、ギラサキの手札には決めきる手段が揃っていた。

 まずは《ハリケーン・クロウラー》。マナに落ちた2枚の《BAKUOOON・ミッツァイル》を一気に回収する。
 3体を破壊して《BAKUOOON・ミッツァイル》を召喚。
 GR召喚されたのは《マリゴルドⅢ》《ダダダチッコ・ダッチー》《天啓 CX-20》。

 《ダダダチッコ・ダッチー》で捲れたのは《ハリケーン・クロウラー》。
 《天啓 CX-20》が3枚ドロー。
 《マリゴルドⅢ》が《スゴ腕プロジューサー》を出し。
 《ハリケーン・クロウラー》が、新たに3枚の種を増やして起動する。

 ……もう目で追いきれない。
 数えきれないほどのGR召喚をする、【シータミッツァイル】というデッキ。
 直感でプレイしているとも揶揄されるギラサキの手捌き。
 それらすべてが私たちを、そしてフェアリーを置き去りにする。

 2回目の《BAKUOOON・ミッツァイル》で打点は十分。
 念のため余ったマナで《六奇怪の四 ~土を割る逆瀧~》を撃つ。攻撃時に《音精 ラフルル》。
 今まで展開してきたクリーチャーが、フェアリーのシールドを次々とブレイクし……

 

 全ての決着がついた。
 プロプレイヤーたちによる、初めての祭典。

 頂点に上り詰めたのは、ZweiLanceとギラサキとなった。

 

【WINNER:ZweiLance & ギラサキ】

 

 初めてのプロリーグが終わった。
 そして、プロリーグの歴史は未だ始まったばかりである。

 これからプロが増えるかもしれない。
 次は全く違うルールになるかもしれない。
 もしかしたら、これが最後になってしまうかもしれない。

 それでも、プロの対戦によって湧き上がる"熱"。これが私たちを熱狂させる。
 これを証明しただけでも、彼らの残した足跡は大きなものになるだろう。

 そして、もし次があったとしたら。
 ディフェンディングチャンピオン…プロの中でも頂点に立った彼らは、こう呼ばれるのだ。

 

DUELMASTERS PRO LEAGUE byカーナベル
優勝はZweiLance & ギラサキ!! おめでとう!!

3回戦のカバレージ⇒【DMプロリーグbyカーナベル】MGR×ASAKURA VS ギラサキ×ZweiLance【リーグB3回戦】

【DUELMASTERS PRO LEAGUE】各選手の使用デッキリストを見たい方はコチラから!

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コメント (1)

彼方

フェアリーさんとツヴァイランスさんがめっちゃかっこいい特にgpとかcsがあと個人的にアナカラーデッドダムドは大好きです。

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