【DM歴史探訪シリーズ一覧】
01. 「基本編」北白河
02. 「闘魂編」神結
03. 「聖拳編」垢BANチキン
04. 「転生編」ばにら(スガワラ)
05. 「不死鳥編」ばにら(スガワラ)
06. 「極神編」ばにら(スガワラ)
07. 「戦国編」◆ドラえもん
08. 「神化編」神結
09. 「覚醒編」神結
10. 「エピソード1」ばにら(スガワラ)
11. 「エピソード2」ばにら(スガワラ)
12. 「エピソード3」神結
13. 「ドラゴン・サーガ」ばにら(スガワラ)
14. 「革命」神結
15. 「革命ファイナル」神結
16. 「新章DM」神結
17. 「双極篇」神結
18. 「超天篇」◆ドラえもん
19. 「十王篇」垢BANチキン
こんにちは!垢BANチキンです!
第3回デュエルマスターズ歴史探訪ということで、ばにら(スガワラ)さんからバトンを受け取って、2004年『聖拳編』の時代を振り返っていきます。
聖拳編第一弾発売時点での私の年齢は3歳です。
もちろんデュエルマスターズなんて触ったこともありません。
というわけで、紹介させていただくにあたっての知識が全く足りていない状態だったので、当時の環境デッキを実際にひと通り組んで対戦して、バッチリおさらいしておきました。
どうやら聖拳編は、名高き問題児たちがひしめくとんでもない環境だったようです。さっそく紹介していきます。
目次
はじめに
『デュエルマスターズ歴史探訪』は、ガチまとめライターがバトン形式で、過去の環境やカードを紹介していく企画です。
今回は、2004年6月から翌年3月にかけて発売された、『聖拳編』シリーズです。
昔デュエルマスターズで遊んでいた、いわゆる古参プレイヤーの多くが、このシリーズに良くも悪くも強い印象を残しているのではないでしょうか。
聖拳編は初めて多色カードが登場したシリーズで、シリーズを通して多色カードがテーマになっています。
文明が持つ特徴を組み合わせたカードはどれも強力で、メタゲームを大きく変えるほどのカードパワーです。
多色カードのおかげで文明の取り回しが容易になり、3色以上を組み合わせたデッキもかなり組みやすくなりました。
デッキ構築の幅が広がり、よりパワフルなデュエマを楽しめるようになったシリーズと言えるでしょう。
前置きはこのあたりにして、カードやデッキの振り返りに移ります。
聖拳編で登場したカード
先ほど紹介したように、聖拳編では初めて多色カードが登場しました。
カードパワーが高いカードがたくさん登場していますが、聖拳編といえばやっぱりこれでしょう。
(プレミアム殿堂カード) 【 クリーチャー 】
種族 アーマード・ドラゴン / アース・ドラゴン / 文明 火/自然 / パワー6000 / コスト7
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、他のパワー6000のクリーチャーをすべて破壊する。その後、このターンの後にもう一度自分のターンを行う。そのターンの終わりに、自分はゲームに負ける。
スピードアタッカー(このクリーチャーは召喚酔いしない)
W・ブレイカー
そう、《無双竜機ボルバルザーク》です。
バトルゾーンに出すと、自分か相手のどちらかの敗北が確定します。
このカードを禁止にするべく署名活動が行われた話は、一度は耳にしたことがある方も多いんじゃないでしょうか。
当時主流となっていたシールドトリガーは、《デーモン・ハンド》や《ホーリー・スパーク》、《アクア・サーファー》ぐらいなもので、採用枚数も合計8枚ほどです。
その程度のトリガーを1枚踏ませたぐらいでは、当然《無双竜機ボルバルザーク》の猛攻を止められるはずもなく...
と、一見めちゃくちゃ強いカードに見えますが、発売当時のこのカードの一般的な評価は低かったみたいです。
『なんで?????』
と思う方が多いかと思いますが、この話は後ほどデッキ紹介のときに取り上げます。
話を戻します。
《無双竜機ボルバルザーク》だけでなく、あの超強力な「エターナル系」の呪文が登場したのもこのシリーズです。
その中でも代表的なのが《魂と記憶の盾》です。
【 呪文 】
文明 光/水 / コスト3
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
バトルゾーンにある、進化クリーチャーでないクリーチャーを1体選び、裏向きにして持ち主のシールドに加える。
当時の環境を支配していた《アクアン》と非常に相性が良く、《アクアン》が入っているデッキには必ずと言っていいほど採用されていました。
今となっては多くのプレイヤーが迷わず4枚採用するかと思いますが、やはり2004年のネット社会です。
多色カードの「タップしてマナに置く」という性質が、どれほど使い勝手に影響するのかという情報がそこまで出回っていないため、採用枚数は2枚~3枚と少し抑えめにしているプレイヤーが多かったようです。
というわけで、多色カードの参入でどのような環境が作り上げられていたのか、環境デッキを振り返っていきましょう。
聖拳編で活躍したデッキ
聖拳編環境を振り返るにあたって、まずは前提を置いておきたいと思います。
聖拳編第一弾発売前の2004年3月15日の殿堂施行で《サイバー・ブレイン》《アストラル・リーフ》《ストリーミング・シェイパー》の青単3大ドローソースが殿堂入りしました。
これによって【青単】で構成されたビートダウンは大幅に弱体化。次なるドローソースとして《アクアン》が注目され、環境のメタゲームは《アクアン》を中心に構成されていきます。
【アクアンホワイト】
聖拳編第一弾で《曙の守護者パラ・オーレシス》を獲得した、《アクアン》+ガーディアンで構成されるミッドレンジデッキです。
《アクアン》の超リソースを元手に、高いパワーラインと強力な進化クリーチャーで盤面を制圧して戦います。
《光器ペトローバ》はパワーアップによる援護だけでなく、選ばれないアタッカーとしても大活躍します。
《魂と記憶の盾》は聖拳編第二弾で登場するカードなので、このサンプルリストではまだ採用されていません。
当時の環境でこのデッキに対して有利が付くデッキがほとんどなく、幅広い対面に互角以上に戦えました。
多数のブロッカーによるビートダウンへの耐性もさることながら、《光器ペトローバ》によるパワーラインの底上げで、クリーチャーを戦闘破壊することはほぼ不可能になり、盤面に厚みが出ます。
あまりにもミラーマッチが多いため、《ロスト・ソウル》や《荒廃の巨王ジェノサイド》をタッチで採用した黒入りのリストの研究が進んでいき、段々と構築が変化していきます。
【アクアンブラック】
多数搭載されているハンデスでリソースを奪いつつ、自分は《アクアン》で息切れを防止する速攻デッキです。
《卵胞虫ゼリー・ワーム》《機怪人形ガチャック》といった強力なアタッカーを、《呪いの影シャドウ・ムーン》のパワーアップで支えて戦います。
ハンデスが大量に採用されているため、【アクアンホワイト】に有利が付きそうに見えますが、《アクアン》がもたらす莫大なリソースはそんなに甘くありません。
《スケルトン・バイス》は2枚ハンデス。《アクアン》は5枚ドロー。
言うまでもなく、ハンデスが全く追いつきません。
しかし、このデッキは回し方が特殊で、呪文でコントロールチックに立ち回ることもできれば、クリーチャーで速攻をしかけることもできます。
いわゆる玄人好みのデッキで根強い人気を持ち、《凶星王ダーク・ヒドラ》を獲得して少しづつ形を変えながら、しばらく環境に残り続けたようです。
【ボルバルステロイド】
《無双竜機ボルバルザーク》をフィニッシャーに据えた赤緑の速攻デッキです。
《ピーカプのドライバー》《無頼勇騎ウインドアックス》といった強力なブロッカー破壊カードで相手の防御を突破しつつ豊富なアタッカーを押し込んで、《母なる大地》で《無双竜機ボルバルザーク》を呼び出して押し切ります。
カード紹介でお話しした通り、発売当時の《無双竜機ボルバルザーク》の評価ははっきり言って低かったようです。
原因は《スケルトン・バイス》にあります。
ハンデスでリソースを枯らされて攻め手を失うので、そもそも赤緑のカラーリングの速攻デッキなんてものは環境に食い込めるはずがないというのが、当時のプレイヤー間の認識でした。
しかし、この【ボルバルステロイド】が当時開催された公式大会『エターナル・リーグ』のエリア予選で優勝し、《無双竜機ボルバルザーク》の強さを世に知らしめます。
たしかに【ボルバルステロイド】も《スケルトン・バイス》をまともに食らうと厳しい勝負になってしまいますが、そもそも《スケルトン・バイス》が相手のデッキに入っていなければ何の問題もありません。
《スケルトン・バイス》は2枚ハンデス。《アクアン》は5枚ドロー。
【アクアンブラック】の紹介で書いた通りです。《アクアン》があまりにも強いため、《スケルトン・バイス》の採用率はそこまで高くありませんでした。
当時のエリア予選環境で《スケルトン・バイス》を採用しているデッキは【アクアンブラック】ぐらいなものなので、その他の対面すべてに《無双竜機ボルバルザーク》がクリティカルに通ります。
《無双竜機ボルバルザーク》を狩るための《スケルトン・バイス》が環境にいないのであれば、《無双竜機ボルバルザーク》は順当に勝ち上がります。
現代でこそTwitterなどで容易に情報が集まりますが、当然2004年ではそうはいきません。
【ボルバルステロイド】の優勝は、2004年のネット社会の情報流通の遅さがもたらした結果と言えるでしょう。
この優勝以降、【ボルバルステロイド】がメタゲームに食い込み、【アクアン系統】のデッキは《無双竜機ボルバルザーク》への対抗札を採用し、環境が変化していきます。
【アクアングレー】
ガーディアン型
イニシエート型
【アクアンホワイト】から研究が進み、ミラー対策の《荒廃の巨王ジェノサイド》《ロスト・ソウル》、【ボルバル系統】対策の《スケルトン・バイス》、継続リソースの《凶星王ダーク・ヒドラ》を採用した形です。
当時は「ドロマー」のようなMtG由来の呼び方はされておらず、【アクアンホワイトブラック】や【アクアングレー】と呼ばれていたようです。
除去,ハンデス,ブロッカーでコントロールが可能なので、【ボルバルステロイド】に対して構造から有利に戦えます。
はっきり言ってほとんど隙が無く、【アクアンホワイト】の完成形と言えるでしょう。
今回用意した2つのサンプルリストは、なんと28枚もの共通パーツがあります。
《アクアン》+《光器ペトローバ》+《凶星王ダーク・ヒドラ》
という組み合わせの基盤の強さがはっきり分かりますね。
【ボルバルブルー】
このデッキはご存じの方も多いのではないでしょうか。
《スケルトン・バイス》への耐性を付けるべく、【ボルバルステロイド】に青のドローソースを組み込んだミッドレンジデッキです。
枚数配分がかなり現代デュエマチックで、綺麗にまとまっているのが印象的です。当時の情報量の少なさでこの構築にたどり着くのは、とんでもなく素晴らしいことだと思います。
【ボルバルステロイド】もそうですが、フィニッシャーである《無双竜機ボルバルザーク》の採用枚数は3枚に抑えられています。
理由はおそらく《母なる大地》です。攻めの準備が整う前に相手の《母なる大地》で無理やり引っ張り出されてしまっては、攻めきれずにそのまま敗北してしまいます。
そのため、1ターン目のマナチャージは《無双竜機ボルバルザーク》を置けないことが多いです。
フィニッシュ時に1枚あれば充分で、多色でダブついて動きに支障が出るのをケアして3枚の採用に抑えているのでは、というのが、実際に回してみて出てきた考え方です(もしかしたら全然的外れかもしれませんが)。
【アクアン除去】
現在は殿堂解除されているカードもありますが、結果的にデッキの半分の20枚が規制されてしまうとんでもないデッキです。
《アクアン》の超リソースを元手に、ハンデス,除去,デッキ破壊を行ってゲームをコントロールしていきます。
個人的な感想としては、対戦相手としては一番つまらなかったデッキです。
一度制圧されてしまうとゲームセットで、デッキに残された回答札を《ロスト・チャージャー》と《ヘル・スラッシュ》で容赦なく墓地に叩き込まれ、果てしなく弱くなった山札をドローするだけの作業になります。
この手のデッキは、使っている側は「次にケアする相手のトップデック」などいろいろ考えることがあるものの、使われている側はなにも考えることがないのが、つまらなく感じてしまう原因かと思います。
【速攻系統】に対して若干受けのもろさを見せますが、それ以外のデッキには非常に強く、勝率が高かったです。
構築も綺麗にまとまっていて、デッキの完成度の高さが伺えます。
【赤白速攻】
『エターナル・リーグ』の関東エリア予選優勝のデッキリストです。このリストも、当時の環境を知っている方だったら印象に残っているのではないでしょうか。
細かい枚数配分などは非常に個性的ですが、【速攻】というアーキタイプが環境のメタゲームに食い込んでいた事実を裏付けています。
実際に【アクアン除去】に対して有利が付き、その他の【アクアン系統】のデッキに対しても、《ピーカプのドライバー》で強引に攻めにいけます。
メタゲームまとめ
【アクアングレー】【アクアンブラック】【アクアン除去】【ボルバル】【速攻】
大きく分けてこの5デッキから、聖拳編第一弾~第二弾までのメタゲームは形成されていました。
言うまでもなく《アクアン》だらけです。それほどまでに、《アクアン》というカードがもたらすリソースは莫大なものでした。
実際にひと通り対戦してみた感想としては、【アクアングレー】と【アクアン除去】が頭一つ抜けて強かったです。
ハンデス,除去,ブロッカーといった豊富なコントロール手段に加えて、トリガーもしっかり8枚入っていて、どこか現代デュエマを感じさせるようなデッキでした。
個人的な話になってしまいますが、《ロスト・チャージャー》や《ヘル・スラッシュ》で相手に何もできなくさせて勝つ感じが、《凄惨なる牙 パラノーマル》を複数枚展開しているときの感覚に似ていて、気持ちよかったです。
《アクアン》殿堂入り後
ここまで爆発的な活躍を見せる《アクアン》を公式が放っておくわけもなく、聖拳編第三弾発売前の2004年12月に《アクアン》が殿堂入りしてしまいます。
これによって《アクアン》のリソースを元手にゲームメイクをしていたデッキは大幅に弱体化します。
ですが、なんと《無双竜機ボルバルザーク》はこのタイミングではノータッチでした。
なんとか《スケルトン・バイス》も殿堂入りを免れますが、《アクアン》を失ったコントロールデッキのリソース量では《無双竜機ボルバルザーク》を止められるはずもなく、しばらく【ボルバルブルー】が猛威を振るい続けます。
その後行われた公式大会『スプリングチャレンジバトル』の関東大会では、上位入賞者16名がすべて《無双竜機ボルバルザーク》を軸にしたデッキという結果になってしまいました。大惨事です。
聖拳編第四弾発売時点ではもう他のデッキでは手が付けられず、《無双竜機ボルバルザーク》を中心にメタゲームが形成されていきます。
【ボルバルブラック】
【ボルバルブルー】が黒のハンデスを取り込んだ形です。なんとも邪悪な見た目をしています。
黒のハンデスもとりあえず入れたわけではなく、きちんとした環境の流れがあります。
聖拳編第四弾で登場した《炎槍と水剣の裁》の影響で、小型を並べて《無双竜機ボルバルザーク》を出して殴り切るというゲームプランが取りづらくなりました。
そこで、《炎槍と水剣の裁》で小型クリーチャーを一掃されるのは許して、その返しに《ロスト・ソウル》でゲームを決めてしまおうというコンセプトで黒のハンデスが採用されました。
《無双竜機ボルバルザーク》環境ならではのチューニングといった感じですね。
《無双竜機ボルバルザーク》が殿堂入りした後も、この【ボルバルブラック】を基盤に、《バジュラズ・ソウル》や《ボルベルグ・クロス・ドラゴン》を採用してリペアされた【除去ボルバル】が、転生編の環境を荒らすことになります。
おわりに
いかがだったでしょうか。プレミアム殿堂カードだらけの環境紹介でしたが、楽しんでいただけると幸いです。
聖拳編は《無双竜機ボルバルザーク》《アクアン》《ロスト・チャージャー》《スケルトン・バイス》などなど、後にプレミアム殿堂入りするカードたちでメタゲームが形成されていました。
実際に遊んでみても非常に面白く、リソース管理や殴り方など、現代デュエマとは違った難しさがあって、とてもいい勉強になりました。
ゲートボールで遊ぶ場合は、個人的には《アクアン》が殿堂入りする前の環境がオススメです。
《アクアン》殿堂後は、《無双竜機ボルバルザーク》が強すぎて、環境にあまり深みがない印象です。
あの《スケルトン・バイス》が4枚確定採用じゃない時代。興味がある方はぜひ体験してみてください!
また、Twitterにて『#DM歴史探訪』のハッシュタグをつけて感想のツイートをしていただければと思います!
もちろん、DMおじいちゃんによる自分語りも大歓迎です。お待ちしております。
デュエルマスターズ歴史探訪、次回は◆ドラえもん先生による、『戦国編』の紹介です。
1マナ軽い《ロスト・ソウル》や、最強クラスの除去耐性を持つあのカードが登場します...お楽しみに!
デュエル・マスターズ歴史探訪シリーズ
【DM歴史探訪シリーズ一覧】
01. 「基本編」北白河
02. 「闘魂編」神結
03. 「聖拳編」垢BANチキン
04. 「転生編」ばにら(スガワラ)
05. 「不死鳥編」ばにら(スガワラ)
06. 「極神編」ばにら(スガワラ)
07. 「戦国編」◆ドラえもん
08. 「神化編」神結
09. 「覚醒編」神結
10. 「エピソード1」ばにら(スガワラ)
11. 「エピソード2」ばにら(スガワラ)
12. 「エピソード3」神結
13. 「ドラゴン・サーガ」ばにら(スガワラ)
14. 「革命」神結
15. 「革命ファイナル」神結
16. 「新章DM」神結
17. 「双極篇」神結
18. 「超天篇」◆ドラえもん
19. 「十王篇」垢BANチキン